#コロナウイルス

☆検証されるべきはWHOと中国の関係性

☆検証されるべきはWHOと中国の関係性

   気になった国際ニュース。アメリカはWHOから来年7月6日付で脱退すると国連に正式に通告した。トランプ大統領が5月下旬、新型コロナウイルスを巡る対応が中国寄りだと主張し、脱退すると宣言していた。7月6日に通告を受けた国連サイドは、脱退条件を満たしているかどうか確認作業に入ったとしている。アメリカは1948年にWHOに加盟し、最大の資金拠出国となっており、脱退による活動への影響が懸念されている(7月8日付・共同通信Web版)。

   トランプ氏はこれまで何度も「WHOは中国に完全に支配されている。WHOとの関係を終わらせる」と脱退の意向を示してきたので、ついに実行に移したか、という印象だ。当のWHOは今回の通告に対してまだコメント発表していない。ただ、テドロス事務局長はこれまでアメリカ政府は協力の恩恵を世界は長年受けてきたと強調し、公衆衛生の改善に大きな影響を与えてきたアメリカの貢献を称賛している(6月1日・WHO記者会見)。

   今回の通告を11月のアメリカ大統領選の争点にしようとしているのが、大統領の座を争うことになる民主党のバイデン氏だ。さっそく、7日のツイッターに「大統領としての初日にWHOに戻る」と投稿し、政権を奪還すれば、来年1月に大統領に就任してすぐ、脱退を撤回する考えを示した(7月8日付・NHKニュースWeb版) 。

   冒頭の記事にあるように、国連サイドはアメリカの脱退条件を満たしているかどうか確認作業に入ったとしている。ぜひ、テドロス氏と中国の関係性を明らかにしてほしい。これまで指摘されているように、中国でヒトからヒトへの感染を示す情報がありながら、WHOがその事実を知りながら世界に共有しなかったのはなぜか。トンラプ氏でなくとも疑問に思う。

   そもそも、WHOと中国の関係性が疑われたのは1月23日だった。中国の春節の大移動で日本を含めフランスやオーストラリアなど各国で感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出したが、テドロス氏は「宣言する主な理由は、中国での発生ではなく、他の国々で発生していることだ」と述べた(1月31日付・BBCニュースWeb版日本語)。日本やアメリカ、フランスなど各国政府はすでに武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。

   ぜひとも、こうしたWHOと中国の関係性がアメリカの主張の通りなのか、国連サイドとして検証してほしいものだ。

(※写真は4月27日、テドロス事務局長の記者ブリーフィング=WHO公式ホームページ) 

⇒8日(水)夜・金沢の天気    あめ

★「団子まき」まで中止とは

★「団子まき」まで中止とは

  「団子(だんご)まき」をご存じだろうか。金沢市などの寺では、釈迦をしのぶ涅槃会(ねはんえ)の法要がこの時節に営まれる。釈迦の遺骨に見立てた団子は僧侶らが米粉で作る。法要の後に団子がまかれ、参拝者は無病息災のご利益があるとされる団子を一生懸命に拾い集める。参拝者の中には、お守りとして身につける人もいる。子どものころ、競うように拾い集めたことを思い出す。

  懐かしい心の風景でもある団子まきが中止されると、きょう菩提寺からはがきが届いた。「恒例の涅槃会法要は3月22日とご案内致しましたが、昨今の新型コロナウイルス事情に鑑み、特に県内でも複数の患者が発生した事を重く受け止めて、今回は開催を自粛する方が良いと判断致しました。誠に残念ではありますが、予防と安心のためです。」と。確かに毎年境内には何十人と近所や檀家の人が集まるので、「やむなく中止」とせざるを得なかった和尚の苦渋の決断が伝わる。

  さらに別の行事の中止のお知らせもメールで届いた。茶道の利休忌の中止の案内だ。お茶の社中で3月29日に予定されていた。茶道を大成した千利休の遺徳をしので毎年営まれる。床の間に利休が描かれた掛け軸をかけ、茶を供え、一同で薄茶をいただく。利休忌ではしのぶだけではなく、「廻り花」「茶カブキ」などといった茶の湯の修練に励む大切な行事でもある。それをあえて中止するとなると、主宰者は相当の決断を要したはずだ。

   きょう石川県で5人目となる感染確認が発表された。5人とは言え、会を催す主宰者にとってナーバスにならざるを得ないだろう。勤め先の大学ではきょうも学術イベントの中止の知らせが相次ぎ届いた。新型コロナウイルスが日常の暮らしや職場環境、そして伝統文化や行事にまで暗い影を落としている。いま金沢はそんな状態だ。

⇒27日(木)夜・金沢の天気   くもり

☆いよいよ「自分ごと」に

☆いよいよ「自分ごと」に

   新型コロナウイルス問題がいよいよ「自分ごと」になってきた。来月24日に金沢市内のホテルで予定していたある報告会を中止にすることにした。自身が事業の総括報告、そしてパネルディスカッションの司会をつとめる予定だった。8つの大学の事業関係者に出席を呼びかけた矢先だった。

   中止を決断したきっかけとなったのは大学からの通達だった。きょう午後、「新型コロナウイルス対応」という書面が教職員全員にメールで届いた。「新型コロナウイルス感染症の発生状況が落ち着くまでの間は、以下の対応を実施する。」との書き出しで、「・できるだけ人込みの多い場所を避ける」「・不要不急の出張は中止する」「・イベントについては、可能な範囲で中止、延期又は規模縮小を行う」と。この通達をもとにスタッフと相談し、中止することを決めた。

   やってやれないことはない。ただ、スタッフからの意見は「通達が来ているのに、なぜあえて実施するのかという風当りも強まるのではないか」と。事業の報告書を作成中なので、後日関係者に郵送することで報告会に代えることにした。この通達の直後から学内イベントの中止の知らせが次々とメールで届いている。

   さらにショックだったのは能登に住む関係者からのメールだ。今月29日に能登で研究発表の審査会があり、出席を予定している。その審査会の主催者あてにコメントがメールで届いた。「大変申し訳ないと思うが、金沢市及び、感染経路内で活動されている方々の奥能登再訪は現在慎んで戴きたい」と。金沢市内では4人の感染者が出ている。「金沢の人間には能登に来てほしくない」という警戒心が能登の人々の心に広がっているのだろう。自分自身が警戒されているのだが、ある意味、当然と言えば当然かもしれない。

   冒頭で「自分ごと」と述べたが、中国・武漢からクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」へ。そして、日本各地から金沢での4人の感染者と事態が接近してきた。きょうは自らイベント中止の決断をし、そして能登の在住者からは「金沢の人間は能登に来てほしくない」のメールが届いた。コロナウイルス問題は、実に濃厚な自分ごとになった。

⇒26日(水)夜・金沢の天気    あめ

★黄砂が運んでくるもの

★黄砂が運んでくるもの

           共同通信Web版によると、週明け24日のニューヨーク株式のダウは急落し、1031㌦安い2万7960㌦で取引を終えた。1000㌦の下げは2018年2月以来の大きさだ。このときは、アメリカの金利上昇による株価急落と各国の連鎖的な株安が原因だった。ところが、今回は新型コロナウイルスという、見えない恐怖に世界が身構え始めたということだろうか。さてこの後、午前9時から始まる東京株式はどうなるのか。

   昨日(24日)自身が不気味さを感じたことがある。JR金沢駅周辺の駐車場で一晩停めていた自家用車のフロントガラスが黄砂で白くなっていた。黄砂は中国大陸から飛来する。飛んでくるのは砂だけではない。微生物なども混じっている。「黄砂バイオエアロゾル」ではないかと。

   金沢大学でも能登半島の先端で大気観測の拠点づくりを2008年から始め、無人の気球を上げて上空の大気の採取などを行っている。その現場を見せてもらったことがある。重さ2㌔の採取機器をビニール製の気球に取り付けて、上空850㍍から1㌔でおよそ1時間にわたって粉塵などを採取する=写真=。その中で発見される大気中微生物、つまりバイオエアロゾルは数千種類も及ぶという。

   黄砂は日本から4000㌔も離れた中国大陸のタクラマカン砂漠や、そしてゴビ砂漠から偏西風に乗ってやってくる。金沢大学の研究者の中には、食品発酵に関連する微生物が多いこと気づき、大気中で採取したバチルス菌で実際に納豆を商品化した研究者もいる。その納豆の試食会でご相伴に預かったが、日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの解説に妙に納得した。

   しかし最近は、黄砂の飛散と同時にPM2.5(微小粒子状物質)の日本での濃度が高くなったりと環境問題がクローズアップされている。加えて今回、偏西風に乗って湖北省武漢市の空気も運ばれてくるかもしれないと思うと、複雑な思いに駆られる。国境を越えて新型コロナウイルスも運ばれて来るかもしれない、と。こうなると防ぎようがない。ひたすらマスクをするしかない、のだろうか。

⇒25日(火)朝・金沢の天気   あめ

☆コロナショック 中国政治を揺さぶる

☆コロナショック 中国政治を揺さぶる

   共同通信Web版(24日付)によると、中国政府は新型コロナウイルスの感染で23日に新たに150人が死亡し、中国全体で死者は計2592人になったと発表した。感染者も新たに409人増え全体で計7万7150人となった。中国メディアの報道によると、WHOによる調査チームが23日までの2日間、湖北省武漢市を訪れ、現地の病院のほか、体育施設に設置された「野戦病院」方式の臨時病院などを視察したという。

   さらに、きょう24日午前中から北京で国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の常務委員会が開かれ、日程などについて審議している。全人代は来月5日から始まる予定だったが延期を正式に決める模様だ。こうなれば、4月上旬で日程調整が進めている習近平国家主席の国賓来日も延期が不可避となるだろう。一連の政治日程の延期が正式に決まれば、コロナウイルスが中国経済だけでなく、いよいよ政治にも打撃を与えたと世界のメディアは喧伝するだろう。

   その次にくる中国の動きは、政治リーダーである習氏の責任問題ではないだろうか。2018年3月の全人代では、国家主席の任期を「2期10年」までとする規制を撤廃する憲法改正案を採択している。習氏は2期目が終わる2023年以降も続投できるようになっている。自分で決めた規制の撤廃なので、踏ん張って続投しなければならない。政治的には盤石さを増したかもしれないが、それが裏目に出ているのが現状だ。

   逃亡犯条例改定案をめぐって学生や民主派が台頭した香港。2019年11月に実施された区議会議員選挙で、政府に批判的な立場の民主派が議席の3分の2にあたる300議席を超える圧勝だった。ことし1月11日の台湾の総統選挙は現職で与党、民進党の蔡英文氏が最大野党の候補者に圧勝した。台湾の民意は、中国との統一を拒否する蔡氏に大きく傾いた。そして今回の新型コロナウイルス問題である。2500人を上回る死亡者を出している。この逆風続きで問われているのは政治的なリーダーシップではないだろうか。

   リーダーがカリスマであればあるほど、いったん逆風が吹きだすと民意も荒れる。踏ん張らざるを得ない習氏にとって、任期撤廃は薬なのか、毒なのか。

⇒24日(月・振休)午前・金沢の天気    はれ