#サイバーいじめ

☆「サイバーいじめ」とSNSプラットフォーマーの責任

☆「サイバーいじめ」とSNSプラットフォーマーの責任

   テレビ番組に出演していた女子プロレスラー22歳がSNSで誹謗中傷を受け死去したことに関し、高市総務大臣はきょう26日の記者会見で、ネット上の発信者の特定を容易にし、悪意のある投稿を抑止するため制度改正を検討する意向を示した。年内に改正案を取りまとめる方針だという(26日付・共同通信Web版)。

   一連の報道が気になり記事に目を通すが、死に至るまでの状況が記されていないので「事件」の概要がつかめないでいる。たとえば、SNSでの誹謗中傷はどのような内容だったのか、遺書にはどのようなことが書かれていたのか、そして、どのように死に至ったのか詳細な報道が見当たらない。本人の尊厳を守る意味で知りたいと思うのだが。

   さらに、テレビ番組のどのような女子プロレスラーのシーンがSNSで「炎上」のきっかけになったのか、その原因がメディアでは報じられていない。うがった見方だが、そのシーンがテレビ局側の「やらせ」だったとしたら、局側の責任も問われるのではないだろうか。

   高市大臣が会見で述べた制度改正とは、「プロバイダー責任制限法」のことだろう。匿名で権利侵害の情報が投稿された場合、被害者がインターネット接続業者であるプロバイダーに発信者の氏名など情報開示を直接請求できる。ところが、権利の侵害が明白でないとの理由から開示されないケースが多い。今回の会見で大臣が示した改正のポイントは、投稿者の特定を簡素化し処罰すること。しかし、こうなると権利侵害をめぐる裁判が多発することにもなり、新たな社会問題になる可能性もある。

   問題性はむしろSNSのサイト運営者、プラットフォーマーにもある。総務省が制度改正すべきは、誹謗中傷を放置状態にしているSNSのプラットフォーマーに自主規制の強化を促すことではないだろうか。削除要請があった場合に24時間以内に人権侵害などに抵触するかどうか判断し、削除に相当すると判断すれば実行する。表現の自由の範囲であれば、その旨を要請者に説明して放置する。もし、それにプラットフォーマー側が応じなければ高額の罰金を科すことだ(ドイツの事例)。

     女子プロレスラーが出演する番組が動画配信サービス「ネットフリックス」で流されていたことから世界でもファンがいる。イギリスのBBCニュース(23日付、Web版)も女子プロレスラーの死を取り上げている=写真=。「Hana Kimura: Netflix star and Japanese wrestler dies at 22 」の見出しで  「彼女の死のニュースについて、ファンや関係者は、サイバーいじめとその精神衛生上の影響について多くの声を上げている」と論評している。サイバーいじめはもはや、国際問題になっている。

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