#コラム

☆コロナ危機 アメリカの国家非常事態宣言

☆コロナ危機 アメリカの国家非常事態宣言

   新型コロナウイルスの舞台はアメリカに移ったようだ。ニューヨーク・タイムズWeb版によると、独自の集計でアメリカ国内の感染者が2100人となり、死亡は48人となった。感染が確認されたのは48州と首都ワシントン。トランプ大統領は13日の記者会見で、国家非常事態宣言を出した。これにより、FEMA(連邦緊急事態管理庁)の災害対策予算など最大で500億㌦(5兆4000億円相当)を、感染拡大の防止や各州ならびに地域行政の対策に投入することができるようになる。

   国家非常事態宣言とは別に、連邦保健機関に83億㌦を提供する緊急対策措置法も成立させる。健康保険に加入していなくてもウイルスの検査を受けられるようにする。また、休職や解雇を余儀なくされた人たちのために所得の保障や、失業保険を充当させる。すでに野党・民主党の合意を得ていて来週にも成立する。

   ニューヨーク・タイムズWeb版によると、今回の記者会見でトランブ大統領は政府の危機対策だけでなく、国民に大規模な集会を避け、出張を延期するなど「短期的な犠牲」を払うよう呼びかけた。これからの8週間はウイルス拡散を防ぐために重要であるとして協力を求めた。記事は、トランプ大統領の締めのコメントを紹介している。「“This will pass through,” Mr. Trump said, “and we’re going to be even stronger for it.”」

   意訳だが、「コロナ危機を乗り超えよう、そうすれば、私たちはパンデミックに対してさらに強くなるだろう、とトランプ氏は述べた」だろうか。国家非常事態宣言らしい、危機対応への戦闘意欲がにじみ出た言葉ではある。もちろん、来る11月の大統領選挙を意識したに違いない。   

            今回の記者会見は、ニューヨーク株式市場の取引終了前のタイミングだったこともあって大きく値上がりした。ダウの終値は前日に比べて1985㌦高い2万3185ドル。前日は2352㌦安と過去最大の値下がりだった。そこそこ値を戻したとは言え、1ヵ月前の2月12日は2万9551㌦の史上最高値をつけているので、きのう13日の終値は最高値に比べマイナス21.5%だ。今後「we’re going to be even stronger for it.”」と力強く動くかどうか。

   それにしても、民主党は大統領候補者選びの選挙がやりにくくなったのではないか。すでに、10日に予定されていたオハイオ州でのバイデン陣営とサンダース陣営の支持者集会はキャンセル。15日夜にアリゾナ州でバイデン氏とサンダース氏の討論会が開かれるが、主催するCNNは会場に観客を入れずに実施すると発表している。

⇒14日(土)午前・金沢の天気   くもり時々あめ

★未明にグラグラ、能登で震度5強

★未明にグラグラ、能登で震度5強

   先ほど金沢の自宅で就寝しているとグラグラと揺れを感じた。一瞬「関西か」「能登か」と思い浮かんだ。1995年1月17日の阪神淡路大震災、2007年3月25日の能登半島地震のときもも同じような揺れを感じたからだ。スマホでNHKニュースを確認すると「能登地方で震度5強」の速報が出た。能登に住む知人にショートメールで「どうだった」と確認すると、「ガタガタと揺れたが、家は大丈夫」と返信があった。

   テレビのNHKを確認すると、「午前2時18分に輪島市で震度5強、穴水町で震度5弱、マグニチュード5.5、七尾市や中能登町、志賀町、能登町、高岡市、富山市などで震度4、金沢市などで震度3」と報じられている。   

   テレビ画面で表記されている震源(✖印)は2007年3月25日の能登半島地震のときと同じ場所、輪島市門前町沖だ。このときは輪島市と穴水町でマグニチュード6.9、震度6強だった。写真はそのときの輪島市門前町の様子だ。この地区だけで200余りの住宅が全壊したと記憶している=写真・上、2007年3月26日撮影=。明け方になるにつれて全容が明らかになるだろう。地域のみなさんの無事を祈りたい。 ⇒記述:3月13日午前3時24分現在

        震源地近くで震度5強だった輪島市門前町に住む知人に8時50分に電話して、街の状況を聞いた。「13年前に比べると棚から物がそれほど落ちていない。瓦が落ちたとか壁が崩れたということもない。ただ、総持寺の石灯籠が一部崩れたらしい。13年前と比べるとおとなしい地震だった」と。この地域ではけが人も倒壊家屋もなかったと聞いて少し安心した。気象庁が午前4時30分から行った記者会見をネットのライブ中継で視聴していた。今後1週間ほど最大震度5強程度の地震に注意が必要とのこと。 ⇒記述:3月13日午前9時19分現在 

  新聞各紙は夕刊で被害状況を詳細に伝えている=写真・下=。JR七尾線、のと鉄道は一部で区間運休となった。輪島市の小学校などでは図書館で棚から落ちた大量の書籍類が散乱、給食室でも食器棚から皿など食器が落下した。能登地域では地震に人的被害や火災の発生はなかった。 ⇒記述:3月13日午後7時50分現在 

        世界の金融・経済も大揺れだ。12日のニューヨーク株式市場のダウ終値は前日比2352㌦安の2万1200㌦、下げ幅は9日につけた2013㌦安を超え、過去最大となった。ドイツやフランスの株価指数は12%強下落し、イタリアの指数は17%近く値下がりした。新型コロナウイルスの感染拡大が直撃している。13日東京株式の日経平均も一時1830円を超え、取引時間中の下げ幅としてはバブル経済末期の1990年4月以来、30年ぶりの大きさになった。日経平均の終値は12日より1128円58銭安い、1万7431円なった。終値が1万8000円を下回るのは2016年11月以来となる。(13日付・日経新聞Web版)。 ⇒記述:3月13日午後8時10分現在 

☆ついにパンデミック宣言、世界は

☆ついにパンデミック宣言、世界は

   WHOのテドロス事務局長は11日、新型コロナウイルス感染症について「パンデミックと表現できるとの判断にいたった」と表明した。中国にとどまらずイタリアや韓国、イランなど世界の広範囲に拡大し、これらの国からさらに他国に広がる例も多発。全世界で感染者数が12万人、死者は4380人に上っている。テドロス氏は「感染者や死者は今後も増える」と予測した(12日付・共同通信Web版)。

   パンデミック宣言を受けて、11日のニューヨーク株式市場のダウは前日比1464㌦安の2万3553㌦で取引を終えた。下げ幅は今月9日の2013㌦安に次ぐ過去2番目の大きさを記録した。パンデミックによる景気後退への懸念から投資リスクを回避する売り、「弱気相場」に入り込んだ(同)。

   さらにニューヨーク株式の流れを受けて、12日の東京株式の日経平均は一時1000円安で午前中は時1万9000円を下回る展開となった。この背景には、アメリカのトランプ大統領が感染拡大の防止措置として、イギリスを除くヨーロッパからアメリカへの入国を13日から30日間停止すると発表したことが、世界経済の減速要因ととらえられた(12日付・日経新聞Web版)。

  パンデミックは経済だけにとどまらない。ニューヨークに本部がある国連は、コロナ感染を防ぐため、今月下旬から来月にかけて予定されていた2つの国際会議の延期を決め、本部を閉鎖するかどうかについても具体的な検討に入った。国連では、今月すでに女性の地位向上を話し合う一連の会議が延期され、11日には新たに今月下旬から来月下旬にかけて開く予定だった生物多様性の保全に関する政府間協議と、先住民の権利保護を話し合う国際フォーラムなど次々と延期を決めている(12日付・NHKニュースWeb版)。

  ドイツのメルケル首相は11日の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチンは存在しないと述べ、このままの状況が続けば「人口の6割から7割が感染すると専門家は言っている。ウイルスは身近にある」と語った。医療機関の受け入れ能力を維持するため、感染の急拡大防止に取り組んでいると訴えた(12日付・共同通信Web版)。(※写真は11日付・イギリスBBCニュースWeb版。「Italy shuts nearly all shops as WHO declares pandemic」、WHOがパンデミックを宣言したため、イタリアはほぼすべての店舗を閉鎖すると伝えている)

⇒12日(木)午前・金沢の天気    はれ

★「広告業界の転換点」 ネットがテレビを抜く

★「広告業界の転換点」 ネットがテレビを抜く

   きょうは「3月11日」。東日本大震災が起きて満9年になる。震災発生時、私は大学の公開講座で社会人を対象に広報の在り方について講義をしていた。テレビ速報を見た講座の担当教授が血相を変えて講義室に駆け込んできて、「東北が地震と津波で大変なことになっている」と耳打ちしてくれた。受講者には私から東北で地震があったことを口頭で伝えた。自宅に戻りテレビ画面でその惨状を見て愕然とした。

   2ヵ月後の5月11日に仙台市と気仙沼市を調査に訪れた。当時、気仙沼の街には海水の饐(す)えたような、腐海の匂いが立ち込めていた。岸壁付近では、津波で陸に打ち上げられた大型巻き網漁船が横わたっていた。この目で現場を見て、改めて津波のすさまじさを思い知らされた。死者・行方不明者は1万8千人、犠牲者へ哀悼の意をささげたい。

       「ついにこの日が来たか」と感じたニュースがあった。メディア各社が報じている、電通がまとめた「2019年 日本の広告費」によると、通年で6兆9381億円で前年比101.9%と、8年連続のプラス成長だった。不透明な世界経済や相次ぐ自然災害、消費税率アップにともなう個人消費の落ち込みや弱含みのインバウンド消費など厳しい風向きの中でも、インターネット広告費が初めて2兆円超えてトップの座に躍り出て全体を底上げした。一方、テレビ広告費(1兆8612億円)は減り、首位の座をネットに明け渡した。電通は「広告業界の転換点」と伝えている。

  テレビ広告費ついてもう少し詳細に見てみる。テレビ広告費は地上波放送と衛星放送を合わせた数字だ。対前年比で言えば97.3%だった。地上波単体だと1兆7345億円で対前年比97.2%となる。スポット広告は、軽減税率関連やキャッシュレス関連のCMが増加した一方で、スポット全体としては、台風などの自然災害や、消費税増税に伴う出稿控えやアメリカと中国の貿易摩擦の経済的影響などで、3年連続で減少した。業種別では「官公庁・団体」「金融・保険」などが増加し、「情報・通信」「化粧品・トイレタリー」などが減少した(※写真は電通「2019年 日本の広告費」から)。

  「広告業界の転換点」の意味は、2019年を機にすでに欧米で著しいネット広告へのシフトが日本でも加速すると示唆している。さらに今年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済が減速する中、テレビ広告にニーズが向くだろうか。放送と通信の同時配信、そして広告費の減収と民放テレビが大きく様変わりしていくだろう。

⇒11日(水)夜・金沢の天気    くもり

☆コロナ危機 経済のブレーカー落ちる

☆コロナ危機 経済のブレーカー落ちる

  「今さら発言」ではないだろうか。WHOのテドロス事務局長は9日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「パンデミックの脅威は現実味を帯びてきた」と述べた。一方で、依然、制御は可能だと強調し、感染国・地域が100を超えた現実を踏まえ、柔軟に対応していく考えを示した(10日付・共同通信Web版)。パンデミックはもう起きていると世界に警報を出すのがWHOのスタンスではないだろうか。

   世界の経済はすでにパニックに陥っている。週明け9日のニューヨーク株式のダウは暴落し、前週末比で2013㌦安となった。1日の下げ幅としては過去最大。ダウの下落率は7.79%で、アメリカの金融危機が深刻化したリーマンショックで2008年10月15日(7.87%)以来の大きさ(同)。アメリカ株式はどちらかと言うと、強気の相場感があったが、コロナショックに原油相場の急落が重なり一気に崩れたのではないか。

   ニューヨーク株式のダウ暴落のニュースをNHKで視聴していて、聞いたことのある横文字があった。「サーキットブレーカー=Circuit Breaker」。自動的に売買を停止する装置のようだ。ニューヨーク株式の主要500社の株価指数「S&P500」の下落率が7%を超えると自動的に15分間、売買が停止されるのが第一段階。取り引きは再開されるが、下落率が13%に達した場合は第2段階として再度15分間の売買停止。それでもさらに下がって下落率が20%を超えると第3段階としてその日の売買はすべて停止となる仕組みのようだ。今回は第一段階でのサーキットブレーカーだった。

   生活の中でも「ブレーカーが落ちる」という言葉を使うことがある。落雷や漏電、電気を使い過ぎるとブレーカーが自動的にダウンする、電気回路の遮断器のこと。フルの名称はサーキットブレーカーだ。

   「資本主義の総本山」ニューヨークで世界経済のブレーカーが落ちた。きのう2万円を割った東京株式の日経平均にどう連鎖していくのか。

⇒10日(火)朝・金沢の天気    あめ

★コロナ危機 「独り相撲」の寂しさ

★コロナ危機 「独り相撲」の寂しさ

   きょう午前の株価が急落して2万円を割り込み、円相場が1㌦=101円に。新型コロナウイルスの世界への感染拡大がついに「円高株安」へと波及してきた。リーマンショックの再来、「コロナショック」だ。

   きのう初日の大相撲の春場所。テレビで見ていたが、会場にいつもの観客の歓声やざわめきがなく、アナウンサーの声も弾まず淡々と伝えているように感じた。ふと浮かんだ言葉が「独り相撲」という言葉だ。相手もいないのに、独りで意気込むことの意味で今でもたまに使う。大相撲を揶揄するつもりはまったくないが、力士がどれだけ頑張っても歓声なき土俵は寂しい。体と体がぶつかる音は聴き応えはある。

            さらに「独り相撲」を感じるのが北朝鮮の弾道ミサイルの発射だ。テレビのニュース速報によると、北朝鮮ははきょう9日午前7時34分から35分にかけて、北朝鮮の東岸から、複数の弾道ミサイルとみられる飛しょう体を北東の方向に発射、日本海に落下した。日本のEEZ(排他的経済水域)の外側と推定されるという。「このご時世に金正恩氏は何を独りで意気込んでいるのか。国内のコロナ感染対策はどうなっているのか」と思ってしまう。

    安倍総理も「独り相撲」の感がある。いきなり発表された「学校閉鎖」(2月27日)や「無利子・無担保融資」(3月7日)は唐突な感じがした。これは憶測だが、国内でのコロナ感染の拡大のほかに、総理には別の危機感があるのだろう。共同通信の世論調査(2月15-16日実施)で、内閣支持率が8.3ポイントも減少し41%、不支持率は9.4ポイント増の46.1%だった。読売新聞の調査(同14-16日実施)も、支持率が5ポイント落ちて47%、不支持率は4ポイント上昇して41%だった。内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾ-ン」と呼ばれる。第一次安倍改造内閣が退陣した直前の読売新聞の内閣支持率は29.0%(2007年9月調査)だった。

   この「危険水域」の苦しみを味わっているがゆえに、「これ以上落としてはならぬ」ともがくようにコロナ対策に手を打ち始めている。これが傍からは「独り相撲」のように見える。

⇒9日(月)午前・金沢の天気      はれ

☆コロナ危機 負の連鎖

☆コロナ危機 負の連鎖

   新型コロナウイルスによる感染が世界的なパンデミックになるのはもはや時間の問題ではないだろうか。それを予感させるニュースが続々と流れている。アメリカで感染者が300人を超え、死者は計17人となった。今月初めに首都ワシントンで開かれたユダヤ教系団体「イスラエル広報委員会」(AIPAC)の大規模会合に東部ニューヨーク州から参加した2人の感染が判明した。ペンス副大統領やポンペオ国務長官も参加しており、政治の中枢に影響が及ばないか懸念が広がっている(7日付・共同通信Web版)。

   世界の眼は東京オリンピックに向いている。7月開催についてIOCのバッハ会長の思惑をイギリスBBC(6日付・Web版)=写真=がこう述べている。「When one considers just how much is at stake, perhaps it is no surprise that Bach seems so reluctant to even contemplate the suggestion of a delay or cancellation, and is in no rush to take a decision before he needs to.」。以下は意訳だ。「IOCのバッハ会長にはとても重圧がかかっているだろう。延期や中止を示唆することをためらっているように見えるが、時期がくれば述べるだろう。決定を急がない、それは驚くことではない当然だ」。世界のメディアの論調はBBCが代表しているようにも思える。延期か中止、バッハ会長はその発表のタイミングを慎重に見計らっているだけだ、と。

   世界経済への打撃も深刻だ。IMF(国際通貨基金)のゲオルギエワ専務理事と世界銀行のマルパス総裁は4日、共にワシントンで記者会見し、「残念ながら過去1週間に、世界経済に対する予測は厳しく、暗いシナリオへ移行した」と述べた(7日付・Bloomberg News日本版)。

   NHKニュースによると、安倍総理はきのう(7日)官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部会合を開き、個人事業主を含む中小・小規模事業者を対象に、金利などの条件を大幅に緩和した貸付制度を創設すると表明した。日本政策金融公庫などを通じて「実質無利子、無担保の融資をする」と述べた。このニュースは週明けに大問題となるだろう。国がこれを実行すれば、地方銀行のいくつかは破綻するのではないか。まさに負の連鎖が起きかねない。

⇒8日(日)朝・金沢の天気    あめ

★コロナ危機を逆手に遠隔教育を

★コロナ危機を逆手に遠隔教育を

        2月28日付のこのブログで、新型コロナウイルス感染の拡大を防ぐため、今月2日から全国の小・中学校と高校などが臨時休校となるので、NHKは3月から放送と通信の同時配信に入るのチャンスにEテレ(教育テレビ)の動画コンテンツを特別編成してはどうかと提案した。ブログを読んでくれた知人から「大手出版社はすでに漫画コンテンツを期間限定で無料公開を始めているよ。さすがに対応が速い」とメールをもらった。 

   さっそくネットで調べてみる。集英社は『週刊少年ジャンプ』の2020年1号から13号を無料公開している。今月2日正午から同31日23時59分まで、マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」と同社の総合電子書店「ゼブラック」上で無料で読めるとツイッターで紹介している=写真=。小学館も『コロコロコミック』の1月号や『Sho-Comi』の3・4合併号・5号・6号、『ベツコミ』の2019年12月号から2020年2月号などを無料公開に踏み切っている。

   突然の休校で手持ちぶさたになった子どもたちの間で、この漫画コンテンツの無料公開は話題になっているのではないか。子どもたちの興味がスマホでのゲームなどに流れ、少年誌が部数減になるなど「漫画離れ」の現象が起きている。そこで、出版社としては子どもたちを漫画の世界に呼び戻すきっかけにしたいとの思惑があるのだろう。無料公開されている漫画コンテンツは子どもたちだけでなく、大人も楽しめる。意外と熱中しているのは大人かも知れないが。

   ところでNHKの対応はその後どうか。3日に「学校休校に伴う特別編成」をNHKが発表し、Eテレでは午前9時から10時15分までの学校放送番組、午後2時から3時までの高校講座を休校期間中も放送し、自宅学習をサポートするとしている。ウェブサイト「NHK for School」でも、特に未履修の単元を自宅で学習できるよう、教育現場の先生たちが薦めるコンテンツを学年別にセレクトして掲載する。また、子どもたちが「NHK for School」に感想文などを投稿できるようにする。

  面白いのは、Eテレのサブチャンネルを活用するコンテツだ。午前10時25分から子ども向け番組として『すイエんサー』『バビブベボディ』『自由研究55』や海外ドラマを、そして午後1時5分からは「子どもたちにストレスを発散してもらえる番組」として『パプリカ』『おしりたんてい』『なりきり!むーにゃん生きもの学園』などを編成する、としている(3日発表のNHK報道資料より)。ただ、サブチャンネルで番組が提供されていることはあまり知られていないので、ぜひPRもしてほしい。

  Eテレ活用の発案者の一人である、『月刊ニューメディア』編集長の吉井勇氏からのメールマガジンによると、5日官邸で開催された未来投資会議で、複数の民間議員から「コロナ対応で、遠隔診療と遠隔教育の推進を」との発言が出て、とくに遠隔教育でのNHKの活用に言及があったようだ。これを機会に教育の多様な有り様をぜひ実現してほしいものだ。

⇒7日(土)朝・金沢の天気     はれ

☆コロナ危機 イタリアの悲しみ

☆コロナ危機 イタリアの悲しみ

   新型コロナウイルスの感染が欧米で広がり、とくにイタリアで感染者が3000人、死者は100人を超えている。きょう5日のニュースでは、イタリア政府が大学を含めすべての教育施設を今月15日まで休校とする「学校閉鎖」の措置を講じたという。事態の深刻さが伝わってくる。というのも、イタリアでは大学と地域は一体化している。そこでの「学校閉鎖」、つまり「地域閉鎖」というイメージなのだ。

   地域と大学は歴史的にも関わり合う。11世紀後半に創設されたイタリアのボローニャ大学はヨーロッパ最古の総合大学といわれる。「大学(ユニバーシティ)」の語源であるウニベルシタス(universitas)はそのボローニャに集まった青年たちの集団を意味する言葉だったとされる。青年たちは組合をつくり、法学者の中から先生を選び、教授契約を結んで学問をした。このような伝統がある大学がイタリアには多い。

   2006年1月に訪れたフィレンツェ大学も14世紀初頭に設立し、大学と街が一体化していた。11学部5万人の学生が学ぶ。社会人の学生が多い。校舎はフィレンツェ市内に点在する。学部・学科の看板がなければ街の中の住宅アパートと見誤るほどだ=写真=。街に溶け込んでいると表現した方が的確かもしれない。同大学には6つも附属の美術館や博物館がある。一時的とは言え閉鎖するとなると、観光としても打撃で、街の活気が失われるのではないだろうか。

  イタリアではハンカチをプレゼントされることを忌み嫌う。他国の人がその習慣を知らずに贈った場合、数十セントで「買う」。そうすれば、贈られたことにはならない。なぜそこまでするのか。「ハンカチは涙(悲しみ)を運んでくるもの」との思いがイタリア人には強いからだ。そう考えると、イタリアには同情は無用だ。「あえて日本からそのように思われたくない。悲しみが増すだけだ」と言われそうだ。

⇒5日(木)朝・金沢の天気      くもり

★コロナ危機、でも、乳牛も新幹線も休めない

★コロナ危機、でも、乳牛も新幹線も休めない

   北陸新幹線の利用客がかなり落ち込んだようだ。これも新型コロナウイルスの影響。だからと言って、新幹線は休めない。JR西日本金沢支社が3日、メディアに対して発表した北陸新幹線の開業5年目(2019年3月14日-20年2月末)の利用者数は790万千人だった。これは前年比で6%の落ち込みとなった(3日付・共同通信Web版)。

   2019年10月は台風19号による被害で東京ー金沢の全面運休が13日間続いたことなどが響き、前年同月比47%減の41万4千人だった。20年2月は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で同8%減の56万5千人(同)。まさにダブルパンチだ。しかも、コロナウイルスに関してはいつ終息するか予想がつかない。それでも北陸新幹線は暫定ダイヤなどは組まず予定通り運行している。

   ウイルス感染の影響で、小中学校などが「学校閉鎖」となった。ところが、給食用に使われる牛乳に関しては行き場がなくなっている。きのう農林水産大臣が記者会見で「余った牛乳はバターやヨーグルトなど乳製品の加工原料としてメーカーに受け入れてもらう」(3日付・NHKニュース)と発言していたが、メーカーにしても受け入れ設備には限界があるだろう。

   結局、需給調整がつかなくなれば廃棄をせざるを得なくなるのではないだろうか。おおいなる食品ロスとなる。これはアイデアだが、SDGs(持続可能な開発目標)を積極的に進めている企業や団体を中心に牛乳を購入してもらってはどうだろうか。

  乳牛に休んでもいいよと言う訳にはいかない。新幹線に運休していいよと言う訳にもいかない。「作る責任」「使う責任」「走らせる責任」「乗る責任」、まさにSDGsの知恵出しが問われているのだと思う。

⇒4日(水)朝・金沢の天気     あめ