#りんご吊り

★重くのしかかる雪に耐える  北陸の「雪吊り」に込められた知恵と工夫の職人技

★重くのしかかる雪に耐える  北陸の「雪吊り」に込められた知恵と工夫の職人技

  気象庁が「今季最強・最長寒波」と緊急会見で発表した今回の寒波は3日目に入った。けさ7時半ごろ自宅2階から撮った写真と前回ブログ(4日付)のものと比較してみる。きょうも空にはどんよりと雪雲が連なっている。左側に見える雪吊りの五葉松には前回と比べ、倍くらいの厚さで雪が積もっている。目分量だが、多いところで20数㌢ほどだろうか。右側のガレージの屋根にも同じくらいの厚さで積もっている。写真下の部分は屋根雪。前回と比べてもその分厚さが見て取れる。35㌢ほどあるだろうか。北向きなので雪が溶けにくい。同じ家の屋根雪でも向きによって溶け方がまったく異なる。(※写真・上は、金沢市内の積雪の様子=4日午前7時40分、自宅2階から撮影)

  先ほど述べた雪吊りの五葉松の話。北陸の雪は湿ったような重さがある。その理由でよく言われているのが、大陸からの偏西風にのってやって来る冷たい空気が日本海で水分を多く含み、白山や立山連峰などの高い山に当たって上昇し冷えることで雪となるので、北陸の雪は湿気を含んで重い。雪の重みで庭木の枝が折れる。このため、金沢の兼六園をはじめ一般の民家でも庭木に雪吊りを施すの恒例となっている。

  その雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法があると言われている。単に枝が折れるのではなく、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」といった樹木の形状によりさまざまな雪害が起きる。これに対応する雪吊りは素人ではできない仕事なので、造園業者に依頼することになる。プロは樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」などの雪対策の手法を判断する。

  雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・下=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。パラソル状になっていることろがアートでもある。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様の手法を用いていたようだ。

  雪吊りを眺めていると職人の知恵と工夫、庭木をいたわる気持ちが伝わってくる。と同時に、雪吊りの経費は春の撤去も含めてそれなりに掛かる。たとえ気象予報が暖冬であったとしても、今季のようにいつドカ雪が来るか分からないので、「庭税」だと思いながら毎年雪吊りの備えをする。なのでいまは、五葉松に雪吊りをしていてよかったと安堵の気持ちで眺めている。

⇒6日(木)午前・金沢の天気    くもり時々ゆき

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

   北陸に住む者にとって、冬の備えが少なくとも2つある。まずは自家用車のノーマルタイヤからスノータイヤへの交換だ。積雪で路面がアイスバーン(凍結)状態になると交通事故のもとになる。もう一つが民家の庭木の雪吊り。北陸の雪はパウダースノーではなく、湿気を含んで重い。雪の重みで庭木の枝が折れる。金沢の兼六園では毎年11月1日に雪吊りを施し、民家では12月から始まる。

   きのう我が家の雪吊り作業を行った。素人ではできない仕事なので、造園業者に依頼している。雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法がある。庭木に雪が積もりると、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」と言って、樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。樹木の姿を見てプロは「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」などの手法の判断をする。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・上=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。パラソル状になっていることろがアートではある。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様な手法を用いていた。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・中=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。庭職人の親方から聞いた話だ。秋ごろに庭木の枝葉を剪定してもらっているが、ベテランの職人は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うという話だった。このために強く刈り込みを施すこともある。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に伸び、雪害の要因にもなる。庭木本来の美しい形状を保つために、常に雪のことを配慮している。

   ムクゲの木に施されている「しぼり」=写真・下=は低木の枝を全て上に集め、縄で結ぶ。大雪になると枝がボキボキと折れる。「備えあれば憂いなし」の心構えで、暖冬予報であっても雪吊りをする。雪つりは年末の恒例行事でもあり、これをやらないと気持ちのけじめがつかない。北陸に住む者の心構えではある。

⇒8日(木)夜・金沢の天気    くもり

★雪吊りの兼六園 雪国の知恵がここにある

★雪吊りの兼六園 雪国の知恵がここにある

    きょう兼六園に立ち寄った。毎年11月1日から樹木に雪吊りが施されているので、その様子も見学したいとふと思い、足が向いた。兼六園に入って、たまたまかもしれないが、インバンド観光客がツアーやグループ、家族連れで多く訪れていた。兼六園がミシュラン仏語ガイド『ボワイヤジェ・プラティック・ジャポン』(2007)で「三つ星」の最高ランクを得てからは訪日観光客の人気は高まっていたが、2000年の新型コロナウイルス感染の拡大以降はほとんど見かけることがなかった。ようやく水際対策を緩和した効果が出てきたようだ。

   そのインバウンドの人たちが盛んにカメラやスマホを向けていたのは、雪吊りが施された唐崎松(からさきのまつ)だ=写真=。高さ9㍍、20㍍も伸びた枝ぶり。唐崎松には、5つの支柱がたてられ、800本もの縄が吊るされ枝にくくられている。天を突くような円錐状の雪吊りはオブジェのようにも見え、とても珍しいのかもしれない。

   ふと考えたのは、雪国に住まないインバウンドの人たち、あるいは日本人も含めて、なぜこのような雪吊りを樹木に施す必要があるのかと疑問を持つ人々も多いのではないか、ということだ。金沢の雪はさらさら感のあるパウダースノーではなく、湿っていて重い。その理解が前提になければ、雪吊りは単に冬に向けてのイベントにしか見えないだろう。

   金沢では庭木に雪が積もると「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」といった雪害が起きる。金沢の庭師は樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」の雪害対策の判断をする。唐崎松に施されたのは「りんご吊り」という作業で、柱の先頭から縄を枝を吊る。このほかにも、「幹吊り」(樹木の幹から枝に縄を張る)や「竹又吊り」(竹を立てて縄を張る)、「しぼり」(低木の枝を全て上に集め、縄で結ぶ)など樹木の形状に応じてさまざまな雪吊りがある。

   兼六園では12月中旬ごろまで、800ヵ所で雪吊りが施される。その一つ一つを観察すると、雪から樹木を守る庭師の気持ちや技術や知恵といったものが伝わってくる。

⇒10日(木)夜・金沢の天気    はれ

☆「雪吊り」は庭木のアート

☆「雪吊り」は庭木のアート

   この時節、金沢の一つのキーワードは「雪吊り」だ。11月に兼六園で雪吊りのニュースが流れると金沢市内の家々でも雪吊りが始まり、12月初旬にピークを迎える。我が家も造園業者に依頼している。きょうは朝から小雨が降っていたが、庭師が来てくれた。

   庭木に雪が積もると、雪圧や雪倒、雪折れ、雪曲など樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。金沢の庭師は樹木の姿を見てどのような樹木の雪対策をしたらよいか判断する。「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」など11種の方法があると、出入りの庭師から聞いた。毎年見慣れている雪吊りの光景だが、縄の結び方などが樹木によって異なるのだ。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」。我が家では五葉松などに施されている=写真・上=。木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっている。「りんご吊り」という名称は、金沢では江戸時代に庭にリンゴの木を植えていて、果実がたわわに実ると枝が折れるのを補強するためそのような手法を用いた。それが冬の樹木にも応用されたと伝えられている。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・下=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。秋ごろには庭木の枝葉を剪定してもらっているが、庭師は庭木の積雪を意識して、積もらないように剪定を行うと話してくれた。その仕事ぶりを見ていると、「庭木のアーチスト」ではないかと思う。庭木の積雪をイメージして剪定を行い、雪害を予想して庭木の生命や美の形状を保つために、雪吊りや雪囲いといった作業をする。

     関西や関東の友人たちに雪吊りの写真をメールで送ると、「長期予報で北陸が暖冬だったら、わざわざ雪つりをする必要はないよね」と返信があったりする。理にかなってはいるが、冬の現実はそう単純ではない。暖冬ではあっても、冬将軍は突然やってくる。一夜にして大雪になることもままある。北陸の雪は湿っぽく重い。とくに松の木の枝には雪が積もりやすく、大雪になると枝がボキボキと折れる。「備えあれば憂いなし」の心構えで、暖冬予報であっても雪吊りをする。雪つりは年末の恒例行事でもある。気持ちの問題として、年末の大掃除のように、これをやらないと気持ち的にけじめがつかないということもある。

⇒6日(月)夜・金沢の天気      くもり

★雪吊りは雪害対策、そして雪庭のアート

★雪吊りは雪害対策、そして雪庭のアート

   強い冬型の気圧配置で北陸には断続的に雪が降ってはいるが、金沢の自宅周辺でも積雪は数㌢だ。気象庁の予報によると、日本海側はこれからも雪が続く見込みで、平地でも大雪のおそれがある。数㌢の積雪でも雪を侮ってはいけない。路面の凍結で転倒したり、交通事故が多発する。そして、樹木にとっても雪は「重荷」となる。とくに、北陸の雪は湿気が多く、いわゆるパウダースノーではない。その分、重いのだ。

   例年12月中頃に造園業者に「雪吊り」の作業を依頼している。ことしはきのう16日に作業をしてもらった。15日から積雪があり北陸地方は大雪との予報が出ていたので、作業そのものができるのか心配だったが、なんとか冬将軍が来る前に間に合った。

   金沢の造園業者は雪吊りにかけてはなかなか「うるさい」(技が優れている)。雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法がある。庭木に雪が積もると、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」と言って、樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。そこで、プロは樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」の雪害対策の判断をする。毎年見慣れている雪吊りの光景だが、縄の結び方などがまったく異なる。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」だ=写真・上=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっていることろが、アートなのだ。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様な手法を用いていたようだ。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・下=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。秋ごろには庭木の枝葉を剪定してもらっているが、ベテランの職人は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うという話だった。このために強く刈り込みを施すこともある。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に成長して、雪害の要因にもなる。庭木本来の美しい形状を保つために、常に雪のことが配慮される。「うるさい」理由はここにあるようだ。

   この時節、周囲の庭木の雪吊りを眺めながら、スコップで雪すかし(除雪)をする。玄関前の雪を側溝に落とし込む。10分ほどの軽い運動でもある。冒頭で述べたように雪を甘く見てはいけない。一夜にして50㌢を超える積雪だと数時間の重労働となる。(※写真は2019年1月の積雪と雪吊り)

⇒17日(木)午前・金沢の天気   くもり