#エルニーニョ現象

★「暖冬」予報も タイヤ交換と雪吊り施す北陸人の心構え

★「暖冬」予報も タイヤ交換と雪吊り施す北陸人の心構え

          そろそろ晩秋なのだが、この時季の冷え込みというものが感じられない。金沢地方気象台がきのう発表した北陸地方の向こう3ヵ月間の長期予報によると、来月11月から来年1月にかけては平年よりも気温が高くなり、暖冬になる見通しとのこと。

   南米ペルー沖の海面の水温が平年より高くなるエルニーニョ現象が冬にかけても続くことで、日本付近に流れ込む寒気の影響が小さく、冬型の気圧配置が現れにくくなる。このため、雪ではなく雨として降る日が多くなるとの予想だ。ただ、経験則で言えば、これまで暖冬は何度もあったが、一時的に強烈な寒波が来て大雪になったこともある。暖冬の予報があったとしても、大雪への備えは例年通りというのが北陸に住む者の心構えだ。

   たとえば、暖冬が予想されていても自家用車のタイヤをスタッドレスに交換する。そして、家々では庭木の雪吊りの備えを怠らない。北陸特有の水分を含んだ重い雪から樹木を守るためだ。たとえ期間は短くとも、冬将軍は必ずやってくる。関西や関東の友人たちとのメールのやり取りで雪吊りの写真を送ると、「予報で北陸は暖冬なのだから、わざわざ雪つりをする必要はあるのか」と返信があったりする。理にかなってはいるが、北陸の冬はそう単純ではない。鮮明に覚えているのは、2007年2月の大雪。1月は金沢は「雪なし暖冬」で観測史上の新記録だった。ところが、2月1日からシンシンと雪が降り始め、金沢市内で50㌢にもなった。冬将軍は突然やってくるのだ。

   そして、26年も前の1997年の冬の話。当時、テレビ局で番組を担当していた。テレビ朝日の「ニュースステーション」でピアニスト羽田健太郎氏(2007年逝去)のピアノ中継が金沢・東の茶屋街であった。江戸時代の花町の雰囲気を残す古民家の土間でのピアノ演奏。この年も暖冬だったが、番組中に雪がしんしんと降ってきて、ピアノ中継のラストカットは、和傘を差した芸妓さんが足元を気にしながら雪化粧した通りを楚々と歩くという、まるで映画のようなシーンだった。

   雪は雨と違って、ロケーションを一変させる劇的な演出効果がある。それを北陸人は地味な感覚で、「備えあれば憂いなし」の心構えとしている。で、暖冬予報であってもタイヤを替え、庭木の雪吊りをする。

⇒28日(土)夜・金沢の天気    あめ

☆世界で猛威ふるう熱波と水害の異常気象

☆世界で猛威ふるう熱波と水害の異常気象

   猛暑や水害などの異常気象は日本だけでなく、世界を襲っている。16日付のBBCニュースWeb版は「Europe heatwave: No respite in sight for heat-stricken southern Europe」(意訳:ヨーロッパの熱波、暑さに苦しむ南欧にもう猶予はない)との見出し=写真=で、猛暑が続いているギリシャでは14日に気温が40度以上となり、遺跡「パルテノン神殿」がある観光名所アクロポリスが一時閉鎖されたと報じている。また、イタリアでは週末にローマ、ボローニャ、フィレンツェを含む16都市にレッドアラート(「死の危険」を意味する)が発令された。イタリアでは去年も熱波が原因で1万8000人の死者が出て、ヨーロッパでは最多だった。

   同じくBBCは「US heatwave: ‘Dangerous’ temperatures could set new records」(意訳:アメリカの熱波、「危険な」気温記録更新の可能性)の見出しで、世界で一番暑い場所とも言われるカリフォルニア州のデスバレー国立公園では熱波が続き、13日に気温46度となり、今後さらに54度に達するとの予測されており、地球上で最も暑い気温に近づいていると伝えている。

   気温が上昇すれば大気中の水蒸気が増え、大雨のリスクも高まる。韓国では今月13日以降、西部から東部にかけて強い雨が続いていて、川の氾濫や土砂崩れの被害に見舞われている。中部の忠州では地下道が冠水して10台余りの車が水につかり、動けなくなったバスや車に乗っていた7人が死亡している。韓国政府の災害対策本部による16日午前11時現在のまとめでは、水害でこれまでに33人が死亡し、10人の行方がわからなくなっている。韓国の大雨被害を受けて、岸田総理はお見舞いのメッセージを出した。「韓国で尊い命が失われ、市民生活に甚大な被害が生じていることに深い悲しみを覚えています。日本政府と国民を代表し、犠牲になられた方々、ご遺族に心から哀悼の意を表します」(16日付・NHKニュースWeb版)

   ことし11月に国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦で開催される。これまでの議論で国際社会は「世界平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度以内に抑える」との目標を共有している。ところが、世界気象機関(WMO)の年次報告書によると、今後5年間のうち、少なくと1年間で1.5度を超える年が66%の確率である、としている。人類の活動による温暖化ガスの排出と、今年のエルニーニョ現象によって確立が上昇しているという。その66%の確率の年がひょっとして今年なのかもしれない。

⇒16日(日)午後・金沢の天気     はれ

★強いエルニーニョが夏に異常気象をもたらすのか

★強いエルニーニョが夏に異常気象をもたらすのか

   気象庁は今月12日付で少々不気味な監視速報を発表した。「今後、夏までの間にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(80%)」と。世界の異常気象の一因とされるエルニーニョ現象が夏までに80%の確率で発生するというのだ。

   この現象は、太平洋赤道域の中央部(日付変更線付近)から南米のペルー沿岸部にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が半年から1年半ほど続く。海で起こる現象ではあるものの、発生すると大気に影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態となり、雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくる。

   エルニーニョ現象があった2009年の8月9日付のブログでこのように書いている。「盛夏のころだというのに一日中雨か曇り、朝が晴れでも昼には雨だ。太陽が照りつける夏らしい天気は数日あったかどうか。海面水温の高い状態が半年以上続くエルニーニョ現象で、日本の場合、梅雨明けの時期が遅れ、冷夏や暖冬になりやすいとか」

   上記のように、夏にエルニーニョ現象が発生すると、盛夏に「戻り梅雨」のような天気となる可能性がある。ただ、メディア各社の報道によると、ことしのエルニーニョ現象は数年の一度のものとはスケールが異なるようだ。発表した気象庁の異常気象情報センターの楳田貴郁所長は、「太平洋赤道域の海洋の貯熱量も上昇してきて、過去最大級のエルニーニョだった1997年から98年のレベルに近付いている。強いエルニーニョになる可能性を持っている」と述べている(12日付・テレビ朝日ニュースWeb版)。

   過去最大級の強いエルニーニョとなれば、単なる「戻り梅雨」ではなく、1997年から98年にかけて起きたような高温や大雨被害、日照不足など日本を含め世界各国で起きた異常気象に再び見舞われるのか。

⇒14日(日)午後・金沢の天気    あめ