#テドロス事務局長

☆コロナ感染の実態伝えない中国 世界の不信感は募る

☆コロナ感染の実態伝えない中国 世界の不信感は募る

   WHOは中国に対して、新型コロナウイルス感染が拡大しているにもかかわらず、死者数などを過少に報告していることに苛立っている。WHO公式サイト(4日付)によると、WHO担当者が先月30日、感染者の入院やワクチン接種などのデータを定期的に共有するよう中国側に要請。中国と国際社会の医療の効果的な対応のためにもデータ公表が重要だと強調していた。にもかかわらず、中国側は真摯に対応しようとしていない。

   テドロス事務局長の記者会見(今月4日)からもその様子がうかがえる。「WHO is concerned about the risk to life in China and has reiterated the importance of vaccination, including booster doses, to protect against hospitalization, severe disease, and death.(意訳:WHOは、中国での生命に対するリスクを懸念しており、入院、重症疾患、死亡から保護するために、追加接種を含むワクチン接種の重要性を繰り返し表明している)」(WHO公式サイト)

   なぜ中国は正確な数字を把握して世界に公表しないのか。世界各国は不信の念を抱かざるを得なくなる。さらに、中国国家衛生健康委員会は先月25日、感染者と死者の人数公表を同日から取りやめた(同25日付・時事通信Web版)。これを契機に世界各国は水際対策を取ることになる。中国では今月21日から旧正月・春節の大型連休が始まり、中国から観光の渡航者が増えるからだ。

   日本は先月30日から水際対策を実施。今月8日からは精度の高いPCR検査や抗原定量検査に切り替える。韓国と台湾、フランス、イタリアもすでに入国時の検査。アメリカとイギリス、カナダ、オーストラリアはきょう5日から実施している。EUは加盟国に対して、中国渡航者から出発前の陰性証明の提示を求めることを勧告している。

   こうした各国の水際措置に対して、中国は反発している。BBCニュースWeb版日本語(12月29日付)=写真=によると、中国外務省の汪文斌報道官は記者会見(同28日)で、中国の感染状況について西側諸国とメディアが誇張し、ねじまげて伝えていると非難。「コロナ対応は科学的根拠に基づいた、適切なものであるべきで、人的交流に影響をおよぼしてはならない」「安全な越境移動を確保し、世界の産業サプライチェーンの安定性を維持し、経済の回復と成長を促進するための共同努力が必要だ」と述べた。

   述べている内容には間違いはないものの、数字をねじまげて伝えたのは中国側であり、数字の公表を取りやめたことに世界は不信感を抱いている。2020年の春節で中国が行動制限をしなかったことから、パンデミックが拡大した。世界各国はそのことを教訓として警戒している。

⇒5日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆WHOに巻きつくヘビ

☆WHOに巻きつくヘビ

    WHOのテドロス事務長は信頼を得ることがさらに難しくなったのではないだろうか。新型コロナウイルスへの対応などを議論するWHOの年次総会が9日、テレビ会議形式で始まり、テドロス氏は、アメリカのトランプ大統領がWHOの脱退を通知していたものの、脱退を撤回すると表明していたバイデン氏が大統領選で勝利宣言をしたことを受けて、「緊密に連携していくことを楽しみにしている」と述べたと報じられている(11月10日付・NHKニュースWeb版)。

     トランプ氏が脱退を表明した理由は、テドロス氏の「中国寄り」の露骨な振る舞いがコロナ禍の拡大を招いたからだ。そもそも、WHOと中国の関係性が疑われたのは今年1月23日だった。中国の春節の大移動で日本を含めフランスやオーストラリアなど各国で感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出したが、テドロス氏は「宣言する主な理由は、中国での発生ではなく、他の国々で発生していることだ」と述べた(1月31日付・BBCニュースWeb版日本語)。日本やアメリカ、フランスなど各国政府は武漢から自国民をチャーター機で帰国させていたころだった。

   中国でヒトからヒトへの感染を示す情報をWHOが世界に共有しなかったのはなぜか。トンラプ氏でなくとも疑問に思う。アメリカ政府は7月6日に国連に対し、来年7月6日付でWHOから脱退すると正式に通告した。アメリカは1948年にWHOに加盟し、最大の資金拠出国となっており、脱退による活動への影響が懸念されていた(7月8日付・共同通信Web版)。

   さらにWHOが中国寄りの姿勢を露わにしたのは今回の年次総会だった。WHOに加盟していない台湾がオブザーバーとしての参加を目指し、中南米の国も参加を求める提案をしていたが、総会の議長は非公開での協議で提案の議論は行わなかった。台湾の参加は認められなかった。台湾のオブザーバー参加はアメリカや日本などが支持した一方、中国が強硬に反対していた(11月10日付・NHKニュースWeb版)。

          台湾は中国・武漢で去年12月、コロナの感染拡大をSNS上で把握し迅速な対応策を発動して波及を防いだことは国際的にも知られる。人口2350万人の台湾での感染者の累計は578人(死者7人)=今月10日付・ジョンズ・ホプキンス大学コロナ・ダッシュボード=で、うち地元に原因がある発症は55件にとどめている。コロナ対策では国際的な評価を得ている台湾をオブザーバーとして参加させない理由はなぜか。テドロス事務局長による中国への配慮そのものではないのか。WHO脱退を撤回するにしても、バイデン氏にはその矛盾点をぜひテドロス氏に向けてほしい。

   WHOのシンボルの旗には杖に巻きつくヘビが描かれている。ギリシャ神話で医の守護神となったとされる名医アスクレピオスはヘビが巻きついた杖をいつも持っていた。それが、欧米では医療のシンボルとして知られるようになった。(※写真はことし8月21日のWHOの記者ブリーフィング=WHO公式ホームページ) 

⇒10日(火)朝・金沢の天気      はれ

☆コロナ禍がもたらす「天気晴朗なれど波高し」

☆コロナ禍がもたらす「天気晴朗なれど波高し」

   この人は「パンデミック教」の教祖になったのかもしれない。WHOの公式ホームページをチェックして、今月21日の記者会見の冒頭で話したテドロス事務局長=写真=のコメントを読むと、そんな雰囲気だ。

       「Throughout history, outbreaks and pandemics have changed economies and societies. This one will be no different. 」(歴史を通じて、集団発生とパンデミックは経済と社会を変えてきました。今回も同じです)、「The pandemic has given us a glimpse of our world as it could be: cleaner skies and rivers.」(パンデミックによって、私たちの世界が一目でわかるようになりました。きれいな空と川です)

   バンデミックが、気候変動に対応する世界的な取り組みに寄与していると語っている。その事例として、イギリスでは、最も汚染度の高いエネルギーである石炭の使用が250年で最低レベルにまで落ち込んだこと。スペインは世界で最も急速な脱炭素国の一つになりつつあり、国の15の石炭火力発電所のうち7が最近閉鎖されたこと。そして、パリは、徒歩や自転車であらゆるサービスに簡単にアクセスできる「15分の都市」になることを約束しており、大気汚染や気候変動を減らしている、と事例を紹介している。

   「COVID-19 is a once-in-a-century health crisis. But it also gives us a once-in-a-century opportunity to shape the world our children will inherit – the word we want.」(新型コロナウイルスは、1世紀に1回の健康危機です。 しかし、それはまた、私たちの子たちが継承する世界、つまり私たちが望む言葉をカタチに変える、1世紀に1回の機会を私たちに与えてくれました)。地球温暖化阻止に向けて、パンデミックは人類に素晴らしいチャンスを与えてくれた、と。   

  地球温暖化につながる大気中の二酸化炭素濃度の増加ペースが急減したのは、コロナ禍により経済活動が停滞したことで起きている話である。それを「パンデミック効果」として世界に向けて発信することが果たして妥当なのだろうか。テドロス氏の言葉は宗教的に読める。「Hardship is always an opportunity to learn, to grow and to change.」(苦難は常に学び、成長し、変化する機会である)。この言葉を否定するするつもりはないし、二酸化炭素の削減は世界の課題目標であることは間違いない。

   ただし、コロナ禍が世界にもたらす景気後退の影響はもっとシビアだ。イギリスではことし第2四半期(4-6月)の国内総生産(GDP)が前期比20.4%縮小。第1四半期の経済成長率はマイナス2%だったため、正式にリセッション(景気後退)に入った。就労人口は4月から6月にかけて22万人減少。この減少幅は四半期ベースで、世界金融危機の渦中にあった2009年5月-7月以来の規模になる(8月12日付・BBCニュースWeb版日本語)。GDPの落ち込みはイギリスだけでなく、アメリカでも年率換算でマイナス32.9%となるなど、世界で歴史的な下落となっている。まさに、「コロナ恐慌」の前兆だ。

   今後、世界では貧困の拡大、移住労働者の制限や排除、国家の財政破綻などさまざまは局面があるだろう。工場からの排出ガスが減り、「きれいな空と川」が見えたとしても、それは「天気晴朗なれど波高し」の現実ではないだろうか。

⇒24日(月)夜・金沢の天気    はれ

★道のべの木槿は馬にくはれけり

★道のべの木槿は馬にくはれけり

   きょうから8月、庭のムクゲが花盛りだ。花弁が白く、花ずいに近い部分が赤い底紅の花はそのコントラスが目を引く=写真=。茶人の千利休の孫、宗旦が好んで花入れに使ったことから、「宗旦木槿(そうたんむくげ)」と呼ばれたりする。同じムクゲで、花が真っ白なギオンマモリも夏の日差しに映えている。夏を和ませてくれる花ではある。

   芭蕉の句がある。「道のべの木槿は馬にくはれけり」。馬が道ばたのムクゲの花をぱくりと食べた。芭蕉はその一瞬の出来事に驚いたかもしれない。花であっても、いつ何どき厄(やく)に会うかもしれない、と。

   平和な町が突然、コロナ禍に見舞われる。今世界中で起きていることだ。ジョンズ・ホプキンス大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)によると、ウイルス感染者は世界で1759万1973人、死亡者は67万9439人に上っている(日本時間・1日午後3時現在)。日本では感染者3万7549人、死亡者1008人とカウントされている。石川県内では感染者322人、死亡者は27人。職場である金沢大学の感染者も6人となり、県内で7つ目のクラスターとなった。   

   WHOの公式ホームページでテドロス事務局長のスピーチ(7月31日付)をチェックすると、コロナ感染が急増している南アフリカ大統領とのオンライン会議でのコメントが掲載されいた。「WHO’s commitment is to bringing scientists, researchers, innovators and nations together in a spirit of solidarity, to ensure shared solutions to this shared challenge.Science is the most powerful when it benefits everyone. 」(WHOの取組は、科学者、研究者、革新者、国を連帯の精神で結集し、この共通の課題に対する共有ソリューションを確実にすることです。科学は、すべての人に利益をもたらすときに最も強力です)

   テロドス氏の上記のコメントに違和感を感じた。パンデミックが発生してから現在、世界で200を超えるワクチンが開発中で、そのうち20を超えるワクチンが人体試験を開始している。まるで、WHOがワクチン開発を進めているかのような口ぶりなのだ。

   「道のべの木槿は馬にくはれけり」。ワクチンはテドロス氏にぱくられり。

⇒1日(土)夜・金沢の天気    はれ

★「論よりマスク」 説得力に欠けるWHO

★「論よりマスク」 説得力に欠けるWHO

     アメリカのトランプ大統領のマスク姿の写真が今月12日付・CNNニュースWeb版で掲載されていた=写真・上=。首都ワシントン近郊の軍病院で負傷兵を見舞った際の写真で、黒マスクの姿は堂々とした印象だ。トランプ氏のマスク姿はこれまで写真や映像で見たことがなかったので、本人は「マスクは医療関係者か、ギャングがするもの」と勘違いしているに違いないと思っていた。そのトランプ氏もマスクをせざるを得ない状況に追い込まれてきたのではないか。

   ジョンズ・ホプキンス大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)の最新版では、アメリカだけで感染者累計が336万4918人、死者が13万5616人だ。コロナウイルス感染拡大は社会生活だけでなく、軍隊にも広がっている。同時に、外出時のマスク着用を義務化する州や都市も増えている。ニューヨーク州知事は「マスクの着用は戦いに参加していることを意味する。着用ほど愛国的なことはない」とマスクの徹底を呼びかけている(7月4日付・NHKニュースWeb版)。この緊急事態にトランプ氏自身も自らも感染の危機感を抱き始めたのではないか。

   もう一人、マスク姿を見せない重要人物がいる。WHOのテドロス事務局長だ。パンデミック宣言以来、ほぼ3日に一度、ジュネーブの本部で記者会見を開催しているが。会見でマスク姿を一度も見せたことがない。6月5日の会見=写真・下=で、テドロス氏は各国政府に向けて一般市民にマスクを着用するよう奨励すべきと勧告した。マスクの重要性を強調したこの日は、自らマスクを着けて会見に臨むべきではなかったのか。言っていることと行っていることのちぐはぐさを感じる。

   直近の会見(7月13日でも、テドロス氏は「Mixed messages from leaders are undermining the most critical ingredient of any response: trust. 」と、おそらくアメリカを意識して、国のリーダーは対応を間違って信頼を損なっていると強調している。そして、国内で手洗いやマスクの着用などの公衆衛生の原則が守られなければパンデミックは悪化するだけだと説いている。「論より証拠」という言葉がある。だったら、自らマスクをして会見に臨んではどうか。この公式ホームページは世界中の人たちが見ているが、テドロス氏に対する心象は共通しているのではないだろうか。側近にアドバイスする人もいないのか。

⇒15日(水)午前・金沢の天気    あめ時々くもり

☆検証されるべきはWHOと中国の関係性

☆検証されるべきはWHOと中国の関係性

   気になった国際ニュース。アメリカはWHOから来年7月6日付で脱退すると国連に正式に通告した。トランプ大統領が5月下旬、新型コロナウイルスを巡る対応が中国寄りだと主張し、脱退すると宣言していた。7月6日に通告を受けた国連サイドは、脱退条件を満たしているかどうか確認作業に入ったとしている。アメリカは1948年にWHOに加盟し、最大の資金拠出国となっており、脱退による活動への影響が懸念されている(7月8日付・共同通信Web版)。

   トランプ氏はこれまで何度も「WHOは中国に完全に支配されている。WHOとの関係を終わらせる」と脱退の意向を示してきたので、ついに実行に移したか、という印象だ。当のWHOは今回の通告に対してまだコメント発表していない。ただ、テドロス事務局長はこれまでアメリカ政府は協力の恩恵を世界は長年受けてきたと強調し、公衆衛生の改善に大きな影響を与えてきたアメリカの貢献を称賛している(6月1日・WHO記者会見)。

   今回の通告を11月のアメリカ大統領選の争点にしようとしているのが、大統領の座を争うことになる民主党のバイデン氏だ。さっそく、7日のツイッターに「大統領としての初日にWHOに戻る」と投稿し、政権を奪還すれば、来年1月に大統領に就任してすぐ、脱退を撤回する考えを示した(7月8日付・NHKニュースWeb版) 。

   冒頭の記事にあるように、国連サイドはアメリカの脱退条件を満たしているかどうか確認作業に入ったとしている。ぜひ、テドロス氏と中国の関係性を明らかにしてほしい。これまで指摘されているように、中国でヒトからヒトへの感染を示す情報がありながら、WHOがその事実を知りながら世界に共有しなかったのはなぜか。トンラプ氏でなくとも疑問に思う。

   そもそも、WHOと中国の関係性が疑われたのは1月23日だった。中国の春節の大移動で日本を含めフランスやオーストラリアなど各国で感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出したが、テドロス氏は「宣言する主な理由は、中国での発生ではなく、他の国々で発生していることだ」と述べた(1月31日付・BBCニュースWeb版日本語)。日本やアメリカ、フランスなど各国政府はすでに武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。

   ぜひとも、こうしたWHOと中国の関係性がアメリカの主張の通りなのか、国連サイドとして検証してほしいものだ。

(※写真は4月27日、テドロス事務局長の記者ブリーフィング=WHO公式ホームページ) 

⇒8日(水)夜・金沢の天気    あめ