#コラム

★「猛打賞」を贈りたい 大谷翔平、パウエルFRB議長、兵庫県議へ

★「猛打賞」を贈りたい 大谷翔平、パウエルFRB議長、兵庫県議へ

  「猛打の大爆発」とも言える快挙だ。大リーグ、ドジャースの大谷翔平が19日(日本時間20日)、敵地マイアミでのマーリンズ戦で3打席連続ホームランを含む6打数6安打10打点と猛打を振った。2盗塁も決めてMLB史上初となる50本塁打、50盗塁の「50ー50」の偉業を達成した。けさからNHKをはじめTVメディアやネットメディアが大騒ぎとなっている。

  テレビニュースで視ていると、5打席目の7回で大谷が50号本塁打を放った瞬間、観客席は総立ちになって大歓声を上げ騒然となった。そして、6打席目の9回で3打席連発となる51号を。「50-50」を超えて「51-51」に到達した。スタンディングオベーションは鳴りやまなかった。歴史的瞬間に立ち会った歓喜とは、このことなのだろう。(※画像は、MLB公式サイトで掲載されているの大谷翔平の「50ー50」の偉業達成の記事)

  猛打と言えば、アメリカのFRB(米連邦準備理事会)が、0.5%の大幅利下げに踏み切ったことも強烈だった。大幅な利下げは、当初「それほど景気が悪いのか」というマイナスイメージだったが、パウエル議長が金利決定発表後の記者会見で述べたひと言葉がそれを逆転させた。「The U.S. economy is in a good place, and our decision today is designed to keep it there」(19日付・ニューヨークタイムズWeb版)。意訳すると、「アメリカ経済は良好な状態にあり、きょうの我々の決定はそれを維持するためのものだ」と。これによって、アメリカ経済のソフトランディングへの楽観論が広がり、景気悪化と読んでいた投資家が売りから一転して買い戻し、IT企業株など中心に株価は3日ぶりの最高値を更新した。

  確かに、アメリカの直近の小売売上高(17日発表)は市場予想を上回り、労働市場も軟化はしているものの、多数の失業者が発生するといった状態ではない(日本のメディア各社の論評より)。逆にこれが言葉足らずで経済の悪化と国民に印象付けていたら、11月の大統領選にも影響を及ぼすのかもしれない。

  意外な猛打もある。パワハラ疑惑などを告発する文書について「うそ八百」と決めつけて文書を作成した県庁の局長を懲戒処分とした兵庫県の斎藤知事に対する不信任決議がきのう(19日)県議会で全会一致で可決された。86人の全議員が知事に「ノー」を突き付けたカタチだ。知事は10日以内に辞職か議会解散を迫られるが、知事が解散カードを切った場合は県議は選挙戦に追い込まれる。まさに、「もろ刃の剣」だ。それでも、総意と覚悟を持って県議全員で知事を追い込んだ。忠臣蔵の赤穂浪士四十七士を想起させる行動だ。見事だ。

⇒20日(金)午後・金沢の天気   はれ

☆崩れたトンネル内にトンネル 逆転の発想で車の走行と復旧工事が同時可能に

☆崩れたトンネル内にトンネル 逆転の発想で車の走行と復旧工事が同時可能に

  元日の能登半島地震では13万6000棟におよぶ住宅の全半壊や部分破損、山の土砂崩れ、海岸の隆起や沈没などのほかに、道路の崩れがいまも随所にある。半島を縦断する自動車専用道路「のと里山海道」が今月10日に全線での対面通行が可能になったものの、国道249号など幹線道路ではトンネル内部の崩落などで通行止めとなっているところもある。その現場をめぐっていると、修復現場で「逆転の発想」を感じることがある。

  その一つが輪島市の白米千枚田に近い国道249号での現場。国交省能登復興事務所は土砂崩れで寸断された国道の海側が隆起していることに着目し、海側の地盤を活用して道路を新設した。新しい道路の延長は800㍍で、うち海側430㍍で幅6㍍の2車線。山と海の両サイドに高さ3㍍の土嚢を積んで山からの崩落と高波の影響を防いでいる。この道路は5月のGWに供用が開始された。

  同じ国交省能登復興事務所が手掛けている輪島市の国道249号「中屋トンネル」の復旧工事も逆転の発想なのかもしれない。なにしろ、トンネルの中にトンネルを造って、工事を進めると同時に車が通れるようにするという。同事務所公式サイトに掲載されている「記者発表資料」(9月10日付)によると、トンネルの長さは1.3㌔だが、コンクリートの内壁などが崩れたため、940㍍にわたって補修工事が続いている。このうち、6ヵ所に「鋼製プロテクター」(防護壁、高さ3.8㍍、幅4㍍)を設置することで、トンネル本体が工事中でも車が通れる空間を確保するという。今月25日正午から緊急車両や地元住民の車に限って通れるようになる。(※写真は、国交省能登復興事務所の今月10日付・ニュースリリースで掲載されている中屋トンネル内のプロテクター)

  当面は1車線の交互通行となるが、復旧工事を進めて年内には2車線通行を目指すという。トンネルの内部に四角い小さなトンネルを設け、トンネル本体の補修を進めながら、車の通行を可能にするという珍しいこの工事は、きのう(18日)現地で地元住民のための見学会を開催して説明した。逆転の発想もさることながら、被災地の人々への丁寧な対応にも納得がいく。

⇒19日(木)夜・金沢の天気    あめ時々くもり

★「一喜一憂」寄せ集め また弾道ミサイル 秋場所の勝敗 地価上がり下がり

★「一喜一憂」寄せ集め また弾道ミサイル 秋場所の勝敗 地価上がり下がり

  北朝鮮がまた日本海に弾道ミサイルを発射した。18日午前6時53分ごろから午前7時23分ごろにかけて、複数発の弾道ミサイルが発射された。ミサイルは日本海のEEZ(排他的経済水域)の外に落下したとみられる。今月12日にも複数を発射しており、その技術を用いた「人工衛星」の発射も含めてことし9回目となる。日本海はスルメイカの漁場で、能登半島の能登町小木漁港から出港した中型イカ釣り漁船などが操業している。

  大相撲秋場所、能登の人たちは一喜一憂しているに違いない。能登半島の付け根に位置する津幡町出身の大の里は破竹の10連勝。奥能登の穴水町出身の遠藤は勝ち越しまであと1勝、中能登の七尾市出身の輝は9敗目を喫した。能登はある意味で相撲に「うるさい」土地柄だ。立ち話で、「きょうの大の里は・・」「きょうの遠藤は・・」と取り口の論評を聞かされることもある。あの「黄金の左」と呼ばれた第54代横綱の輪島(1948-2018)は七尾市出身、古くは江戸時代に活躍した第6代横綱の阿武松緑之助(1791‐1852)はいまの能登町の出身でもある。能登には相撲の歴史の深みがある。(※写真は、JR金沢駅の観光案内所に設置されている郷土力士の等身大パネル)

  国交省は7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した(17日)。それによると、全国平均では住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇幅も拡大したものの、元日の能登半島地震に見舞われた輪島市などでは大幅に下落した。輪島市の住宅地では河井町が1平方㍍8万5000円で14.8%、商業地の新橋通が1平方㍍2万3200円で17.1%、それぞれ下落した。この下落率は「全国1位」と地元の新聞メディアは報じている。能登は人口減少で地価下落が続いていたが、地震で拍車がかかった。一方、ことし3月16日に北陸新幹線が金沢駅から延伸した加賀地区では、白山市新成4丁目の住宅地が1平方㍍8万5000円と7.6%上昇するなど各地で延伸効果が広がっている。

  もう一つ統計の話。厚労省は100歳以上の高齢者の人数を発表した(17日)。9月15日時点で9万5119人で、人口10万人当たりの100歳以上の人数は76人となる。これを都道府県別で換算すると、一番多いのが島根で159人、高知が154人、鹿児島130人と続く。自身が住む石川は85人。ちなみに、東京と大阪はそれぞれ54人。一喜一憂せずにゆったり、そして酒がうまい県ほど100歳長寿が多いということか。

⇒18日(水)夜・金沢の天気   くもり

☆震災のむごさと教訓を語り継ぐ のと鉄道「語り部列車」が出発

☆震災のむごさと教訓を語り継ぐ のと鉄道「語り部列車」が出発

  能登半島を縦断する鉄道はJR七尾線と「のと鉄道」。のと鉄道は石川県の第3センターで、JR七尾線と連結した中能登の七尾駅から奥能登の穴水駅までの33㌔を往復する。七尾湾のコバルトブルーの海の絶景が楽しめ、4月になると100本余りのソメイヨシノやシダレ桜が構内を彩る観光名所として知られる駅もある。

  のと鉄道は元日の能登半島地震で線路がガタガタに歪むなど大きな被害に見舞われた。穴水駅に隣接した本社も破損したため、同駅内に停車中だった車両2両を仮の本社事務所として使い急場をしのいだ時期もあった。全線での運転再開にこぎつけたのは4月6日だった。こうした地震の当時の状況や震災の経験を乗務員が乗客に話す「語り部列車」(団体予約)の運行がきのう(16日)始まった。

  のと鉄道公式サイトには、語り部となる3人の女性乗務員が紹介されている=写真=。写真・中の宮下さんは地震が発生したとき、駅で停車中の車内にいた。津波から逃れるため、乗客を高台へと誘導した。あの日の恐怖は月日が経っても薄れることはなく、深く胸に刻み込まれているという。写真・左の牛上さんは自宅で被災した。家屋の倒壊は免れたが、目の前では土砂崩れが起き、尊い命が失われた。気持ちが沈んだ時期もあったが、この現実を伝えることが私の使命だと前向きに考えるようになった。写真・右の坂本さんは、自身の体験談はもちろん、能登各地での被災状況も丁寧に伝えていきたいと思っている。震災以降、悲しい思いと同時に人の温かさや能登の自然のおかげで元気を取り戻すことができた。語りを通して、能登の魅力をあらためて感じてもらえたらと願っている。

  のと鉄道は「語り部列車」を運行する意義ついて「地震の風化防止や災害の教訓を伝えるため」と強調し、「列車内では、震災を経験した弊社社員が『語り部』となり、能登に何が起き、人々がいま何を思い、考え、生きているのか、穏やかな車窓からの風景とともに“能登の今”をお伝えします。防災の大切さや被災地の現状をご自身のこととして感じていただき、ご乗車された皆様のこれからの暮らしに役立てていただければ幸いです」と述べている(のと鉄道公式サイト)。

  語り継ぐことは災害の風化を防ぐ原点でもある。のと鉄道の乗務員スタッフがその先陣を切ったことは評価に値する。能登の行政や町内会、学校、会社、社会福祉法人などでも災害への対応や教訓を伝える語り部を養成してほしいと願う。

⇒17日(火)夜・金沢の天気 はれ  

★総裁選と総選挙はセットか 政治の争点なき「人気投票」が続く

★総裁選と総選挙はセットか 政治の争点なき「人気投票」が続く

  きょうは「敬老の日」。総務省の人口推計(15日公表「統計からみた我が国の高齢者」)によると、65歳以上の高齢者は3625万人で、総人口に占める割合は29.3%となる。さらに、80歳以上は1290万人で人口の10%を占める。そして、日本の65歳以上の人口割合は主要国の中でも、イタリアの24.6%やポルトガルの24.5%などを上回りトップとなっている。世界の長寿国、めでたいニッポンではある。

  自民党の総裁選(今月27日)を控え、読売新聞は党員・党友を対象に実施した電話調査(14‐15日)の結果を16日付の紙面で掲載している。1500人から回答を得た。投票先は石破氏が26%、高市氏が25%、小泉氏が16%で上位を占めた。また、党所属国会議員の支持動向調査を行い、15日時点で96%に当たる352人から意向を聞き取りなどで確認した。それによると、小泉氏が45人と最多で、小林氏が40人、林氏が35人と続いた。総裁選は、議員票367票に加え、党員・党友票367票を合わせた734票となる。この読売の試算では、党員・党友票と議員票の合計で、高市氏と石破氏が123票で並び、小泉氏が105票で追う展開となる。

  日経新聞も同日付の紙面で、自民党総裁に関する世論調査(13‐15日)の結果を掲載している。調査は総裁選に立候補した9人から1人だけ「ふさわしい人」を選んでもうら形式で、全国の18歳以上の男女に電話で聞き取り調査、902件の回答を得た。それによると、石破氏が26%、小泉氏が20%、高市氏が16%と続いた。自民党支持層の回答では、石破氏が25%、高市氏が22%、小泉氏が21%の順となる。無党派層の回答では、石破氏が23%、小泉氏が18%、高市氏が13%と続いた。

  自民党では、新総裁の選出を公開討論会を開くなどして幅広く国民にアピールしている。NHKは立候補した9氏が臨んだ所見発表演説会を生中継していた(今月12日)。新聞・テレビなどマスメディアは27日まで総裁選一色だろう。立憲民主党の代表選(今月23日)も最中だが、メディアの扱いはその比ではない。総裁選が終われば、次は衆院の解散・総選挙への道筋だ。岸田総理のときは、2021年9月29日に新総裁が決まり、10月4日に首班指名と組閣、そして同14日に衆院を解散、同31日投開票という1ヵ月余りの流れだった。総裁選と総選挙がセットになり、政治の争点なき人気投票が続く。

⇒16日(祝)午後・金沢の天気    はれ

★被災地にキッチンカーが真っ先に駆けつける 国の仕組みこそ災害大国の必要条件

★被災地にキッチンカーが真っ先に駆けつける 国の仕組みこそ災害大国の必要条件

  能登半島地震の被災地を巡り、仮設住宅地などに立ち寄ると意外と多く目にするのがキッチンカーだ。1ヵ月ほど前の話だが、七尾市の港近くにあり郷土料理や獲れたての魚介類が味わえることで人気がある「能登食祭市場」が震災から徐々に復旧し、仮営業が行われているというので行ってきた。店舗はまだ半数も営業していなかったが、入り口ではテント市やキッチンカーが並んでいて、土曜日ということもあってにぎわっていた。キッチンカーは10台ほど並んでいただろうか。アイスコーヒーなどのドリンクを提供する車や、韓国キチンを売りにする車などに人の列ができていた=写真・上、8月17日撮影=。車ナンバーを見るとほとんどが石川ナンバーの中小型車だったので、個人事業のキッチンカーかと推測した。

  半島先端の珠洲市ではトラックのキッチンカーも見かけた。車体には「すき屋」と描かれてあったので、牛丼や寿司、ファミリーレストランなどのチェーン店を経営する「ゼンショーホールディングス」(東京)の公式サイトをチェックする。被災者のために15日から現地で炊き出しを始め、4月27日までの72日間で3万5558食を提供した、とある。冬から春にかけての能登では厳しい冷え込みが続いていたので、避難所に身を寄せる被災者にとって、温かい食事の提供で心身も温まったのではないだろうか。このほか、カレーやうどんなどの全国チェーンの車もみかけた。

  外食事業者によるキッチンカーを活用した被災地支援の動きは、全国的な動きになりつつあるようだ。農水省公式サイト「外食事業者によるキッチンカーを活用した食事提供の取組」(3月1日付)によると、農水省では外食業界団体である一般社団法人「日本フードサービス協会」と連携し、被災地方公共団体と調整した上で、外食事業者の協力を得て被災地でキッチンカーを利用した食事提供に努めている、とある。有償提供、無償提供を問わず、ゼンショー取組1被災地にキッチンカー支援が向かう動きは、能登が先進事例になるのではないか。(※写真・下は、農水省公式サイトより)

  この動きは、自民党総裁選(今月27日投開票)に立候補した9氏が臨んだ所見発表演説会(12日・NHK生放送)でも取り上げられた。石破茂氏は能登地震の被災直後の状況について、「101年前の関東大震災のときと変わらない。体育館で雑魚寝は、先進国では日本だけだ」「被災した人たちを励ますのは温かくておいしい食事だ」と語り、発災3時間をめどに簡易トイレやベッドをはじめ、キッチンカーを被災者のもとに届ける仕組みを制度として整備すべきだと強調していた。

  確かに、被災地での炊き出しなどを地元のボランティアに委ねるだけではなく、国の仕組みとして整備する、これは災害大国ニッポンに必要不可欠だろう。

⇒14日(土)午後・金沢の天気   はれ

☆物騒な海と陸 ロシア艦隊、弾道ミサイル飛ぶ日本海、ブナ凶作でクマ大量出没

☆物騒な海と陸 ロシア艦隊、弾道ミサイル飛ぶ日本海、ブナ凶作でクマ大量出没

  日本海が物騒になってきた。北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に数発放ち、ロシア海軍は日本海と太平洋で戦略演習を始めた。ロシア海軍の演習は過去30年で最大規模で、400隻以上の戦艦や潜水艦のほか、9万人の兵員、125機の航空機が参加しているとメディア各社が伝えている。

  防衛省公式サイトによると、北朝鮮は12日午前7時10分から14分にかけて、北朝鮮の西岸付近から、複数発の弾道ミサイルを北東方向に向けて発射した。落下した場所は朝鮮半島東の日本海で、日本のEEZ(排他的経済水域)の外だった。発射された弾道ミサイルのうち少なくとも2発は、最高高度100㌔程度で、飛翔距離は350㌔を超えたものと推定される。付近を航行する航空機や船舶への被害情報は確認されていない(12日午前8時56分時点)。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は6月26日以来で、その技術を用いた「人工衛星」の発射も含めてことし8回目となる。(※写真・上は、13日付・朝鮮中央通信Web版より。金正恩総書記は新型の移動式発射台から600㍉放射砲=多連装ロケット砲=の試射を視察した、と報じている)

  日本海はスルメイカの漁場で、能登半島の能登町小木漁港から出港した中型イカ釣り漁船などが操業している。弾道ミサイル発射の情報に船主や乗組員の家族、漁業関係者はピリピリしたことだろう。  

  ロシア海軍に大規模演習は「オケアン(大洋)2024」と名付けられ、オンラインで演習に参加したプーチン大統領は「この30年で、これほど大規模な海上演習が実施されたのは初めてだ」と称賛。ウクライナ侵攻の実戦経験を踏まえ、高精度兵器などの準備態勢も確認するという。「アメリカは軍拡競争を挑発し、欧州やアジア太平洋地域で危機的状況を作り出している」と一方的に主張し、「ロシアの主権と国益を守る」と強調した。極東ウラジオストクに近い日本海では、中国軍の艦船4隻が参加し、合同演習を行っている(12日付・読売新聞Web版)。

       物騒なことは身近にもある。石川県生活環境部自然環境課のまとめによると、ことし1月から9月9日までの「ツキノワグマ目撃痕跡情報」は241件に上っている。これは過去20年で最多のペース。市町別では加賀市が70件、金沢市と小松市が43件で並んでいる。このペースでいけば、ブナの大凶作でクマが大量出没した2020年(目撃情報869件)と並ぶ可能性がある。この年は人身被害が15人にも上った。ことしもブナの凶作が予想されることから、県はきのう(12日)関係市町と連絡会議を開き、捕獲オリの増設などの対策を呼びかけた(メディア各社の報道)。「クマ警戒」いよいよ本番の秋となる。

⇒13日(金)夜・金沢の天気    はれ

★能登と関わる建築家・坂茂氏に「世界文化賞」 被災家屋の能登瓦の再活用に動く

★能登と関わる建築家・坂茂氏に「世界文化賞」 被災家屋の能登瓦の再活用に動く

  能登半島地震の被災地での仮設住宅や去年秋の奥能登国際芸術祭2023の「潮騒レストラン」の設計など能登と深く関わってきた建築家の坂茂(ばん・しげる)氏が、世界の優れた芸術家に贈られる「世界文化賞」に選ばれたと報じられていた(10日付・NHKニュースWeb版)。「高松宮殿下記念世界文化賞」は日本美術協会が絵画や音楽、建築など5つの分野で世界的に活躍する優れた芸術家に毎年贈っている。

  建築部門で選ばれた坂氏は、紙でできた素材を使ったシェルターや仮設住宅を世界各地で造り、難民の救済や被災支援に取り組んでいることが高く評価された。記者会見で坂氏は「世界中で手軽に手に入るもので建築物をつうくり、社会の役に立ちたいと思った。地震で人が死ぬのではなく、建築物が崩れて人が亡くなる。だから、われわれには責任があると認識しながら、世界のために活動を続けたい」と受賞の喜びを述べた(10日付・NHKニュースWeb版)。

  坂氏の被災地支援を初めて見たのは、去年5月5日に震度6強の地震に見舞われた珠洲市での公民館だった。避難所用の「間仕切り」に工夫が凝らされていた=写真・上=。間仕切りはプラスティックではなく、ダンボール製の簡単な仕組み。ベッドなどがある個室にはカーテン布が張られているが、プライバシー保護のために透けない。環境と人権に配慮した避難所だった。間仕切りは市に寄付されたものだった。次に坂氏の作品を見たのは同市で開催された「奥能登国際芸術祭2023」(9月23日‐11月12日)だった。日本海を一望する「潮騒レストラン」は、ヒノキの木を圧縮して強度を上げ、鉄筋並みの耐震性と木目を活かして造られ、建物自体が芸術作品として話題を集めた。

  そして3度目が、能登半島地震の被災地支援で設計された木造2階建ての仮設住宅だった=写真・中=。石川県産のスギを使い、木のぬくもりが活かされた内装となっている。珠洲市の見附島近くあり、外装の色合いも周囲の松の木と妙にマッチしていて、まるで別荘地のような雰囲気を醸し出していた。木の板に棒状の木材を差し込んでつなげる「DLT材」を積み上げ、箱形のユニットとなっている。

  次なるプロジェクトも始動している。震災で倒壊した家屋=写真・下=から「能登瓦」を収集して、新築や改築、修繕の希望者に提供するほか、今後整備される災害公営住宅などにも再活用する。坂氏は現在は生産されていない「能登瓦」を耐寒性に優れた黒瓦であり、能登の景観を構成する要素だと高く評価している。家屋が倒壊したとは言え、割れてもいない能登瓦を廃棄物とすることに違和感があるのだろう。建築家の目線で「もったいない」と感じるのかもしれない。

⇒12日(木)午前・金沢の天気   くもり時々はれ

☆能登の復興を加速 「のと里山海道」ようやく全線で対面通行が可能に

☆能登の復興を加速 「のと里山海道」ようやく全線で対面通行が可能に

  自動車専用道路「のと里山海道」がようやく全線での対面通行が可能になった。きのう(10日)能登大橋付近での片側交互通行(260㍍)が解除され、能登半島地震の発災から254日目にして、能登と金沢の間がノンストップで通行できるようになった。7月17にのと里山海道は全線で通行できるようになったが、能登大橋付近だけが片側交互通行だった。交通インフラは被災地の復興を加速させるに違いないとの想いを込めて、全線の対面通行となったのと里山海道を往復した。

  能越自動車道を含めたのと里山海道は片道88㌔となる。全線で対面通行が可能になったものの、道路のアップダウン勾配や、左右の急カーブが続く。そして、一部区間の制限速度は時速40㌔に引き下げられたままだ。これまで盛り土の一部が崩れて1車線しか通行できなかった能登大橋付近は対面通行が可能となり、スムーズに車が流れていた=写真・上=。

  走行して思ったことは、率直な話、この道路を使用するのは12月末が限度かもしれない。能登は積雪も多い。去年2023年12月21日から22日かけて能登では60㌢もの積雪があった。同じ積雪があった場合、アップダウン勾配や左右急カーブの道路では、除雪車の走行すら難しいのではないだろうか。さらに、土嚢(どのう)が道路際に積まれていて、除雪ができないだろう=写真・下=。こうした箇所が数多くある。もちろん道路の修復は終わったわけではなく、これからさらに改良が重ねられていくのだろう。積雪の時季まであと3ヵ月だ。土嚢はいつ撤去されるのか。

  のと里山海道の横田IC付近を走行するドライバーの中には、道路の崩落現場で転落した乗用車を見た人も多いだろう。その転落した乗用車はいまも残されたままになっている。復旧・復興と言っても完全ではない。不都合を残しながらも徐々に進んでいる。

⇒11日(水)午前・金沢の天気    

★がけ地をよじ登るパワーショベル 見る人をハラハラさせる不思議な光景

★がけ地をよじ登るパワーショベル 見る人をハラハラさせる不思議な光景

  前回ブログの続き。先日(7日)輪島市で稲刈りが終わった白米千枚田と子どもたちの田んぼアートを見て、金沢に戻る途中の輪島市内の県道を走っていた。途中、元日の能登半島地震で山崩れが起きている場所が何ヵ所かある。その一つのがけ地の中腹で重機のようなものが動いているのが見えた=写真・上=。停車してよく見ると、パワーショベルが動いている。がけ地はかなりの急斜面地だ。時間は午後4時30分ごろだった。晴れてはいたものの、今月初めは台風10号の影響で能登でも雨もかなり降った。滑って落ち来ないか、パワーショベルの重みで土砂崩れが起きないだろうかと、眺めている方がハラハラ、ドキドキするような光景だった。

  そもそも、なんの目的でパワーショベルががけ地に上っているのか。車体をよく見ると、「ロッククライミングマシーン工法」(RCM工法)と書かれてあった=写真・下=。自宅に戻り、ネットで「ロッククライミングマシーン工法」を検索してみると、「高所機械施工協会」という団体の公式サイトで説明があった。以下。「急峻で複雑な地形が多く、地震など、常に災害の危険と隣り合わせであるわが国において、高所法面(のりめん)の工事は必要不可欠である。しかし、従来の主に人力に頼る工法では、1日の施工量も限られ、地盤の崩壊や落石といった危険があった。そんな高所法面の工事を、ロッククライミングマシーン(RCM)を使用して行うのが、RCMによる法面掘削工法」とある。

  さらにサイトを読み込むと、法面の上部に設けたアンカー(主に立木を使用)と、RCMを十分な強度を持つ2本のワイヤーで接続し、安全を確保してから工事を行う、とある。車体も高所の傾斜に対応し、作業体を常に水平に保つリフティング装置を搭載するなど、さまざまな工夫が施されている。

  それにしても何の目的でこの作業を行っているのか。以下はあくまでも素人の推測だ。地震で崩れた下には河川が通っており、さらに対岸には民家もある。ということは、今後がけ崩れが起きると「土砂ダム」ができたり、民家に被害が及ぶことも想定され、法面をなだらかにすることでその危険性を緩和する作業なのだろう、か。

  落下防止に最善を尽くしているのだろうが、それにしても斜面から滑り落ちるのではないか、何か間違いが起きれば大きな事故が発生するのではないか。見れば見るほどハラハラする不思議な光景ではある。

⇒10日(火)午前・金沢の天気    はれ