#パリオリンピック

★アメリカ発祥のブレイキン ロス五輪でなぜ競技から外すのか

★アメリカ発祥のブレイキン ロス五輪でなぜ競技から外すのか

  ストリートダンスがオリンピック競技になっているとはきょうようやく知った。メディア各社の報道によると、パリオリンピックで唯一の新競技「ブレイキン」の女子決勝が9日、コンコルド広場で行われ、日本の湯浅亜美選手がリトアニアの選手を破り、栄えある初代金メダリストに輝いた。

  そこでブレイキンについてネットで調べてみる。自由度の高いダンスパフォーマンスを特徴としている。ダンスに合わせる音楽は、選手たちに事前に知らされていない。DJがその場で選択した音楽に選手たちが即興で得意とするムーブで踊っていく競技。初めて知った。ブレイキンはアメリカのニューヨークが発祥の地でもあるものの、2028年のロサンゼルスオリンピックでは競技から外されている。なぜか。さらに調べてみる。

  ブレイキンは、別名「ブレイクダンス」として知られ、1970年代のニューヨーク市のブロンクス地区で始まった。当時は「ヒップポップ(hip hop)」と呼ばれ、黒人の若者たちが音楽やダンス、ファッションを通じて発した白人社会への抵抗の文化だった。(※写真は、パリ五輪で日本人選手の金メダル獲得を報じる10日付の夕刊各紙)

  一方で、ブロンクスはマファイの抗争の地でもあった。ロバート・デ・ニーロ監督の映画『ブロンクス物語』(1993年制作)はマフィアのボスと一人の少年の物語として知られる。ブロンクスはニューヨークヤンキースの本拠地であるスタジアムがある場所としても知られるが、ギャングの抗争など治安の悪さはいまも続いている。

  本来ならば、ヒップホップ文化で生まれた競技スポーツがパリオリンピックの競技に選定されれば、それはそれでアメリカとしては栄誉なことではないだろうかと単純に考える。ところが、ロス五輪大会組織委員会は去年10月の段階で、ブレイキンを追加競技候補から外す決定を下している。ブレイキンを競技スポーツと扱うことにアメリカ国内では違和感を持つ人が多いということだろうか。アメリカ社会の複雑な断面をあらためて知った思いだった。

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☆パリ五輪に漂う濃い霧 ロシア選手の参加めぐり

☆パリ五輪に漂う濃い霧 ロシア選手の参加めぐり

    ロシアのウクライナ侵攻は来年のパリオリンピックをも揺るがし始めた。ロイタ-通信Web版日本語(11日付)によると、アメリカ、ドイツ、オーストラリアなど35ヵ国が、2024年のパリ五輪にロシアとベラルーシの選手を出場禁止とするよう要請していることが分かった。

   35ヵ国の担当閣僚によるオンライン会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加し、ロシアの攻撃によりウクライナの選手やコーチら228人が死亡したと指摘し「テロとオリンピック精神は相反するものであり、両立はできない」と述べた。ウクライナはこれまでロシアやベラルーシの選手がパリ五輪に出場した場合、大会をボイコットすると警告している。   

   同じく会議に参加したイギリスのフレイザー・スポーツ大臣は、ツイッターに「プーチン大統領が野蛮な戦争を続ける限り、ロシアとベラルーシを五輪に参加させてはならないとのイギリスの立場を明確にした」と投稿した。また、北欧諸国の五輪委員会は7日、IOCに書簡を送り、ウクライナ侵攻を続けるロシアと隣国ベラルーシの選手の国際大会出場に反対する姿勢を改めて表明している。

   IOCはウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアとベラルーシの選手について、去年2月、両国の選手や役員を国際大会に招待したり、参加を許可したりしないよう、大会主催者などに勧告していた。今年1月25日の理事会で声明を発表し、「オリンピック憲章ではいかなるアスリートも差別なく扱われる権利を有する。パスポートを理由に競技に参加することが妨げられてはならない」などとして、「自国を代表しない”中立”の立場」「ウクライナでの戦争を積極的に支持していないこと」を条件に選手の復帰を検討することを明らかにしている(1月26日付・NHKニュースWeb版)。

  IOCとすれば、オリンピックとスポーツの政治化に反対するという立場を堅持したいのだろう。一方でロシアのウクラナ侵攻によって、ウクライナの選手やコーチら228人が死亡したことが事実アであれば、スポーツの世界でもロシアは国際社会を敵に回していることに等しい。今後、IOCに対する不信感が強まれば、パリ五輪は濃い霧の中に包まれる。

(※写真は2021年8月8日の東京オリンピック閉会式で映し出された2024年のパリ五輪の映像=NHKテレビ)

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