#コラム

☆続・「真偽の攻防」を読む

☆続・「真偽の攻防」を読む

  だいたいの勝負が見えてきた。民主党の永田寿康議員が16日の衆院予算委員会で暴露した、堀江貴文ライブドア前社長が社内の関係者に武部勤自民党幹事長の二男あてに3000万円送金するようメールで指示したとする問題である。民主党内でもこのメールのコピーについて「必ずしも本物とは言い切れないのでは」との懐疑論が広がり始めいるという(20日付・共同通信インターネット版)。

   爆弾発言をした永田氏の公式ホームページを覗いてみた。16日の追及発言の詳細は画像付きで出ているが、それ以降の更新がない。これは一体どういうことなのか。相当忙しくても公式ホームページは自らの主張や立場を有権者に伝えるコミュニケーション手段である。ここにまずメッセージを発しないと誰も信用しなくなる。先の共同通信の記事でも、民主党内でも一部幹部にしかコピーについての説明はないようだ、と述べられている。党内でもコミュニケーションがはかられていないのだ。

   永田氏は20日、国会を欠席した。これに対し、民主の野田佳彦国対委員長は「永田氏は(新情報提出に向けた)作業に集中して取り組んでいる」と述べたと別の共同通信の記事にあった。これも不可解だ。情報提供者と白昼会うために国会を欠席したと読める。永田氏の動向は追跡されて情報提供者の居場所を教えるようなものだ。

   新証拠を民主が提出するタイムリミットは22日だ。この日は午後3時から党首討論があり、それまでに民主側が3000万円を振り込んだとされる銀行口座などの証拠を出さなければ、逆に小泉総理がこの点を突いて質問してくるだろう。党首討論で勝った負けたレベルどころか、前原氏の責任論になりかねない。

 ⇒20日(月)夜・金沢の天気  くもり

★「真偽の攻防」を読む

★「真偽の攻防」を読む

  ライブドア前社長の堀江貴文被告が、自民党の武部勤幹事長の二男に3000万円を送金するよう指示したとされる電子メールが衆院予算委員会(16日)で暴露され問題となっている。が、その真偽をめぐり、メールを暴露したものの逆に「ガセネタだ」と信ぴょう性を疑われ、守勢に回ったのは民主の方だ。民主は新証拠を示す代わりに国政調査権を発動し、銀行口座を調べ上げろ主張している。これに対し、自民は「挙証責任は民主党にある」と拒否する構えで、国政調査権をめぐる攻防となっている。が、テレビを見ていても、双方腰が引けているという印象もある。

   こんな政治の場で展開される真偽の攻防を読み解く方法が一つある。それは、新聞の扱い、あるいは論調だ。私はこれを「プレスセンサー」と仮に名付けている。16日の衆院予算委員会で暴露したのは民主の永田寿康代議士だが、翌17日の各紙はこの問題をかなり大きく扱った。本来なら大スキャンダルに発展するのだから当然大きな扱いとなる。しかし、18日、19日と攻防をめぐる動きは伝えているものの、その後の新聞各紙のおっかけ報道がない。つまり、トーンダウンしている。

   おそらく、情報提供者は民主の永田代議士のみに提供している。しかも紙でプリントしたものを渡している。普通、よほど確信のあるものであれば、マスコミにも匿名で流すものだ。つまり、民主が追及し、マスコミが援護射撃をするという図式が一番効果的だからである。むしろ、いまのマスコミの関心は民主への情報提供者は誰が何のためにという点に向けられているのではないか。こうなると、永田氏は自民を追及することより情報提供者を守ることに四苦八苦することになる。だから腰が引ける。

   もし口座名が判っているのであれば、「○○銀行の口座だ」と民主は言えばよい。国政調査権を発動させるのであれば、そこまで証拠を提出すべきだ。そうなれば政局として事態は動く。週明けのポイントはここだと読む。

 ⇒19日(日)午前・金沢の天気  はれ

☆凄みのあるニュース2題

☆凄みのあるニュース2題

  トリノ冬季オリンピックは日本人のメダルが出ないせいか、日増しに興味が薄れていく。たまたま、ニュースサイト「AFP BB News」を眺めていると面白い記事に遭遇したので紹介する。

  スペイン南部のウエルバ地方でイチゴ摘みのシーズンが到来し、この収穫のために東欧諸国などから3万の労働者が雇われている。その中に、ガーナ出身のスティーブンという人がいる。3年間砂漠を歩いてガーナからモロッコへ行き、2002年にスペインのカナリア諸島にボートでたどり着いたスティーブンさんは、現在は出稼ぎ労働の常連だ、という内容の短い記事だ。イチゴ摘みに3万人(ほどんどが女性)が出稼ぎに訪れ、その中に3年間砂漠を歩き、ボートでスペインにたどり着いた人もいる。ひと言、世界は凄まじい。

  出稼ぎと言えば、稲刈りのシーズンになると、石川県の松任平野に能登の女性たちが大挙して稲刈りに訪れた時代があった。貴重な現金収入で、シーズンが終わりに近づくと金沢のデパートで買い物をして能登に戻り、今度は自分たちの田んぼの稲刈りをする。その稲刈りが終わると今度は夫婦で大阪や名古屋方面に出稼ぎに出る。春になると田を耕すために故郷に戻ってくる。スペインのイチゴ摘みから連想ゲームにようにして稲刈りの女性のたちの光景が目に浮かんだ。能登の女性たちはよく働き、その分、亭主が楽をするので、「能登のトト楽」という言葉まであった。

  最近もう一つ気になったのが、東芝がイギリスの核燃料会社BNFL傘下の原子力大手、米ウエスチングハウス(WH)を総額54億ドル、6400億円で買収すると発表したニュース。欧米での原発の新規建設や中国、インドなどの需要拡大を見込んだ動きだが、実に思い切った決断をしたものだ。

  原子炉には大きく分けて2つのタイプがあり、BWRと呼ばれる沸騰水型と、PWRと呼ばれる加圧水型。BWRは米ゼネラルエレクトリック(GE)が、PWRはWHがそれぞれ実用化した。GEと提携していた東芝はこれまでBWRを供給していたので、これで2つのタイプの原子炉を供給できるようになる。

  その狙いは、世界のマーケットを睨んだというよりむしろ、日本には運転開始から30年を超える古い原子炉が増えているので、電力会社はいずれ老朽化対策に動かざるを得なくなる。そのためには2タイプの原子炉を供給できる企業がシェアを取れる。次世代DVD規格「HD DVD」の東芝が、対立規格「ブルーレイ・ディスク」のソニーを買収したようなそんな凄みのある話ではないか。

⇒18日(土)夕・金沢の天気  くもり 

★カップ酒、ブームの仕掛け

★カップ酒、ブームの仕掛け

  ピンチがチャンスを生むことがままある。それは現状に危機感を抱き、創意工夫を凝らすことで危機的な状況を抜け出すということだろう。その一例を日本酒で紹介する。

 ひところ純米や吟醸といった高級化路線でブームをつくった日本酒の業界だが、最近はワインや焼酎に押されてかつての勢いはないと思っていた。ところが、妙なところからブームが起きているのである。カップ酒だ。そういえば、コンビニでも棚に占めるカップ酒の面積や種類が増えている。

 金沢の繁華街、片町にある日本酒バー「ZIZAKE」では石川県内の45銘柄のカップ酒がずらりと並んでいる。このバーを運営する県酒造組合連合会は昨年8月に「カップ酒王国いしかわ」を宣言して普及に乗り出した。観光地・金沢のちょっとした手土産に地酒のカップ酒が受けているそうだ。180-200㍉㍑、価格も200円から400円が中心だ。

 実は今月3日に「カップ酒とカキ鍋を楽しむ会」が金沢市内の料理屋であり、誘われて参加した。塗り升に樽(たる)酒を詰め、上部を透明フィルムで覆って密閉したものや、小さなボトル型をした「ちょいボトル」などかたちも工夫を凝らしている。飲みきりサイズで酒を楽しむ。そんなコンセプトの商品が次々と生み出されているのである。

 そのうち、ファミリーレストランなどにもカップ酒がメニューとなってくるだろう。なにしろラベルもバンビやパンダ柄などが全国的に人気を博している。狙いは新たな日本酒愛好家の開拓、ターゲットは若いファミリー世代とかなり戦略的に絞っているようにも思える。軽四自動車のデザインや機能が格段によくなってブームが起きている現象とよく似ている。

⇒12日(日)朝・金沢の天気   くもり  

☆完結・イタリア行

☆完結・イタリア行

 イタリア・トリノ冬季五輪の聖火が日本時間の9日にトリノに入ったとのニュースが流れていた。ローマのクイリナーレ宮を出発してから60日余りイタリア各地を巡って、たどり着いたようだ。私がイタリアを離れたのが1月22日。ミラノのマルペンサ空港はトリノの空の玄関口だが、オリンピックまで20日を切っていたのに空港は「オリンピック歓迎一色」ではないように思えた。

  いまはもっと盛り上がっているかもしれないが、当時の空港にはごらんのようなポスターが散見されるだけだった。そういえば、オリンピックのチケットも7割しかさばけていないとの不人気を伝えるニュースも当時は流れていた。確かに、ローマでもフレンツェでもミラノでもテレビが多少煽っているだけで、オリンピックらしいムードは感じられなかった。

  それでは、1998年の長野五輪のときに東京や大阪、福岡がオリンピック一色だっかというと、東京は少しその雰囲気があったにせよ、大阪や福岡には別の空気がただよっていたかもしれない。おそらく冬季五輪は「北のスポーツの祭典」あるいは「地域オリンピック」なのである。

  帰りの空路はシベリア上空を通過した。下の写真は1月22日午後4時ごろ、ハバロフスク周辺の上空、高度11000㍍からの撮影である。蛇行する川は凍りついている。果てしない雪原、白魔の世界を感じた。

  トリノ五輪までに書き上げようと目標にしていた数種類の調査・報告書もなんとか大学に提出できた。当初さんざん聞かされていた盗難にも遭わず、「子どもギャングがいる」といわれた地下鉄にも乗った。ただ、物乞いには数回つきまとわれた。それを差し引いても十分にお釣りが来るくらい、イタリアの都市は魅力にあふれている。 これで「イタリア行」を終える。

⇒10日(金)朝・金沢の天気  くもり

★続々々々々・イタリア行

★続々々々々・イタリア行

  イタリア人はけばけばしく見えるものを高級そうに見せる天才かもしれない。ミラノの中心にあるドゥオモは、イタリアの代表的なゴシック建築でバチカンのサン・ピエトロ大聖堂に次ぐ教会建築として知られる。このドゥオモの前の広場とスカラ座の間を結ぶアーケードのある商店街ガレリア(長さ200㍍、高さ32㍍)=写真・上=には世界のブランドが集まる。ミラノ市が管理している。つまり、この威容を誇るテナントの大家さんが行政というわけだ。そして、その行政の指導の下、しっかりした「まちづくり」が垣間見える。

   その一端がご覧の写真である。マクドナルドといえば、ハンバーガーの「マック」の愛称で知られ、日本でも世界でも同じあのロゴマークでおなじみである。ガレリアのマックのロゴはブラックとゴールドのツートンカラーである。向かい側のメルデスベンツも同じ配色である。実はこのガレリアではどんな世界的な企業であれ、ロゴは同じ色が条件となっているのだ。

  それぞれが独自の色を強調すれば、ミラノの中心商店街ガレリアはけばけばしい色に染め上げられてしまい、まちづくりのコンセプトそのものが失われてしまう。そこで、ロゴをかたちと色で大切にしたい企業側とそれを許さない市側の丁々発止があったことは想像に難くない。逆にそこで行政が折れるようでは、ミラノ市全体の「まちづくり」が頓挫、あるいは歯抜けになるに違いない。

  世界の有名ブランドであっても、ミラノ独自の色に合わせて従ってもらうという、「まちづくり」に対する行政サイドの強いメッセージをここガレリアで感じた。そして、こんな感じのマックが世界にひとつくらいあってもいい、と思った。

 ⇒9日(木)夜・金沢の天気  くもり

☆続々々々・イタリア行

☆続々々々・イタリア行

  イタリア人のデザインはわれわれ日本人には真似ができないほどに洗練されている。もともとイタリア人の素質なのかもしれない。ミケランジェロやレオナルド・ダ・ビンチ、ラファエロといった名だたる天才芸術家を生む土地柄である。フィレンツェ周辺で生まれている。

  ルネサンスという時代が彼らを生んだのか、彼らがルネサンスという時代をつくったのか、という議論にもなる。フレスコ画という壁画技法がイタリアで、ジョット(1266-1337年)によって確立され、たまたま、その技法が生乾きの漆喰の上に塗るという一人一仕事の作業だった。したがって、それまで復数人の工房でなされた仕事が個人の仕事となり、才能ある個人の名が売れる時代と重なる。個人の発想や力量を競う時代になった。それがルネサンスを開花させたバックグラウンドだとの説もある。

  現代のイタリア人にとって幸いなのはそうした先人たちの技法やセンスを毎日のように観察できることであろう。ローマやフィレンツェ、ミラノそのものが美術館である。そして先達のモチーフは街にはあふれる。上の写真はミケランジェロの「アダムの創造」である。このデザインがローマにはレンタルバイクの広告になり、そしてミラノではサッカ-チームのポスター にもなる。その時代と発想と感性でイタリアのデザンが磨かれているのだと思う。もちろん意地悪な見方をすれば、名画のモチーフに乗っかった「あやかりデザイン」と言えなくもない。 

⇒8日(水)朝・金沢の天気   くもり

☆ちょっと気になった言葉3題

☆ちょっと気になった言葉3題

  言葉にその時代の感性が含まれていると、なぜかしらその言葉が記憶に残るものである。最近、耳にしたり読んだ人々の言葉で脳裏に残っているものをいくつか。

   「金沢の街並みの景観をぶち壊しているのは屋根の上のあの無粋なアンテナなんです。あれを変えようと思ってここ10年努力してきました」。地上波デジタル放送用の平面小型アンテア=写真=を次々と開発している創大アンテナ(金沢市)の高島宏社長がある研究発表会(2月3日・加賀市)の冒頭に語った言葉だ。美術学校を出た高島氏にとって屋根の上のまるでイバラのようなテレビアンテナが気に障っていた。そこで一念発起して平面アンテナの開発に取り組み、アンテナをいまでは切手サイズほどにした。

  「日本の外交で先端を走って一生懸命になっているのは、外務省というより経済産業省だと思う。各国とのWTO(国際貿易機関)協定では本当に汗を流していると思うね」。馳浩代議士(文部科学副大臣)が金沢大学の林勇二郎学長との対談(2月4日・金沢市)で語った言葉。大学のあり方をめぐる話がいつの間にか政治、外交にまで広がって「時事放談」に。詳しい対談の内容は3月下旬に発行される金沢大学社会貢献情報誌「地域とともに」で。

  「私は今、ベートーベンの交響曲全曲演奏会に取り組んでいます。ベートーベンの前衛精神に挑戦する気持ちで、死ぬまで続けるつもりです」。朝日賞を受賞した指揮者の岩城宏之さんのスピーチから(1月28日付・朝日新聞)。昨年の大晦日、東京芸術劇場でのベートーベン演奏を9時間半に渡ってインターネットで配信する事業に私も携わり、演奏終了後に岩城さんとひと言ふた言。その際も上記の言葉の趣旨をはっきりと語っておられた。「死ぬまで…」との言葉は受け止め方によっては悲壮感が漂うが、5番「運命」にひっかけた岩城さん流の「しゃれ」だと私は解釈している。

⇒6日(月)朝・金沢の天気  ゆき 

★IPマルチキャスト放送の凄み

★IPマルチキャスト放送の凄み

  政府の知的財産戦略本部が、光回線やADSLのブロードバンドを使ってインターネットで地上デジタル放送のテレビ番組を提供する、いわゆるIPマルチキャスト放送について、著作権法上の「有線放送」と位置付けるとの方向性を打ち出した(2月3日付の新聞各紙)。

  このニュースの理解のポイントはマルチキャストの言葉の意味だ。ブロードキャストだと受信が誰でも可能となる。ユニキャストだと特定個人が対象だ。マルチキャストはその中間、つまり契約した多数に同時に送信するものだ。

   いまなぜこのIPマルチキャスト放送の著作権問題が出ているのかというと、地上デジタル放送はことし中に各ローカル局が対応するので全国でデジタル放送網が出来上がる。しかし、電波の届きにくい山間地などへはブロードバンドのインターネットを使って放送を流す計画(総務省案)だ。この際にネックとなるのが、インターネットを使った放送の著作権上での扱い。従来、文化庁はこのネット経由の放送を「自動公衆送信」と呼んで現在の有線放送(CATV)と区別してきた。

   今回の改正の方向性は、この自動公衆送信を有線放送と同じ位置付けとするもの。これによって、IPマルチキャスト放送の業者は、番組で使う音楽のレコード製作者ら著作権者に対し事後報告で済み手続きが簡素化される。現在は事前の許諾が必要で、これが手続きの煩雑さを生み番組のネット配信を阻む大きな原因とされる。改正法案は来年07年の通常国会で提出となる見通しだが、なにしろ、5.1サラウンドの臨場感ある音の演出が可能なデジタル放送であり、簡単に著作権団体がOKというか余談は許さない。

   今後この改正法案の成立を見込んで、IPマルチキャスト放送の事業者が続々と名乗りを上げるはずだ。なにしろ従来の放送の県域がインターネットによって外れる。県域内の難視聴世帯に対するマルチキャストは無料とするが、県域外への放送を有線放送並みに有料にすれば、これは大いなるビジネスチャンスにもなる。契約さえすれば、沖縄や海外にいても北海道の民放をリアルタイムで視聴できるようになるからだ。この意味では既存のCATV業者との確執も生まれよう。すでにKDDIなど4社が総務省にIPマルチキャスト放送の事業登録を済ませている。

   ともあれ、07年の参院選ではインターネットの選挙利用も解禁となる予定だ。続いて、IPマルチキャスト放送の利用も広がる。ネットが選挙と放送に本格的に組み込まれる時代。ネットの凄みである。

 ⇒7日(火)朝・金沢の天気  くもり  

★続々々・イタリア行

★続々々・イタリア行

  イタリアではハンカチをプレゼントされることを忌み嫌う。他国の人がその習慣を知らずに贈った場合、数十セントで「買う」。そうすれば、贈られたことにはならない。なぜそこまでするのか。「ハンカチは涙(悲しみ)を運んでくるもの」との思いがイタリア人には強いからだ。ミラノで読んだ邦人新聞「月刊・COMEVA」の記事を引用した。 

   ミラノはローマやフィレンツェと違い、真新しいビルも建ち並び随分と活気があるとの印象だ。黒尽くめのファッションをまとったモデルのような女性たちが街中をかっ歩している。女性が生き生きとしている街だとも思った。ただ、気になることが一つあった。木を燃やしたようなにおいがどこからとなく漂ってくるのである。ずっと気になっていたが、ついに発見した。レオナルド・ダ・ビンチの「最後の晩餐」で有名なサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の間近で。

  ご覧いただきたい(写真・上)。屋上の煙突から煙がもくもくと立ち上っている。この他にもいくつか煙突を発見した。石炭などの化石燃料ではなく、木質なのでにおいがやさしい。これでピザを焼いているのか、とも思ったりした。

   それにしてもミラノの街は美しい。裏路地に入っても、ご覧のように整然として美的な空間が醸し出されている(写真・下)。木々の緑があれば、また異なった空間になるのだろう。しかし、葉を落とした街も青空が広がり映える。

⇒4日(土)午前・金沢の天気  くもり