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★コロナ禍が揺さぶる内閣支持率、そして政局

★コロナ禍が揺さぶる内閣支持率、そして政局

   昨年9月16日に発足した菅内閣。メディア各社の世論調査では内閣支持率は高かった。毎日新聞の調査では、内閣支持率が64%で、不支持率は27%を大幅に上回っていた(2020年9月18日付・毎日新聞Web版)。 朝日新聞社の調査は内閣支持率が65%で、不支持率は13%だった(同9月17日付・朝日新聞Web版)。共同通信の調査でも支持率66.4%、不支持率16.2%だった(同9月17日付・共同通信Web版)。高支持率の背景には、携帯電話料金の値下げや縦割り行政の打破、デジタル庁発足への布石、ハンコ行政の廃止など、新型コロナウイルスでよどんでいた世間の空気を換えてくれそうな期待感があった。

   その内閣支持率が急落している。読売新聞の最新の世論調査(今月15-17日)が先ほどネットに上がった。菅内閣の支持率は39%、不支持率は49%となり、初めて不支持が支持を逆転した。支持率の下落は3回連続。政府の新型コロナウイルス対策への強い不満が表れたとみられる(1月18日付・読売新聞Web版)。支持率は、前回調査(2020年12月26、27日)の45%から6ポイント下がり、内閣発足以降で最も低い。不支持率は前回の43%から6ポイント上がった。朝日新聞の調査でも菅内閣の支持率39%(不支持35%)に下がっている(2020年12月21日付・朝日新聞WEB版)。

   世論調査は上がり下がりするものだが、このまま右肩下がりが続くのか、V字回復があるのか。なんと言っても、内閣の支持率を左右するのはコロナ禍への対応だろう。右肩下がりが続くとすれば、観光支援策「GoToトラベル」を全国で一時停止する判断の遅れ、さらにコロナ禍にともなう景気と雇用の対策など政策決定の遅れで、支持率低下は加速するだろう。逆に、V字回復で支持率を上げるとすれば、ワクチン接種による集団免疫の獲得でなないか。すでに、厚労省は全国約1万ヵ所の「接種施設」で、2月下旬から始める方針と報道されている(1月16日付・読売新聞Web版)。その後、7月23日の開会式で東京オリンピックが無事スタートできれば、菅内閣はよく難局を乗り切ったと評価されるだろう。

   ただ、現実は甘くない。日本は乗り超えたとしても、世界は混沌としている。オリンピックが開催できなくなれば、一気に政局は揺らぐ可能性もある。メディア業界でよくささやかれるのは、内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」と。第一次安倍改造内閣の退陣(2007年9月)の直前の読売新聞の内閣支持率は29%(2007年9月調査)だった。その後の福田内閣は28%(2008年9月退陣)、麻生内閣は18%(2009年9月退陣)と、自民党内閣は支持率が20%台以下に落ち込んだときが身の引きどきだった。民主党政権が安倍内閣にバトンタッチした2012年12月の野田内閣の支持率は19%だった(数字はいずれも読売新聞の世論調査)。

   総理は元旦の年頭所感でこう述べている。「我が国は、多国間主義を重視しながら、『団結した世界』の実現を目指し、ポストコロナの秩序づくりを主導してまいります。そして、今年の夏、世界の団結の象徴となる東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催いたします。安全・安心な大会を実現すべく、しっかりと準備を進めてまいります」(総理官邸公式ホームページ)。ぜひ、団結した世界を実現してほしい。

⇒18日(月)朝・金沢の天気   ゆき

☆コロナ禍 1億人の感染・200万人の死

☆コロナ禍 1億人の感染・200万人の死

   時折チェックしているジョンズ・ホプキンス大学のコロナダッシュボ-ドによると、新型コロナウイルスの感染者は世界全体で累計9449万人、死者は同202万人となっている(日本時間で7日午後4時現在)=写真=。この勢いだと今月中には感染者は1億人を突破するだろう。このとき、世界の論調はどう動くのか。

   国別ではアメリカの死者が累計39万人超で最多だ。アメリカに次いでブラジル、インド、メキシコ、イギリスとなっている。この5ヵ国を合わせた死者数は世界全体のほぼ50%を占める。こうした数字からもアメリカは中国に対して厳しい論調を突き付けている。

   新型コロナウイルスの発生源などについて調べるWHOの調査チームが14日に中国・武漢に入ってのに合わせて、アメリカのポンペイオ国務長官は、中国科学院武漢ウイルス研究所に関する「新たな情報」として声明を発表した(1月16日付・NHKニュースWeb版)。ポンペイオ氏は「アメリカ政府には、感染拡大が確認される前のおととし秋、研究所の複数の研究員が新型コロナウイルス感染症やほかの季節性の病気とよく似た症状になったと信じるに足る理由がある」と主張。加えて、「研究所は新型コロナウイルスに最も近いコウモリのコロナウイルスを遅くとも2016年から研究していた」「中国軍のための極秘の研究に関わっていた」と発表している(同)。

   ポンペイオ氏の言及の背景には裏付けがあると憶測する。アメリカのハーバード大学教授が中国政府からの学術・研究協力の名目で多額の研究資金などを受け取っていたことを報告していなかったとして、アメリカ司法省は2020年1月下旬、教授を「重大な虚偽、架空請求、詐欺」の容疑で訴追(逮捕は2019年12月10日、その後、21種類の生物学的研究を中国に密輸しようとした罪で起訴)している。教授はハーバード大学化学・化学生物学部のチャールズ・リーバー氏で、ナノサイエンス・ナノテクノロジーの分野で世界最先端の研究を行っている化学者。リーバー氏は中国の武漢理工大学の「戦略科学者」として2011-16年までの雇用契約を結んでいた(2020年2月6日付・ニューヨーク・タイムズWeb版記事「China’s Lavish Funds Lured U.S. Scientists. What Did It Get in Return?」)。   

   リーバー教授は「武漢理工大・ハーバード大共同ナノテクノロジー研究所」を設立。教授がアメリカ国防総省と国立衛生研究所から研究資金を受け取っていたころ、武漢理工大学に出向いていた。アメリカ側はその後の捜査で、リーバー教授から証言を得ていると考えても不思議ではない。こうした証言をベースに、ポンペイオ氏は「研究所は新型コロナウイルスに最も近いコウモリのコロナウイルスを遅くとも2016年から研究していた」「中国軍のための極秘の研究に関わっていた」などと述べたのではないだろうか。

   WHOの調査チームには、ウイルスのサンプル調査だけでなく、中国での内部告発者からのヒアリングなど徹底した調査を行ってほしいと願うのはアメリカだけでなく世界の要望だろう。

⇒17日(日)午後・金沢の天気  あめ

★ツイッターに始まり、ツイッターに終わる

★ツイッターに始まり、ツイッターに終わる

         けさのNHKニュースで、アメリカの議会下院はトランプ大統領の罷免を求める弾劾訴追の決議案を賛成多数で可決したと伝えている。今月6日に暴徒化したトランプ氏支持者らが連邦議会議事堂に乱入した事件を巡って、トランプ氏の言動が騒乱を煽ったとして「反乱の扇動」にあたるとして、民主党が弾劾訴追の決議案を議会下院に提出していた。訴追後、議会上院で有罪か無罪かを判断する弾劾裁判が開かれるが、トランプ氏の大統領任期は今月20日までなので、裁判が開かれる場合は退任後になる可能性もある。このニュースで浮かんだ言葉が「ツイッターに始まり、ツイッターで終わる」だった。

   ツイッター社は今月8日、トランプ氏の個人アカウントを永久停止にしたと発表した=写真・上=。同社が問題にしたのはトランプ氏が同日投稿した2つの言葉だった。「“The 75,000,000 great American Patriots who voted for me, AMERICA FIRST, and MAKE AMERICA GREAT AGAIN・・・」「“To all of those who have asked, I will not be going to the Inauguration on January 20th.”」

   同社の発表文によると、再度の連邦議会議事堂への暴徒の乱入が予想され、緊張が続いていることから、「The 75,000,000 great American Patriots(7500万人の偉大なアメリカの愛国者)」という呼びかけは議事堂の占拠への支持を表明しているとも解釈され、また、20日のバイデン大統領の就任式へのトランプ氏の欠席は就任式での暴力行為を企てている者を後押ししかねない、と同社は解釈した。これらのツイートが 「Glorification of Violence」 ポリシーに違反していると判断し、永久停止を決めたとしている。

     ツイッターをはじめSNSを政治の舞台で活用したのは、トランプ氏だった。2017年1月の大統領就任前からゼネラル・モーターズ社やロッキード社、ボーイング社などに対し、ツイッターで雇用創出のために自国で製造を行えと攻撃的な「つぶやき」を連発した。ホワイトハウスでの記者会見ではなく、140文字で企業に一方的な要望を伝えるという前代未聞のやり方だった。その後、トランプ氏を見習って世界の政治家たちが使い始めた。

   印象に残るのは、2019年6月29日、大阪でのG20に参加したトランプ氏がツイッター=写真・下=だ。韓国訪問の際に南北軍事境界線の非武装地帯(DMZ)を訪れることを明らかにし、「While there, if Chairman Kim of North Korea sees this, I would meet him at the Border/DMZ just to shake his hand and say Hello(?)!」(意訳:北朝鮮のキム主席がこれを見たら、握手してあいさつするためだけでも南北軍事境界線DMZで彼と会うかも?!」とツートした。すると、翌日30日午後3時45分、DMZでの電撃的な第3回米朝首脳会談が実現した。ツイッターを外交にも利用するトランプ氏のスゴ技に世界は驚いた。

   アカウントが永久停止になった週明け11日のアメリカ株式市場でツイッター社の株が一時12%急落し、時価総額が50億㌦近くも吹き飛んだ。株価はその後は6%安で推移した。ツイッター上でトランプ氏のフォロワーは8800万人に上っていた。同社をはじめ今後SNSに対する規制が強まるのではないかという懸念も広がった(1月12日付・ロイター通信Web版日本語)。

   おそらく、トランプ氏が破天荒にツイッターを使わなければその存在価値も高まらなかっただろう。そして、存在価値が高まったがゆえに使用規制のポリシーをつくらざるを得なくなった。そのポリシーにトランプ氏は縛られてしまった。

⇒14日(木)午前・金沢の天気    あめ

☆厳冬考察:ブラックアイスバーンとスタック

☆厳冬考察:ブラックアイスバーンとスタック

   寒さが厳しくなって気がついたこと。気温が氷点下の日などはエアコンのスイッチを入れても、すぐに暖房が入らないことだ。10分ほどしてようやく入ることが続いた。故障かなと思い、エアコンを購入した電気屋に電話した。「それは室外機の暖気運転をしているからです。寒さが厳しいとそうなります」との返事。「暖気運転」という言葉を初めて知った。エアコンを駆動させるために室外機の装置を暖めるのに少し時間がかかる、ということだった。

   前回のブログでショベルカーで雪道だった自宅前の道路で除雪作業が行われたと書いた。けさ、除雪された道路の路肩の雪をスコップで側溝に落としこんでいると、登校する子どもたちの声が聞こえてきた。男の子が「道路がブラックアイスバーンでツルツルになっているから気をつけろとお父さんから言われた」と。別の男の子が「ブラックアイスバーンって何」と。「よく分かんないけど、道路が凍っているということらしい」と答えていた。

   子どもたちの会話を聞いて、「ブラックアイスバーン」は自身も初耳だった。アイスバーンはスリップ事故にもつながるので気をつけている。子どもたちの会話を聞いて、なるほどと気がついた。きれいに除雪された道路に雨が降って、けさの冷え込みで路面が凍っている。いわゆる路面凍結だ。路肩の雪と対比すると、ブラックな道路、まさにブラックアイスバーンだ=写真=。このツルツル道路は滑って転ぶと痛いだろうと想像すると、親の注意も納得する。午前中には気温が上昇して氷も解けて普通の道路に戻るだろう。

   けさネットニュースをチェックしていて、「大雪で”路面状況”悪く スタックした車と衝突し71歳男性が死亡」との見出しで新潟市のニュースがあった(1月12日付・新潟総合テレビWeb版)。記事によると、市道上の坂道でスタックした普通乗用車がバックしたところ、後ろを歩いていた71歳の男性と衝突したという。「スタック」の言葉は初めてで理解できなかった。英語で「stuck」、「立ち往生」のことだ。ネットで調べると、「積雪の多い道路の運転では、雪にタイヤがはまり、前にも後ろにも進まなくなる『スタック』というトラブルに遭遇する可能性があります」(チューリッヒ保険会社公式ホームページ)。

   雪の道路のわだちに入ってしまい、車の底が雪上に乗り上げて立ち往生するという現象は、運転歴40年以上の自身も何度か経験している。その時はスコップで車の底の雪を除き、他の人に後ろから車を押してもらいながら前進するとなんとか抜け出すことができた。この事故は想像するに、スタックで気が動転していた運転の女性は坂道だったのでバックギアを入れると動いたので、後方をよく確認せずにそのままアクセルを踏んでしまったのではないだろうか。雪道では気をつけていたとしても交通事故は起きる。それだけに痛ましい。

⇒13日(水)朝・金沢の天気     くもり

☆トランプ大統領、冥土の道連れ

☆トランプ大統領、冥土の道連れ

   CNNニュースWeb版日本語(10日付)をチェックしていると、驚きのニュースがあった。アメリカ民主党のペロシ下院議長は、トランプ大統領による核攻撃命令などが起きる事態を懸念し、軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と協議したことを明らかにした。ベロシ議長は、行動などが不安定な大統領が軍事的な敵対行動に踏み切ったり、(核ミサイルの)発射コードへのアクセスや核攻撃を命令したりするのを阻む予防措置をミリー氏と話し合ったと語った。

   上記のCNNニュースに自身が注目したのは、別のニュースとの連鎖反応だった。BloombergニュースWeb版日本語(9日付)を読んでいて、北朝鮮の金正恩委員長が5-7日に開催した党大会への報告で、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼び、より高度な核技術の追求などを通じて、アメリカの脅威に対する防衛力を絶えず強化する必要があると述べた。核兵器の小型・軽量化と大型核弾頭の製造推進、1万5000㌔射程内の戦略的目標に命中させ破壊する能力の向上を目指す方針も表明。固体燃料を用いる大陸間弾道ミサイル(ICBM)と原子力潜水艦の開発、衛星による情報収集能力強化にも言及した。

   3年前のあの時に時代は戻ったと連想した。2017年7月28日、北朝鮮が打ち上げたICBMはアメリカ西海岸のロサンゼルスなどが射程に入るものだった。北は同年9月3日に6回目の核実験を実施し、同15日には弾道ミサイルを日本上空に飛ばした。それをトランプ大統領が国連総会の演説(同19日)で「ロケットマンが自殺行為の任務を進めている」と演説した。それ以前には、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は同じ年の4月26日、アメリカ下院軍事委員会公聴会で、北朝鮮に関して「アメリカは先制攻撃の様々な選択肢がある」と述べ、原子力空母カールビンソン率いる空母打撃群が北朝鮮を攻撃できる射程内に入ったことも明らかにした(2017年4月27日付・朝日新聞ニュースWEB版)。

   その後、トランプ氏と金氏による米朝首脳会談は2018年6月12日(シンガポール)、2019年2月28日(ハノイ)、同年6月30日(板門店)で3回行われたが、北の非核化の交渉は進まなかった。トランプ氏にとっては外交の失敗事例でもある。そして、本人は「この交渉でロケットマンがさらにつけあがった」と悔いているのではないだろうか。

   トランプ氏の大統領任期は1月20日正午までとされる。冥土の道連れに、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼んだ金氏に核攻撃を仕掛けるのではないかとペロス氏は懸念しているのではないだろうか。以下憶測だ。仮に、トランプ氏が軍に核攻撃を命令したとして、それが軍によって阻まれた場合、金氏へのピンポイント攻撃、つまり「斬首作戦」を命令する可能性がある。斬首作戦が実行されるとして、作戦に使用されるのはステルスヘリコプター「ブラックホーク」だろう。この機を使うのは新月で夜が真っ暗闇となる日。直近の新月の日は今月13日だ。

   この機を使った斬首作戦で知られるのがオバマ政権下で実行された、オサマ・ビン・ラディンに対して行った2011年5月2日のバキスタンでの攻撃だ。この日は新月の前夜だった。以上は連想ゲームのような話だ。

⇒11日(月)朝・金沢の天気   

★北陸は「ホワイトロックダウン」

★北陸は「ホワイトロックダウン」

   きのう9日午後、金沢大学角間キャンパスへ自家用車で出かけた。自宅のガレージから車を出すのに雪すかし(除雪)。そして、いつもの市道と県道、国道のルートでキャンパスへ。市道と県道は除雪が行われておらず、道路にはあちこちに「わだち」ができていて、車はタテ揺れ、ときにはヨコ滑りを繰り返しながら進む。国道は融雪装置がありスムーズに進んだが、交差点ではわだちで立ち往生する車も何台かあった=写真・上=。

   大学の駐車場に車を入れたが、しんしんと雪が降っていて身震いした。キャンパスはいわゆる中山間地にあり、市内の平地より積雪が5割増しだ。積雪は35㌢ほどだったが、帰宅する夕方にはおそらく50㌢ほどになり、駐車場から車を出せなくなると直感したからだ。そこで、大学での打ち合わせを急きょ変更し、キャンパスから下った国道沿いのコーヒー店にした。

   午後1時30分に店に入った。すると、店員が「きょうは大雪のため営業時間を午後2時までとさせていただきます。あと30分ほどですがよろしいですか」と申し訳なさそうに言う。確かに、店の周囲にある全国チェーンの飲食店では「臨時休業」の貼り紙を出していた。豪雪で食材が届かないのだろう。そこで、打ち合わせを30分ほどコーヒー店で済ませ、帰宅した。

   キャンパスに残っていたスタッフとオインラインで話すと、予想通り駐車場の積雪がみるみる増えて、このままでは帰宅できなくなるのでいまから早退するとのこと。午後3時30分ごろだった。街は豪雪ロックダウン状態となった。

   一夜明けて、自宅周辺はまさに銀世界だ。積雪は70㌢ほど=写真・下=。写真下の長靴の跡は新聞配達員の足跡だ。金沢地方気象台の公式ホームページをチェックすると金沢の積雪は65㌢(10日午前8時現在)となっている。きょうは日曜日とあって、車もほとんど見かけない。まさに「ホワイトロックダウン」だ。

   福井県の北陸自動車道では、大雪の影響で福井インターチェンジから金津インターチェンジの間の上下線で、きょう午前7時現在、トラックなど車が1090台が立往生していて、福井県は陸上自衛隊に災害派遣の要請を行った(1月10日付・NHKニュースWeb版)。また、富山県の東海北陸自動車道では南砺スマートインターチェンジ付近で大型トラックが雪で動けなくなりおよそ200台の車が立往生。解消するめどは立たず、富山県はきょう午前4時に陸上自衛隊に災害派遣を要請した。陸上自衛隊は金沢駐屯地から100人を派遣し、車両のけん引のほか、食糧や燃料、それに携帯トイレなどを配付する(同)。

   物流が滞れば、次に来るのは食料不足だ。すでに、自宅近くのコンビニやスーパーでは品薄状態になっている。コロナ禍でのロックダウンと違った意味でより深刻だ。

⇒10日(日)朝・金沢の天気   ゆき  

☆ワクチン囲い込み、WHOの思惑

☆ワクチン囲い込み、WHOの思惑

   けさWHOの公式ホームページをチェックした。直近8日(ジュネーブ現地時間)の記者会見(リモート)の模様が動画で掲載されている。その中で、テドロス事務局長は「The time to deliver vaccines equitably is now! 」(ワクチンを公平に届ける時が来た!)と語気を強めていた=写真=。会見のキーワードは「COVAX」だ。

   COVAXは、新型コロナスウイルスのワクチンを世界各国で共同購入して分配する国際的な枠組みで、WHOや途上国でのワクチン接種を支援する国際機関「Gavi」などが昨年7月に立ち上げた。日本やヨーロッパなどの高所得国などに拠出金を要請し、2021年末までに20億回分のワクチン確保を目指す。

   ところが、ワクチンの分配は現実に進んでいない。当日の会見で明かされたことは、ワクチンの接種や準備が42か国で始まり、このうち36ヵ国は経済的に豊かな高所得国、6ヵ国は中所得国で、低所得国には行き渡っていないというのが現実だ。

   テドロス氏は、高所得国によるワクチンの囲い込みの動きを牽制し、こう発言した。「Iurge countries that have contracted more vaccines than they will need, and are controlling the global supply, to also donate and release them to COVAX immediately, which is ready TODAY to rollout quickly.」(意訳:必要以上に多くのワクチンを契約し、世界の供給を管理している国々にも、すぐにCOVAXに寄付してリリースしてもらいたい。COVAXはきょうからすぐに展開できるようになっている)。そして冒頭の「The time to deliver vaccines equitably is now! 」となった。

   テドロス氏の発言はアメリカを強く意識したものとも読める。アメリカはこのCOVAXに参加していないのだ。自国の感染者2100万人、死亡者36万人(ジョンズ・ホプキンス大学ダッシュボード)という状況では、ワクチンを最優先で確保することがコロナ対策の課題だろう。アメリカのトランプ大統領は「WHOや中国の影響を受ける多国間組織の制約は受けない」と不信感を募らせ不参加を表明した経緯もある。

   おそらくアメリカのこうした態度に不満を抱いている。テドロス氏はこうも述べている。「This is a very dangerous time in the course of the pandemic and I do not want to see people become complacent as vaccines are starting to rollout.」(意訳:これはパンデミックの過程で非常に危険な時期であり、ワクチンが普及し始めていることに人々が満足するのを見たくはない)。

   パンデミックを終わらせるにはすべての国で一定の人々にワクチンを接種することであり、高所得国の全国民に接種することではない、ということだろう。ただ、テドロス氏の理想通りに低所得国にワクチンが持ち込まれたとして、はたして国民に公平な分配ができるのだろうか。国民同士の争奪戦になりかねない。

⇒9日(土)午前・金沢の天気    ゆき

★コロナ禍後に吹き荒れる増税の嵐

★コロナ禍後に吹き荒れる増税の嵐

   最近の世界のニュースを見ていると、世界のそれぞれの価値観がむき出しになっている。アメリカの連邦議会議事堂にトランプ大統領の支持者が乱入する事態が発生し、議会では民主・共和両党からトランプ氏の大統領の罷免を求める声が上がっている。閣僚や政権高官も相次いで辞任を表明しており、任期終了まで残り13日となる中、トランプ氏の孤立化が進んでいる (1月7日付・ロイター通信Web版日本語)。 

   アメリカではかつて、テレビ局に選挙などの政治的な扱いに報道の公平性を課すフェアネスドクトリン(The Fairness Doctrine)があった。しかし、TVメディアの多局化とともに、言論の多様性こそ確保されなければならず、フェアネス性を課すことのほうがむしろ言論の自由に反するとの司法判決(連邦最高裁)により、1987年にファネスドクトリンは撤廃された。これ以降、大統領選では対立候補を誹謗、中傷するネガティブ・キャンペーンがTVメディアも巻き込んで行われるようになる。対立候補にダメージを与える上では有効だが、有権者や国民に対立感情を煽ることにもなった。トランプ支持者による連邦議会議事堂への乱入はそのシンボリックな事件ではないだろうか。

   香港の警察は、国家政権の転覆を狙ったとして、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで、議会にあたる立法会の民主派の前議員や民主活動を次々と逮捕している。6日と7日の両日で55人に上る(1月8日付・NHKニュースWeb版)。民主派は暴動を起こしたり煽ったりわけではない。選挙を通じて議会の主導権を勝ち取ることは香港の憲法にあたる基本法に守られている権利でもある。異なる意見を持つ者が国安法に触れるという中国の価値観が香港に定着するのは時間の問題かもしれない。

   アメリカや香港の民主主義は岩盤だと世界は認めてきた。それが崩れ始めている。それも土砂崩れの様相を呈している。では、日本は安泰なのか。

   IMFが昨年10月に公表した報告書で、日本政府の債務残高は10月時点のGDP比で266%とアメリカの2倍、日本に次ぐイタリアでは161%だ。日本のダントツの数値を世界はどう解釈するか。債務残高が増えて、このまま少子化が進めば一体誰が返済するのか、日本国債の大暴落を世界は予感しているのではないだろうか。

   コロナ禍で多額の予算を費やした日本政府は来年度から手荒な税収対策を強行してくるだろう。たとえば、40兆円以上ともいわれる「タンス預金」を吐き出させることによる課税もある。2024年度に1万円、5千円、千円の紙幣(日本銀行券)の全面的な刷新が行われる。多額の旧札が銀行などに持ち込まれることになれば、国税がチェックする。翌年2025年度からは旧札と新札の交換で手数料を取る。また、新札発行を機にデジタル法定通貨へと舵を切ることなるだろう。政府が銀行での預金分しかデジタル通貨と交換しないと発表した時点で、タンス預金は一気に消費へと回る。これをもくろんで消費税の増税を行うのではないか。

   さらに、400兆円以上ともいわれる企業の「内部留保」への課税だ。アメリカや台湾、韓国ではすでに実施されている。日本でも資本金1億円以上の同族会社の内部留保増加額には10-20%の課税がされている。これを、すべての企業を対象に実施する。ニュースで伝わる銀行の合併による再編とデジタル庁新設の本来の目的はこの布石だと読んでいる。財源難に陥る政府は、巧妙かつ手荒く、そしてやみくもに増税を行う。大混乱を招きながらも国家財政の維持を図るだろう。歴史は繰り返される。

⇒8日(金)夜・金沢の天気    くもり

★コロナ禍に ネオンも消える 寒の入り

★コロナ禍に ネオンも消える 寒の入り

   寒の入り、二十四節気の一つ「小寒」に入った。父親から昔教わった言葉が「小寒の氷、大寒に解く」だった。小寒の寒さの方が大寒のときよりむしろ寒いと感じるという意味。最初に来る寒さを寒いと感じ、あとは寒さも慣れてくる。北陸で生まれ育って、この肌感覚は実によく分かる。きのう5日、金沢市の寺町を車で通ると、曹洞宗大乗寺の僧が托鉢に回っていた。雪が残る道を素足にわらじを履いての修行は、その姿を見ただけでも寒さを感じた。

   天気予報ではあす7日から再び日本海に低気圧が急速に発達し、前回の「年越し寒波」よりも広範囲に日本列島が強烈な寒波に覆われると予想している。積雪見込みは8日12時までで、北陸地方では70-100㌢となっている。

   もう一つ襲来するのは「コロナ寒波」だ。新型コロナウイルスの感染が1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)で広がり、あす7日、政府は首都圏で再び緊急事態宣言を発令する方向だと報じられている。期間は1ヵ月程度とする方向で政府が調整している(1月5日付・NHKニュースWeb版)。

   ただ、あすからの緊急事態宣言は前回(昨年4月7日から5月31日)と違って、飲食店を通じた感染拡大を徹底的に減らす、いわばワンポイント規制となりそうだ(同)。前回は、人と人との接触を「最低7割、極力8割」減らすという目標のもと、飲食店のほか、ホテルやデパート、映画館、そしてなぜか図書館までが自粛する動きとなった。また、小中高校は休校となり、大学はオンライン授業に。祭りやスポーツなどのイベントは中止や延期が相次いだ。

   今回飲食の場での感染リスクの防止にポイントを絞ったのは、経済全体への影響を極力抑えたいとの政府の意向があるのだろう。ただ、飲食ワンポイントでどれだけ効果があるのだろうか。緊急事態宣言によって、飲食店は営業時間が短縮され、▽今月8日から11日までは酒を提供する飲食店などを対象に午後8時までに前倒したうえで、酒の提供は午後7時までとなる。そのうえで、▽今月12日から31日までは酒を提供するしないにかかわらず、すべての飲食店に午後8時までに営業時間を短縮するよう要請する(同)。一時的であるにせよ、新宿や池袋の夜のネオン街は灯が消えることになる。これがモデルとなって、全国に規制が拡大するかもしれない。

   ここで一句。「コロナ禍に ネオンも消える 寒の入り」

(※写真は、寒波に見舞われる能登半島の集落=2018年1月27日、輪島市門前町で撮影)

⇒6日(水)朝・金沢の天気    はれ

☆静かなる年末年始(11)「賀状に浮かぶジレンマ」

☆静かなる年末年始(11)「賀状に浮かぶジレンマ」

   前回ブログの続き。僧侶の方からいただいた賀状。ドイツ人僧侶。丑年ということで、ホルスタインをイメージした賀状のデザインが面白い。ドイツの大学で日本語を学んでいて「Zen」(禅宗)に興味を持った。2011年に能登半島にある曹洞宗の總持寺祖院で修行に入り、もう10年。自坊を持つまでになった。3年前に立ち話で、「信仰ではない無我の境地、好き嫌いは言わない、与えられたものを素直にいただく」と。禅宗のきびしい修行を耐え抜いた言葉が重く、そして心に透き通る。寺には、ドイツほかヨーロッパ、南米ブラジルなどからのZenを求めてやってくる。

   賀状を読んでいてふと思いついた。彼が3年前に述べた言葉はまさにコロナ後の世界観であり社会観、人生観ではないだろうか。飽くなき欲求から脱する人生設計や、独占ではなく分け合う(シェアリング経済)社会、成長を前提としなくてもよい社会システムを求める、いわゆる「ポスト資本主義」と呼ばれる動きが胎動している。コロナ禍を経験した人類が心のレジリエンス(復元力)を探してZenの思想に共鳴し、教えを求める時代がやってくるに違いない。そのときに彼の果たす役割は大きいのではないか。

   県会議員や市長をつとめたベテランの政治家の方からいただいた賀状は実にストレ-トな内容だった。昨年11月、加賀海岸(加賀市塩屋‐片野)は国の重要文化的景観に認定された。海岸沿いの砂防林は江戸時代から昭和初期にかけ、人々の手によって植栽が行われ、沿岸集落の懸案だった飛砂被害が抑えられ、生活の安定や現在の土地利用に大きな役割を果たしてきたと評価された。認定に当たっては、文化的景観を訴えるために各方面に呼びかけ、現地でのガイドを買って出るなどリーダー的な存在だった。

   ところが、その加賀海岸に隣接する別の市が洋上風力発電の計画を打ち上げている。高さが最大で260㍍もある風車が沿岸に沿って20基から37基並べる構想で、賀状では「いさりび、夕日等が見えず障害になります。これには断固反対なのです。風力発電には反対ではないのです。この景観を害する行為には反対なのです」と呼びかけている。隣接市とすれば、1昨年も前から計画を進めていた。菅内閣は温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を掲げ、再生可能エネルギーに注目が集まっている。

   国の重要文化的景観の認定にこぎつけた地元とすると、次はユネスコの「世界遺産の可能性」(賀状)を追求することに目標を定めている。歴史と景観の地域資源を守り高めることで国際評価につなげたいという想いが滲む。賀状に鋭く浮かぶ時代のジレンマではある。

⇒3日(日)午前・金沢の天気  くもり時々ゆき