#マスク

★「論よりマスク」 説得力に欠けるWHO

★「論よりマスク」 説得力に欠けるWHO

     アメリカのトランプ大統領のマスク姿の写真が今月12日付・CNNニュースWeb版で掲載されていた=写真・上=。首都ワシントン近郊の軍病院で負傷兵を見舞った際の写真で、黒マスクの姿は堂々とした印象だ。トランプ氏のマスク姿はこれまで写真や映像で見たことがなかったので、本人は「マスクは医療関係者か、ギャングがするもの」と勘違いしているに違いないと思っていた。そのトランプ氏もマスクをせざるを得ない状況に追い込まれてきたのではないか。

   ジョンズ・ホプキンス大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)の最新版では、アメリカだけで感染者累計が336万4918人、死者が13万5616人だ。コロナウイルス感染拡大は社会生活だけでなく、軍隊にも広がっている。同時に、外出時のマスク着用を義務化する州や都市も増えている。ニューヨーク州知事は「マスクの着用は戦いに参加していることを意味する。着用ほど愛国的なことはない」とマスクの徹底を呼びかけている(7月4日付・NHKニュースWeb版)。この緊急事態にトランプ氏自身も自らも感染の危機感を抱き始めたのではないか。

   もう一人、マスク姿を見せない重要人物がいる。WHOのテドロス事務局長だ。パンデミック宣言以来、ほぼ3日に一度、ジュネーブの本部で記者会見を開催しているが。会見でマスク姿を一度も見せたことがない。6月5日の会見=写真・下=で、テドロス氏は各国政府に向けて一般市民にマスクを着用するよう奨励すべきと勧告した。マスクの重要性を強調したこの日は、自らマスクを着けて会見に臨むべきではなかったのか。言っていることと行っていることのちぐはぐさを感じる。

   直近の会見(7月13日でも、テドロス氏は「Mixed messages from leaders are undermining the most critical ingredient of any response: trust. 」と、おそらくアメリカを意識して、国のリーダーは対応を間違って信頼を損なっていると強調している。そして、国内で手洗いやマスクの着用などの公衆衛生の原則が守られなければパンデミックは悪化するだけだと説いている。「論より証拠」という言葉がある。だったら、自らマスクをして会見に臨んではどうか。この公式ホームページは世界中の人たちが見ているが、テドロス氏に対する心象は共通しているのではないだろうか。側近にアドバイスする人もいないのか。

⇒15日(水)午前・金沢の天気    あめ時々くもり

☆ギャングのマスクから戦う愛国のマスクへ

☆ギャングのマスクから戦う愛国のマスクへ

   新型コロナウイルスの感染拡大でWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言(1月30日)を発してから157日になる。ジョンズ・ホプキンス大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)の最新版では感染者総数は1118万人、死者数は52万人に上る。中でもアメリカは現在でも増え続け、感染者数283万人、死者数12万人だ。テレビのニュースで報じられるアメリカの様子を視聴していると、WHOの緊急事態宣言が出されたころに比べ、マスク姿が断然多くなっていることに気づく。ウィズコロナの意識改革が浸透しているのだろうか。

   自身はもともとマスクは嫌いなタイプだった。コロナ以前は、マスクをしていると自らが病気をしていると他人に知らせるようなもので、弱々しさを感じさせると思っていた。また、マスクは顔を隠すためのものという印象もあった。 2019年12月30日にレバノンに逃亡したことで物議をかもしたカルロス・ゴーンが昨年3月6日、一回目の保釈で東京拘置所から出てきた姿は、青い帽子に作業服姿、顔の半分以上はマスクで隠していた。保釈金10億円を納付したのだから堂々と出てきて、記者会見をすればよかったのではないか、と。マスクは変装の道具というイメージだった。

   これは憶測だが、アメリカでもおそらくマスクと言えば、強盗ギャングの顔隠し、あるいはアメリカでヒットしたテレビドラマ『ER緊急救命室』の手術室でのマスク姿の医師たちの緊迫したシーンのイメージがあったに違いない。つまり、日常生活とはかけ離れた存在で、抵抗感もあったのではないだろう。

   それが一転、アメリカは1日で感染者が5万人を超える日もあり、外出時のマスク着用を義務化する州や都市が増えている。6月18日に義務化したカリフォルニア州知事は「経済を再開し、人々を仕事に復帰させるためのカリフォルニア州の戦略は、人々が安全に行動し、公衆衛生上の勧告を順守することによって初めて成功する。つまりフェイスカバーを着用し、手を洗い、物理的な距離を置くことが求められる」と述べている(6月18日付・ロイター通信Web版日本語)。コロナ禍と人類の社会活動と経済を共存させるためにマスクは欠かせない、好き嫌いではない義務だと、まるで「人類とコロナの共存のためのマスク宣言」のようだ。(※写真は、5月29日付・BBCニュースWeb版より)

   また、ニューヨーク州知事は「マスクの着用は戦いに参加していることを意味する。着用ほど愛国的なことはない」とツイートした(7月4日付・NHKニュースWeb版)。トランプ大統領も、自らも他の人と近い距離にいる時はマスクを当然着用すると述べた。ただ、マスク着用を全国的に義務化する必要はないとの考えを示している(7月2日付・ロイター通信Web版日本語)同)。もし、マスクが全米で義務化されれば、アメリカのマスクの歴史が塗り替わる。ギャングのマスクから、戦いのための愛国マスクへと。

⇒4日(土)夜・金沢の天気    あめ

★「弁当忘れてもマスク忘れるな」

★「弁当忘れてもマスク忘れるな」

   「弁当忘れても傘忘れるな」。地域ならではの教えというものがある。金沢は年間を通して雨の日が多く、年間の降水日数は170日余りと全国でもトップクラス(総務省「統計でみる都道府県のすがた」) 。天気も変わりやすく、朝晴れていても、午後には雨やくもり、ときには雷雨もある。そのような気象の特徴から冒頭のような言葉が金沢で生まれたのだろう。ただ、最近思うのは「弁当忘れてもマスク忘れるな」だ。

   きのう出勤する途中でマスクを忘れたのに気が付き、コンビニに立ち寄ったが売り切れだった。大学に到着して、生協売店で買いを求めた。バラ売りで1枚74円。それから職場に行く。エレベーターに乗るとすでに3人いた。おそらくマスクを着けていなかったら気が引けて乗らなかっただろう。マスクは通行手形のようなもので、「場」に入るには今や必須となっている。弁当を忘れても、誰も何も言わないが、マスクを着けていないとジロリとした視線を感じる。さらに咳やくしゃみをしようものなら、多様な角度から目線が集中するのだ。

   マスクの常識は新型コロナウイルスによって大きく変わった。これまでマスクは使い捨てが常識だった。それが、洗濯して再利用が当たり前になった。また、マスクは白色が当たり前と思っていたが、最近では黒色もあればピンクもあり、白地に花柄模様と実に多様である。先日も夜の街ですれ違った男性が「首なし」で一瞬ドキリとした。黒色マスクに黒の帽子を深く被っていたのでそう見えたのだ。

   先日もこのブログで取り上げたWHOの公式ホームページには「When and how to use masks」と題してマスクの使い方を紹介している。これを見ていて感じることは日本人のマスク観と海外のマスク観が違っていることだ。この中で「やってはいけないこと」として、マスクを他人とシェアする、破れたマスクを使う、マスクで鼻を出す、汚れたマスクを着用する、などイラスト入れりで説明している=写真=。衛生観念の違いと言えばそうなのかもしれないが、日本人がこのイラストを見れば、マスクが普及していない国や地域ではマスクの使い方をめぐって混乱しているのではないかと想像する。

   というのも、WHOが掲載しているマスク着用に関するイラストや文書は、世界の国民に向けて発しているのではなく、「on Advice to decision makers」(意思決定者へのアドバイス)として発信しているのだ。「マスク途上国」は世界で多くあり、そのマスクの使い方を初歩から指導者に教えている、そんなふうにも読める。ここはWHOに期待したいところだ。

⇒23日(火)朝・金沢の天気    はれ

★たかがマスク、されどマスク

★たかがマスク、されどマスク

   きょう11日の衆院予算委員会で加藤厚労大臣が、全国の新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)について「5月10日現在で250件あるのではないか」と述べた(11日付・共同通信Web版)。厚労省は1ヵ所で5人以上の感染者が出たケースをクラスターとしている。250のクラスターのうち医療機関がもっとも多く85件、続いて老人ホームなど福祉施設57件、飲食店23件と続く。クラスターの3分の1が病院ということになる。

   石川県でも6件あり、うち2件が病院。その1件は県内最大のクラスターだ。石川県の感染者280人、うち69人がその病院の入院患者や看護師、介護士、病院事務員。県内の死者17人のうち、その病院での死者は11人となっている(11日・NHKニュースWeb版)。その病院に祖父が入院しているという知人から聞いたことだが、クラスター化してから毎日祖父の容態について病院から報告があるそうだ。「家族の心配を察しての病院側の配慮だろう」と。一方で「病院なのになぜこんなことに」と外部から批判もあるようだ。「病院スタッフのストレスは相当なものだろう。返ってそれが心配だ。医療崩壊にならなければよいが」と知人は案じていた。

   きょう別件でまったく別の病院を訪れた。総合病院だが、現在まで感染者を出していない。感染対策は徹底していて、出入り口は正面玄関のみとし、その正面玄関でサーモグラフィーによる発熱者のチェックを行っている。病院内に入ると、マスクの自動販売機が設置されていた。さすが、感染対策が徹底している病院は違うと思い、さっそく自販機で買おうとしたが、貼り紙があった=写真=。

   「お客様へ マスク販売制限につきまして マスクの販売個数制限によりマスク自動販売機の販売を一時停止させていただきます。マスクは地下のセブンイレブンで販売させていただきます。・・・」と。受付でなぜ自販機が中止なのかと尋ねると、一人で何枚も購入する人がいるのでやむなく対面販売となったようです、と。そこで病院地下にある「セブンイレブン」に行くと商品棚にマスクが置いてあった。サージカルマスクだ。医療用に使用される感染防止用マスクで、サージカル(surgical)は外科の意味。「製造者名」をチェックすると、「横井定株式会社」とある。あのアベノマスクを供給する名古屋市の会社だ。

   さすが病院で販売するマスクは違うと思い、5枚を手にしてカウンターへ。すると、店員は「お客さん、申し訳ありませんがお一人1枚でお願いします」と。確かによく見ると棚の奥に「マスクはお一人1枚」と小さな貼り紙があった。棚に毎日200枚ほど並べるが、それでも夕方には売り切れになるのだという。1枚110円。一回買って、もう一度並ぶ客もたまにいるがその場合でも、「お断りをしています」とはっきり。たかがマスク、されどマスク。

⇒11日(月)夜・金沢の天気     はれ