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★尖閣の次は日本海EEZなのか

★尖閣の次は日本海EEZなのか

   きょうの朝刊で石川県の地元紙が日本海のスルメイカの漁場、大和堆(EEZ=日本の排他的経済水域)で大量の中国漁船が違法操業を行っていると報じている=写真=。記事によると、水産庁が9月末までに退去警告をした船の数は延べ2586隻に上っている。去年までは北朝鮮の漁船による違法操業(2019年の警告数4007隻)が圧倒的に多かったが、今年は中国漁船の違法操業が去年より倍増した。記事を読んで、「尖閣の次は日本海か」と胸騒ぎがした。

   記事によると、8月中旬から大和堆周辺で中国の大型底引き網船の違法操業が活発に動き始めた。水産庁の取締船はこれまで違法警告したにもかかわらず退去しなかった漁船に対し放水で警告を発した漁船は329隻に上った。

   その背景はおそらく、中国で顕在化しつつある食料危機ではないだろうか。習近平国家主席が「飲食の浪費を断固阻止する」との指示を出し、新型コロナウイルス感染の世界的まん延は「警鐘」だと指摘し食料問題に危機意識を持つよう訴えた(8月20日付・共同通信Web版)。中国における食料問題は6月以降、中国各地で断続的に続いた豪雨災害で水田などの耕作地が冠水被害が広がったからだ。習氏が「飲食の浪費を断固阻止する」の指示を出すほど、危機感がひっ迫しているとも受け取れる。

   食料危機のうち、タンパク源を確保するための水産資源の確保にも躍起なのではないだろうか。すでに、中国は北朝鮮海域での制裁決議違反が問題視されているにも関わらず、北朝鮮の漁業海域での漁業権を購入し、中国の遠洋漁船全体の3分の1にも相当すると見られる大量の船団を送り込んで漁業資源を漁っていた(7月27日付・ブログ「北の漂着船、グローバル問題に」)。北朝鮮の漁業海域で漁業資源をほぼ取り尽くし、次に狙ってきたのが日本海のEEZだろう。

   冒頭の胸騒ぎは「大和堆の中国所有論」のことだ。中国は今年8月に東シナ海の海底地形50ヵ所について命名リストを公表した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域のほか、沖縄本島沖の日本のEEZも含まれる。その前、4月には南シナ海でも海底地形55ヵ所や島嶼(とうしょ)や暗礁25ヵ所について命名リストを公表している。中国とすれば、関連海域と海底に主権と管理権があると主張することで、海洋管理を強化する狙いがある。

   次に来るのは日本海における海底地形の命名リストではないだろうか。地元紙は今回の中国漁船の違法操業について、「EEZ内に中国の公船が現れているとの情報もある」と伝えている(10月6日付・北國新聞)。漁船の違法操業に紛れて、公船が海底調査を行っている。あるいは逆か。海底調査を行う目くらましのために漁船を動員しているのかもしれない。

   それにしても不可解なのは水産庁の発表にもかかわらず、全国メディアは日本海での違法操業のことをまったく伝えていない。スルメイカ漁だからか。マグロだったら大騒ぎか。

⇒6日(火)夜・金沢の天気    くもり   

☆これは菅内閣の深謀遠慮か

☆これは菅内閣の深謀遠慮か

   日本学術会議は政府から独立して政策の提言などを行う日本の科学者を代表する機関だ。任命権は総理にある。その学術会議が菅政権ともめている。学術会議が、会員の候補として105人を推薦した学者のうち、菅氏が6人を任命しなかった。これを受けて、学術会議は任命されなかった理由の説明を求めるとともに、6人の任命を求める要望書を菅氏に宛てて提出することを決めた(10月3日付・NHKニュースWeb版)。

   学術会議のミッションは「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること」「科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること」だ(日本学術会議公式ホームページ)。菅氏が任命を拒否した理由は一体なんなのか。今回任命されなかった6人はキリスト教学者、政治学者(政治哲学、政治思想史)、法学者(行政法)、法学者(憲法)、法学者(刑法)、歴史学者(日本近代史)だ(10月2日付け・同)。

   6人の中には、3年前の共謀罪の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案をめぐり、参院法務委員会に共産党が推薦する参考人として出席し、「何らの組織にも属していない一般市民も含めて広く市民の内心が捜査と処罰の対象となり、市民生活の自由と安全が危機にさらされる戦後最悪の治安立法となる」と述べた学者もいた(同)。6人はこれまで何らかの政治的な発言、あるいは自民党の政策に対して政治的に行動ならびに発言を繰り返してきた。

   別な角度からこのニュースを深読みする。日本学術会議法第7条2項で「会員は、第17条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」とある。さらに、第1条の2項で「日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする」、3項で「日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする」とある。これを読み解く限り、総理に任命の拒否権があると読める。ちなみに、第2条は「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする」とある。菅氏の理由はこの第2条にそぐわない人物ということなのだろうか。その理由を聞いてみたい。

   さらに別の視点で見てみる。日本学術会議は学者としての社会的な権威付け、つまり、日本学術会議の会員と称しただけで、社会の格付けが上がる。また、研究ファンドが取得しやすくなるランク付けではないか。この目線で言えば、日本学術会議そのものは果たして必要なのだろうか。2020年度の年間予算は10億5000万円。国家予算の規模からすれば微々たるものだ。が、行政改革の一つとして、この際だから権威付けのような機関を解散しようとの菅氏の深謀遠慮ではないだろうか。うがった見方ではある。(※写真は、首相官邸公式ホームページより)

⇒3日(土)午後・金沢の天気    はれ

★トランプ大統領、コロナショック

★トランプ大統領、コロナショック

   このニュースで驚いているのは中国かもしれない。ニューヨークタイムズは速報で伝えている。「Trump’s Virus Symptoms Appear Mild So Far」。新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領の症状は今のところ軽度だ、と。トランプ氏は陽性の検査結果を受けて風邪のような症状を呈している。マイク・ペンス副大統領と他の当局者は、陰性の結果を出ている。いよいよ、コロナ禍がホワイトハウスにまで攻めてきた。

   気になるのは感染ルートだ。ニューヨークタイムズは記事の中で「The Secret Service sustained a coronavirus outbreak at its training facility in Maryland in August, weeks before President Trump was infected, evidence of growing infections at the agency responsible for protecting the president.」と述べている。シークレットサービスは、トランプ氏が感染する数週間前の8月にメリーランド州の訓練施設でコロナウイルスのアウトブレイクを起こしており、大統領のガードに責任を持つ機関で感染が拡大していた。

   トランプ氏は自身のツイッター(2日付)で、「Tonight,@FLOTUS and I tested positive for COVID-19. We will begin our quarantine and recovery process immediately. We will get through this TOGETHER!」(今夜、@FLOTUS(大統領夫人)と私は、新型コロナウイルス感染症の検査で陽性と診断された。ただちに隔離と回復のプロセスに入る。共に乗り越えていく!)

   先月には「われわれはこの疫病を世界に振りまいた国、中国の責任を追及しなければならない。中国政府、そして事実上、中国に操られているWHOは、ヒトからヒトへの感染を示す証拠はないという偽りの宣言をした」(9月22日)と息巻いていた。今回、自身が感染したことで中国に対する矛先がさらに先鋭化していくのではないか。

   そして、あと1ヵ月後に迫ったアメリカ大統領選。対立候補のバイデン氏とのテレビ討論などはどう展開していくのか、目が離せない。

⇒2日(金)夜・金沢の天気     はれ

☆中秋の名月なれど、世に暗雲漂う

☆中秋の名月なれど、世に暗雲漂う

   今夜は「中秋の名月」を雲の切れ間から見ることができた=撮影:午後6時35分=。名月をめでることができる幸福感はこの上ない。というのも、北陸は天候が変りやすく名月を拝めないことがままあるからだ。芭蕉の句がある。「名月や北国日和定なき」(『奥の細道』)。今夜は中秋の名月を期待していたけれど、あいにく雨で拝むことができなかった。本当に北国の天気は変わりやすい。福井・敦賀で詠んだ句とされる。

   中秋の名月は時代劇のドラマでよく使われるカットだ。大事件、裏切り、画策、謀反、旗揚げなど大きな出来事の前触れのシーンなどで、犬の鳴き声、ススキの穂とともに名月が浮かんで出てくる。今の時代もそう変わりない。

   東京証券取引所できょうシステムトラブルが起こり、終日すべての株式の取引が停止した。午前中にこのニュースを知って、ハッカーの仕業かと疑ったが、そうではないらしい。取引所ではシステムトラブルに対応するためにバックアップシステムを備えていたようだが、なぜバックアップに切り替えることができなかったのか、解明してほしい。あす(2日)は午前9時から通常通り売買を行う見込みのようだが、原因が分からない、バックアップシステムが機能しない証券取引所に誰が信頼を置くだろうか。東京は国際金融都市を目指しているが、シンガポールに取引の拠点を移す投資家が続出するのではないだろうか。日本の沽券(こけん)にかかわる問題だろう。

           日銀金沢支店がきょう発表した短観(公式ホームページ)によると、北陸の経済見通しがよくない。北陸の334社の回答によると、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数は、「全産業」の数値でマイナス37ポイントだった。マイナスは4期連続。前回6月調査のマイナス39ポイントよりいくぶん改善しているものの、企業の景気判断はきびしい状態が続いている。

   アメリカ大統領選挙に向けたトランプ大統領とバイデン氏のテレビ討論会(9月29日)を視聴したが、トランプ氏がバイデン氏や司会者の発言を何度も遮って持論を主張していた。そのたびに、司会者が「ルールを守ってください」と発言を制止するシーンがあった。一方のバイデン氏も相手を「うそつき」や「最悪の大統領」と述べて、討論会どころか非難や中傷の合戦だった。子どもたちには決して見せたくない、荒れた討論会だった。これが民主主義の総本山とされるアメリカの現実なのだろうか。情けない思いがしてリモコンをオフにした。

   香港ではきょう、中国の建国記念日にあたる国慶節に合わせて、民主派の団体が毎年行っているデモ行進を計画したが、警察は新型コロナウイルスの感染防止を理由に認めなかった。しかし、SNSなどで中国や香港の政府に対する抗議活動が各地で呼びかけられ、このうち香港島の中心部では多くの人が集まり「香港の独立を」「香港の自由を守ろう」などと声を上げた(10月1日付・NHKニュースWeb版)。戦いをあきらめない人々も今夜の中秋の名月を眺めているだろうか。

⇒1日(木)夜・金沢の天気    はれ

★「死なばもろとも」中国の不動産バブル

★「死なばもろとも」中国の不動産バブル

   中国のマンションの建設ラッシュはすさまじいと実感したことがある。世界農業遺産(GIAHS)の国際ワークショップで中国を訪れた2012年8月のことだった。降り立った上海市や会議が開かれた浙江省紹興市などは高層マンションが立ち並んでいた。見学ツアーで同省青田県の山あいの村でもマンション建設が進んでいて、新築マンションの看板がやたらと目についた=写真=。

   移動のバスの中で、中国人の女性ガイドに尋ねた。「なぜ山あいでマンションが建っているんですか」と。すると笑顔で答えてくれた。「日本でも結婚の3高があるように、中国でも女性の結婚条件があります」と。それによると、1つにマンション、2つに乗用車、そして3つ目が礼金、だとか。マンションは1平方㍍当たり1万元が相場という。1元は当時のレートで12円だったので円換算で12万円となる。1戸88平方㍍のマンションが人気というから1056万円だ。それに乗用車、そして礼金。礼金もランクがあって、基本的にめでたい「8」の数字。つまり、8万元、18万元、88万元となる。この3つの「高」をそろえるとなると大変だ。

   当時もマンションは投資対象になっていたが、ガイド嬢の話を聞いて、結婚の条件としてのマンション需要となるとさらにすそ野は広がると納得した。その中国のマンションの「不動産バブル」、最近異変が起きているようだ。

   中国の不動産大手「中国恒大集団」は今月7日から1ヵ月間、すべての不動産物件を30%値引きする方針を示し、ニュースになった。同社は同業他社との比較で多額の負債を抱えており、負債比率の削減を目指している(9月7日付・ロイター通信Web版日本語)。このニュースでいよいよ中国の不動産バブルは崩壊かとの印象も抱いた。そして、今月25日のニュース。中国恒大集団がデフォルト(債務不履行)の可能性について中国当局に警告した。同社が求める深圳上場を当局が認めなければ、中国の50兆㌦(5274兆円)規模の金融システムが動揺する恐れがあるとしている。中国恒大は広東省政府に宛てた8月24日付書簡で、資金不足を回避し、上場を確実にするために必要な再編案への支持を求めた。この書簡をブルームバーグは確認した(9月25日付・ブルームバーグWeb版日本語)。

   証券取引所に上場できなければ、破産するぞと脅しているとの印象だ。さらに、50兆㌦規模の中国の金融システムを揺るがすぞ、と。「死なばもろとも」だと。

   中国政府は2008年のリーマンショック後に、やみくもに成長を追い求めずに安定をめざす「新常態(ニューノーマル)」経営を企業に求めているが、常に投資が先行する不動産の場合は簡単ではないだろう。「3高」の結婚の条件が今でも変わっていなければ、買いのチャンスかもしれないが。

⇒28日(月)午前・金沢の天気    はれ時々くもり

☆メディア業界、総選挙もリスク分散か

☆メディア業界、総選挙もリスク分散か

   来年に延期された東京オリンピックについて、IOCのバッハ会長が「協力すれば必ず実行でき、歴史的な大会になる」と述べたと、きのう25日のブログでニュースを引用した。すると、このブログを見てくれた知人から「IOCはオリンピックがビジネスなのでそうした発言は当たり前、ニュースでも何でもない」との趣旨のメールが届いた。

   確かにIOCには多額の放映権料が支払われている。2018年の韓国・平昌冬季大会と東京大会の合算額で、日本は5億9400万㌦を払っている。人口1億2600万人として、1人当たり4.7㌦だ。アメリカは21億9000万㌦、1人当たり6.7㌦だ(民放連公式ホームページなど参考)。さらに、アメリカのテレビ局の放送権料は全体シェアの50%以上ともいわれる。アメリカの放送権料が日本より高いのは訳がある。IOCとの金額交渉の仕方が異なるのだ。

   日本の交渉形式はNHKと民放が「ジャパン・コンソーシアム」(JC)というチームを組んでの交渉だ。そして、金額が確定した場合は、NHKが70%、民放が30%で負担することになる。アメリカの場合は民放が強く、3大ネットワークと呼ばれる「世界最大の放送局」のABC、「系列局数ではアメリカ最大」のCBS、そして「アメリカ最古」のNBCが放送権の獲得を目指して、競ってIOCと交渉するので、日本などと比べると割高となる。

   こうして眺めてみると、日本のテレビ業界は「リスク分散型」、アメリカは競争を繰り広げる「ハイリスク、ハイリータン型」といえる。日本の場合はNHKという巨大な公共放送があるという点がアメリカとのテレビ事情を異にしている理由かもしれない。

   以下は伝聞だが、オリンピックだけでなく選挙報道もコンソーシアム化するかもしれない。新型コロナウイルスの感染拡大がCMを激減させている。そしてNHKも持続化給付金の給付決定を受けた事業者への受信料の免除など行っている。経費節減が緊急の課題なっている中で、総選挙が近いかもしれないと政局が持ち上がっている。

   これまで、NHKは「選挙のNHK」と呼ばれるほど、出口調査や開披台調査などを独自で実施し、民放各社とは比べものにならないくらいの速さと正確性で「当選確実」を出してきた。なので、候補者はNHKの当確を確認して初めて万歳をするのが習わしになっているほどだ。そのNHKが、民放や新聞各社に呼びかけ、経費分担して選挙特番の情報を収集するようだ。いわゆる「選挙コンソーシアム」だ。民放や新聞各社にとっても経費節減の折、おそらくこの誘いに乗るだろう。

   リスク分散とは言え、こうなるとどのチャンネルも開票速報は同じ、となる。もちろん、候補者の当確の予想はそれぞれの局の分析なので異なるだろう。ひょっとして総選挙をやってほしくない、と願っているのはメディア業界かもしれない。

⇒26日(土)午後・金沢の天気    あめ

★新聞業界、いまそこにある危機

★新聞業界、いまそこにある危機

   来年に延期された東京オリンピックの準備状況を確認するIOCの調整委員会がきのう24日から2日間の日程で始まり、バッハ会長は「協力すれば必ず実行でき、歴史的な大会になる」と述べ、大会の開催へ強い意欲を示した、と報道されている(9月24日付・NHKニュースWeb版)。このニュースでホッと胸をなでおろしてる業界の一つは、新聞・テレビのマスメディア各社ではないだろうか。オリンピックなどのビッグイベントは広告スポンサーの稼ぎ時であり、新聞社は部数を増やすチャンスでもある。

   先日、購読している新聞に「購読料改定のお願い」のタイトルでペーパーがはさんであった=写真=。趣旨は簡単に言えば、値上げである。10月1日から「朝夕刊(月ぎめ)4350円(税込み)、朝刊(月ぎめ)3300円(税込み)」となる。我が家では朝刊のみで、毎月2988円を払っているので、来月から312円、10%余りの値上げということになる。1日10円の値上がりでもある。

   本文を読んでみる。「購読料の改訂は、消費税の引き上げ分を除き1994年(平成6年)2月以降、26年8ヵ月ぶりとなります。この間、様々な経営努力を重ねて本体価格を据え置いてまいりましたが、新聞製作に関わる経費と流通経費は上昇し、新聞発行並びに戸別配達を維持することが大変厳しい状況となっております。新型コロナの影響が見通せない中で、ご愛読いただいている皆様にご負担をおかけすることは大変心苦しい限りです」

   率直な感想として、26年8ヵ月ぶりということならば、いたしかたないのかなとも思う。また、毎日の戸別配達には確かに労務管理コストが相当かかるだろう。この文を読んで、かなり以前から値上げのタイミングを検討していていたのだろうと察した。おそらく、消費税増税(2019年10月)の前後は避けて、東京オリンピックを前に値上げのタイミングと見込んでいたのではないだろうか。おそらく、4月1日ではなかったか。ところが、WHOが3月11日に新型コロナウイルスが世界的に感染拡大しているとする「パンデミック宣言」と発表した。これをうけて、同月24日には東京オリンピックの開催が来年に延期となり、値上げのタイミングを逸してしまった。

   一方で、コロナ禍で経済減速が今後さらに鮮明になってくると、値上げのタイミングはさらに難しくなるので今のうちに、と。そう判断し、当初予定の半年遅れ、10月1日に値上げに踏み切った、のではないだろうか。あくまでも憶測だ。

   コロナ禍では、新聞各紙が値上げに踏み切るかどうか、判断が分かれている。ある全国紙の関係者から聞いた話では、コロナ禍で宿泊客が急減し、客室に新聞をサービスしてきたホテルなどが新聞の購入を一斉に止めた。ホテルだけでなく、病院や公民館、図書館、事業所などもそうだ。しかも、客が戻りつつあっても再講読のオーダーはほとんどない。一般家庭でも購読が急減している。コロナ禍での値上げは「このきびしい現実の中で、購読中止の口実になってしまう」と警戒する。「3年後、4年後に新聞社そのものも急減するのではないか」とも。単なる値上げの話ではない。いまそこにある危機でもある。

⇒25日(金)朝・金沢の天気     くもり

☆爆破予告の犯人を推測する

☆爆破予告の犯人を推測する

   きのう23日午後0時40分ごろ、所用で小松市役所を訪れると、ものものしい雰囲気が漂っていた。正面玄関には警察官が数人いて、玄関を入ったロビーでは市の職員数十人が集まっていた。中には、相手の動きを封じ込める「刺股(さすまた)」を手にしている職人も数人いた。市役所の職員に尋ねると、「市役所に爆破予告があり、警察と協力して警戒態勢に入っています。愉快犯だとは思うのですが、それにしても度が過ぎます」と不快感をあらわにしていた。20日に市役所にメールが届き、「23日午後1時半に火薬を積んだトラックを市役所に衝突させる」などと記載されていた。

   地元新聞などメディア各社の報道をまとめると、爆破予告は小松市役所にとどまらず、石川県庁、七尾市役所や金沢市役所にメールで届いていた。県の行政相談ウェッブサイトには20日午後4時13分、「23日に金沢大学、金沢工業大学、市内の高校計9校、小中学校19校を爆破し、県庁や金沢市役所に火薬を詰め込んだトラックを衝突させる」といったメールが届いていた。同様のメールが届いた七尾市役所では、23日に市内の小中学校14校を臨時休校とし、市役所も午後1時から同2時30分まで閉鎖した。また、庁舎の出入り口には除雪用のトラックを並べて警戒にあたった。

   警察は威力業務妨害で捜査をしているようだが、メディアの報道を読むと、爆破予告に一つの特徴があることが分かる。その一つは、県庁、金沢市役所、小松市役所、七尾市役所にメールを送るということは、県内の地勢(金沢、加賀、能登)をよく知り尽くした「バランス感覚」の持ち主だということだ。これは、県外の人では思い浮かばないだろう。さらに、ずいぶんと大人だ。小松市役所に宛てた爆破予告メールでは、小松空港もその対象に入れているので、空港の利用経験があるのではないだろうか。爆破だけでなく、金沢市役所には給食調理場と浄水場への毒物混入、七尾市役所には水道施設への毒物混入も記載されていた。おそらく、犯人はそれぞれの市の浄水場の場所がどこにあるのを知っている人物ではないだろう。

   石川県の地勢と行政、交通インフラ、水道インフラなどを十分に理解した人物。それは、かなり限られてくる。連休中の20日にメールを出したということは、休日でメールがチェックされないことを知った上で、連休明けの23日に一斉に騒ぎが始まることを楽しみたかった。それも、金沢・加賀・能登と県内一斉に動揺する様子を。「騒ぎをプロデュースする感覚」の持ち主、いったい誰だろう。

⇒24日(木)朝・金沢の天気    はれ時々くもり

★国連への評価が低くなった日本人の本音

★国連への評価が低くなった日本人の本音

          国連に対するイメージが自身の中で変化していると思っていた。どうやらこれは日本人全体がその傾向にあるようだ。アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」は、創設75年を迎える国連の実績について先進14ヵ国で実施した世論調査を発表した。それをCNN が伝えている。「Americans think the UN is doing a good job. Japanese people disagree.」(9月22日付・CNNニュースWeb版)。国連に対する評価が最も低かったのは、国連バッシングを続けているアメリカではなく、日本だった。

   調査は、アジア太平洋地域、北米と欧州の先進14ヵ国で6月10日から8月3日にかけて電話での聞き取り方法で行われた。調査対象国は、日本、韓国、オーストラリア、アメリカ、カナダ、デンマーク、ドイツ、オランダ、イタリア、スウェ―デン、ベルギー、フランス、スペイン、イギリスでそれぞれおよそ千人、合計1万4276人からデータを抽出した。

   CNN記事によると、アメリカ人の国連に対する評価は、トランプ政権の初期にはやや低下したが、ここ2年間に再び上昇してオバマ前政権時代とほぼ並んだ。国連に「好感を持つ」は62%に上り、「好感を持たない」は31%だった。この傾向は、他の先進国とそれほど大きな違いはなかった。

   突出していたのは日本で、国連に対する好感度は14ヵ国の中で最も低かった。「好感を持つ」は29%で、「好感を持たない」が55%と半数を占めた。1年前の前回調査は、「好感を持つ」が47%で、「好感を持たない」35%を上回っていた。「分からない」と「答えたくない」は今回16%、前回18%だった。

   上記の数字からも、日本人の国連に対する好感度は前回もさほど良くはなかった。それが、1年後には完全に逆転して、「好感を持たない」がハッキリした。では、自身を含め日本人の意識が大きく変化した理由はなぜか。ここからは自身の考えを述べたい。

   この1年で国連を見つめる目が大きく変化したのは、はやり新型コロナウイルスの感染拡大、パンデミックに対するWHOの対応だろう。中国でヒトからヒトへの感染を示す情報がありながら、WHOがその事実を知っていたにもかかわらず世界に共有しなかった。WHOと中国の関係性が疑われたのは1月23日だった。中国の春節の大移動で日本を含めフランスなど各国で感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出した。自身を含め日本人の多くはこの一件で中国に配慮したWHOとのイメージが根付いた。

   今回の調査でも数字で表れている。WHOによる新型コロナウイルス対応を「悪い」と答えた日本人は67%と、14ヵ国の平均のおよそ2倍だった。評価が日本よりも低かったのは韓国のみで、「悪い」とする回答は88%だった。ちなみに、アメリカは44%だった(9月22日付・CNNニュースWeb版)。中国の近隣国である日本と韓国の目線は、WHOの中国との処し方が最初から腑に落ちていなかったのだ。

   なぜ国連への好感度が低下しているのか。二つ目は国連安保理の常任理事国の有り様ではないだろうか。香港やウイグルにおける人権弾圧問題で国際批判を浴びている中国が常任理事国の座にある。連日のように尖閣諸島への中国公船の領海侵入がある。常任理事国の座にあれば問題を起こしても国連では問われない。その座を守っているのは拒否権だ。ロシアなどは旧ソ連時代を含めて127回も拒否権を発動している(2008年現在、「ウイキペディア」より)

   そして、国連憲章(第53、107条)で定めらている「敵国条項」に日本がいまだに入っている。ある国を攻撃する場合は国連安保理の承認が必要だが、「敵国」に再侵略の企てがあるとみなせば先制攻撃が可能で、安保理の承認は不要という規定だ。年間2億4千万㌦もの国連分担金を払っている日本が「敵国」なのである。

   矛盾の数々がこれまで日本人の心の底に眠っていたが、このところのWHOや最近の中国の動向で国連とは何か、このままでよいのかという義憤に転化してきたのではないだろうか。菅政権が向き合うべき課題がまた一つ増えた。

⇒23日(水)午前・金沢の天気     はれ

☆金沢悲喜こもごも、兼六園の間近で火の手

☆金沢悲喜こもごも、兼六園の間近で火の手

   金沢に住む一人としてうれしいニュースがあった。民間のシンクタンク「森記念財団都市戦略研究所」がまとめた政令指定都市など109の都市と東京23区を対象にした都市ランキングで、金沢市が前年より順位を一つ上げ8位となり、今年もトップ10にランクインした。金沢は「文化・交流」分野でイベントの開催数などの「ソフト資源」が高く評価され、また、「研究・開発」分野で金沢大学などの研究拠点の論文数なども評価さた(9月21日付・NHKニュースWeb版)。ちなみに、ランキングの1位は京都市、以下、大阪市、福岡市、横浜市、名古屋市、神戸市、仙台市と続く。大学が都市ランキングに寄与できたことはうれしい。

   一方で残念なニュースもあった。きのう21日午前中、兼六園と金沢城近くの道路を自家用車で通ると、車も人もとても多かった。連休中とあってマイカーでの観光客が多かった。そして、午後3時ごろ、消防車のサイレンがけたたましく鳴った。その時、大学の研修に参加していた。休憩時間だったので、スマホをチェックすると、「兼六園近くで火災」と。兼六園と大学は直線距離にして4㌔余りなのでサイレンがよく聞こえた。

   火災の現場は兼六園の桂坂近くの飲食店だった。金沢城に向き合った、いわば兼六園の正面入り口近くだ。午前中の観光のにぎわいを見ていたので、市民よりむしろ観光客が騒然となったことは想像に難くなかった。夕方のテレビを見ると、兼六園には直接的な被害はなかったが、園内に煙が立ち込め、逃げ惑う観光客が多く見られた。テレビ局のインタビューに「黒煙がどんどん押し寄せてきて恐ろしかったです」と、男性の観光客は汗をぬぐっていたシーンが印象的だった。

   政府の観光支援事業「Go To トラベル」がこのところ順調なだけに、今回の火災は金沢観光に水を差さしたのはないかと懸念している。「Go To トラベル」は1人1泊当たり1万4千円が上限の割引額があり、加賀温泉(山代、山中、片山津、粟津)や能登の和倉温泉の高級旅館がにぎわいを見せている。宿泊客の観光ルートが金沢であり、兼六園だ。また、来月からは東京発の「Go To トラベル」も解禁となるため、観光客は今後増えるだろう。

   今回の火災が全国ニュースとなっただけに、兼六園が敬遠されるのではないだろうかと案ずる。直接的な被害はなかったにせよ、多くの人は「兼六園火災」とイメージしているだろう。4連休最終日のきょうも通常通り開園している。

⇒22日(祝)午前・金沢の天気    くもり時々はれ