☆「ハブ化」を言う前に
きょうの論点の結論から言えば、「羽田 国際ハブ空港化」は無理だと思うし、その必要もない。また、そうすべきでもないと思う。日本人1億2千万人が使う空港を羽田にバブ化、つまり集中することの困難性は明らかだ。まず、地震や台風など災害が多い日本のような国では集中管理より、リスク分散だろう。次に、激しい建設阻止闘争を押し切って開港した経緯から、成田が午前6時から23時の時間帯しか発着できない約束事があるというのであれば、国土交通大臣が建設中止を明言した八ツ場(やんば)ダムのように成田の住民を説得に現地に赴くべきだ。深夜発着にかかわる騒音対策の問題もあるのでその補償案を提示して説得するのが筋だろう。
さらに、羽田‐成田間の乗り継ぎの不便さが指摘されている。確かに、京成、都営浅草、京急休耕の各線に乗り入れるかたちで直通列車が運行しているが、最短でも106分かかる上、便数も限られている。これをせめて50分台のアクセスにして、東京駅ともリンクするように国交省が全力を上げれば不便さはかなり解消される。ハブ化を言う前に、成田と羽田の利便性を高めるために打つ手はいろいろある。
韓国の仁川空港にハブ機能が奪われているという。「国際空港評議会」(本部ジュネーブ)が選出する2004年-2008年の「空港ランキング」総合評価部門で仁川が連続して「世界最優秀空港賞」を受賞し、国際貨物量で2006年に成田を抜いて世界2位になった。前原発言はこれを強く意識したものだろう。
そもそも西日本の地方空港がなぜ仁川を利用しているかというと、たとえば九州から見れば、成田や羽田はアジアやヨーロッパの方向とは逆方向に位置する。感覚的にあえて逆戻りしてまで成田や羽田を使いたいとは思わないのである。東京の人が北海道に行くのにわざわざ名古屋や関西に行くだろうか。つまり、「羽田 国際ハブ空港化」は東日本の感覚なのだ。日本列島は東西に長いのである。ちなみに、羽田のD滑走路(来年10月運用)を国際線に振り向ければなおさら国内線が窮屈になるのではないか。するとますます地方空港の仁川活用が増えるというパラドックスが生じる。仁川と競い合うハブ空港を日本でつくるとすれば、むしろ関西や福岡の方が東アジアのポジションとすれば地の利があると考える。※写真は羽田空港
⇒14日(水)夜・金沢の天気 はれ
出張は、金沢大学が文部科学省から委託を受けて実施している人材養成プログラムの中間報告のため。当初往復とも小松空港と羽田空港を利用した空の便を予約した。雲行きが怪しくなってきたのは今月5日ごろ。伊勢湾台風並みの大型台風がやってくるという。そのうち、8日に本州直撃との予報が。今風の「リスク管理」の5文字が脳裏に浮かび、「これはいかん」と旅行会社と相談し、台風に強い列車に切り替えた(6日)。行きをJR金沢駅から越後湯沢乗り換え、上越新幹線で東京へ。帰りは東海道新幹線で名古屋乗り換え金沢駅のチケットを手に入れた。航空運賃のキャンセル料(30%)がかかったが、リスク管理は経費がかさむものと自分を納得させていた。しかも、中間報告に出席する3人とともに発表のリハーサルも終え、準備は万全と悦に入っていた。
出版の世界では、「生きる権利をめぐる半世紀の闘争の裁判記録」となる。ところが、今回の映像では印象として「たくましき山の民の物語」である。映像では、法廷への出入りのシーンがあるだけで、ムシロ旗を掲げての抗議行動などのシーンというものが出てこない。村の生活やお祭りを交えながら淡々と映像は流れて行く。120分。 会場で配布された「あらすじ」からこのドキュメンタリーの流れを引用する。岩手県盛岡市の北、50㌔の山里。二戸郡一戸町小繋。ここへ今から50年前、映像カメラマンの菊池周、写真家の川島浩、ドキュメンタリー作家の篠崎五六の3人が通い、小繋の人々の暮らしの記録を取るようになった。小繋は戸数50戸に満たない山間の農村。村を取り巻く小繋山から燃料の薪や肥料にする草・柴を刈り取って暮らしている。山は暮らしに欠くことのできない入会地だ。入会地とは、一定地域の住民が慣習的な権利によって特定の山林・原野・漁場の薪材・緑肥・魚貝などを採取することを目的に共同で使用することを指す。
招いた9人のうち女性7人、宗教ではイスラムが多い。それぞれの国の大学や研究機関、シンクタンクの研究者の人たちである。30日午後、金沢大学を訪れた一行はまず学長を訪問した。あいさつは手土産渡しから始まった。彫り物といった民芸品が多いのだが、パキスタンから訪れた女性は綿のマフラーを。しかも、学長の首にまいて差し上げるというのが「決め技」である。手土産としては軽くて旅行バックに収納がしやすく、実に計算されていると感じ入った。この女性は場所を変えるごとに衣装換え、衣装のデザインは自らしたものだという。訪問先への手土産渡しは、アジアの光景である。欧米のプレゼント交換とは違い、なぜか共鳴するシーンではある。ちなみに学長のお返しは輪島塗の写真立て。
博多の駅は2011年の完成を目指し、リニューアル工事が行われている。完成予想図を見ると、京都駅のイメージがわいた。宿泊はグランド・ハイアット福岡。ホテルの立地が面白い。この一区画が「キャナルシティ博多」と呼ばれる、ビジネスとエンターテイメント(映画館など)、ショッピングセンターが渾然一体となった再開発エリアになっていて、その中心にホテルがある。ホテルの玄関は駅に背を向けた格好になっているので、博多駅から歩いてくると、建物と入り口が実に分かりにくい。恥をしのんで別のホテルに入り、フロント係りの人に場所を尋ねたくらいだ。
き上げるかと思えば、小刻みに腰を振るイメージの演出もあって、大技小技の利かせた噴水ショーなのである。人出も多い。あれやこれやで、エンターテイメントを生み出す「博多の勢い」というものを感じた。
17世紀のオランダの街並みをモチーフに設計されたというハウステンボスを歩く。石の道は何度歩いても歩きにくい、これもヨーロッパたたずまいかと思うと妙に納得したりする。前回ハウステンボスを訪れた2006年3月とは何が異なるか、自問自答すると一点ある。それは中国語と韓国語の人たちがめっきり減ったということだ。前回は四方八方に2つの言語が飛び交い、日本語は肩身が狭いほどだった。
プライベートでの長崎旅行は1994年8月、2006年3月と今回の3度目となる。空から海へのアクセスはこれが初めて。これまでは小松空港から博多空港に、それからJRに乗り継いでの陸路だった。波しぶきを上げて走る高速船の窓から湾の風景を眺めながら、ふと、「この高速船はどうなのだろう」と脳裏をよぎった。
すでに実施されている「ECT搭載車の通行料上限1000円」の割引制度でフェリー業界はどこも経営が青息吐息の状態といわれる。高速道路の無料化で観光客は増えるかもしれないが、フェリー業界の淘汰や再編が加速しそうだ。
同じく31日、かつて広告業界にいた知人との会話から。「自民よりましだと思って民主党に入れた人が多かったと思う。でも、民主が本当に日本の政治を変えるかは疑問だね。小沢さんたちは自民の大幹部だったしね。労組が応援しているとなると政治がちょっと左に動く程度じゃないかな」「当選者の数を見ると面白い現象が現れている。自民党が強いところほど当選者が多い。石川は7人もいる。福井も7人。これって自民と民主が互角で惜敗率が高かったせいで、比例で上がったんだね。石川に7人も代議士がいるんだから、使い倒さなきゃな。次の選挙のために、みんな必死に地元のために働くよ。これからが本当のドブ板だね」
この話を聞いて、今回の総選挙を連想した。政権というカメがどちらの方向に向くかをじっと観察している有権者が静かに手を動かす(投票)。これまでの選挙は、闘牛やスポーツを観戦するかのごとく国民は熱狂した。お祭り騒ぎをした。だから、誰が、どんな世代が何を政治に求めているのかが見えやすく、実感でき、論議もでき、そして自らの投票行動の基準が分かりやすかった。ところが、今回の選挙は政権交代で誰が何を求めているのか見えにくい、分かりにくい、可視化できなかった。
公職選挙法第6条2では、選挙の結果を有権者に速やかに知らせるように努めなければならないとしており、開票所は公開されている。ただ、テレビ各局は午後8時から一斉に「選挙特番」を放送するので、不思議な感じがする。携帯電話のワンセグ放送で視聴すると、開票所に到着した午後9時ごろ、全国200人余りにすでに「当確(当選確実)」が出ていた。ところが、この金沢市の開票所は開票のスタートが午後9時30分なのである。都市部の開票はだいたい午後9時ごろからなので、「メディア開票」がずっと先行していた。