☆震災とマスメディア-3-
ユニバーサル・サービスに好感、では7・24はどうなる
健常者でも障がい者で同じようにマスメディアから情報を得ることをユニバーサル・サービスという。内閣の、たとえば総理や官房長官の会見では、小画面に手話通訳者が出ている。会見場に手話通訳があることで、聴覚障がい者がリアルタイムでテレビから情報を得ることができる。今回の震災は原発事故と連動したため、メディアによるリアルタイムの放送に被災者の耳目が集まる。内閣の伝えようとする意志が見える。災害会見の手話放送はこれ以降、定番化するのではないだろうか。
好感の持てることばかりではない。震災でCMスポンサーが減っているせいで、CMの空き枠に公共広告機構(AC)のCMがやたらと入っている。しかも、「思いやり」や「生物多様性」など種類が少なく、繰り返しの放送で、このACが画面に流れると、チャンネルサーフィン(切り替え)を始めてしまう。もう条件反射のようになっている。それに、最後の「AC」というサウンドがうるさいと思う。これは視聴者が誰しも感じていることではないだろうか。番組のフォーマットでCM枠がすでに固定化されているので、CMスポンサーが少ないからと言って、CM枠を間引くことはできないのだ。民放の宿命だろう。
被災地の民放には同情する。放送そのものもさることながら、電波を視聴者に届ける前線である中継設備では、ミニサテと呼ぶ小さな局が多数損傷を受けているだろうことは想像に難くない。電気不通によるトラブル、それをカバーする自家発の燃料を届けられないこともあるだろう。テレビ局には、国の放送免許と引き換えに放送電波を人々が「あまねく」受信できるように設備を整えることが使命として課せられている(放送法第2条の6)。震災という困難なときほど使命が問われる。
3月17日、民放連会長による定例会見があった。注目されたのは、ことし7月24日に予定されているアナログ停波(デジタル完全移行)のスケジュールをそのままで進めるのかという点だった。東北地方はデジタル未対応の世帯が少なくない。広瀬道貞会長は「7月24日に(アナログ波を)停波できるような環境作りに対し、歩みを止める必要はない。全国一斉が原則。私自身は(震災でも)引き延ばす理由はないと思っている」、「人とお金をかけ、(地デジへの)切り替えができる環境を作ることが大切」とし、支援策としてデジタル対応テレビを支給するよう政府に求めていきたいと述べた(毎日新聞インターネット版)。難題が次々と。
⇒22日(火)朝・金沢の天気 くもり
そのころ、能登半島の輪島市で記者活動をしていた。デスクから電話があり、輪島漁港に行ってみると、足元まで波が来て、危うく逃げ遅れるところだった。1枚だけ撮った、渦に飲み込まれる寸前の漁船の写真は翌日の一面を飾った。2004年にテレビ局を退職し、大学の地域連携コーディネーターという仕事をしている。2007年3月25日の能登半島地震(震度6強)、翌日26日に被害がもっとも大きかった輪島市門前町に現地入りした。そこで見たある光景がきっかけで、「震災とメディア」をテーマに調査研究を実施することになる。
一方、今朝のニュースは、ニューヨーク外国為替市場で、円相場が一時1ドル=76円台に急騰し、1995年4月19日につけた1ドル=79円を超えて史上最高値となった。3月末の決算期を控えた日本企業の円需要が増しているのと、保険金の支払いに備え、保険会社が外貨資産を売るといった思惑、さらに日本政府が外貨準備として保有するアメリカ国債を売るのではないかとの観測まで広がっている。日本政府が国債増発ではなく、外貨準備に手をつけ、米国債を売却するのではないか、という憶測だ。アメリカとの外交問題が絡む。注視したい。
「森は海の恋人」運動の提唱者、畠山重篤さんの安否の続報を書く。畠山さんの消息が知りたいと切望している方々は多いと思う。15日付の『自在コラム』で畠山さんの安否について書いたところ、3件ものコメントが寄せられた。前回のブログで引用した『牡蠣復興および被災地救援対策会議』のサイトでの記事を今回も紹介する。畠山さんに関する新しい情報が入っている。畠山さんの親戚という人(「オイスターマイスター(OM)小屋めぐみさん」)が、畠山さんの娘(「愛子さん」)からの情報として安否情報を以下のように掲載している。読みやすくするために、掲載順番を新しいものを上にする。
気仙沼市在住で、漁民による広葉樹の植林活動「森は海の恋人」運動の提唱者、畠山重篤さんのことを今月12日付の『自在コラム』で書いた。畠山さんの消息が知りたいと思い、ネット上で探した。「畠山重篤」「安否」で検索すると、『牡蠣復興および被災地救援対策会議』のサイトに当たった。カキの愛好家がカキ養殖業者を支援するサイトだ。ここに畠山さんの親戚という人(「オイスターマイスター(OM)小屋めぐみさん」)が、畠山さんの娘さん(「愛子さん」)からの情報として安否情報を以下のように掲載している。
この巨大地震の被害は甚大であり、あるい意味では国難でもある。知人は善意でこのメールを知り合いに届けた。このメールを疑問に思った知人がさらに、次のようなメールを受け取った知人らに回した。
気仙沼港に6㍍の津波が到来し、市内は広範囲にわたって水没しているとメディアは伝えている。朝日新聞社のホームページ「アサヒ・コム」は、同社気仙沼支局長の報告として次のように報じている。「気仙沼港は火の海。すごいことになっている。午後5時半すぎ、気仙沼港口にある漁船用燃料タンクが津波に倒され、火が出た。その火が漂流物に次々に燃え移っている。さらに、波が押し寄せるたびに、燃え移った漂流物が街の中に入り、民家に延焼している。周辺は暗くなっているが、一面、真っ黒な煙と炎が覆っている。あちこちで火が上がり、『バーン、バーン』という爆発音もあちこちで聞こえる。気仙沼市街地北側で火柱が3本見える」。記事を読む限り、戦場を想像させる。
金沢市内で良く使うガソリンスタンドで3日、レギュラーが店頭価格143円をつけた。今月に入って市内でガソリン1㍑当たり140円台が相場となった。昨年末は120円台だったので、一気に20円も上がったことになる。今回のガソリンの値上がりは分かりやすい。「中東産油国の政情混乱」だ。問題は、これが一時的な現象なのだろうか、さらに値上がりするのではないか、ということだ。
京都大学側が2月28日に京都府警に被害届を提出し、さらに世間の注目を集めた。おそらく大学側は対応できないと判断したのだろう。京都府警もネットを使った犯罪にはチカラを入れていて、生活安全部のハイテク犯罪対策室が対応を担っている。その罪は、偽計業務妨害罪。つまり、偽計を用いて人の業務を妨害した、というもの。3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
ニュージーランド南島の中心都市クライストチャーチ付近で22日に発生した大地震。救出された富山外国語専門学校の男子学生(19)の被災体験が朝日新聞の24日付紙面で掲載されていた。学生はビルの4階にいた。昼食をとっていて、大きな揺れを感じた。いきなり、足元の床ごと、体が落ちた。周りの学生も「痛い」などと言いながら、一緒に落下していった。気づいたら、周囲は暗闇だった。右足が動かない。何かに、挟まれていた。奈落の底に落ちるような恐怖だったに違いない。学生は右足を切断し、救助された。
若者の姿が見えない理由の一つが、学生がいないことだった。ニュージーランドに7つある大学の一つ、学生数1万3千人のカンタベリー大学がクライストチャーチの中心街から郊外に移転した。金沢の街の事情と少々似たところがある。もう一つの理由が、若者が仕事を求めてオークランドに流れていた。オ-クランドは北島にある人口110万人を数えるニュージランド最大の経済都市である。いうならば一極集中の構造になっているこの国では、2番目の都市規模を誇る35万人のクライストチャーチであっても「ストロー現象」で若者が吸い上げられていたのだ。