#スリップ事故

★能登半島地震 雪と雨でさらなるリスク

★能登半島地震 雪と雨でさらなるリスク

   きょうの朝刊各紙は「124時間ぶり 90代救出」を報じている=写真・上=。地震で倒れた家屋の生き埋めになるなど、石川県内の死者が120人を超える中、珠洲市の住宅地で90代の女性が救出された。報道によると、6日午後8時20分ごろ、倒壊した2階建て家屋1階部分のベッドの上にいた女性で、発見時、救助隊員との会話ができ、手も温かかった。救出は冷たいが雨が打ちつける暗闘の中、ライトをつけて行われた。生存率が著しく下げるといわれる「72時間の壁」を大幅に超える「救助劇」だ。

   未曽有の災害ながら、一筋の安堵感のあるニュースだった。一方で、5日に能登の実家を訪ねた際に不穏な話も耳にした。「片付けをお手伝いしますと言って、盗みに入る自称ボランティアがいるらしい」とのうわさだ。「関東ナンバーの車で来ているグループのようだ」とも。被災地ではとても緊張感が高まっていて、同時に警戒心も張りつめているので、こうした話はどこまで信憑性があるのか分からない。

   さらに、心配なのは天気だ。気象庁によると、北陸と新潟県の上空にこの時期としては強い寒気が流れ込んでいて、能登では雨が降っていて、平地でも雨は次第に雪に変わる見込みという。きょう7日夕方にかけて大雨となるところがあり、夜から8日昼前にかけて平地でも大雪となるおそれがある。

   大雨が降った場合、心配なのは山間地のがけ崩れで谷川がせき止められてできる土砂ダム、そしてため池の決壊だ。能登半島は中山間地での水田が多く、その上方にため池が造成されている=写真・中=。半島全体で2000ものため池があると言われている。元旦の最大震度7を含めきょう7日11時までに最大震度5弱以上の地震が15回観測されている。地震でため池の土手に亀裂などが入っていると、急に雨量が増すことでため池が決壊する可能性がある。こうなると、下流にある集落に水害が起きる。

   天気でもう一つ心配なのは、道路に降る雪だ。これは5日に実家に戻った際に体感したことだが、道路ではあちこちに地割れなどが起きていて=写真・下=、アスファルトの破片などが周囲に散っている。なので、道路表面を注意深く見ながら走行することになる。ところが、道路に雪が降るとそうした危険なエリアは見えなくなる。たとえば救急車がそうしたエリアに乗り上げた場合、横転やパンクといった被害が出る可能性が高くなる。

   能登の道路には救急車や救助車が多く行き交っている。車のナンバーを見ると雪国ではない地域からも多く派遣されている。不慣れな雪道での運転でスリップ事故など起きなければよいが、ついそんなことを思ってしまった。

⇒7日(日)夜・金沢の天気   あめ  

☆「顕著な大雪」峠は越えるも 能登で集落の孤立、停電

☆「顕著な大雪」峠は越えるも 能登で集落の孤立、停電

      気象庁は「顕著な大雪」という言葉を何度も使って、北陸地方に大雪に警戒するよう呼びかけている。きょう金沢の自宅周辺は銀世界となった。自宅二階から雪景色をきのうと同じアングルで撮影した。樹木に積もった雪のぶ厚さが顕著な大雪を物語る。(※写真・上は、23日午前7時35分に自宅2階から撮影した近所の雪景色)

   雪による被害が出ているのは能登地方だ。半島尖端部にある輪島市や珠洲市ではきょう午前で50㌢余りの積雪となっている。大雪で倒れた木や電柱が道を塞ぎ、車で行き来できなくなっており、180世帯が孤立化した。また、停電が2200戸余り、凍結による断水なども起きている。地元紙のきょうの朝夕刊によると=写真・下=、道路での倒木の撤去に時間がかかるため復旧の見通しは立っていないところもあり、輪島市などではまだ170世帯余りの孤立状態が続いている。同市は要望に応じ、食糧や毛布といった救援物資を届けている。停電などは一部復旧したものの、2100戸で停電が続いている。

   積雪が多いと交通事故が多発する。金沢市などではスリップ事故がきょう朝までに119件発生した。また、事故にはいたっていないもの、雪で車が動かなくなったりしているケースも相当数あるようだ。

   石川など北陸を襲った「顕著な大雪」は続くのか。金沢地方気象台によると、寒気のピークは過ぎつつあるものの、この後も断続的に雪が降る見込み。24日午前6時までに予想される降雪量は、多いところで、加賀平地10㌢、加賀山地20㌢、能登平地10㌢、能登山地20㌢となっている。「顕著な大雪」は峠は越えたものの、雪は降り続く。

⇒23日(土)夜・金沢の天気    あめ時々ゆき