#アニメの聖地

☆輪島市の成人式アニメポスタ- 永井豪記念館の再建を復興シンボルに

☆輪島市の成人式アニメポスタ- 永井豪記念館の再建を復興シンボルに

  先日、輪島市のショッピングセンターに立ち寄ると、掲示板にアニメのポスターが2枚貼ってあった。なんだろうと近いづいて見ると、右の一枚は「令和6年 輪島市 二十歳の集い」とあり、左は「令和7年 輪島市 二十歳の集い」とあった。成人式を開催するポスターだった。去年は元日に能登半島地震があり、成人式は中止となっていたので、ことしの開催となり、ことしの成人式と重ねて開催するという意味で並べて貼ったのだろう。場所は輪島市立輪島中学校アリーナで同じだが、令和6年の成人式は1月11日、令和7年の成人式は1月12日とあり、それぞれ開催する日が異なる。  

  それにしてもアニメを用いたポスターは、少々派手で楽しい雰囲気を醸し出している。アニメそのものが素人ぽくない。ポスターを制作したのは輪島市教委の生涯学習課で、SNSで話題になり、参加者が増えるように仕掛けたのかもしれない。

  輪島市でアニメと言えば、朝市通りには人気スポットの「永井豪記念館」があった。あの『マジンガーZ』や『キューティーハニー』などの漫画家・永井豪氏は同市出身で、2009年に行政が記念館を創り、永井氏は名誉館長を務めていた。日本のアニメが海外でも大ブームとなり、永井氏の『UFOロボ グレンダイザー』などがヨーロッパで人気を博すと、記念館へのインバウンド観光の見学者も増えていた。そして、永井氏は2019年、フランス政府から芸術文化勲章「シュバリエ(騎士)」が贈られた。記念館も絶好調だった。

  その記念館は能登地震で朝市通り一帯が焼けて、ビルも焼け焦げた。展示してあった原画や一部のフィギュアなどの展示物などは無事だった。その後、ビルは公費解体で撤去された。永井氏と所属プロダククションは輪島市と石川県にそれぞれ1000万円、計2000万円の義援金を贈っている。永井氏は「漫画はつらいときこそ、力になって希望を満たすことができる。漫画を描くことで『前に進もう』というメッセージを伝えたい」と語っていた(2024年1月25日付・読売新聞オンライン)。

  去年5月29日、永井氏は石川県の観光大使の委嘱を受けた。「復興支援も続けていきたい」と述べ、永井豪記念館の再開にも意欲を示した(同6月1日付・同)。震災でふるさと愛がふつふつとわいてきたのだろうか。能登復興の先進事例として、永井豪記念館の再建でその役割を果たしてほしいと願う。

⇒12日(日)夜・金沢の天気   くもり

☆アニメ聖地など個性的な店も 震災・能登で初の「仮設商店街」

☆アニメ聖地など個性的な店も 震災・能登で初の「仮設商店街」

  元日の能登半島地震では住家だけではなく、多くの店舗も被災した。七尾市ではそうした事業者の生業(なりわい)の再生に向けて、「仮設商店街」がこのほどオープンした。商店街を訪ねてみた。

  開設されたのは七尾市中心部にある「一本杉通り」。老舗の和ろうそくの店や和菓子の店など寄棟造りの町家が軒を並べていたが、いくつかの店舗が全半壊するなど被害が出ている。その一角にある駐車場の空き地に、七尾市役所が国の助成制度を活用してプレハブの仮設店舗を設けた。入居したのは、喫茶店、飲食店、結納品や文具を販売する店、美容室の4つの事業者。市の広報によると、入居は2026年8月まで2年間で、家賃は無償だが、光熱費などは自費負担。2年間に店舗を再建することが条件となっている。

  なかなか個性的な店がある。喫茶店「中央茶廊」に入った。店には、奇跡的に被害を免れたという焙煎機があった。店のママさんは「おかげさまで、これまでとは変わらないコーヒーの味を楽しんでいただけます」と話していた。この店は、2023年春にアニメが始まり、夏に映画が公開された漫画『君は放課後インソムニア』の「聖地」の一つとして知られる。店の再開を知った常連客が次々と訪れていた。店で売られていたコーヒーを購入すると袋の中に「被災地応援イベントレポート」が入っていた。アニメの作家と協働でいろいろとイベントを仕掛けているようだ。(※写真・上は七尾市一本杉通りに開設された仮設商店街。写真・下はこだわりの喫茶店「中央茶廊」の店舗)

  隣の飲食店「太左エ門」は材料の仕入れのため店は閉まっていた。太左エ門は能登島で知られた民宿だった。地震で地盤沈下などの被害が出て、民宿の経営を断念。ただ、能登島の漁港で水揚げされた鮮魚を使った海鮮丼など飲食に特化した料理店として再建を目指している。

  生業の再建を目指した初の七尾市の仮設商店街だが、別の地域でも整備を進められている。輪島市では曹洞宗の総持寺がある門前町で。また、志賀町では道の駅「とぎ海街道」などに隣接するカタチでスーパーや衣料品店など9業者が開業を目指している。このほかの自治体でも、9月から10月にかけて、仮設商店街が完成する見通しという。個性的な店が寄り添ってにぎわいを創出してほしい。

⇒19日(月)夜・金沢の天気    はれ