★コロナ禍の陰で横行する「ショートメール詐欺」
先日、自分自身のスマホのSMSに「お荷物のお届けにあがりましたが不在のため持ち帰りました。ご確認ください」と、宅配業者の不在通知のようなショートメールが届いた=写真=。その文字の下にURLがあった。どんな荷物が届いたのかと、そこにアクセスすると何も映らなかった。一瞬気がついた。「やられた」。即キャンセルをかけた。
宅配業者を装った詐欺メールだ。その後、スマホには覚えのない電話番号からの着信が2度あった。もちろんこちらから電話をかけることはしなかった。この詐欺メールは実に巧妙だ。というのも、荷物が着払いの場合は宅配業者から事前に荷物を届ける旨の電話がある。普通、荷物には届け出先の電話番号が記されているので電話がかかってきても当然だと思う。その一般常識の盲点を突いた詐欺メールだ。
通常のメール(Eメール)だったら、宅配を名乗っても「なぜアドレスを知っている。フィッシング詐欺か」と削除するものだ。これがスマホのショートメールだったら、荷物の届け出先の電話番号に携帯番号が記載されることもままあり、疑念はさほどわかないだろう。そこでネットなどで調べてみると、SMSを使った詐欺メールはEメールを使った場合と区別して「スミッシング詐欺」とも呼ばれ、一昨年前から出始め今ではかなり被害が広がっているようだ。新型コロナウイルスの影響で在宅時間も多くなり、宅配も増えている。その陰でこのような詐欺メールが横行している。
きょうたまたま銀行から「偽のお荷物不在通知メールやSMSにご注意」とEメールが届いた。アクセス先にこの銀行の番号とパスワードを入力させ、不正送金させる被害が多発しているようだ。メールでは「被害に遭わないための注意」として3項を呼びかけている。「1.詐欺やSMSメールに埋め込まれたリンクは絶対クリックしない! 2.万一、偽サイトに誘導されても、お客さま番号・パスワード等は絶対入力しない! 3.万一、電話の自動音声で確認コードを伝えられても、誘導先サイトに絶対入力しない!」
佐川急便の公式ホームページをチェックすると、先月5月14日付で注意喚起している。「佐川急便を装った迷惑メールが届くというお問い合わせが急増しております。このような迷惑メールに記載されているアドレスにアクセスしたり、添付ファイルを開いたりされますとコンピューターウィルス等のマルウェアに感染する恐れがございますのでご注意ください。なお、当社では荷物の集配についてショートメール(SMS)によるご案内は行っておりません」。
どのように悪質な詐欺なのか、さらにネットで調べる。私が持っているスマホはいわゆるAndroid端末だ。これでSMSに記載されたURLにアクセスすると、偽サイトの画面が表示される。偽サイトには、「設定マニュアル」と書かれたインストール手順が記載されている。自身ははたと気がついて、画面をキャンセルした。もしうっかりと手順通りにアプリをインストールしていたら、自身の端末から不在通知を装うSMSが大量に送信されたり、キャリア決済で勝手にiTuneカードが購入されるという被害にあったかもしれない。
ここで思う。ショートメール詐欺に対策の手を打つべきはキャリア、つまり携帯電話会社ではないか。事例としてはそぐわないかもしれないが、SNSではすでにフェイクや不適切な発言内容について規制をかけ始めている。キャリアとして対策を打ってほしい。個人の責任論ではもう済まない段階にきているのではないだろうか。
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