#ダウ

★「機を逸す」ヒトとコト

★「機を逸す」ヒトとコト

   手を打つべきときのタイミングを逃したのではないか。アメリカのダウ平均株価が800㌦を超える値下げを受けて、きょう14日の日経平均も前日に比べ一時630円安い2万6300円台に落ち込んだ(午前10時過ぎ)。円安も強烈で、きのう外国為替市場で1㌦が135円台前半まで下落した。メディア各社は24年ぶりの円安は、金融不安で「日本売り」に見舞われていた1998年以来と報じている。

   この円売りの背景として上げられるのが、日本とアメリカの金利の差だ。アメリカは物価上昇を抑えるためにFRBが大幅な利上げを行うとの見通しが広まり、日銀が超低金利政策を継続させていて、それぞれの金利差がさらに広がるとの読みから円売りドル買いが加速している。

   ロシアのプーチン大統領もウクライナとの停戦のタイミングを失ったようだ。愛国心に訴えて、ウクライナに侵攻したもののきょうで111日目。むしろ、プーチン氏に誤算が目立つ。日米欧による経済制裁や外資の撤退でロシア国内の経済と雇用環境が悪化することは目に見えている。ソ連崩壊後に匹敵する大打撃を受けることは現実味を増しているようだ。側近の中に、この侵攻にひと区切りをつける提案する人物はいなかったのだろうか。

☆この株高、「ワクチンバブル」なのか

☆この株高、「ワクチンバブル」なのか

   東京株式の日経平均はきのう27日も107円上げ2万6644円で終えた。メディア各社は、1991年4月以来およそ29年半ぶりの高値を連日で更新したと報じている。株高は日本だけではない。ニューヨークのダウも今月24日に初めて3万㌦の大台に乗せている。

   振り返ってみると、新型コロナウイルスのパンデミックによる世界的な景気後退の懸念や、ロシアとサウジアラビアの対立による原油価格の暴落なども絡まり、全体が「弱気相場」に入っていた。とくに3月に入り、ニューヨークの株価指数「S&P500」の下落率が7%を超えると自動的に売買を停止する「サーキットブレーカー=Circuit Breaker」が何度か作動し、3月23日にはダウが1万8591㌦にまで落ちていた。東京株式も3月19日に1万6500円まで下がり、ことしの最安値だった。

   今でもコロナ禍は世界、とくにアメリカでの猛威は止まない。ジョンズ・ホプキンス大学のコロナダッシュボード(日本時間28日午前9時現在)によると、アメリカの感染者総数は1307万人、死亡者は26万人と断トツに多い。そして日本でもきのう27日は全国で2531人の新規感染者が発表され、2日連続で2500人超だ。にもかかわらず、年末が近づくにつれて株価が上がり、日経平均もダウも株価は絶好調だ。この現象はいったい何んなのか、そのファクターは何か。

   マーケット関係の記事を読むと、アメリカではコロナ対策で政府や連邦準備理事会(FRB)がつぎ込んだマネーが膨張して株式市場に流れ込んでいるのではないかという論が散見される。ただ、3月の安値からの上昇率は6割以上に達する。マネーの流入にしては、最近の株価の加速性を見ると時期的にアンバランスのように思える。アメリカ大統領選があった11月3日以降が上昇のテンポが速いので、バイデン効果かとも推測する。

   むしろ、ワクチン開発がアメリカの期待度を高めているのかもしれない。アメリカの株価が持ち直してきたのは、ワクチン開発を国家プロジェクトで進める「ワープ・スピード計画」が8月以降で臨床試験が本格化したタイミングだった。それが11月に入り早期実現のメドが立ってきた。「トランプ大統領は、新型コロナウイルスのワクチンの供給が来週とその翌週に開始する見通しだと述べた」「感謝祭の祝日に合わせて行われた海外駐留米軍兵士とのテレビ会議で語った。当初はコロナ対応の最前線に立つ人たちや医療従事者、高齢者に供給されると述べた」(11月27日付・ロイター通信Web版日本語)。

   ワクチンに関しては、アメリカの製薬会社は90%以上の有効性が確認されたとして、すでに緊急使用許可を政府に申請している。アメリカで12月からワクチン投与が始まれば、コロナ禍が社会や経済に及ぼしている影響が大幅に緩和されるとの期待が高まるだろう。ただ、ワクチン頼みだと、その効果の持続性や副作用などのマイナス面が出ると反動も大きく、経済パニックが再来し、ワクチンバブルも一瞬にして弾ける。アメリカのワクチン効果が国際社会に及ぼす影響を観察していきたい。

⇒28日(土)午前・金沢の天気     あめ

☆数字は踊る、気になる、「一番」に弱い

☆数字は踊る、気になる、「一番」に弱い

   あさ起きると数字が踊っていた。16日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価の終値が前週末比で470㌦高の2万9950㌦となり、今年2月につけた終値としての最高値2万9551㌦を更新し、初の3万㌦突破も迫っているとメディア各社が報じている。アメリカの株高を好感して、きょう17日の東京株式市場で日経平均株価が前日比100円を超える上昇、一時、2万6000円台をつけた(午前9時10分現在)。2万6000円台の回復は終値ベースで1991年5月以来29年ぶりととか。

   「一番」という数字には目が向く。理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳」が、17日に公表された計算速度を競う世界ランキングで首位を維持した。富岳が世界一になるのは今年6月に続いて2期連続(11月17日付・日経新聞Web版)。世界ランキングは毎年6月と11月に公表され、富岳は1秒あたり44.2京(京は1兆の1万倍)回の計算速度を達成した。2位のアメリカの「サミット」(同14.8京回)をさらに引き離した(同)。「富岳」を製造している富士通ITプロダクツは石川県かほく市にあり、地元の多くの人たちが製造に関わり、地域の誇りでもある。

   ここで思い出す。2009年11月、民主党政権下に内閣府が設置した事業仕分け(行政刷新会議)で蓮舫議員が、次世代スーパーコンピューター開発の要求予算の妥当性について説明を求めた発言。「(コンピューターが)世界一になる理由は何があるんでしょうか。2位じゃダメなんでしょうか」だった。科学者やスポーツ選手では当たり前と思われてきた世界一(金メダル、ノーベル賞)への道だが、政治家にはこの目標がない、正確に言えば「政治の世界ナンバー1」という尺度がないのだ。その尺度がない政治家が「世界一になる理由は何があるんでしょうか」と言う資格は本来ないだろう。ひょっとして政治家の多くは「オリンピックは参加することに意義がある」と今でも思っているのかもしれない。

   世論調査の数字も気になる。朝日新聞が今月11月14、15日に行った世論調査によると、「菅内閣を支持しますか。支持しませんか」の問いでは、「支持する」が56%で前回(10月17、18日)より3ポイントアップ。「支持しない」は20%で前回より2ポイント下げた。国会で論戦にもなった「日本学術会議」問題で、菅総理が学術会議が推薦した学者の一部を任命しなかったことについて、「あなたはこのことは妥当だと思いますか。妥当ではないと思いますか」の問い。「妥当だ」34%(前回31%)、「妥当ではない」36%(同36%)、「その他・答えない」30%(同33%)だった。三つ巴の様相だが、「菅総理の国会での説明に納得できますか。納得できませんか」の問いでは、「納得できる」が22%、「納得できない」49%となる。

    民意はどこにあるのだろうか。「菅さん、国会答弁は口下手だけど、やっていることはそう間違ってはいない。東京オリ・パラもあるのでなんとか頑張って」ということだろうか。

⇒17日(火)午前・金沢の天気    はれ