#ロウバイ

★歩み寄り、面目躍如、ニュースの「雪中四友」

★歩み寄り、面目躍如、ニュースの「雪中四友」

   金沢は朝からほんわかとしたまるで春の雰囲気が漂っている。天気予報によると、日中の最高気温は金沢で18度と平年よりも10度ほど高く、4月中旬並みの暖かさになるようだ。クリスマス寒波で30㌢余り積もった庭の雪もすっかり解け、ロウバイの花が咲いている=写真=。「雪中四友(せっちゅうしゆう)」という言葉がある。冬のこの季節に咲く4つの花、ロウバイ、ウメ、サザンカ、スイセンのこと。

   寒々しいニュースが続く中、「雪中四友」のような心がほんわかとするニュースもある。大阪・ミナミを流れる道頓堀川に絶滅危惧種のニホンウナギが生息していることがわかった。府立環境農林水産総合研究所などが去年11月、はえ縄などウナギを捕まえるための仕掛けを設置し、体長30㌢から60㌢ほどの11匹を見つけた。ニホンウナギは肉食で、ミミズやザリガニなど様々なものを食べるので、水質が改善されてニホンウナギが生きていける生態系が道頓堀川の中で成り立っているということになる。同川での学術調査による正式な捕獲記録としては初めてという(今月10日付・朝日新聞Web版)。道頓堀のニホンウナギ。新たな観光名所に。

   太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決策を話し合う韓国政府主催の公開討論会で、韓国外務省のソ・ミンジョン(徐旻廷)アジア太平洋局長は、裁判で賠償を命じられた日本企業に代わって韓国政府の傘下にある既存の財団が原告への支払いを行う案を軸に検討していることを明らかにした。ソ局長はこれまでの官民合同の協議会での議論で、▽被告となった日本企業による賠償や日本側の謝罪を期待するのは難しいという意見、▽第三者が原告への支払いを肩代わりすることも可能だという指摘があったと説明した(12日付・NHKニュースWeb版)。日本政府は、賠償の問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場。韓国側の財団による肩代わり案は、両国の歩み寄り外交の一歩をもたらすかもしれない。

   G7の議長国として欧米のメンバー国を歴訪している岸田総理は日本時間の11日に3つめの訪問先のイギリスでスナク首相と日英両国での安全保障協力などについて首脳会談を行った。会談後、自衛隊とイギリス軍が共同訓練を行う際の「日英円滑化協定」に署名した。12日にカナダでトルドー首相と会談。13日からアメリカ・ワシントンに入り、バイデン大統領との日米首脳会談に臨む(12日付・NHKニュースWeb版)。元外務大臣だけあって、安全保障をテーマに外交をさらりとこなし、面目躍如か。

⇒13日(金)午後・金沢の天気     くもり

☆春を待つ花のいとおしさ

☆春を待つ花のいとおしさ

   北陸に大雪をもたらすJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)は気象ニュースにもよく取り上げられていて、このブログでもよく使う言葉になった。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によって、いったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などになだれ込んでくる。

   そして、最近よく関東地方に大雪をもたらすとして気象ニュースでよく使われているのが「南岸低気圧」だ。これまで日本列島南岸を発達しながら東に進んで関東地方などに雨を降らせると聞いていたが、雪も降らせている。予報では今夜から次第に雨が雪に変わり、あす14日朝までに東京都心でも2㌢から5㌢の積雪が予想されている(13日付・ウエザーニュースWeb版)。

   北陸はこのところ気温が7度まで上がり、雪解けが進んでいる。自宅近くの川も水かさが増している。冬から春にかけての季語で、桃花水(とうかすい)という言葉がある。氷や雪が解けることで増す川の水のことを言う。

   自宅庭にはロウバイとスイセンの花があったので、床の間を飾ってみた。掛け軸は桃花水からイメージして、「桃花笑春風」(とうかしゅんぷうにえむ)を選んだ。唐代の詩人・崔護の漢詩の一部「桃花依旧笑春風」が元の書である。うららかな春風に揺られて咲く桃の花は、まるで微笑んでいるようだ。無心に咲く、花の美しさよ(淡交社『茶席の禅語大辞典』より)。

    16日から17日にかけて日本海側にはマイナス40℃以下の強烈な寒気が流れ込んで、北陸など局地的に大雪となる恐れがあるという(同)。床の間をじっと眺めていると、桃花もロウバイもスイセンも春を待つ花のように見えていとおしい。

⇒13日(日)夜・金沢の天気     くもり

★立春寒波 ひたすら待つ「三寒四温」と「ぼんぼら風」

★立春寒波 ひたすら待つ「三寒四温」と「ぼんぼら風」

   「立春寒波」がやって来た。金沢地方気象台は北陸の上空5000㍍にマイナス36度以下の強い寒気が流れ込み、金沢などの平野部でも大雪となるおそれがあるとニュースで伝えている。きょう5日午後6時までに降る雪の量は多いところで加賀地方の平野部で20㌢、山沿いで60㌢、能登地方は平野部と山沿いともに30㌢と予想されている。発達した雪雲が同じ地域に流れ込み続けた場合は、6日にかけて警報級の大雪になる見通し、とか。発表を聞いただけで震える。

    けさ午前7時ごろの積雪は自宅周囲で5㌢ほど。これからが本番なのだろう。庭を眺めるとロウバイの黄色い花にうっすらと雪がかぶっていた=写真・上=。ロウバイは大寒から立春の時節に咲く。ロウバイの木に近づこうとすると、雪面から野鳥が1羽、驚いたように飛び立っていった。よく見えなかったが、目のふちが黒っぽく、尾羽が長めだったので、セキレイではなかったか。

   雪と花と鳥のイメージで何気なく思い出したのが、4年前、石川県立美術館(金沢市出羽町)で開催されていた伊藤若冲の特別展の『雪中雄鶏図』だった=写真・中、図録より=。竹や残菊に雪が積もる様子、そして雄のニワトリが餌を探して雪面をくちばしで突く絵は妙にリアリティと存在感があった。

   そして、この降雪で自宅周辺はまるで水墨画のような世界となった=写真・下=。金沢には古くから「一里一尺」という言葉がある。金沢地方気象台が発表する積雪量は、海側に近いところにある同気象台での観測であり、山側にある自宅周辺とでは積雪の数値が異なる。山側へ一里(4㌔)行けば、雪は一尺(30㌢)多くなる。

   今回の立春寒波はJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)と呼ばれる発達した列状の雲だ。今後雪はさらに深まるだろう。この時季、北陸人はひたすら寒さに耐えながら春の気配が日に日に高まる「三寒四温」を待つ。そして、春一番の南風が吹くと、加賀や能登では「ぼんぼら風が吹く」と言って気持ちが踊り出すくらいにうれしくなる。「ぼんぼら」は生暖かいという意味だ。そして、新型コロナウイルス感染もきのう県内は551人と猛威が止まない。三寒四温のように徐々に治まってほしいと願うばかりだ。

⇒5日(土)午後・金沢の天気      ゆき

★株高の無常観 経済の春隣は

★株高の無常観 経済の春隣は

   大寒のこの頃、「春隣(はるとなり)」という季語がある。寒さがこたえる真冬だが、かすかな春の予兆に目を向けてみたくなるものだ、との意味合いと解釈している。

   自宅の庭は雪に覆われているが、春隣を求めて庭先に出た。厳冬のこの時節に咲く花を「雪中四友(せっちゅうしゆう)」を称するが、4つの花(ロウバイ、ウメ、サザンカ、スイセン)のうち、ロウバイが黄色い花を付けていた。例年なら今ごろ花を付けているスイセンは雪に埋もれていた。

   見渡すと、ツバキも花をつけていた。そこで、ロウバイとツバキを切って、玄関に活けてみる=写真=。ロウバイは「蝋梅」と漢字表記されるだけあって、ふくよかな香りがする。中国語ではラ-メイ(蝋梅)、英語ではWinter sweetと言い、世界の人々はその香りを楽しんでいる。ツバキは筒咲きの白花だ。花を見ていて思うことは、花は毎年変わらず咲いて人を楽しませてくれるが、人の世は変わってしまう。新型コロナウイルスの流行(はや)りで滅入ってしまっている。無常である。世の春隣はいつ来るのか。

   きょう無常観を感じたのは株価だ。25日の東京株式市場で日経平均株価の終値が前週末比190円高の2万8822円をつけ、バブル期の1990年8月3日以来30年半ぶりの高値を回復した(1月25日付・共同通信Web版)。景気がよいと感じていないのに、株が買われる。投資家は今の経済状況を見て投資するのではなく、先の経済状況を予想して投資すると言われればそうかもしれない。あるいは、コロナ禍で痛手を被った経済を支えるため日本銀行が大量のお金を市中に流し込んでいるが、景気を押し上げる投資には使われず、だぶついたお金が運用先として株式市場に流れ込んでいるだけ、という見方もある。

   これから第3四半期の企業決算の発表が続々と出てくるだろう。その内容を見てみたい。経済の春隣を感じることができるのだろうか。

⇒25日(月)午後・金沢の天気     はれ