#ニューノーマル

★「マスクを外す」猛暑日の新ニューノーマル

★「マスクを外す」猛暑日の新ニューノーマル

   きのう石川県内は強烈な暑さに見舞われた。最高気温が小松市で38.3度、金沢市で36.6度、七尾市で36.1度と加賀・金沢・能登、県全体が「猛暑日」となり、隣県の富山や岐阜でも38度を記録した(8月10日付・NHKニュースWeb版)。きのう午後、所用でマスクをして繁華街を歩いたが、息苦しさからマスクを外さざるをえなかった。新型コロナウイルス感染もさることながら、熱中症も怖くなった。

   コロナ感染も猛威をふるっている。石川県で10日、新たに12人の感染が確認されたとローカルニュースが伝えている。3日連続で二桁の感染者数だ。感染者はこれまで376人に上り、亡くなった方も28人になる。石川や日本だけでなく、世界でウイルス感染が拡大傾向にあり、ジョンズ・ホプキンズ大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)をチェックすると、世界全体で感染者1980万人と2千万人に迫り、死亡者は73万人に。

   これに追い打ちをかけているのが世界的な猛暑ではないだろうか。世界の人口の約30%が死者を伴うような猛暑に年間20日以上さらされており、温室効果ガスの排出量を削減できなければ、こうした猛暑のリスクが大きく高まるという研究報告もある(Nature Climate Change公式ホームページ)。コロナ感染に猛暑が加わり、人類は大きな危機に直面しているのではないかと考え込んでしまう。

   これまでのコロナ感染予防のための「新しい生活様式(ニューノーマル)に熱中症予防が加わって、さらなるライフスタイルが求められている。厚生労働省と環境省が最近つくったポスターは「マスクをはずしましょう」だ=写真・上=。マスクを着けたままだと、自らがはいた熱い息を吸うことで、熱中症のリスクが高まる、というのだ。そこで、人と人の間で2㍍以上の十分な距離がとれるのであれば、「マスクをはずしましょう」となる。さらに、家庭用エアコンは換気の機能がないため、コロナ対策としてこまめに換気をする。これが夏場の「新ニューノーマル」になっている。

   熱中症予防と言えば、最近新しい用語が生まれた。「熱中症警戒アラート」=写真・下=。気象庁と環境省が共同でつくった指標だ。温度のほかに湿度や日射などを入れ込んだデータで、「熱中症警戒アラート」アプリを入れるとスマホなどにアラートが出る。ただ、試行段階なので関東甲信地方が対象地域にとどまっている。

   きょう11日も午後にかけて猛暑日になる所が増えると予想され、気象庁は全国の大半の地域に高温注意情報を出している。関東と山梨県には熱中症警戒アラートがすでに出された(8月11日付・時事通信Web版)。きょうもまた寝苦しい夜となりそうだ。アエコンを27度に設定して寝るとなんとかこの暑さから解放される。そんな日々が続いている。

⇒11日(火)朝・金沢の天気    はれ

☆されど墓参り

☆されど墓参り

          政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長がきのう夕方、臨時の記者会見で、政府として盆帰省に関する提言を出すべきと述べた。「盆と正月にはふるさとに帰る」とよく言う。ファミリーの絆(きずな)を確かめ合う場であり、とくに盆の墓参りは肉親を亡くして初盆を迎えるなど個々人によって意味合いがまったく異なる。それを政府に対して自粛や「オンライン帰省」を求めるというのは、こればかりは「おせっかい」の領域ではないだろうか。それぞれが考えて行動すればよいだけの話だ。 

   もし実家に祖父や祖母といった高齢者がいれば、接する機会を少なくし、飲酒・飲食の機会もなるべく避けた方がいい。基本的な感染防止策(手指の消毒やマスク着用、換気など)で気をつけることは、国から言われるまでもなく、すでにニューノーマルだ。

   そもそも盆帰省に国が関与する権限はない。墓参りをして先祖に感謝し自らの心の安寧を得るのは、憲法が保障する基本的人権の一つ、幸福追求権(第13条)ではないだろうか。国がとやかく言うレベルのものではない、と考える。

   盆の帰省について、西村経済再生担当大臣はきのう4日の記者会見で、政府として一律に控えることまでは求めない考えを重ねて示したうえで、帰省先で重症化するリスクの高い高齢者に感染を広げないよう感染防止策の徹底を呼びかけた(8月4日付・NHKニュースWeb版)。また、大臣は帰省について「県をまたぐ移動については、国として『一律に控えてください』とは言ってはいない」と述べた(同)。その通りだ。盆帰省と旅行は趣が異なる。墓参りは個々人にとって年に1度の格式ある行事なのだ。

   個人的には墓参りで帰省したいと思っている。その場合、墓参をし、実家にあいさつし、「このご時世ですので」と飲食などを避け金沢に戻る。それでよいと思っている。

   ところで、知人から聞いた話だが、「ゴーグル墓参り」という有料サービスを石材店が実施しているという。ネットで検索すると、このサービスを行っているのは一般社団法人「全国優良石材店の会」で、依頼を受けた地域の加盟店のスタッフが墓参りを代行し、周囲360度を撮影したデータを依頼者に送る。依頼者はその動画データをスマホに入れ、VRゴーグルに接続して見る。墓参りを自宅で疑似体験することになる。

   体が不自由なシニアにとってはこのようなゴーグル墓参りであっても、墓参りをすることで安堵を得るだろう。墓参りも時代とともに変化する。たかが墓参り、されど墓参りではある。

⇒6日(木)朝・金沢の天気     はれ

★「世は常ならず」 ニューノーマルな日々

★「世は常ならず」 ニューノーマルな日々

   きのう高校時代からの友人と3人でランチを楽しむために金沢のステーキ店に入った。それぞれがステーキとサラダバーを注文した。さっそく、サラダを取りに行く。バイキング形式で色とりどりのサラダが並んでいて、好きなものを取って自らの皿に盛る。友人の一人がつぶやいた。「これでコロナ対策は大丈夫なのか」と。野菜をつまむトングは盛り皿ごとにそれぞれついているが、つまむ客が10人いれば10人が同じトングを使うことになる。友人の指摘は同じトングを使い回すサラダバーは、ウィズコロナのこのご時世に不適切という見方だ。確かに、箸のように1人で一つのトングを使う形式が時代のニーズだ。

   新型コロナウイルスの感染拡大で「ニューノーマル(new normal)」という言葉が広がった。新たな常識、という意味で解釈している。ウィズコロナの時代を生き抜く知恵としてのニューノーマルだ。身近な事例を拾ってみる。

   やはり、筆頭は「ソーシャルディスタンス(social distance)」だろう。人と人の距離を置く。スーパーマーケットのジレでは買い物客がさりげなく距離を空けて列をつくっている。レジで精算するときに買い物カゴとマイバッグをいっしょに出すと、以前は店員が商品をダイレクトにバッグに入れてくれたが、今はそれがない。買ったものは自らがマイバッグに入れる。これは客と店員のソーシャルディスタンスではある。

   「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉が金沢にあるが、このご時世は「弁当忘れてもマスク忘れるな」である。外出するときにマスクは必携だ。マスクをしていないと常識や人格までもが疑われる。さらに、マスクをしていても咳やくしゃみの音に周囲が過剰反応する。先日訪れたあるオフィスでマスクを着けていたものの、むせて2度咳をした。すると、「保健所にはやく行ってよ」と言わんばかりのきつい目線を浴びた。

   マスクのニューノーマールで言えば、使い捨てから洗濯で再利用が当たり前になった=写真=。マスクの色も黒や花柄など実にバリエーションに富んでいる。マスクに人の個性が表れている。人とマスクとの長い付き合いが始まったのだろう。

   最近では聞かれなくなったが、外出を控える社会現象を「巣ごもり」という言葉でたとえた。このブログで「巣ごもり」の言葉を使ったのが3月20日だった。ちなみに、アメリカでは「シャットイン(shut in)」と言うそうだ。この巣ごもりがその後、「テレワーク(telework )」や「リモートワーク(remote work)」という在宅勤務へと大きく展開した。安倍政権が「働き方改革」を声高に唱えても定着しなかったが、コロナ禍で一気にニューノーマル化した。自らもリモートワークで、会議はオンラインだ。たまに職場に行くとリフレッシュした気分になる。オンライン飲み会も結構楽しい。

   病院でのニューノーマルもある。4月22日に金沢市内の病院で検査で胃カメラ(内視鏡)を入れた。えずき(嘔吐反射)がつらいので、これまでは口からではなく鼻から入れてもらっていた。ところが、病院側では鼻から内視鏡を出し入れすると検査室にウイルスが飛び散る危険性があるということで、現在は口からでしか入れていない、と説得された。受け入れざるをえなかった。鎮静薬を注射して口から入れた。つらさはまったくなかった。

   病院でのニューノーマルをもう一つ。待合室はいつも混雑していたが、予約待ちの人たちだけなのだろう、コロナ以前に比べ人の入りが少ない。他の病院でも同じだ。「病院は3密、ちょっとしたことで病院にかからない」という社会風潮かもしれない。病院の経営にとってはマイナスだろう。逆にドラッグストアが混雑している。金沢市内でもこのところ新しいドラッグストアチェ-ンの店が次々と開店している。

   身近な事例でも、この社会的な常識の変化は著しい。「世は常ならず」。人の世には何が起こるか分からない。せめて、悔いのない毎日を送ろう。60歳も後半に入った友人たちとのランチもそんな会話でお開きとなった。

⇒17日(金)午前・金沢の天気   はれ