#マイバッグ

★「マイバッグ」と「マスク」の両立問題

★「マイバッグ」と「マスク」の両立問題

   きょうからレジ袋の有料化が始まった。午前中、コンビニに入ろうとしてマイバックを忘れたことに気がついた。有料化のこの日に備え、コンビニ用の小さめのバックを用意していた。レジ袋を買い求めるか迷った。というのも、コンビニ弁当などを入れたレジ袋を持って職場に入れば、おそらく目線が注がれるだろう。「エコに関心がない人」と。マスクを着けずに職場に入ると感じる目線と同じではないだろうか。入ろうとしたコンビニの入り口に「プラスチック削減に向けて、マイバックのご利用をお願いします」と横断幕=写真=が掲げてあり、これにも気が引けて結局、何も買わず車に戻った。

   きのう(6月30日)ブログでレジ袋の有料化について書いた。メディア各社がどのように取り上げているかチェックしていて、気づいたことが一つある。新聞メディアは「マイバック」と表現し、テレビメディアは「エコバック」と称している局が多い。持参しましょうとの意味を込めているのが「マイバック」で、エコロジーに役立ちますよと意義を強調しているのが「エコバッグ」、ということだろうか。で、このブログではどうするか迷ったが、日常言葉で使っている「マイバッグ」とすることにした。

   そのマイバッグと新型コロナウイルスの関係性がよくない。随分前から近くのスーパーではマイバッグを持参して買い物をしてきた。レジで精算するときにマイバッグを出すと、店員が商品をダイレクトにバッグに入れてくれた。この便利さもあり、マイバッグを持参していた。

   様相が変わったのは、4月16日に感染防止対策として緊急事態宣言が全国拡大し、「特定警戒県」に石川が指定されたころだ。この頃から、マイバッグに買ったものを店員が入れてくれなくなった。「ご自身で入れてください」と。マイバッグは使い回すのでウイルス感染リスクが高く、店員は触れない、というわけだ。

   けさのNHKニュースで、アメリカやヨーロッパでレジ袋を無料で提供する動きが広がっていると伝えていた。アメリカ・カリフォルニア州は2016年、全米で最も早く小売店などでのプラスチック製レジ袋の無料提供を禁止し、再利用可能な袋や紙袋を10セント(日本円で10円余り)で販売する有料化の法律を導入した。ところが、客が持ち込むマイバッグで店員が感染するおそれが高まるなどとして、ことし4月、レジ袋などを無料とした。また、サンフランシスコでは客が再利用できるバッグやマグカップなどを店に持ち込むことそのものを禁じる行政命令を出した(7月1日付・NHKニュースWeb版)。

   レジ袋、つまりプラスチックの利用を減らすべきだという考えが日本でも根づき、法律上でも施行が始まったタイミングだけに、「マイバッグ先進国」欧米での逆行するトレンドには違和感がある。店員がマイバッグに触れなければよいだけのことで、コロナ感染をそこまで優先させるのは、神経質になりすぎではないか、と。ただ、マスク(ウィズコロナ)とマイバック(エコロジー)をどう両立させるか知恵出しする絶好の事例ではある。

⇒1日(水)正午・金沢の天気    くもり

☆脱レジ袋の「新しい生活様式」

☆脱レジ袋の「新しい生活様式」

   あすから1日からレジ袋の有料化が義務づけられる。大手コンビニでは1枚3円の有料レジ袋とするようだ=写真・上=。マイクロプラスチックによる海洋汚染の問題に対処するためだが、率直に思うことは、レジ袋の有料化より、買い物を行う際にマイバッグ(布製、紙製など)の使用を国民に義務づけしてはどうか。有料化しないとレジ袋の削減が出来ないということは、逆に言えば、多くの人々がこの環境問題の深刻な状態を把握していない、ということになる。その現場を見てほしい。

   能登半島の尖端、珠洲市には塩田村がある。「揚げ浜式塩田」と呼ばれ、400年の伝統を受け継いでいる。浜で海水を汲んで塩田まで人力で運ぶ。今では動力ポンプで海水を揚げている製塩業者もいるが、かたくなに伝統の製法を守る浜士(はまじ=塩づくりに携わる人)もいる。ひとにぎりの塩をつくるために、浜士は雨が降らないかと空を眺め、海水を汲み、知恵を絞り汗して、釜で火を燃やし続ける。機械化のモノづくりに慣れた現代人が忘れた、愚直な労働の姿でもある=写真・中=。ここに、マイクロプラスチック問題が押し寄せている。

   製塩業者は海水にマイクロプラスチックが含まれていないか定期的に検査し、さらに、汲み上げた海水を5ミクロンと1ミクロンのフィルターのろ過装置に通し、マイクロプラスチックをはじめとするあらゆる固形物を除去した海水で伝統的な製塩作業を行っている。もし、これを行わなず、プラスチックの微細なかけらが商品から見つかったら大問題になる。マイクロプラスチック問題の川下で行われている涙ぐましいほどの努力だ。

   話は戻る。レジ袋だけがマイクロプラスチック問題を発生させているのではない。自分自身を含めた雪国の住民の問題でもある。道路などの除雪の際に使うスコップはさじ部がプラスチックなど樹脂製が多い。少し前までは鉄製やアルミ製だったが、今はスコップの軽量化とともにプラスチックが主流なのだ。除雪する路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとプラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。微細な破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。一部には製品化されたものもあるが、スコップのさじ部分の尖端を金属にすることで解決される。これを法令で措置すべきではないだろうか。

   粉々に砕けたプラスチックが海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

   レジ袋にしても、プラスチックのスコップにしても日常での環境問題である。人類の知恵、合意として、マイバッグなどは義務化すべきではないだろうか。新型コロナウイルスで培った「新しい生活様式」の発想を環境問題へと展開するチャンスかもしれない。

⇒30日(火)午前・金沢の天気    あめ