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★無心の境地 ゴルフ松山選手の活躍に期待

★無心の境地 ゴルフ松山選手の活躍に期待

   8月に入り、和室の床の間の掛け軸を替えた。『白雲抱幽石』。人里離れた深山幽谷、そこに夏雲がもくもくと現れ、まるで雲が大地を抱きかかえているような壮大な自然の光景をイメージさせる。中国・唐代の禅僧、寒山の漢詩の一節である。

   この掛け軸に合う花を探すと、真っ白なムクゲの花、ギオンマモリがちょうど咲いていた。日差しを浴びて、純白に輝く様子がまるで夏雲のようなイメージだったので 、唐銅の花入れに挿した。

   改めて禅語辞典でくってみると、「世俗との交渉を絶って幽居する隠棲者寒山の心境が偲ばれる」と。禅の修行僧の境涯を表現したものと書かれている。自然界では人の奢り高ぶった気持ちは通用しない。自然を我家として修行に励むことで、人は全ての生き物と同じように大自然の中に生かされているということを改めて感じ、悟りをひらく。

   話は変わる。東京オリンピックのメダリスト、そして敗者へのインタビューが行われているが、その表情や言葉が短く的確で感動することがある。きょうNHKでゴルフ男子の最終ラウンドを視聴していた。ことし4月、海外メジャー大会のマスターズ・トーナメントで優勝した29歳の松山英樹選手に注目していた。メダル獲得を逃したものの、松山選手は「自分が思っているパフォーマンスは出せなかった」「きょうのプレーは上位に追いついて追い越せる雰囲気も感じながら、なかなか最後の部分がうまくいかなかった。自分の課題が見えてきた.」と淡々とインタビューに答えていた。

   スポー ツは勝利して結果を残すものなので、もっと悔しさをにじませた表情かと思ったが、そうではないのだ。「自分の課題が見えてきた」。このコメントを聞いて、松山選手は競技の中で、敵は相手ではなく、意のままにならない自身だと悟ったのではないかと察した。自らの鍛え方が足りないと、まるで武道家の言葉のようにも聞こえた。まだ、29歳、無心の境地で世界のゴルフ界を背負う人材に成長することを期待したい。

⇒1日(日)夜・金沢の天気      はれ時々くもり

★「松山」と「松山英樹」の違い 見出し考

★「松山」と「松山英樹」の違い 見出し考

   新型コロナウイルスの感染拡大やそのワクチンの国の対応の遅れや混乱など暗い話題が多い中で、久しぶりに明るいニュースだ。アメリカで行われた男子ゴルフの海外メジャー大会、マスターズ・トーナメントで29歳の松山英樹選手が優勝した。日本の男子選手が、ゴルフの海外メジャー大会で優勝するのは初めて。「松山選手は歴史的な快挙を成し遂げた」と、朝のワイドーショーは大騒ぎだ。

   ということは松山選手の地元・出身地でも大変なことになっているのではと察して、愛媛新聞Web(4月12日付)をチェックすると、「号外」=写真=がPDFで掲載されていた。「松山マスターズV」が主見出しだ。松山選手は愛媛県松山市の出身。地元では「松山の松山」、愛媛県民にとっては身近な存在なのだ。愛媛だけではない。松山選手が明徳義塾高校(高知県須崎市)のときに全国優勝を飾っていて、高知県民ともなじみが深い。高知新聞の速報版も「松山 マスターズ制覇」、そして東北福祉大学(宮城県仙台市)のときにマスターズ・トーナメントにチャレンジして27位、日本人初のベストアマチュアに輝いている。「3・11」の災害復旧ボランティアにもいそしんだと言われる松山選手は、宮城県民にとってもなじみが深いのだろう、河北新報(仙台市)も「松山 マスターズV」と速報版を出している。

   名前は知っていても、なじみのない読者にとって、「松山マスターズV」は違和感があるかもしれない。ちなみに、読売や日経、NHKなど全国メディアのWeb版は「松山英樹、マスターズ優勝」とフルネームで伝えている。

   文字メディアの見出しについての考察なのだが、「松山」と「松山英樹」の違いは地元メディアと全国メディアの編集サイドの感覚の違いなのかもしれない。全国メディアはあくまでもニュースとして伝えている。地元メディアは「松山おめでとう」と心からエールを送っている。そんなふうに感じる。もちろん、東京キー局であれローカル局であれ、テレビ局が生番組で伝える場合は、「松山英樹選手」、二度目からは「松山選手」だろう。決して呼び捨てにはしない。

⇒12日(月)午前 金沢の天気     はれ