#エーザイ

☆超高齢化社会の妙薬となるか レカネマブ治療開始へ

☆超高齢化社会の妙薬となるか レカネマブ治療開始へ

   認知症のアルツハイマー病の新薬として注目されている「レカネマブ」の公定価格「薬価」が決まった。1瓶200㍉㌘で4万5777円に設定。2週間に1回、1時間かけて点滴する。投与量は体重によって変わるが、体重が50㌔の人では年間298万円となる。厚労大臣の諮問機関・中央社会保険医療協議会が薬価や対象範囲について議論し、きのう13日に取り決めた。今月20日から公的医療保険の適応対象となる。

   レカネマブを開発したエーザイは今月20日から商品名「レケンビ」として販売を開始する=写真、エーザイ公式サイト=。この薬を使用できるのは認知症を発症する前のいわゆる「軽度認知障害」の人や、アルツハイマー病の発症後の軽度の段階の人で、年間で最大3万2000人の使用が見込まれている。

   今回、中医協が価格を決定したわけだが、おそらくエーザイ側は「安すぎる」と不満に思っているだろうか。というのも、エーザイはアメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同で開発した。そのアメリカでは、高齢者向け公的医療保険「メディケア」が保険適用の対象とし、価格を体重75㌔の患者に換算して1人当たり年間2万6500㌦ と設定している。きょうの為替相場は1㌦143円なので、ざっと379万円だ。体重の違いもあるだろうが、日本では298万円、アメリカでは379万円となると、同じ商品なのにこの価格差はいったい何だとアメリカ側も疑問を持つだろう。

   患者の負担は薬価だけではない。アルツハイマー病は、脳内に異常なタンパク質「アミロイドβ 」が蓄積することで神経細胞が傷つき、記憶力や判断力などが低下するとされる。レカネマブの治療は軽度の認知症であることが条件だが、そのためにアミロイドβ の蓄積量を調べる検査が必要となる。2通りあり、一つはアミロイドPET(陽電子放射断層撮影)での測定と、二つめが脳脊髄液を採取して測る。いずれも保険適用外である。

   そして、レカネマブによる点滴治療は2週間に1度、原則として1年半の間、病院に通い続ける。さらに、どこの病院でもよいというわけではない。副作用を早く見つけるため、脳の画像診断などの検査ができる医療機関で治療が行われることになっていて、対応できる医療機関は限られる。 

   冒頭で述べたように今月20日からレカネマブを使った治療が始まる。超高齢化社会といわれるこの世の中で、レカネマブは「呆け封じ」の妙薬なのかもしれない。一方で、それだけのコストと手間がかかるのなら面倒だと、「呆けた者勝ち」と治療を避ける人たちもいるだろう。レカネマブをめぐる新たな社会現象が起きるかもしれない。

⇒14日(木)夜・金沢の天気     くもり

☆超高齢化社会の妙薬か 認知症新薬「レカネマブ」承認へ

☆超高齢化社会の妙薬か 認知症新薬「レカネマブ」承認へ

   ようやく承認されることになった。メディア各社の報道によると、早期アルツハイマー病の新薬として期待されている「LEQEMBI(レカネマブ)」がきのう21日に厚労省専門部会で承認が了承された。日本のエーザイが主導し、アメリカの医薬品バイオジェンと共同開発した。冒頭に「ようやく」と述べたのも、アメリカでは食品医薬品局(FDA)がことし1月により早く治療を提供する「迅速承認」という措置で承認し、7月6日に正式承認を行っている。

   アルツハイマー病は、脳内に異常なタンパク質「アミロイドβ 」が蓄積することで神経細胞が傷つき、記憶力や判断力などが低下するとされる。これまでの治療薬は症状の一時的な改善を促すものだが、レカネマブは脳内のアミロイドβ そのものを除去することで病気の進行を長期的に遅らせる。臨床試験でこの新薬を投与したグループと偽薬のグループを比較し、レカネマブのグループでは記憶や判断力などの症状の悪化が27%抑制された。両社は日米欧、中国、韓国などで承認申請を行っている(エーザイ公式サイト)。

   これがアルツハイマー病の画期的な治療薬になるとすれば、問題は治療費だ。2週間に1回、体重に応じた点滴を施すことになる。アメリカでの価格は、体重75㌔の患者に換算して1人当たり年間2万6500㌦ と設定している(同)。きょうの為替相場は1㌦146円なので、ざっと387万円だ。今回の日本での承認の了承によって、年内にも保険適用の対象となる可能性があると報じられている。仮に年間1万人が利用するとして、年間387億円となる。高額医療の患者負担の割合をどのように設定するのか、議論になるだろう。アメリカでは高齢者向け公的医療保険「メディケア」は保険適用の対象とし、患者負担を2割程度に抑えている(7月7日・東京新聞Web版)。

   さらに検査体制だ。投薬の対象者は日常生活に支障がない「軽度」のアルツハイマー病患者が想定されている。軽度かどうかは、アミロイドβ の蓄積量を調べる検査が必要となる。2通りあり、一つはアミロイドPET(陽電子放射断層撮影)での測定と、二つめが脳脊髄液を採取して測る。いずれも保険適用外である。レカネマブの承認と同時に検査体制の充実もキーポイントになってくるだろう。   

   国内のアルツハイマー型認知症の医療や介護に要するコストは、家族による無償の介護を金額に換算した額を含めると、最大で年間12兆6000億円を超えるとの推計値の報告がある(2021年3月・「Journal of Alzheimer’s Disease」国際医療福祉大学医学部公衆衛生学の池田俊也氏らの研究)。今回のレカネマブの承認が、超高齢化社会といわれる日本で、患者の生活の質を向上させ、家族の負担を減らす「妙薬」となってほしいと願う。

⇒22日(火)午後・金沢の天気    はれ

☆ボケ封じの特効薬「レカネマブ」いよいよ承認か

☆ボケ封じの特効薬「レカネマブ」いよいよ承認か

   ようやくか、とも思う。メディア各社の報道によると、早期アルツハイマー病の新薬として期待されている「LEQEMBI(レカネマブ)」が日本でも今月21日に厚労省の専門部会で承認するかどうかの判断をする見通しとなった。日本のエーザイが主導し、アメリカの医薬品バイオジェンが共同開発した。冒頭に「ようやくか」と述べたのも、アメリカでは食品医薬品局(FDA)がことし1月により早く治療を提供する「迅速承認」というカタチでこの薬を承認し、先月6日には正式に承認している。

   アルツハイマー病は、脳内に異常なタンパク質「アミロイドβ 」が蓄積することで神経細胞が傷つき、記憶力や判断力などが低下するとされる。これまでの治療薬は症状の一時的な改善を促すものだが、レカネマブは脳内のアミロイドβ そのものを除去することで病気の進行を長期的に遅らせる。臨床試験でこの新薬を投与したグループと偽薬のグループを比較し、レカネマブのグループでは記憶や判断力などの症状の悪化が27%抑制された。両社は日米欧州、中国、韓国などで承認申請を行っている(エーザイ公式サイト)。

   これがアルツハイマー病の画期的な治療薬になるとすれば、問題は治療費だ。2週間に1回、体重に応じた点滴を施すことになる。価格は、体重75㌔の患者に換算して1人当たり年間2万6500㌦ と設定している(同)。きょうの為替相場は1㌦143円なので、ざっと380万円だ。仮に承認されれば、レカネマブ投与による治療は保険適応が可能か、といった問題が浮上するに違いない。ちなみに、アメリカでは高齢者向け公的医療保険「メディケア」は保険適用の対象とし、患者負担を2割程度に抑える見込みという(7月7日・東京新聞Web版)。

   国内のアルツハイマー型認知症の医療や介護に要するコストは、家族による無償の介護を金額に換算した額を含めると、最大で年間12兆6000億円を超えるとの推計値の報告がある(2021年3月・「Journal of Alzheimer’s Disease」国際医療福祉大学医学部公衆衛生学の池田俊也氏らの研究)。国内の認知症患者は800万人にも及ぶと言われ、今回の話題はある意味で明るいニュースだ。

   ただ、保険適応となれば財政コストなど新たな問題が発生する。余談だが、アメリカでレカネマブが正式承認され、最近「ボケぶり」が何かと報道されるバイデン大統領は愛用しているのだろうか。

⇒2日(水)午後・金沢の天気   くもり

★「呆け封じ」か「呆けた者勝ち」か

★「呆け封じ」か「呆けた者勝ち」か

   これがアルツハイマー病の画期的な治療薬になるのだろうか。メディア各社は7日、アメリカのFDA(食品医薬品局)が日本のエーザイとアメリカの医薬品バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の治療薬「LEQEMBI(レカネマブ)」に対して、「迅速承認」と呼ばれる特例的な承認を行ったと報じた。エーザイ公式サイト(7日付)によると、臨床試験でこの新薬を投与したグループと偽薬のグループを比較し、レカネマブのグループでは記憶や判断力などの症状の悪化が27%抑制された。特例承認の条件となっている最終段階の治験データをもとに速やかに完全な承認申請を行う。日本やヨーロッパでも承認申請を行う。

   アルツハイマー病は、脳内に異常なタンパク質「アミロイドβ 」が蓄積することで神経細胞が傷つき、記憶力や判断力などが低下するとされる。これまでの治療薬は症状の一時的な改善を促すものだが、レカネマブは脳内のアミロイドβ そのものを除去することで病気の進行を長期的に遅らせる。治療薬の効果が表れるのは軽度認知障害の段階での投薬で、早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータは取っていない。2週間に1回、体重に応じた点滴を施すことになる。価格は、体重75㌔の患者に換算して1人当たり年間2万6500㌦ (1㌦132円換算で350万円)と設定している(エーザイ公式サイト)。

   エーザイとバイオジェンは2021年6月にも同じタイプの治療薬「ADUHELM(アデュカヌマブ)」を開発。FDAに承認されたものの、価格が高いことや有効性への疑問などからアメリカでは高齢者向け保険が適用されなかった。日本の厚労省も、効果が明確に判断できないとして承認を見送っていた。以下推測だ。今回のレカネマブはアデュカヌマブよりアミロイドβ の除去により特化した治療薬なのだろう。アデュカヌマブは4週間に1回の点滴に対し、レカネマブは2週間に1回と投与頻度を高めている。さらに、価格に関してもアデュカヌマブは年間コストは5万6000㌦なので、レカネマブは半値以下に抑えている。商品化に対する企業の熱意というものを感じる。

   超高齢化社会といわれるこの世の中で、「呆け封じ」の妙薬となるのか。一方で、「呆けた者勝ち」という言葉がある。頭脳は普通に動いているが、寝たきりとなり食事や入浴、排泄の介護を受ける自分の姿を見て何を思うだろうか。むしろ、家族や周囲との人間関係のしがらみを記憶から一切消し、家族に面倒や世話をかけていると認識もせずに、その日を暮らしていければ、それで十分ではないか。「呆けた者勝ち」とはそういう意味だろう。アルツハイマー病の治療薬レカネマブのニュースを見て、そんなことを考えてしまった。

⇒8日(日)夜・金沢の天気    くもり

☆ロシアの「理不尽な病」に効く薬はあるのか

☆ロシアの「理不尽な病」に効く薬はあるのか

   安倍元総理の国葬がきのう営まれたが、前回のブログでも述べたように、「めりはりのない形式的な追悼式」だった。ただ、苦楽を共にした友人の目線で述べたで菅前総理の追悼の辞には昭恵夫人が涙し、そして終わると会場からは異例の拍手が起きた。これがなければ、今の若者言葉で言う、「なんちゃって」国葬で終わっていたかもしれない。国葬問題に目線が奪われていたが、世界の動きを眺めて見る。

   共同通信やウォールストリートジャーナルなど日米のメディア各社がアルツハイマー病の新しい治療薬について報道している。日本の「エーザイ」とアメリカのバイオ医薬品「バイオジェン」が、開発中の治療薬「レカネマブ」について、臨床試験(治験)で症状の悪化を抑制する効果を確認したと発表した。この新薬を投与したグループと偽薬のグループを比較し、レカネマブのグループでは、記憶や判断力などの症状の悪化が27%抑制された。本年度中に日本や欧米で承認申請を目指す。

   両社は昨年6月にもアルツハイマー病の治療薬「アデュカヌマブ」を開発し、アメリカのFDAに承認された。タンパク質「アミロイドβ」を取り除き、認知機能を回復させることが見込まれていたものの、効果が不十分だとしてアメリカでは高齢者向け保険が適用されなかった。試行錯誤を繰り返しながら医薬は進歩する。

   ロシアは自己矛盾をさらけ出している。プーチン大統領はウクライナ侵攻をめぐり、軍務経験のある予備役を30万人招集する「部分的な動員令」を発動したたものの、ゴタゴタ続き。CNNニュースWeb版日本語(28日付)によると、ロシア国営メディアの司会者が生中継で「就業者や音楽家、病人、学生が招集されている」と疑問を投げかけ、動員担当者を処罰すべきと報道した。(※写真は、今月22日付・BBCニュースWeb版)

   ロシアをめぐっては、ウクライナ東部と南部の4州で親ロシアの指導者らが、ロシアへの編入を問う「住民投票」を行い、9割賛成で支持されたと発表している、今後はロシア議会が承認に動く。また、ロシア連邦保安局が、スパイ活動をしたとして極東ウラジオストクの日本総領事館の領事を一時拘束した。理不尽な病(やまい)がまん延するロシアに効くクスリはあるのだろうか。

   ところで、話は冒頭に戻る。弔問に訪れたIOCのバッハ会長は岸田総理らと面談したのだろうか。気になるのは、五輪汚職事件についてだ。五輪招致の段階で、高橋容疑者は招致委員会から820万㌦(8億9000万円)の資金を受け、IOC委員にロビー活動を行っていたと報じられている(2020年3月31日付・ロイター通信Web版)。ロビー活動については、フランス司法当局の捜査対象となったJOCの当時の竹田恒和会長が2019年6月に退任している。国際的にもオリンピックにまつわる汚職には厳しい眼が注がれている。五輪汚職事件を受けて、IOCはドーピングと同様に、日本に対してペナルティーを検討しているかもしれない。メディアの続報を待ちたい。

⇒28日(水)午後・金沢の天気    くもり

☆アルツ新薬の論調 「重要な節目」か「大きな誤り」か

☆アルツ新薬の論調 「重要な節目」か「大きな誤り」か

      きのうのブログでも取り上げた、アルツハイマー病の新薬のニュース。世界で3000万人もの患者がいるといわれるだけに関心が集まる。メディアはどのように取り上げているのか。

   アメリカの製薬会社「バイオジェン」と日本の「エーザイ」が開発したアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」について、アメリカのFDA(食品医薬品局)は原因と考えられる脳内の異常なタンパク質「アミロイドβ」を減少させる効果を示したとして治療薬として承認した(6月8日付・NHKニュースWeb版)。これまでの治療薬は、病気によって脳の神経細胞が壊れていくこと自体を止めることはできず、症状の悪化を数年程度、遅らせるものだった。承認された新薬は、アミロイドβを取り除く効果が認められ、病気の進行そのものを抑える効果が期待される初めての薬となる(同)。

   イギリスBBCニュースWeb版(6月8日付)は「US approves first new Alzheimer’s drug in 20 years」の見出しで伝えている=写真=。記事によると、過去10年間で100以上の治療薬の候補の開発が失敗に終わっている。「アデュカヌマブ」も、3000人の患者が参加したの国際的な後期臨床試験では、同薬を月1回投与された患者に、偽薬を投与された患者よりも記憶や思考の問題の悪化を遅らせる効果はみられないとの分析結果が出たため、2019年3月に臨床試験が中止となっていた。が、同年末、開発2社はデータ分析から、より高用量で投与すれば薬が有効であり、認知機能の低下を大幅に抑制すると結論付けた。

   この臨床試験結果のプロセスから、科学者の間では同薬の効果について意見が割れていると、BBCは専門家のコメントを紹介している。克服すべき多くの障壁があるももの、「a hugely significant milestone」(非常に重要な節目)と前向きなコメント。FDAが認知や機能の低下の減速を示さない試験からのデータを無視した「a grave error」(重大な誤り)の声も。一方で、「this is a drug with marginal benefit which will help only very carefully selected patients.」(この薬はせいぜい、非常に注意深く選ばれた患者にわずかな効果しかないもの)とのコメントも。また、イギリスの慈善団体は国内でも早く承認するよう動いていると紹介している。

   今回のFDAの承認は、深刻な病気の患者に早期に治療を提供するための「迅速承認」という仕組みで行われたため、FDAは追加の臨床試験で検証する必要があるとしていて、この結果、効果が認められない場合には承認を取り消すこともある、としている。

  「アデュカヌマブ」については日本でも昨年12月に厚生労働省に承認の申請が出されている。きのう8日の記者会見で、加藤官房長官は長は記者の質問に答えて、「我が国でも実用化されれば、認知症施策推進大綱が掲げる共生と予防の推進に資する」「厚労省でもPMD(医薬品医療機器法)に基づいて審議を進めている」と前向きなコメントを述べている(総理官邸公式ホームページ)。

   「エーザイ」の公式ホームページによると、アメリカ人の平均体重である74 kgに対しての点滴投与は1回当たり4312㌦、4週間に1回の投与で年間コストは5万6000㌦、つまり610万円となる。これが健康保健適応となれば、これはこれで新たな財政的な問題が。日本でのアルツハイマー病の患者は360万人ともいわれる。

 
⇒9日(水)午前・金沢の天気      はれ

★「コロナ」にも「アルツ」にも「打ち」勝つ

★「コロナ」にも「アルツ」にも「打ち」勝つ

   65歳以上のシニア世代のワクチン接種が進んでいる。1回以上の接種が延べで900万人(6月6日現在・総理官邸公式ホームページ)となった。うち、2回の接種を終えた人は90万人となる。対象者は3600万人なので数字的にはまだ遠いが、「7月末を念頭に希望するすべての高齢者に2回の接種」の政府目標が見えてきたのではないだろうか。

   この進捗状況の背景には、それぞれの自治体のユニークな取り組みがある。なるほどと思ったのは「調布方式」や「三島モデル」という、接種を受ける人は座ったまま、医師や看護師が会場内を移動して接種する方式だ。毎日新聞Web版(6月2日付)によると、静岡県三島市は今月2日からこの方式を始めた。会場は4つの小学校の体育館で、接種を受ける人は、コの字形に囲われた段ボールの仕切りの中で1人ずつ待機。座ったまま、医師からの問診と接種を順番に受け、経過観察の15分が過ぎると退席する。接種を終えた人の肩に緑色テープを貼り、二重接種を防止する工夫もある。経過観察も含めた会場での滞在時間は1人当たり30分だ。三島市は今後、自力で移動ができない要介護者や要支援者120人を対象にドライブスルー接種も行う。

   医師が移動することで、接種待ちの滞留による「3密」なども防ぐことができ、お年寄りの移動時間を少なくすることで時間短縮ができる。この方式は、佐賀県唐津市や福岡県宇美町など全国に広がっている。まさに逆転の発想ではないだろうか。(※イラストは厚労省公式ホームページより)

   もう一つ、シニアにとって朗報がある。NHKニュースWeb版(6月8日付)によると、日本の「エーザイ」とアメリカの製薬会社「バイオジェン」が開発したアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」について、アメリカのFDA(食品医薬品局)は原因と考えられる脳内の異常なタンパク質「アミロイドβ」を減少させる効果を示したとして治療薬として承認したと発表した。

   これまでのアルツハイマー病の治療薬は、残った神経細胞を活性化させるなどして症状の悪化を数年程度、遅らせるもので、病気によって脳の神経細胞が壊れていくこと自体を止めることはできなかった。こうした中で、「アデュカヌマブ」は、アミロイドβを取り除く効果が認められ、アルツハイマー病の進行そのものを抑える効果が期待される初めての薬となる(同)。

   ただ、今回の承認は深刻な病気の患者に早期に治療を提供するための「迅速承認」という仕組みで行われたため、FDAは追加の臨床試験で検証する必要があるとしていて、この結果、効果が認められない場合には承認を取り消すこともあるとしている。「アデュカヌマブ」については日本でも昨年12月に厚生労働省に承認の申請が出されている。

   シニア世代は「認知症」や「アルツハイマー病」という言葉には敏感になっている。日本の承認が遅れるのであれば、この夢の薬を求めてアメリカに行き、ぜひ点滴投与を受けたいという人は少なからず出てくるだろう。いや、世界中からやってくるだろう。まさに、「コロナ」にも「アルツ」にも「打ち」勝つ、朗報だ。ちなみにきょうの東証一部のエーザイの株価は始値で前日より1500円も急騰し、9251円をつけた。上昇率19.35%のストップ高となった。

⇒8日(火)午前・金沢の天気   くもり