#エリザベス女王

★イギリスの女王国葬 洗練された伝統的な儀式

★イギリスの女王国葬 洗練された伝統的な儀式

   今月8日に死去したイギリスのエリザベス女王の国葬をNHKの放送とネットで生中継していた。国葬はロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われ、就任間もないトラス首相が聖書を読み上げ、参列者が聖歌を歌った。女王の棺は「砲車」に載せられ、兵士に引かれて、チャールズ国王も行進していたた=写真=。

   その後、棺は車で運ばれ、沿道を埋め尽くした大勢の市民が歓声と花束を投げて見送っていた。そして、沿道ではマスクしている人の姿はなかった。中継を見た視聴者は、イギリスの洗練された伝統的な儀式を見て、国葬の真価に感じ入ったのではないだろうか。

   ふと、邪推が脳裏をよぎった。今月27日の安倍元総理の国葬には海外からの700人ほどが参列し、アメリカのハリス副大統領やインドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相も出席を予定していると報じられている。が、参列して、がっかりするのではないだろうか。「これが日本の国葬なのか」と。エリザベス女王の国葬とあまりにも違いすぎる、と。

   そもそも、国家元首でもない安倍元総理を「国葬」にする理由について、岸田総理は憲政史上最長の通算8年8ヵ月にわたり総理を務めたことなどを挙げていたが、エリザベス女王は在位70年だ。さらに、岸田総理は「弔問外交」の重要性を掲げているが、ハリス副大統領やモディ首相、アルバニージー首相のほかは、たとえば、G7では元職が多いようだ。

   おそらく、今後何かと国葬については、イギリスと比較されるのではないだろうか。

⇒19日(月)夜・金沢の天気      あめ

★天皇が参列するイギリスの国葬、しない日本の国葬

★天皇が参列するイギリスの国葬、しない日本の国葬

   前回のブログの続き。イギリスの君主として歴代最長となる70年にわたって在位してきたエリザベス女王が96歳で亡くなった。女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で執り行われる予定(9日付・BBCニュースWeb版)。

   NHKニュースWeb版(10日付)によると、エリザベス女王の国葬には天皇陛下が参列される方向で政府と宮内庁の間で調整が進められている。皇室とイギリスの王室は、昭和28年(1953年)に上皇がエリザベス女王の戴冠式に昭和天皇の名代として出席するなど、古くから親密な関係にある。天皇陛下は2019年5月に即位後、2020年にエリザベス女王からイギリスに招待されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた。こうした経緯など踏まえてイギリスでの国葬に参列する調整が進められている、という。

   エリザベス女王の国葬には、天皇陛下が参列する。そして、安倍元総理の国葬(今月27日)には、秋篠宮夫妻ら皇族の参列を宮内庁が調整していると報じられている(8月29日付・毎日新聞Web版)。葬儀委員長を務める岸田総理から宮内庁に「皇族各殿下」の国葬への参列依頼が文書で出されていた。「皇族各殿下」には天皇、皇后両陛下と上皇ご夫妻は含まれない。両陛下と上皇ご夫妻は使者を派遣するとみられる。1967年の吉田元総理の国葬には、当時は皇太子夫妻だった上皇ご夫妻が参列し、昭和天皇ご夫妻は使者を派遣した。2020年の中曽根元総理の内閣・自民党合同葬には秋篠宮夫妻が参列し、両陛下と上皇ご夫妻は使者を派遣している(同)。

   上記の記事を読んでの印象だが、日本の国葬には天皇、皇后両陛下はこれからも参列しないだろう。国葬に関して取り決めた法律がない、また、国葬に値する人物の基準もないので当然と言えば、当然だろう。議論を呼ぶような国葬にあえて両陛下が参列するはずもない。岸田総理は国会の閉会中審査(今月8日)で「憲政史上最長(通算8年8ヵ月)の政権を担った」「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」などと国葬を実施する理由を繰り返し述べていたが、政権の単なる理屈にすぎない。

   国葬は国民がこぞって賛同するような価値基準がない限り難しい。内閣府設置法という法律の枠組みの中で「国の儀式」が出来るから国葬を行うというのでは、今後さらに有権者の反発を招くのではないか。

(※写真は、2020年10月17日に都内のホテルで営まれた中曽根元総理の「内閣・自民党合同葬」=総理官邸公式サイトより)

⇒10日(土)夜・金沢の天気   はれ

☆女王の威厳を讃えるイギリスの国葬

☆女王の威厳を讃えるイギリスの国葬

   イギリスのエリザベス女王が亡くなった。イギリスの君主として歴代最長となる70年にわたって在位し、96歳で亡くなった。BBCニュースWeb版(9日付)は「Nation mourns Queen with flowers, gun salutes and address from new King」の見出し=写真=で、女王の死去を受け、長男のチャールズ皇太子が国王に即位したと伝えている。女王に敬意を表してウェストミンスター寺院、セントポール大聖堂、ウィンザー城で鐘が鳴り、女王の人生を記念して96発の銃による敬礼がハイドパークなどで発射される。女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で執り行われる予定で、正確な日はバッキンガム宮殿によって後日発表される、という。

   エリザベス女王の死去を受けて、天皇陛下のお気持ちを宮内庁が文書で発表した(TBSニュースWeb版)。「女王陛下は、70年の長きにわたり英国女王として同国並びに英連邦諸国の国民を導き、励まされました」「我が国との関係においても、女王陛下は両国の関係を常に温かく見守ってくださり、英王室と皇室の関係にも御心を寄せてくださいました。私の英国留学や英国訪問に際しても、様々な機会に温かく接していただき、幾多の御配慮をいただいたことに重ねて深く感謝したいと思います。 また、女王陛下から、私の即位後初めての外国訪問として、私と皇后を英国に御招待いただいたことについて、そのお気持ちに皇后とともに心から感謝しております」

   天皇のお言葉からも、70年の長きにわたってイギリスの女王として威厳を保ち続けたことが伝わって来る。さまざまな王室スキャンダルの嵐が吹き、イギリスそのものもかつてはEU離脱という国論を二分するよう状況下もあった。その中でも、威厳を湛えながら国をまとめていた。

   エリザベス女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で執り行われる。誰もが弔意を持って、その日を迎えることだろう。これが本来の国葬のあり様でもある。日本の「国葬」と比較するつもりはいっさいない。

⇒9日(金)夜・金沢の天気      くもり