#ゼレンスキー大統領

★ゼレンスキー大統領がヒロシマで発したメッセージ

★ゼレンスキー大統領がヒロシマで発したメッセージ

   G7広島サミットは21日に閉会したが、ウクライナのゼレンスキー大統領が急きょ日本を訪れ参加したことで、注目度が一気にアップした。19日午後にテレビで来日のニュース速報が流れ、20日午後3時35分にフランス政府専用機で広島空港に到着した。タラップを降りる姿はトレードマークとなった全身カーキ色の服で軽くステップしながらも堂々とした姿で、ロシアの侵略戦争と戦う指導者というイメージがさらにアップした印象だった。

   翌日21日午後、ゼレンスキー大統領がサミット閉幕後に原爆資料館を訪れ、岸田総理とともに平和記念公園の原爆慰霊碑に献花した。このとき、前日のカーキ色のトレーナーを黒いトレーナーに着替えていたように見えた。外務省の公式サイトをチェックすると、黒のトレーナーで献花していた。哀悼の意を込めて黒色に着替えたのだろう=写真・上=。

   原爆資料館を訪れたときに、芳名帳に記帳したゼンスキー大統領のメッセージが外務省公式サイトに掲載されている=写真・下=。「Глибоко вражений відвіданням Музею. Жодна держава світу не має пережити такий біль і руйнування. Ядерному шантажу не місце в сучасному світі.」(原爆資料館の訪問に深く感銘を受けた。世界中のどの国も、このような苦痛と破壊を経験することがあってはいけない。現代の世界に核による脅しの居場所はない)

   ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用も辞さない構えを見せる中、被爆地ヒロシマで核の脅しに屈しない姿勢をメッセージとして伝えた。

   平和記念公園の原爆慰霊碑に献花した後に行われた記者会見で述べた言葉。「ウクライナのバフムトで起きている破壊とかつての広島の写真の風景が似ている。バフムトはすべての建物や道路が壊された状態だ。広島を見て、生きている街だと感じた。バフムトも将来、必ず再建できると思う」(21日付・NHKニュースWeb版)。

   バフムトはウクライナ最大の激戦地となっている東部ドネツク州の要衝。ガレキと化しても、広島のように復興し、繁栄できる、それを目標にするという決意でもある。ゼレンスキー大統領が被爆地ヒロシマから世界へ発信したメッセージだ。

⇒22日(月)夜・金沢の天気    くもり 

★感動シーンを創る「役者」たち 舞台はヒロシマ

★感動シーンを創る「役者」たち 舞台はヒロシマ

   G7の各国首脳らが広島市の原爆慰霊碑で一列に並んで花を手向け、記念の植樹をする様子をNHKの生中継で視ていた。ロシアがウクライナへの侵攻を続け、核兵器で威嚇するような発言を繰り返してしている現状なので、格好のタイミングだったかもしれない。ただ、感動的だったかというと、やはり2016年5月の「G7伊勢志摩サミット」後に被爆地ヒロシマの原爆慰霊碑を訪れたアメリカのオバマ大統領が被爆者を抱き寄せたあのシーンには及ばない=写真・上=。

   感動的なあのシーンには背景があった。2009年4月、プラハでの演説でオバマ大統領は「核兵器なき世界」を提唱し、ノーベル平和賞を受賞した。唯一の戦争被爆地の訪問は7年の歳月を経て、しかも、大統領任期の最終年でようやく実現したのだった。現職の大統領の広島訪問の実現はアメリカ世論では難しいとされていたが、それを乗り切った経緯もあったので、感動は深いものになった。

   今回はそれほど感動的ではなかったとは言え、G7の各国首脳が初めてそろってヒロシマを訪れ、原爆慰霊碑に花を手向けるシーンは海外メディアを通じて流れ、国際社会に向けて核兵器による惨禍を二度と起こさないという強いメッセージとなったことは間違いない=写真・下、NHK中継番組より=。オバマ大統領のヒロシマ訪問は当時の安倍総理(外務大臣は岸田氏)の、今回のG7各国首脳の訪問は岸田総理の功績と言える。

   そして、テレビメディアでニュース速報が飛び交った。ウクライナのゼレンスキー大統領がG7広島サミットに出席する、というのだ。対面出席の日程などはまだ明らかにされていない。

   サミットではきょう午後、ウクライナ情勢をテーマにした討議が行われ、議論の成果をまとめた声明を発表した。ロシアによるウクライナ侵攻は不当で、国連憲章違反の侵略戦争であると非難、ロシアに対してすべての軍を即時、かつ無条件に撤退させるよう求め、永続的な平和の実現はロシア軍の撤退なしには実現できないと強調した(NHKニュースWeb版)。ゼレンスキー大統領の来日はG7との強い連帯を求める意思表明なのだろう。前回のヒロシマでの役者はオバマ、そして今回の役者がいよいよ登場する。歴史に残るサミットになるかもしれない。

☜19日(金)夜・金沢の天気   くもり時々はれ

☆ドローン攻撃が本当なら 「恥ずべきはクレムリン」

☆ドローン攻撃が本当なら 「恥ずべきはクレムリン」

   モスクワのクレムリン上院宮殿の建物の上にある旗ざおの近くでドローンが撃ち落された映像が世界のニュースになっている。メディア各社の報道によると、ロシア大統領府は3日、「2機の無人機が夜、首都モスクワのクレムリンにある大統領府を攻撃しようとした。無人機は軍や特殊部隊によってレーダーで無力化され、クレムリンの敷地内に破片が落下した。被害は出ていない」と発表した(NHKニュースWeb版)。

   また、ロシア大統領府は無人機による攻撃の試みはウクライナのゼレンスキー政権によるものだとして、「ロシアの大統領を狙ったテロ行為だ」と主張。そのうえで「ロシアは適切な時期と場所で報復する権利がある」と報復措置を取るとしている(同)。

   これに対して、ウクライナ大統領のスポークスマンは「ゼレンスキー大統領が以前に何度も述べたように、ウクライナは他国を攻撃するのではなく、自国の領土を解放するために自由に使えるあらゆる手段を使用している」と述べ、ドローンによるクレムリンへの攻撃を否定している(CNNニュースWeb版)。

   アメリカのブリンケン国務長官はワシントン・ポスト紙主催の会合で、何が起きたかは「全く分からない」とし、事実関係を確認すると表明。「ロシアの言うことをうのみにはしない」とも述べ、ロシアの主張に懐疑的な見方を示した(共同通信Web版)。クレムリンでのドローン撃墜がロシアの偽旗作戦(自作自演)かどうかを判断する決定的な証拠は見当たらないものの、だからと言って、証拠が見当たらなければそれが直ちにウクライナによる攻撃であることの証拠にはならない。 むしろ、証明すべきはロシア側の責任だろう。

   上記に関連して、BBCニュースWeb版(4日付)の論調はロシア側の矛盾を突いている=写真=。「Kremlin drone attack is highly embarrassing for Moscow」の見出しで、クレムリンが言っていることが真実であり、プーチン大統領を狙ったものだとすれば、それはクレムリンにとって「非常に恥ずかしい事件」ではないのか、と質している。要約すると、記事の写真にもあるようにクレムリンの空域は厳重な警備下にある。なぜ、ロシア軍はクレムリンに飛来するまでこのドローンを迎撃しなかったのか、大きな疑問が残る。むしろ、この矛盾を解明すべきではないのか、と。

           確かに、ウクライナのドローンが突然、クレムリンに現れたとすれば、それはなぜなのか、ロシアが証明しなければ、「やはり偽旗か」と世界のロシアに対する不信の念は一層深まる。

⇒4日(木)午後・金沢の天気    はれ  

☆ウクライナの子どもたちを「戦利品」のように扱うロシア

☆ウクライナの子どもたちを「戦利品」のように扱うロシア

   ICC(国際刑事裁判所)は先月3月17日、ロシアのプーチン大統領とマリヤ・リボワベロワ大統領全権代表について、ウクライナ侵攻で占領した地域の児童養護施設などから少なくとも何百人もの子どもたちロシアに連れ去ったとして、国際法上の戦争犯罪の疑いで逮捕状を出した(3月18日付・NHKニュースWeb版)。

   同日のCNNニュースWeb版日本語によると、ウクライナのゼレンスキー大統領はICCの逮捕状について、「我が国の法執行当局で進行中の刑事手続きでは、ウクライナの子ども1万6000人以上が占領者(ロシア)によって強制連行されたことが既に確認されている。だが、強制移送者の実数ははるかに多い可能性がある」と述べ、「そうした犯罪行為はテロ国家の最高指導者の指示なしには不可能だ」との見方を示した。

   では、連れ去れた子どもたちはロシアでどのように扱われていたのか。AFP通信などで断片的に伝えられているニュースを総合すると、以下の様になる。子どもたちは東部ハルキウや南部ヘルソン両州などから不法に連れ去られていった。子どもたちの多くは、里子(養子)になるか孤児院に行くかを自分で判断することになる。

   一方、ロシア側は戦闘地域から子どもを「保護している」とし、家族と再会できるよう手続きを進めていると主張している。クライナの孤児380人がロシアの里親に引き渡された。養子になった子どもはウクライナ国籍を維持するとともに、ロシア国籍も与えられた。

   また、施設に入ると、朝6時に起床し、体操のあと朝食。その後は勉強をしたり、ゲームをしたりする時間もあるようだ。時にはダンスパ-ティーやモスクワ市内の見学もあるようだ。ただ、このケースはロシア政府が「慈悲深い救援者」と宣伝するプロパガンダに使われている。実際は子どもたちに再教育や軍事訓練などが課せられているとの見方もある。

   保護を理由に子どもたちをロシアに連れて行く行為そものが、子どもたちを「戦利品」のように扱っている。これはICCが指摘する戦争犯罪というより、ジェノサイド(民族抹殺)の行為に相当するのではないだろうか。

(※写真は、第二次世界大戦での対ドイツ戦勝記念日式典で演説を行ったプーチン大統領。相手をナチス呼ばわりして武力侵攻を正当化した=2022年5月9日付・BBCニュースWeb版)

⇒10日(月)午後・金沢の天気     はれ

★「必勝しゃもじ」は日露戦争の縁起物 だとすれば

★「必勝しゃもじ」は日露戦争の縁起物 だとすれば

   このところ「必勝しゃもじ」が連日ニュースに上がっている。岸田総理が今月21日にウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領に贈呈したとされる広島名産品。ネットで検索すると、「厳島神社・御朱印」サイトで必勝しゃもじの歴史や云われが詳細に出ている。江戸時代の寛政年間(1789-1801)のころ、厳島神社近くの寺院にいた修行僧が楽器の琵琶を模して神木でしゃもじをつくり、参拝客の土産品としたことが始まりとされる。明治時代に入ると日清・日露戦争があり、「飯(めし)取る=敵を召し取る」とのゴロ合わせで、しゃもじに「必勝」「商売繁盛」などの文字を入れ、縁起物として販売するようになった=写真、同サイトより=。

   きのう24日の参院予算委員会で、立憲民主党の議員からの質問で、岸田総理は「ウクライナの方々は祖国と自由を守るために戦っている。この努力に敬意を表したい」「外交慣例で地元のお土産を持って行くのはよくあること」とさりげなく答弁していたが、必勝しゃもじの由来は知っていたはずだ。日露戦争で日本が勝利したように、ウクライナにもロシアに勝ってほしいという意味を込めてのプレゼントだったに違いない。

   話は変わる。ところで、岸田総理がゼレンスキー大統領と会談していたころ、中国の習近平主席はモスクワを訪れ、ロシアのプーチン大統領と会談していた。中露首脳でいったい何を話していたのだろうか。中国の主席が手ぶらでロシアに行くはずもない。ましてや、ウクライナ侵攻開始後、日本を含め西側諸国はロシアに経済制裁を科し、石油の輸入やハイテク製品の輸出を禁じている。なので、ロシアは石油のさらなる購入や、中国製ドローンの供与、資金提供などの支援を中国に求めたのではないだろうか。

   では、中国側は何を求めたのだろうか。中国は「歴史的権利」を叫んで東シナ海や南シナ海での支配域を拡大している。以下はあくまでも憶測だ。中国にとっては、ウラジオストクやサハリンは清朝時代の領土であり、いわゆるアロー戦争で敗北後にロシアに割譲した(1860年・北京条約)。

   この海域の領土化をもくろむとすれば、まず、ロシアへの支援の代償として、北方領土(歯舞諸島、色丹島、国後島、択捉島)を譲り受けるという野望を描いているのではないだろうか。領土化と同時に、この4島を軍事拠点化することで、戦略的に日本とアメリカの双方ににらみを効かせる。国後島と択捉島ではすでにロシアは艦艇攻撃用ミサイルや新型戦闘機を配備しており、中露の共有基地化もあるかも知れない。ロシアがさらに衰退すれば、ウラジオストクやサハリンを取り戻すチャンスもある。あくまでも空想だ。

⇒25日(土)午後・金沢の天気    くもり

☆春分の花ドラマ WBC大逆転劇と仰天劇ウクライナ訪問

☆春分の花ドラマ WBC大逆転劇と仰天劇ウクライナ訪問

   きょうは春分の日。太陽が真東から昇り、真西に沈み、昼と夜が同じ長さになる。そして、春の彼岸の頃でもある。先日(19日)菩提寺で涅槃会(ねはんえ)が営まれ、先祖供養の後、恒例の「だんごまき」があった。寺では新型コロナウイルス感染が始まった2020年以降は、だんごを小さな袋に入れて配っている。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、春分の日は季節の大きな変わり目でもある。

   そして、春分の大逆転劇。WBC準決勝、侍ジャパンのメキシコ戦をテレビ中継で視ていた。4回で3点先制されて「これはアカン」と体が寒くなった。5回と6回に満塁のチャンスをつくったものの得点を奪えず。7回で吉田正尚選手がスリーランホームランを放って同点に追いつき、「よっしゃ」と心で叫んで体が熱くなってきた。8回で逆転されて、また「アカン」と気落ち。9回裏で大谷翔平選手がツーベースヒットで出塁して、「よっしゃ」と再び熱く気分が盛り上がり、村上宗隆選手の2点タイムリーヒットでサヨナラ勝ち。「三寒四温」の野球ドラマだ。

   さらに、アッと驚く春分の外交劇。岸田総理のウクライナ初訪問。インドを訪れていた岸田氏は、すでにインドを離れてきょう中にキーウに到着し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行うとの政府発表をテレビのニュースが伝えている。ウクライナへの連帯と支援を直接伝え、5月のG7広島サミットの議題の布石とする予定だろう。

   きょうの金沢の天気はくもり時々はれ。自宅庭を眺めると、梅だけでなく草花も春の彩りを添えている。愛想を振りまくようにヒメリュウキンカ(姫立金花)が咲いている=写真・上=。艶のあるその黄色い花は、冬を超えて春を告げるように咲く。花言葉は「会える喜び」だとか。カンシャクヤク(寒芍薬)も赤紫や白い花を咲かせている。寒さがまだ残るこの季節、よくを花を咲かせてくれたと、いとおしくもなる。

⇒21日(火・祝)午後・金沢   くもり時々はれ

☆ウクライナ侵攻1年 世界の流れをどう読む=下

☆ウクライナ侵攻1年 世界の流れをどう読む=下

   ロシアによるウクライナ侵攻からきょう24日で1年となった。ロシアが掲げる「偽旗(にせはた)=false flag」は世界から不信感を買った。偽の国旗を掲げて敵方をあざむいたり、被害者を装ったり、降参したふりをして相手のスキを突いたりと相手方を騙す意味で使われる。

          ~ディープフェイク vs ITアーミー 戦いはデジタル戦に~

   去年3月11日にロシアの要請で国連安全保障理事会の緊急会合が開かれ、ロシアの国連大使は「ウクライナで渡り鳥やコウモリ、シラミなどを利用した生物兵器開発計画があり、テロリストに盗まれ使われる危険性が非常に高い」「生物兵器の開発にはアメリカが関与している」「同様の研究は悪名高い旧日本軍731部隊も行った」と一方的に主張し、まさに偽旗を掲げた。

✰岸田総理のウクライナ電撃訪問は可能なのか

✰岸田総理のウクライナ電撃訪問は可能なのか

   ロシアによる軍事侵攻開始から1年になるのを前に、アメリカのバイデン大統領は20日、ウクライナを電撃訪問した。ホワイトハウスの公式サイトでは、「Statement from President Joe Biden on Travel to Kyiv, Ukraine」の見出しで、バイデン大統領とゼレンスキー大統領がいっしょにキーウのムィハイール大聖堂前を歩く姿の画像を掲載している=写真=。

   バイデン大統領は声明で、ウクライナの人々を空爆から守るため、砲弾や対装甲システム、空中監視レーダーなどの重要な装備を供与するとしている。また、ロシアに加担する人物や企業などへの追加制裁を今週末に行うと明言している。

   今回の電撃訪問は緻密に計算されていた。NHKニュースWeb版(21日付)によると、バイデン大統領は19日夜にポーランド南東部の街、ジェシュフに大統領専用機で到着したあと、車で国境に近い街、プシェミシルまで移動し、ここで列車に乗り換えてウクライナに入った。列車での移動は首都キーウに到着するまでおよそ10時間に及んだ。現地時間20日午前8時半すぎに、ゼレンスキー大統領が待つマリインスキー宮殿に到着。会談や共同発表を終えたバイデン大統領は午前11時19分に宮殿を離れ、キーウ中心部にあるムィハイール大聖堂を訪れ、その後、戦死したウクライナ兵士を追悼した。

   その後、正午ごろキーウにあるアメリカ大使館に到着。バイデン大統領は46分間、大使館にいたあと再び車に乗り、午後1時すぎに列車でキーウを離れた。滞在時間はおよそ5時間だった。こうした詳細はバイデン大統領がウクライナを離れたあと公開され、メディアも報じた。その理由は、ロシアからの攻撃を避けるためだろう。

           ここで思うのは、G7の首脳らは次々と戦地ウクライナを訪れて連帯を表明しいるのに、ことし議長国の日本の岸田総理は訪問をためらっているのか。岸田総理はすでに、侵攻から1年を迎える今月24日にG7首脳によるオンライン会議を議長国として開催し、ゼレンスキー大統領を招くことを明らかにしている。が、一度は現地に足を運ぶべきではないか。ただ、問題がある。

   上記のNHK記事のように、アメリカメディアはホワイトハウスとの取り決めで、バイデン大統領がウクライナを離れるまで沈黙を守った。では、日本のメディアは沈黙を守れるのだろうか。岸田総理の秘書官が今月3日に内閣記者会所属の各社記者とのオフレコ懇談(通称「オフ懇」)で語った「同性婚差別」問題を一部メディアが報じた。つまり、オフレコという取り決めは日本のメディアでは通用しない。このような状況では岸田総理のウクライナ電撃訪問などはムリではないだろうか。

⇒21日(火)夜・金沢の天気    くもり

☆世界史に残る ゼレンスキーお馴染みの姿でホワイトハウス訪問

☆世界史に残る ゼレンスキーお馴染みの姿でホワイトハウス訪問

   まるでスパイ大作戦のようなシナオリだ。メディア各社の報道によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は今月21日、お馴染みのオリーブグリーンのトレーナーと同色のパンツ姿でホワイトハウスを訪れ、バイデン大統領と会談した。会談後、バイデン氏は新たに地対空ミサイルシステム「パトリオット」や航空機搭載の精密誘導弾などの軍事支援、人道的支援を表明した。(※写真は、会談後の共同記者会見の模様=ホワイトハウス公式サイトより)

   このニュースを見て、多くの視聴者は「アメリカの大統領と会談するのだから、スーツにネクタイではないのか」とちょっとした違和感をおぼえたに違いない。自身もそうだった。軍事支援を得るための依頼の訪問であればなおさらだろう、と。ただ、逆に考えると、スーツにネクタイだったら、戦うウクライナ国民のモチベーションは下がったかもしれない。2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まると、ゼレンスキー氏はスーツとネクタイを脱ぎ捨て、ロシア軍と戦っている兵士たちと近い服装に着替えることで、国民との団結を示してきた。その姿勢は侵攻から300日を超えたいまも一貫している。

   そのゼレンスキー氏がスーツとネクタイに着替えてバイデン氏と会ったら、自国民も世界の人たちも「物乞い」の印象を抱いたかもしれない。それにしても、どのようなルートで訪米が可能になったのだろうか。BBCニュースWeb版(23日付)は「How did President Zelensky get to Washington?」の見出しで、その移動ルートを伝えている。以下要約。

   21日未明にウクライナ国境から夜行列車で10㌔のポーランド南東部プシェミシルの駅に到着。アメリカ側が手配した車で90分ほどかけて、ジェシュフ空港に到着した。アメリカ空軍の輸送機ボーイングC40Bに搭乗して、ワシントン近郊のアンドルーズ基地に向かった。アメリカのF15戦闘機が護衛した。北海上空ではロシアの潜水艦からの砲撃を警戒して、NATOの偵察機が監視。離陸からほぼ10時間後、ワシントンの正午ごろに到着した。ホワイトハウスは出国が確認できるまで、ゼレンスキー氏の公式訪問の公式発表を控えていた。

   ヘタに移動すれば暗殺のリスクもあったに違いない。一国の大統領が他国を訪問するために秘密裡に夜行列車に乗り、搭乗した飛行機を戦闘機が護衛するという緊張感にこそ、一触即発のキナ臭さが漂う。そして、お馴染みの服装でホワイトハウスを訪問したゼレンスキー氏の姿は世界史に残るのではないだろうか。

⇒25日(日)午後・金沢の天気   くもり時々みぞれ

★国連事務総長が語るべき「地獄の黙示録」

★国連事務総長が語るべき「地獄の黙示録」

   ロシアを26日訪れ、プーチン大統領と会談した国連事務総長のグテーレス氏は28日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と面談した。その夜、キーウで2回にわたって爆発音が響いた。ロシア軍のミサイル2発が撃ち込まれた。このため、グテーレス氏はウクライナ政府の建物に数時間にわたって足止めとなった(29日付・NHKニュースWeb版)。

   BBCニュースWeb版(29日付)によると、その後のインタビューにグテーレス氏は「私が訪れているキーウに2発のミサイルが着弾してショックを受けている。私たちは絶対にこの戦争を終わらせる必要がある」と述べた=写真=。グテーレス氏はウクライナでの「地獄の黙示録」を目の当たりにした。

   グテーレス氏は、ゼレンスキー氏との会談で、「ロシアによる侵略は明らかな国連憲章違反だ」と厳しく非難したうえで、マリウポリに取り残されている市民の避難に向け国連として全力を尽くすと強調した。その後、キーウの北西にあるボロディャンカの町を実際に訪れ、攻撃によって破壊された建物の前で、ロシアによる侵攻を「absurdity in the 21st Century(21世紀の不条理)」と呼んだ。さらに、マリウポリでは、「マリウポリは危機の中の危機だ」と述べた。「何千人もの民間人が命を救う支援を必要としており、その多くは高齢者で医療を必要としているが、移動が制限されている。彼らには黙示録からの逃げ道が必要だ」と語った。

   グテーレス氏が語った言葉だ。「I am here to say to you Mr President, and to the people of Ukraine, we will not give up」(意訳:「私はゼレンスキー大統領、そしてウクライナ国民に、私たちはあきらめないと言うためにここにいます)

   そもそも、グテーレス氏は行く順番を間違えた。まずウクライナの現場を見て、それからプーチン氏と語るべきだったのではないか。ならば、もう一度、ロシアに行くべきだろう。そして、「absurdity in the 21st Century」を訴えるべきだ。国連安保理は常任理事国のロシアによる拒否権の発動で機能不全に陥っている。崖っぷちに立っているのはむしろ国連ではないか。

⇒29日(祝)夜・金沢の天気   あめ