#ヒメリュウキンカ

☆春分の花ドラマ WBC大逆転劇と仰天劇ウクライナ訪問

☆春分の花ドラマ WBC大逆転劇と仰天劇ウクライナ訪問

   きょうは春分の日。太陽が真東から昇り、真西に沈み、昼と夜が同じ長さになる。そして、春の彼岸の頃でもある。先日(19日)菩提寺で涅槃会(ねはんえ)が営まれ、先祖供養の後、恒例の「だんごまき」があった。寺では新型コロナウイルス感染が始まった2020年以降は、だんごを小さな袋に入れて配っている。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、春分の日は季節の大きな変わり目でもある。

   そして、春分の大逆転劇。WBC準決勝、侍ジャパンのメキシコ戦をテレビ中継で視ていた。4回で3点先制されて「これはアカン」と体が寒くなった。5回と6回に満塁のチャンスをつくったものの得点を奪えず。7回で吉田正尚選手がスリーランホームランを放って同点に追いつき、「よっしゃ」と心で叫んで体が熱くなってきた。8回で逆転されて、また「アカン」と気落ち。9回裏で大谷翔平選手がツーベースヒットで出塁して、「よっしゃ」と再び熱く気分が盛り上がり、村上宗隆選手の2点タイムリーヒットでサヨナラ勝ち。「三寒四温」の野球ドラマだ。

   さらに、アッと驚く春分の外交劇。岸田総理のウクライナ初訪問。インドを訪れていた岸田氏は、すでにインドを離れてきょう中にキーウに到着し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行うとの政府発表をテレビのニュースが伝えている。ウクライナへの連帯と支援を直接伝え、5月のG7広島サミットの議題の布石とする予定だろう。

   きょうの金沢の天気はくもり時々はれ。自宅庭を眺めると、梅だけでなく草花も春の彩りを添えている。愛想を振りまくようにヒメリュウキンカ(姫立金花)が咲いている=写真・上=。艶のあるその黄色い花は、冬を超えて春を告げるように咲く。花言葉は「会える喜び」だとか。カンシャクヤク(寒芍薬)も赤紫や白い花を咲かせている。寒さがまだ残るこの季節、よくを花を咲かせてくれたと、いとおしくもなる。

⇒21日(火・祝)午後・金沢   くもり時々はれ

☆雑草をめぐる人々の価値観

☆雑草をめぐる人々の価値観

   冬の季節の話題としてはふさわしくはないが、趣味の一つが「草むしり」である。庭にはスギナ、ヨモギ、ヤブカラシ、ドクダミ、チドメグサなどが顔を出す。こうした雑草を無心で抜き取る。草むしりはまるで雑念を払う修行のようなものだ。きょう19日午後、石川県立自然史資料館で開催されたシンポジウム「石川県の雑草」を聴講してきた。雑草についていろいろ考えさせられた。

   昭和天皇のお言葉に「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる」という有名なフレーズがある。その雑草の定義は何だろうか。話題提供の一人、本多郁夫氏(県地域植物研究会)がこう述べていた。「雑草は許可なく生える草と定義されることがあり、迷惑な草と思われがちですが、食料になったり、薬草になるなど有用なものが多くあります」と語り、コナギ、ミズオアイ、ホテイアアオイ、スギナ、セイタカアワダチソウを題材にその有用性について説明した。植物研究者の古池博氏(同)の話は哲学的だった。人間の都合で道路雑草、農耕雑草、すき間雑草などと呼ばれ、人々の暮らし方の変化にともない、雑草と呼ばれるようになった。反対に作物として利用されていたのに雑草になったものもある。雑草は人の価値観にもとづく定義である。

   確かに雑草であるか、花であるかは人の価値観でもある。5月に花咲く、シランはラン科の多年草で紫紅色の花が目をひきつける。このころになると、茶花としてシライトウやシマススキとともに床の間に飾ったりもする=写真=。でも、切り花として出回るような植物ではない。ヒメリュウキンカ(キンポウゲ科)は園芸用として国内に持ち込まれた外来種といわれる。春に黄色い花をつけ、そのあざやかさは50年ほど前まで金沢ではこの時節のあこがれの花だったと説明されていた。湿潤な土地を好み、繁殖力が強いのが特徴で金沢城公園の二の丸広場では駆除作業も行われているとのこと。あこがれの花が雑草化した事例ではある。

   マメ科のクズは「秋の七草」の一つ。なじみのある植物だが、樹木をすっぽり覆うほどのたくましさに驚かされることもある。当初、土砂崩れ防止の目的でアメリカに渡ったクズは、いまでは「モンスターKudzu(カズ)」と増えすぎが現地でも嫌がれているという。前述の古池氏は雑草の定義をこう述べていた。「人類とともに進化してきた植物のうち、人の統制・管理に従順には従わない一群」と。言い得て妙。まさにモンスター植物だ。

⇒19日(日)夜・金沢の天気      はれ

★「外来種」ヒメリュウキンカを生ける

★「外来種」ヒメリュウキンカを生ける

   春分のこの時節、金沢でもウグイスの鳴き声を聞く。庭にはウメやツバキが、地面にはヒメリュウキンカの黄色い花が咲いている。床の間に季節の花を活けてみる=写真=。ヒメリュウキンカの花は小ぶりなので主役ではないが、愛くるし眼差しのようで目を引く。

   これまで意識はしていなかったが、ヒメリュウキンカはヨーロッパが原産のいわゆる外来種のようだ(3月21日付・北陸中日新聞)。日本の固有種を駆逐するような特定外来生物などには指定されていない。1950年代ごろに園芸用として国内に入り、金沢市内でも一時、流行したという。葉の形が似たリュウキンカから名前が取られたが、属は異なる。英語名のセランダインとも呼ばれる(同)。

 
   外来種といえば、このブログでも何度か取り上げたタカサゴユリもそうだ。旧盆が過ぎるころ、花の少ない季節に咲く。「高砂百合」の名前の通り、日本による台湾の統治時代の1924年ごろに園芸用として待ちこまれたようだ(ウィキペディア)。当時は外来種という概念もなく、花の少ない季節に咲くユリの花ということで日本で受け入れられたのではないだろうか。匂いもなく、同じころに咲くアカジクミズヒキやキンミズヒキといった花と色合いもよく、床の間に飾られてきたのだろう。
 
   ヒメリュウキンカにしても、タカサゴユリにしても外来種だからといって、自身はほかの在来種と分け隔てしているわけではない。ただ、両方とも繁殖が旺盛なため、増えすぎると根ごと除去することにしている。そして、庭を眺めて植物の生存戦略というものに感じ入ったりする。タカサゴユリは同じ場所に何年も生育すると、土壌に球根を弱める特定のバクテリア(病原菌)が繁殖して枯死してしまう。連作障害だ。そのため、タカサゴユリは種子を風に乗せて周辺の土地にばらまいて新たな生育地に移動する。「旅するユリ」とも称される。

   ブログでこのようなことを書くと、知り合いの植物学者からは、「外来種を床の間に生けるなんて、そんなのんきなことをやっているから在来種が駆逐されるんだ」と言われそうだが。

⇒21日(日)夜・金沢の天気      くもり