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☆「雪すかし」の時季に思うこと スコップによるマイクロプラスチック汚染

☆「雪すかし」の時季に思うこと スコップによるマイクロプラスチック汚染

  けさも金沢の自宅周辺では5㌢ほど雪が積もっていた。ご近所さんたちが、朝から「雪すかし」を始めたので、「暗黙のご近所ルール」で自身もスコップを手に取って始めた。何㌢以上の積雪があると町内が一斉に除雪するというルールや当番がいるわけではない。児童たちが登校する前の7時半前ごろ、ご近所の誰かが、スコップでジャラ、ジャラと始めるとそれが合図となり、周囲の人たちもスコップを持って家から出てる。「よう降りましたね」「冷え込みますね」とご近所が朝のあいさつを交わす。いつの間にかご近所が一斉に雪かきをしている。

  さらに雪をすかす範囲についても暗黙のご近所ルールがある。すかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角にある家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。つまり、登校の児童たちが歩く「歩道」部分でよい。

  すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく=写真・上=。冬場の側溝は雪捨て場だ。気温が5、6度に上がると雪解け水が側溝を流れると、積み上げられ固まった雪を融かして近くの用水や川に流れていく。翌朝、また側溝に雪を捨てるということを繰り返す。

  ただ、スコップで雪すかしをするこの時季になるといつも思うことがある。マイクロプラスチックのことだ。スコップのさじ部はかつて鉄製やアルミ製だったが、最近はプラスチックなど樹脂製が多い。雪をすかす路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとなるとプラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。その破片は側溝を通じて川に流れ、そして海に出て漂っているのではないか。日常の雪すかしが、無意識のうちに「マイクロプラスチック汚染」を増長しているのではないだろうか、と。

  マイクロプラスチック汚染は、粉々に砕けたプラスチックが海に漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

  ご近所で仲良く雪すかしをするが、それが知らず知らずのうちにマイクロプラスチックを陸上で大量生産することになっているとすれば、それこそ不都合な真実ではある。そう考えると、樹脂製のスコップには製造段階でさじ部分の先端に金属を被せることを義務づけるなどの対策が必要なのではないだろうか。

⇒31日(金)午前・金沢の天気     くもり

☆疲労する被災生活の関連死を防ぐ 現場対応の看護師を養成へ

☆疲労する被災生活の関連死を防ぐ 現場対応の看護師を養成へ

  能登半島地震による災害関連死がさらに増えて147人(石川県関係分)となった。石川県と被災自治体による7回目の合同審査会(今月4日、医師・弁護士5人で構成)で答申があった16人について、七尾市と能登町、穴水町が正式に認定したと発表した(13日)。内訳は七尾市が7人、能登町が8人、穴水町が1人。家屋の下敷きになるなどして亡くなった直接死227人と合せて、県内の震災による死者は374人となる。

  3市町はどう遺族の承諾を得て関連死の状況を一部公表している。それによると、七尾市で亡くなった50代の男性は自宅で被災。震災によるとストレスに加え、道路事情が悪い被災地での勤務などにより、心身に負担が生じて急性心筋梗塞のため死亡した。能登町の80代の女性は自宅で被災後に近くの避難所へ。その後、親戚宅へ移ったが悪路の長時間移動や避難生活、慣れない場所での生活環境の変化で心身に負担が生じた。持病の影響もあり、十二指腸憩室穿孔で死亡した。穴水町の90代の女性は自宅で被災後、車中泊を経て自宅での生活を継続していたが、地震の影響でデイサービスが中断し、次第に全身状態が悪化して肺炎で死亡した。詳細は公表されていないが、今回は自殺者1人が初めて関連死として認定された。

  被災自治体がこれまで公表した関連死を調べてみるといくつかの傾向がが分かる。一つは、80代以上の高齢者が多いことだ。今回認定された16人の中で遺族が年齢を公表した13人のうち、50代が1人、60代が1人、70代が1人、80代が5人、90代が5人と圧倒的に多い。そして、関連死の背景となる要因として、避難所などにおける生活の肉体的・精神的疲労が多く、避難所などへの移動中の心身の負担も多い。また、地震のショック、余震への恐怖による心身の負担も大きい。要介護認定を受けていたり、持病などの既往症が関連死につながったケースもある。

  こうした関連死を防ぐには、避難所などでの現場で医療全般を知る看護師の目線が必要だろう。8月30日付のブログでも述べたが、石川県は9月補正予算案に、県立看護大学が災害への対応力を備えた看護師の育成をする専門講座を開設する経費を盛り込んだ。避難所における衛生的なトイレ利用や、避難者がストレスなく就寝できるスペースの確保など、高齢者が安心して暮らせる避難所運営、そして感染症予防や健康管理を看護のプロの目線で見極めていく、そうした関連死を防ぐための看護師の養成を目指してほしい。しかも、はやく。(※写真は、石川県立看護大学のモニュメント「風・心・光」=同大公式サイトより)

⇒15日(日)夜・金沢の天気    あめ

☆輪島の海女漁が再開 130人が朝の海に潜りモズクを2㌧収穫

☆輪島の海女漁が再開 130人が朝の海に潜りモズクを2㌧収穫

   能登の海岸では海藻がよく採れる。冬場の岩ノリは有名だが、ほかにもこの地で「カジメ」と称されるツルアラメやモズク、ワカメ、ウスバアオノリ(あおさ)、ハバノリ、アカモク(ぎばさ)、ウミゾウメン、マクサ(てんぐさ)、ホンダワラなど。そして海藻ごとにそれぞれ料理があり、海藻は能登の食文化でもある。こうした海藻を近場の海で採ることもできるが、海に潜って生業(なりわい)として採取しているのが輪島の海女たちだ。

  地元メディア各社の報道によると、きょう130人の海女たちが午前6時半ごろから漁船15隻で輪島港を出て、8㌔沖合で素潜りでモズク漁に励んだようだ。例年だと7月1日が「解禁」のなのだが、しけ続きできょうになった。例年ならば海女一人で200㌔採ることもあるが、きょうは1人15㌔に制限されていて、今回の全体の水揚げは2㌧だった。荷捌き場がある輪島漁港は地震で2㍍も隆起していて、船からモズクを運ぶのにも大変だったようだ。(※写真は、文化庁「国指定文化財等データベース」サイトより)

  報道によると、海女たちの3分の1は輪島市外で避難生活を送っていて、この日のために各地から輪島に入った。7月はアワビやサザエの解禁でもあるのだが、海底の地形の変化などで素潜り漁の見通しは立っていないという。

  冒頭で述べたように、海女たちは魚介類や海藻を専門とするプロの漁業者だ。アワビやサザエのほか25種類も採取している。アワビは貝殻つきで浜値で1㌔1万円ほどする。よく働き、よく稼ぐ。新聞記者時代に取材に訪れたとき、海女さんたちから「亭主の一人や二人養えんようでは一人前の海女ではない」という言葉を何度か聞いた。自活する気概のある女性たちの自信にあふれた言葉だった。「輪島の海女漁の技術」は国の重要無形民俗文化財に指定されている(2018年)。

  地震で海底の地形が一変しているとすれば、今後は魚介類や海藻が繁殖する場所探しが肝心だ。きょうは試験操業の意味合いがある。海底隆起が海の生態にどのような影響を与えているのか。海の経験知が高い輪島の海女漁はそのような意味からも注目されるのではないだろうか。

⇒12日(金)夜・金沢の天気   くもり

☆パリ五輪に漂う濃い霧 ロシア選手の参加めぐり

☆パリ五輪に漂う濃い霧 ロシア選手の参加めぐり

    ロシアのウクライナ侵攻は来年のパリオリンピックをも揺るがし始めた。ロイタ-通信Web版日本語(11日付)によると、アメリカ、ドイツ、オーストラリアなど35ヵ国が、2024年のパリ五輪にロシアとベラルーシの選手を出場禁止とするよう要請していることが分かった。

   35ヵ国の担当閣僚によるオンライン会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加し、ロシアの攻撃によりウクライナの選手やコーチら228人が死亡したと指摘し「テロとオリンピック精神は相反するものであり、両立はできない」と述べた。ウクライナはこれまでロシアやベラルーシの選手がパリ五輪に出場した場合、大会をボイコットすると警告している。   

   同じく会議に参加したイギリスのフレイザー・スポーツ大臣は、ツイッターに「プーチン大統領が野蛮な戦争を続ける限り、ロシアとベラルーシを五輪に参加させてはならないとのイギリスの立場を明確にした」と投稿した。また、北欧諸国の五輪委員会は7日、IOCに書簡を送り、ウクライナ侵攻を続けるロシアと隣国ベラルーシの選手の国際大会出場に反対する姿勢を改めて表明している。

   IOCはウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアとベラルーシの選手について、去年2月、両国の選手や役員を国際大会に招待したり、参加を許可したりしないよう、大会主催者などに勧告していた。今年1月25日の理事会で声明を発表し、「オリンピック憲章ではいかなるアスリートも差別なく扱われる権利を有する。パスポートを理由に競技に参加することが妨げられてはならない」などとして、「自国を代表しない”中立”の立場」「ウクライナでの戦争を積極的に支持していないこと」を条件に選手の復帰を検討することを明らかにしている(1月26日付・NHKニュースWeb版)。

  IOCとすれば、オリンピックとスポーツの政治化に反対するという立場を堅持したいのだろう。一方でロシアのウクラナ侵攻によって、ウクライナの選手やコーチら228人が死亡したことが事実アであれば、スポーツの世界でもロシアは国際社会を敵に回していることに等しい。今後、IOCに対する不信感が強まれば、パリ五輪は濃い霧の中に包まれる。

(※写真は2021年8月8日の東京オリンピック閉会式で映し出された2024年のパリ五輪の映像=NHKテレビ)

⇒12日(日)夜・金沢の天気    くもり

☆「壺中の政治家」「ドツボのロケットマン」

☆「壺中の政治家」「ドツボのロケットマン」

   二十四節季でいう寒露のころ。秋も深まり、床の間の掛け物を替えた。「壺中日月長」(こちゅうじつげつながし)。禅語で、壺の中という別世界で、時間に追われることなく悠々と人生を送る、悟りの境地と解釈している。掛け軸を眺めていて、ふと、ニュースの中で壺中の境地にいる人々の姿が浮かんできた。

   河野太郎デジタル大臣は記者会見(13日)で、2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えると発表した。また、24年度末としているマイナンバーカードと運転免許証の一体化時期の前倒しを検討することも明らかにした(13日付・毎日新聞Web版)。ことし8月10日の改造内閣でデジタル大臣に就任、河野氏らしい「突破力」を見せたようだ。

   河野氏の突破力でイメージするのは、防衛大臣だった2020年6月、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を撤回するとの唐突な表明だ。ミサイルのブースターと呼ばれる推進補助装置を基地内で落下させる想定だったが、基地の外に落下する可能性もあり、設備に大幅な改修と追加コストが必須となることから撤回に踏み切った。防衛大臣らしからぬ発言のように思えたが、基地周辺住民の将来不安を想定しての「突破発言」だった。他の政治家とは別の価値観を有する「壺中の政治家」ではある。

   この人の場合は、「ドツボにはまる」という表現がふさわしいのかもしれない。金正恩総書記。北朝鮮は14日午前1時47分、平壌近郊から、1発の弾道ミサイルを東方向の日本海に向けて発射した。最高高度は約50㌔で、650㌔程度飛翔し、日本のEEZ外に落下した。弾道ミサイルは変則軌道で飛翔した可能性がある(防衛省公式サイト)。弾道ミサイルの発射はことしに入って24回だ。9月25日以降は頻発していて8回(13発)になる。北朝鮮の労働新聞Web版(11日付)は、これまでの弾道ミサイルの発射について、「金総書記は人民軍の戦術核作戦部隊の軍事訓練を指揮した」との見出しで特集を組み、戦術核の搭載を想定したミサイルの発射であることを示唆した。

   2017年9月の国連総会で、当時のアメリカ大統領のトランプ氏が「ロケットマンが自殺行為の任務を進めている」と演説したが、まさにドツボにはまり込んでいる。

⇒15日(土)午前・金沢の天気   くもり時々はれ

☆物価高や旧統一教会問題 ズルズル下がる内閣支持率

☆物価高や旧統一教会問題 ズルズル下がる内閣支持率

   内閣支持率が急落している。共同通信社の世論調査(10月8、9日)を各紙が伝えている。それによると、岸田内閣を「支持する」は35%で、前回調査(9月17、18日)の40%を5ポイントも下回っている。「支持しない」は48%で、前回より2ポイント高まった。(※小数点以下は四捨五入)

   支持する理由については「ほかに適当な人がいない」が49%、また、不支持の理由は「経済政策に期待が持てない」36%とそれぞれ突出している。とくに、経済政策については前回より9ポイント増えている。この背景にあるのが物価高のようだ。値上げによる生活への打撃についての問いでは、「非常に打撃」19%、「ある程度打撃」60%で、8割が「打撃」と答えている。

   自身が注目したのは、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射に関連する質問だった。問いでは「政府は、外国からミサイル攻撃を受ける前に、相手国のミサイル発射基地などを攻撃する『敵基地攻撃能力』の保持を検討しています」との説明で、賛否を尋ねている。「賛成」が54%、「反対」が38%となっている。弾道ミサイル発射は9月25日以降7回目、そして、調査期間中のきのう9日未明にSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの発射があり、急激高まった世論の危機意識のあらわれとも言える。

   関連して、「日本の防衛費をどうするべきか」との問いでは、「大幅に増やす」11%、「ある程度増やす」45%、6割近くが増額と答えている。「今のままでいい」は31%、「ある程度減らすべき」7%、「大幅に減らすべき」3%と4割が現状ないし減額と答えている。これは、防衛費より物価高対策にお金を回せとの民意のようにも読める。

   安倍元総理の国葬(9月27日)についての問い。「全額を国費で負担しました。あなたは安倍氏の国葬実施を評価しますか」では、「評価しない」39%、「どちらかといえば評価しない」23%、と評価しないが6割を占めている。一方、「評価する」13%、「どちらかといえば評価する」26%だった。積極的な意見だけを取り上げれば、「評価しない」が「評価する」の3倍となる。

   連日のようにメディア各社が、政治家と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の関係を取り上げている。「自民党は旧統一教会と党所属の国会議員との関係を調査し公表しました。あなたは、自民党の対応が十分だと思いますか」との問いでは、「十分ではない」が83%で、前回調査の80%よりさらに増えている。また、「細田衆院議長は、旧統一教会側との関係を自民党調査の発表後に相次いで公表しました。あなたは、細田氏の説明は十分だと思いますか」の問いでは、「十分ではない」が87%だった。旧統一教会に対する厳しい世論の風当たりが政治に向かって吹き続けている。

   共同通信の前々回調査(8月10、11日)では54%あった内閣支持が今回と比べると19ポイントも落ちている。物価高や旧統一教会問題に対して有効な手が打てず、現状の「ズルズル内閣」では、次回は20%台ではないかと憶測してしまう。

⇒10日(月・祝)午後・金沢の天気    あめ 

★国葬のようで国葬でない、「国葬儀」とは何だ

★国葬のようで国葬でない、「国葬儀」とは何だ

   安倍元総理の国葬をめぐって、きょう午後1時から国会で開かれた「閉会中審査」をNHK総合で視聴していた=写真=。閉会中審査は、国会が閉会中に衆院や参院が必要と認めた案件について審議すること。今回は衆参の議院運営委員会の場で行われた。視聴していて、岸田総理の答弁のキーワードは2つあったと感じた。それは、「国葬儀」と「弔問外交」ではなかったか。

   野党側の質問のポイントは国葬の法的根拠に集中していた。これに対して岸田総理が繰り返し使っていた言葉が「国葬儀」だった。内閣府設置法という法律の枠組みの中で「国の儀式」が出来るので、安倍元総理の追悼式をその一つとして行うと述べていた。端的に言えば、「国葬」ではなく、「国葬儀」なのだ、と。

   かつて戦前に行われていた国葬とは違い、国葬儀は国民の権利、例えば思想・信条の自由や信教の自由などを制限するようなことはいっさいしないセレモニーとする。具体的には、この日(9月27日)は休日にはしない、半旗を掲げるなど弔意を国民に求め強要するようなことはしない、という。単に内閣が仕切る国の儀式であると強調していた。

            その「国葬儀」を営むメリットとして、岸田総理が繰り返し述べていたのが「弔問外交」だった。弔問外交は国と国との関係づくりに役立つと述ていいた。確かに、アメリカからハリス副大統領が来て弔問外交が始まれば、テレビメディアの報道もガラリと雰囲気が変わるかもしれない。安倍元総理と27回も会談したロシアのプーチン大統領は参列しないと伝えられているが、中国や韓国からはどのようなレベルの人物が訪れるのか。韓国は首相が参列する見通しと伝えられているが、戦時中の元徴用工をめぐる問題に進展はもたらされるのか。 

   自民の茂木幹事長はきょう夜、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)との関係をめぐり、所属する国会議員全体の半数近くにあたる179人が何らかの接点があったことを明らかにした。また、選挙で支援を受けるなど、一定以上の関係を認めた121人の氏名も公表した(8日付・NHKニュースWeb版)。閉会中審査と自民党関係議員の公表をセットで行ったことで、岸田内閣は国葬に向けて一連の問題のケジメをつけたと考えているのだろうか。

⇒8日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆能登の「岩のり」とユネスコ無形文化遺産のこと

☆能登の「岩のり」とユネスコ無形文化遺産のこと

   先日、能登の知人から「岩のり」が届いた。この時節に「季節のものです」と一筆添えて送られてくる。岩のりは能登の福浦海岸べりの岩場で採れた天然のノリで、送られてきたものは干したもの。さっそくうどんをつくり、岩ノリをさっとあぶって、うどんに入れる。磯の香りが広がり食欲がわいてくる。

   能登には海藻の食文化がある。とくにかく海藻の種類が多い。半島の尖端の珠洲市でいまでも採れている海藻は10種類ほどある。地元ではカジメと呼ぶツルアラメやモズク、ワカメ、ウスバアオノリ(あおさ)、ウップルイノリ(岩のり)、ハバノリ、アカモク(ぎばさ)、ウミゾウメン、マクサ(てんぐさ)、ホンダワラなど。海藻ごとにそれぞれ料理がある。

   能登で精進料理(お講料理)としてよく出されるのが「カジメの煮物」だ。冬場に海がシケると、翌日は海岸に打ち上げられる。これを刻んで乾燥させる。油揚げと炊き合わせる。それぞれ家庭の味があり、能登で代表的なゴッツオ(ごちそう)でもある。また、生のカジメを刻んで味噌汁や納豆汁に入れて食する。ねばねば感と独特の風味がある。カジメはヨード分が多く滋養豊富なことから、「海の野菜」と言われ、血圧の高い人や冷え性の人に重宝がられてきた。能登では古くから産後のうるち(古血)おろしにカジメを食べるという風習もあった。

   能登では夏には貝類を、冬には海藻類を多く採っている。また、こうした海産物を加工保存することにより、年間を通して海の恵みにあずかる。塩漬け、乾燥、粕漬け、味噌漬け、発酵などにより食材を保存し、素材に応じて様々な料理の工夫を凝らしている。まさに、食文化がここにある。

   2013年12月にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に「和食:日本人の伝統的な食文化」が登録されている。自然を尊び活かした食文化が国際評価を受けている。ただ、「和食文化」は分かりにくい。能登の海の恵みを活かした食文化をアピールしてはどうかと思ったりもする。能登では田の神をもてなす農耕儀礼「あえのこと」が2009年9月にユネスコ無形文化遺産に登録されていて、相乗効果も生まれるのではないだろうか。いただいた岩のりからふと浮かんだ思いつきではある。

⇒18日(金)午前・金沢の天気    あめ時々あられ    

☆「ブログ開設6000日」の夢

☆「ブログ開設6000日」の夢

   きょうログインすると「ブログ開設から6000日」の表示が出ている。アップした本数は2143になる。初めてのブログは2005年4月28日。タイトル「★50歳エイ・ヤッと出直し」がスタートだった。その年の1月に民放テレビ局を辞して、4月から金沢大学の「地域連携コーディネーター」という仕事に就いた。まったくの異業種、エイ・ヤッだった。そのよう気持ちでブログを始めた。働く環境がまったく違ったので、周囲が実に新鮮に映った。身の回りでの出来事や動き、目にしたこと、聞いたことを自分なりに解説してコラム風な論調で発信してきた。「マイメディア」を得た感覚だった。

   ブログを書く際には手元に新聞用字用語集『記者ハンドブック』(共同通信社)を置いている=写真=。マイメディアとはいえ、誤字や脱字、そして表現方法には気を遣う。たとえば、このブログでは「眞子さま」と表現し、「眞子様」とはしない。ハンドブックの皇室用語のマニュアルに沿ったものだ。「皇后や皇太子など皇族は『さま』を使う。夫婦や家族単位で主語になる際は敬称を省いて『ご夫妻』『ご一家』などとする」と。このハンドブックを始めて手にしたのは新聞記者になった1978年4月だった。それからずっと新版を取り寄せながら43年間使っている。

     きょう10月1日はもう一つ思い出に刻んでいる。かつて務めていた金沢の民放テレビ局、北陸朝日放送が開局したのが1991年10月1日、きょうで開局30周年となる。開局と同時に新聞記者からテレビ報道のデスクに転職し、映像の世界を知った。朝日系は高校野球の中継番組が売りの一つで、甲子園伝説をつくった当時星稜高校の松井秀喜選手のことは印象深く記憶に残っている。1992年8月16日、2回戦の明徳義塾高(高知)戦で明徳側のピッチャーが4番打者の松井を5打席連続で敬遠した。実況アナの「勝負はしません」の声はいまでも耳に残る。

   視聴者の共感や感動を得る表現方法とは何か。テレビを通じて「マスメディア」の映像表現というものを学んだ。このテレビ的なモノの見方や文字表現はその後のブログに役立った。新聞記者だったら、おそらくブログを始めることはなかったろう。

   ブログを毎日書いてきたわけではない。冒頭で述べたようにアップしたのは2143本。どちらかといえばゆっくりペースだ。日々のニュースや身の回りの出来事に目を向け、「これはブログのネタになるかもしれない」などと常に思いを巡らしている。では、「ブログ開設から10000日」まで果たして続けられるか。年齢でいえば78歳。問題は記憶と感性を維持し続けることができるかどうかだ。

   新境地はAIの活用だと考えている。自身のデータ(日記、検診や診療記録など)、講演や講義の原稿、著作物、撮った写真、読んだ本のリスト、名刺、これまでのブログなどをすべてAIに読み込ませ、私の思考や感情、心理と論理、知識、対人関係を身に着けた「分身」になってもらい、ブログを日々書かせる。ただし、テ-マ設定は自身が決め、AIに1000字程度で書かせる。自身の記憶から失せたデータや経験知をAIによみがえらせて文章化させ、それを手直して完成する。「ブログ開設から6000日」の夢物語ではある。

⇒1日(金)午前・金沢の天気     あめ時々くもり

☆ブログ「5555日」 近未来への追記

☆ブログ「5555日」 近未来への追記

   昨夜、ブログをアップロードしてから気がついた。編集画面の左上にさりげなくブログ開設からの経過日数が表示されている。よく見ると、なんと「5555日」、ぞろ目の記念日だった。2005年4月28日付でこのブログをスタートさせたので、満17歳のブログではある。産声を上げたときの書き出しはこうだった。

  「ことし1月にテレビ局を退職し、4月から金沢大学の地域連携コーディネーターという仕事をしています。大学にはさまざまな知的な財産があって、それを社会に還流させていこうというのがその趣旨です。一口に知的な財産と言っても、それこそ人材や特許など有形無形の財産ですから、それを社会のニーズに役立てようとすると、そのマッチング(組み合わせ)は絡まった細い糸をほぐすような作業である場合もあります。」

   いま読み返すとなんとも緊張した書きぶりではある。ブログなので、読まれることを意識し過ぎたのかもしれない。何しろ「です」「ます」調がなんともレトロな感じがする。

   「5」のぞろ目といえば、同じ石川県出身の「55」の松井秀喜氏をテーマにこれまで21回も書かせてもらった。テレビ局時代に取材した甲子園大会での「5打席連続敬遠」(1992年)の思い出や、NYヤンキ-スの時代、そして2012年の引退のときなど、その都度取り上げている。そして「野球の天才というより、努力の天才」が 松井氏の姿ではなかったか、と述べてきた。

   このブログをテーマに、2017年12月に新書『実装的ブログ論―日常的価値観を言語化する』(幻冬舎ルネッサンス新書)を出版した。実際に見聞きしたこと、肌で感じたこと、地域での暮らしの感覚、日頃自ら学んだことというのは揺るがないものだ。それらは日常で得た自らの価値観である。その価値観を日常で刻む作業がブログだと思っている。ただ、ブログはフェイスブックやツイッター、インスタグラムなどのSNSと違って孤独な作業でもある。近未来で、この自らの価値観をAI化したいと考えている。AIにすべてのページを読み込ませ、価値観を共有するAIブログくんと対話ができれば、それはそれで新たな人生の付き合いが始まるのではないか。

           5555日目のきのう7月13日の訪問者(UU数)は640、閲覧数(PV)は1286だった。これまでにアップしたページ数は1673。「3.3日」に1回ということになる。

⇒14日(火)朝・金沢の天気     あめ