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☆無可有な時間(とき)のひとコマ

☆無可有な時間(とき)のひとコマ

   ゴールデンウイークのひとコマ。加賀温泉で湯につかり、のんびりと一夜を過ごした。金沢から温泉に向かう途中の国道8号から、白山が見えた。2702㍍。富士山、立山と並んで日本の三霊山にたとえられる。青空に映えて、まさに白い山。赤瓦の民家と新緑の山々がマッチしている。このアングルに魅(ひ)かれて、車を降りて撮影する=写真・上=。

   予約していた山代温泉の温泉旅館に到着する。すでに、従業員が迎えに出ていた。せっかくなので、いきなり質問をした。「旅館名は『べにや無可有』ですが、このムカユウはどんな意味なのでしょうか」と。すると女性の従業員は「お客様からよく尋ねられるのですが、自然のままで何もないという意味のようです」と。

    和室の部屋に入ると、その意味が少し理解できた。ベランダに出ると外の風景はまるで自然の山庭だ=写真・下=。自然の癒しというものを感じる。旅館のパンフにはこうあった。「荘子に『虚室生白』という言葉があります。部屋はからっぽなほど光が満ちる。何もないところにこそ自由な、とらわれない心がある。『無可有』はそんな荘子のとくに好んだ言葉で、何もないこと、無為であること」

   そこでふと、無可有とは自分のことではないかと思った。大学を退職し、まるでぽっかりと空いたスケジュール表の余白のような時間。ある意味で、空っぽだからこそ自由で満たされた時間がそこにある。そんなことを思いながら、風になびく古木の枝葉を見て、サラサラと温泉がわく音を聞きながら、露天風呂につかる。

⇒5日(木)夕・金沢の天気     はれ   

★北朝鮮はICBMの核搭載を急ぐのか

★北朝鮮はICBMの核搭載を急ぐのか

    北朝鮮がまた日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。ミサイルの発射はことしに入って13回目だ。防衛省公式サイト「報道資料」(4日付)によると、「北朝鮮は、本日12時2分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射しました。詳細については現在分析中ですが、最高高度約800km程度で、距離は約500km程度飛翔し、落下したのは、北朝鮮東岸の日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定されます」。

    また、防衛大臣のコメントも添えている。「これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものです。また、ウクライナへの侵略が発生している中で、ミサイルを発射したことは許されない旨、大臣からコメントがありました。さらに、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであり、強く非難します」

   注視するのは、発射された場所だ。防衛省公式サイトのイメージ図にあるように、発射は首都平壌の郊外の国際空港で行われたのだろう。ここからは、3月24日に「モンスター・ミサイル」と報じられた全長23㍍にも及ぶ大陸間弾道ミサイル「火星17型」(ICBM)が発射されている。このときは、71分飛翔し、北海道の渡島半島の西方約150㌔の日本海(EEZ内)に落下した。飛翔距離は約1100㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。射程距離は首都ワシントンほかアメリカ全土がほぼ入るとされた。

    今回は最高高度は800㌔とされるので火星17型に比べれば、規模が小さいのかもしれない。ただ、4月25日に「朝鮮人民革命軍」創設90年にあわせて軍事パレードを開催した金正恩総書記は「核戦力を最速ペースで強化・開発するため、措置を取り続ける」と表明し、核戦力について、いつでも行使できるよう「準備が欠かせない」と述べている(4月26日付・BBCニュースWeb版日本語)。アメリカ全土を射程距離に入れるICBMの発射実験には成功したので、次は核弾道の搭載に向けて準備を進めているのではないかと懸念する。

   北朝鮮だけではない。ロシア太平洋艦隊の潜水艦2隻が4月14日、日本海で巡航ミサイルの発射演習をした。ミサイルは敵の船を模した海上の標的に命中したとしている(4月14日付・共同通信ニュースWeb版)。また、同じ4月20日には、10以上の核弾頭の搭載が可能な新型の大陸間弾道ミサイル「サルマト」をカムチャッカ半島の標的地に落としている。CNNニュースWeb版日本語(4月21日付)によると、「サルマト」についてはプーチン大統領が2018年の演説で新型兵器として言及し、これでNATOの防衛は「完全に使い物にならなくなる」と誇示していた。日本海周辺にさらなる緊張感が漂う。

⇒4日(水)夜・金沢の天気      くもり

☆憲法施行75年「古くなった」「安全保障に対応可能か」

☆憲法施行75年「古くなった」「安全保障に対応可能か」

   きょうは憲法記念日。そして憲法施行75年となる。日本には平穏な暮らしがある一方で、隣国のロシアがウクライナへ侵攻したことで国連安保理が機能不全に陥り、世界平和の秩序が乱れ始めている。さらに、中国の武力による台湾の統合と尖閣諸島の占有も懸念され、繰り返される北朝鮮のICBM発射など不安が募る。日本のいわゆる平和憲法はこのままでよいのか。

   メディア各社が国民の憲法についての意識調査を報じている。朝日新聞の調査(郵送、期間3月15日‐4月25日、有効回答1892人、回収率63%、内訳男48%・女51%・無記入1%)では、いまの憲法を変える必要について、「変える必要がある」が56%(昨年調査45%)で、「変える必要はない」37%(同44%)を上回った。2013年に郵送調査を始めて以降、改憲必要派は最多。憲法第9条については「変えないほうがよい」59%(同61%)で、「変えるほうがよい」33%(同30%)を上回った。

   読売新聞の調査(郵送、期間3月15日‐4月21日、有効回答2080人、回答率69%、内訳男47%・女53%)では、憲法を「改正する方がよい」は60%(昨年調査56%)と、郵送方式となった2015年以降で最も高かった。「改正しない方がよい」は38%(同40%)だった。戦力の不保持などを定めた9条2項を改正する必要が「ある」は50%(同46%)で、「ない」47%(同47%)をやや上回った。ただ、戦争放棄を定めた9条1項については、改正の必要は「ない」が80%(同80%)に上った。

   NHKの調査(携帯・固定電話、期間4月15-17日、有効回答1508人、回答率50%)では、憲法を改正する必要があると思うかどうかについては、「改正する必要があると思う」が35%(昨年調査33%)、「改正する必要はないと思う」が19%(同20%)、「どちらともいえない」が42%(同40%)。「必要がある」との回答は年々上昇していて、2018年調査(29%)より6ポイント上がっている。憲法9条について改正する必要があると思うかどうかについては、「改正する必要があると思う」が31%(同28%)、「改正する必要はないと思う」が30%(同32%)、「どちらともいえない」も34%(同36%)だった。2020年調査では「必要がある」26%、「必要はない」37%だったが、今回初めて「必要がある」が「必要はない」を上回った。

   新聞メディアの調査は「する」「しない」の二者択一を回答者に求めているのに対し、NHKは「どちらともいえない」を含めた三択にしているので、それぞれの回答の数値は低くなっている。

   メディア各社の世論調査で「憲法改正の必要あり」の方向性が明らかになってきた。その理由で多かったのが、「国防の規定が不十分だから」「古くなったから」(朝日)、「時代の変化に憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから」「国の自衛権を明記し、自衛隊の存在明文化するため」(読売)、「日本を取りまく安全保障環境の変化に対応するため必要だから」「国の自衛権や自衛隊の存在を明確にすべきだから」(NHK)。ここから読めるのは、「憲法は古くなり、時代の変化に対応できない」「安全保障のために自衛隊の存在の明文化が必要」ということだろうか。

(※写真は日本国憲法原本=Wikipedia「日本国憲法」より)

⇒3日(祝)夜・金沢の天気     はれ

★世界のど真ん中で岸田総理「核兵器なき世界」訴えるとき

★世界のど真ん中で岸田総理「核兵器なき世界」訴えるとき

   岸田総理は先月26日、地元広島県の平和記念公園で原爆死没者慰霊碑に献花を行った。その際、平和記念資料館でアメリカのエマニュエル駐日大使と面談を行った。岸田氏は、「核兵器のない世界」の実現に向けて日米で協力していきたい旨を述べた。これに対し、エマニュエル氏は核なき世界の実現に向け日米間の連携をさらに深めたいと発言した(外務省公式サイト)。岸田氏は広島1区での当選10回、「ヒロシマ」の思いを知り尽くしている。エマニュエル氏にとっては重い発言だったに違いない。

   2015年5月に行われた核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議で当時外務大臣だった岸田氏の演説。「70年前、私の故郷広島において、一発の原子爆弾が13万人以上の尊い命を奪いました。残された者も後遺症に苦しみ、多くの者がその後命を落としました。『被爆体験は思い出したくないが、2度と繰り返さないために忘れないようにしている』、これは多くの被爆者の思いです。被爆地広島出身の外務大臣として、私は、被爆地の思いを胸に、この会議において『核兵器のない世界』に向けた取組を前進させる決意です」(岸田文雄公式サイト)。2016年5月、当時のアメリカのオバマ大統領の広島訪問が実現した際に岸田氏は原爆ドームなどについて通訳を介さずに英語で説明を行っている

   ロシアによるウクライナ侵攻が始まって70日ほどになるが、プチーン大統領は先月、4月27日の連邦国会で、ウクライナをめぐりロシアにとって戦略的脅威となる国には「電光石火」で報復すると欧米に警告した(29日付・BBCニュースWeb版日本語)。4月20日には、10以上の核弾頭の搭載が可能な新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)をカムチャッカ半島の標的地に落としている。明らかに核兵器の使用を示唆したものだろう。このロシアの動きは、核兵器の拡散を防止することが核兵器の廃絶につながるとの考えのもとで1970年に発効したNPTをその前提から瓦解させるものではないだろうか。

   「ヒロシマ」の岸田総理が世界にその存在感を示すべきときが来た。ニューヨーク、パリ、ロンドンなどで、持論の「核兵器のない世界」の実現に向けて訴えるべきだ。今月22日に来日するアメリカのバイデン大統領と広島・長崎でロシアに向けて「核で威嚇するな、NPTを壊すな」と強く主張すればよい。

(※写真は2016年4月に開催された広島でのG7外相会合=岸田文雄公式サイト)

⇒2日(月)夜・金沢の天気    くもり

☆海流がさらす「ロシアの不埒」漂着ゴミ

☆海流がさらす「ロシアの不埒」漂着ゴミ

   能登半島の沖合には北朝鮮の木造船がよく流れ着く。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し日本海側の沿岸に流れてくる=写真・上=。とくに能登半島は日本海に突き出ているため、近隣国の漂着物のたまり場になりやすい。このところ問題になっているのが、ロシアからの漂着ゴミだ。

   とくに目立っているのは大量の注射器と注射針だ。地元紙によると、能登半島の先端の珠洲市の海岸で今月27日、市と県の職員、建設業協会のメンバーが海岸線を巡回して回収したところ、新たに1377本の注射器と注射針が見つかった。注射器の長さは約10㌢で、針のついているもの、針だけ包装されているものもあった。ロシア語で「医療用」と表記されている(28日付・北國新聞)。注射器や注射針は輪島市の海岸でもこれまで625本が見つかっている(3月4日付・同)。

   能登半島だけでなく、島根や鳥取、兵庫、京都府の海岸でも注射器が見つかっている(2月28日付・共同通信Web版)。以下は憶測だ。これだけ大量のものが投棄されるということは、時期的に新型コロナウイルスのワクチン接種で使用したものではないだろうか。ロシア、あるいはロシアから提供を受けた北朝鮮が沖合で廃棄したものかもしれない。漂着したものはごく一部で、まだ膨大な量の注射器と注射針が海を漂っているに違いない。

   ことし1月には同じ珠洲市の海岸に、船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いた=写真・下=。船体にはロシア語が書かれていた。能登海上保安署は、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(1月4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。では、ロシアはなぜ、どのような理由で射撃訓練を日本海で行ったのか。実に不気味だ。そして、標的船を回収せずにそのまま海に遺棄する感覚に不埒さを感じる。

⇒30日(土)夜・金沢の天気    はれ

★国連事務総長が語るべき「地獄の黙示録」

★国連事務総長が語るべき「地獄の黙示録」

   ロシアを26日訪れ、プーチン大統領と会談した国連事務総長のグテーレス氏は28日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と面談した。その夜、キーウで2回にわたって爆発音が響いた。ロシア軍のミサイル2発が撃ち込まれた。このため、グテーレス氏はウクライナ政府の建物に数時間にわたって足止めとなった(29日付・NHKニュースWeb版)。

   BBCニュースWeb版(29日付)によると、その後のインタビューにグテーレス氏は「私が訪れているキーウに2発のミサイルが着弾してショックを受けている。私たちは絶対にこの戦争を終わらせる必要がある」と述べた=写真=。グテーレス氏はウクライナでの「地獄の黙示録」を目の当たりにした。

   グテーレス氏は、ゼレンスキー氏との会談で、「ロシアによる侵略は明らかな国連憲章違反だ」と厳しく非難したうえで、マリウポリに取り残されている市民の避難に向け国連として全力を尽くすと強調した。その後、キーウの北西にあるボロディャンカの町を実際に訪れ、攻撃によって破壊された建物の前で、ロシアによる侵攻を「absurdity in the 21st Century(21世紀の不条理)」と呼んだ。さらに、マリウポリでは、「マリウポリは危機の中の危機だ」と述べた。「何千人もの民間人が命を救う支援を必要としており、その多くは高齢者で医療を必要としているが、移動が制限されている。彼らには黙示録からの逃げ道が必要だ」と語った。

   グテーレス氏が語った言葉だ。「I am here to say to you Mr President, and to the people of Ukraine, we will not give up」(意訳:「私はゼレンスキー大統領、そしてウクライナ国民に、私たちはあきらめないと言うためにここにいます)

   そもそも、グテーレス氏は行く順番を間違えた。まずウクライナの現場を見て、それからプーチン氏と語るべきだったのではないか。ならば、もう一度、ロシアに行くべきだろう。そして、「absurdity in the 21st Century」を訴えるべきだ。国連安保理は常任理事国のロシアによる拒否権の発動で機能不全に陥っている。崖っぷちに立っているのはむしろ国連ではないか。

⇒29日(祝)夜・金沢の天気   あめ

☆ところ違えば重宝される「花はハス」

☆ところ違えば重宝される「花はハス」

   庭に「アメリカハッカクレン」が咲き競っている。ちょっと見ただけでは、どこに花があるのか分からない。ハスのような葉の下方に花を付けているので、近くで観察しないと分からない。漢字で表記すると「亜米利加八角蓮」。「八角蓮」は読んで字のごとく、八角形をしたハスの葉という意味のようだ。

   毎年この時節にアメリカハッカクレンを床の間に生ける。普通の生け方ではない。何しろ「蓮」なのだ。尊い花という意味合いの生け方になる。耳付き古銅の花入れ、そして敷板は真塗の矢筈板だ。掛け軸は『柳緑 花紅』(やなぎはみどり はなはくれない)、11世紀の中国の詩人・蘇軾の詩とされる。緑と白が浮かび上がり、凛とした感じで床の間を彩る。

   ハッカクレン はアジアでは中国や台湾が原産とされ、花は赤褐色。アメリカハッカクレンは名前の通り、北アメリカが原産で花の色は白い。学名は「Podophyllum peltatum」。英名で「May apple」。メイアップルは、5月に咲くこの花の後に付く実がリンゴの形に似ているので名付けられたようだ。さらにネットで調べる。ウィシスコン大学マディソン校の公式サイトで以下の説明があった。アメリカでは、山野草として扱われる。アメリカの先住民たちは根茎や根をポドフィルム根といい、下剤や除虫薬として重宝していた。別のサイトによると、悪性リンパ腫などの抗がん剤として研究も進んでいるようだ。   

   アメリカハッカクレンは他の八角蓮とは違って、葉の形がそれほど大きくないことから、茶花として重宝される。ふと思った。北アメリカでは単なる山野草なのだろう。しかし、日本では仏教の花「蓮」として格式高く扱われる。床の間の様子を北アメリカの人々が見たらとても不思議に思うかもしれない。メイアップルは日本では「聖なる花」なのだ、と。

⇒28日(木)夜・金沢の天気       くもり

★「コケの一念」プーチン 「コケにされた」グテーレス

★「コケの一念」プーチン 「コケにされた」グテーレス

   よい表現ではないが、「人をコケにする」という言葉がある。コケの意味を国語辞典で調べると、「こけ(虚仮)」は「愚かなこと」「愚かな人」を意味し、例文として「人をこけにする」は「人をばかにする」の意味。慣用句として「こけの一念」があり、「愚か者が、(たとえ笑われようとも)一つのことをやりとげようと専念すること」。「こけの一念岩をも通す」もある(三省堂『現代新国語辞典』)。

   さらにネットで「虚仮」を検索すると、鎌倉時代の仏教書『歎異抄』の一文が出てきた。「道場にはりぶみをして、なむなむのことしたらんものをば、道場へいるべからず、なんどということ、ひとえに賢善精進の相をほかにしめして、うちには虚仮をいだけるものか」(第十三条)。現代語で「念仏の道場に、禁止事項を書いた紙を貼り、このようなことをした者は、道場に入ってはならない、などということは、ただただ外見には真面目な念仏の行者を装って、内心には虚偽をいだいている者ではないのか」(親鸞仏教センター公式サイト)。

   コケの意味を調べようと思ったきっかけは、国連のグテーレス事務総長が26日、ロシアによる軍事侵攻が始まってから初めてロシアの首都モスクワを訪れプーチン大統領と会談した。話し合いは例の20フィート(約6㍍)離れて向かい合って座るテーブルで行われ=写真、27日付・BBCニュースWeb版=、肝心の停戦については協議にも至らなかった。「平和の使者」であるグテーレス氏はプーチン大統領にコケにされたのではないかとの印象だった。

   念のため、国連公式サイトでグテーレス氏とプーチン氏の会談内容をチェックする。「The President agreed, in principle, to the involvement of the United Nations and the International Committee for the Red Cross in the evacuation of civilians from the Azovstal plant in Mariupol.」(意訳:大統領はマリウポリのアゾフスタル工場地下の民間人の避難に国連と赤十字国際委員会が関与することに原則的に同意した)などと掲載されているものの、停戦交渉についての記述はまったく見当たらない。グテーレス氏はこれまで、ロシアの軍事侵攻は一方的な措置で国連憲章に反していると繰り返し述べてきた。それが、会談ではプーチン大統領に完全に無視されたということだろう。

   話は冒頭に戻る。現在のプーチン大統領のやり様をメディアで見る限り、まさに「コケの一念」ではないだろうか。そして、歎異抄にもあるように「外見には真面目な念仏の行者を装って、内心には虚偽をいだいている者」のようにも思える。ここで、ロシア帝国崩壊の一因をつくった人物の一人とされる「怪僧ラスプーチン」をイメージしてしまう。単なる言葉の連想ゲームではある。

⇒27日(水)夜・金沢の天気     くもり

☆やっかいな黄砂 めぐみの黄砂

☆やっかいな黄砂 めぐみの黄砂

    黄砂の季節だ。気象庁公式サイトの「黄砂情報」をチェックすると、あす27日午前中から日本海に黄砂が張り出して、午後3時ごろには北陸などが覆われる=写真=。日本から4000㌔も離れた中国大陸のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠で、風で砂が舞い上がり、偏西風に乗って極東アジアにやってくる。黄砂と同時に大陸の工場などから排出されたPM2.5(微小粒子状物質)も飛散してくるからやっかいだ。

   この時季、野外の駐車場に車を停めておくと、フロントガラスが白くなり、ガソリンスタンドで列について洗車をする。洗濯物も部屋干し。そして、外出してしばらくすると目がかゆくなることがある。黄砂そのものはアレルギー物質になりにくいとされているが、黄砂に付着した微生物や大気汚染物質がアレルギーの原因となり、鼻炎など引き起こすとされる。さらに、黄砂の粒子が鼻や口から体の奥の方まで入り、気管支喘息を起こす人もいる。

   黄砂はやっかいだが、こんな側面もある。黄砂に乗って浮遊する微生物、花粉、有機粉塵などは「黄砂バイオエアロゾル」と呼ばれる。金沢大学のある研究者は発酵に関連する微生物がいることに気づき、採取したバチルス菌で実際に納豆をつくり、商品化した。この納豆の試食会に参加させてもらったが、日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの解説に妙に納得したものだ。

   また、大量の黄砂が日本海に注ぐことになる。3月、4月に「ブルーミング」と呼ばれる、海一面が白くなるほど植物プランクトンが大発生する。黄砂の成分といえるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促されるのだ。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという食物連鎖があるとの研究もある。地球規模から見れば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜブリやサバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に獲れるのか、いろいろ要因もあるが、黄砂もその役割を担っているのかもしれない。

⇒26日(火)夜・金沢の天気     あめ

★背景に「参院無用」論 そっぽの低投票率

★背景に「参院無用」論 そっぽの低投票率

   「夏の参院選の前哨戦」と位置づけられ、各党首らが続々と応援に駆け付けた石川選挙区の補欠選挙の投開票がきのう行われ、自民の前の参院議員で公明推薦を受けた宮本周司氏が、立憲民主や共産など野党の新人3人を破って当選した=写真、24日・NHK金沢「開票速報」より=。宮本氏は2013年の参院比例区で初当選し、2期目の途中で今回の選挙区補選に鞍替え立候補し、3期目の当選を果たした。森喜朗元総理のかつての選挙地盤だった能美市出身の51歳。

   今回の選挙で予想していたことが当たった。投票率の低さ。これまで最低の29.9%(前回2019年参院選47.0%)だった。先の知事選(3月13日)は61.8%だったので、その半数にも満たない。今回の市町別の投票率で一番低いのは金沢市の22.9%だった。この投票率の低さをどう読むか。

   先日、知人たちと喫茶店で話していて、「どうせ今回の選挙は、選挙のための選挙だろう」と冷めた言葉が耳に残った。確かに、今回の選挙は知事選に立候補した自民前職の辞職に伴う補選で、制度ありきの選挙だった。選挙戦も内容が希薄だった。立民の女性候補は「ジェンダー平等と格差是正」、共産の候補は「平和と暮らし守る」、NHK受信料を支払わない国民を守る党の候補は「NHKスクランブル放送の実現」などそれぞれ訴えていたが、コロナ禍における中小企業の新興策を具体的に訴えた宮本氏とは争点になるほど熱気は帯びなかった。知人は「単なる補欠選挙になぜ有権者が日曜日に駆り出されるのか」とも。

   知人らとの議論は深まった。投票率の低下の背景にはもっと大きな理由があるのではないか、と。少子・高齢化で生産年齢人口が減少し、そのうちシニア世代を支える年金制度や社会保障制度がグラついてくる。人口減少が急速に進むローカルではすでに道路や橋梁などインフラが荒廃しつつある。そして、国・地方の長期債務残高が1200兆円に膨らんでいる。自国通貨建ての国債は財政破綻の懸念はないとされるものの、この先、かなりのインフレも懸念される。

   つまり、政府が向き合うべき日本の課題や論点が定まってきた。この先、スピード感を持っての対応が必要だろう。ところが時間がかかる。国会での法案は衆院と参院でそれぞれ賛成多数で決議しなければ成立しない。与野党はこれまで参院で過半数を得るために、タレント議員を増やすなど躍起になってきた。ところが、予算案など重要案件で衆院と参院で判断が分かれた場合、衆院の判断が優先する。いわゆる「衆院の優越」だ。

   出た話の中で「ならば、はたして参院は必要なのか」と。議会制民主主義は国家の基本なのだが、「参院無用」論が飛び出した。「いやいや、腹の底ではそう思っている連中(有権者)も多いよ。オレもその一人」と先の知人。

   7月10日にも投開票が見込まれる参院選。2016年に改正公選法が施行され、選挙権年齢は20歳から18歳以上に引き下げられた。あれから6年、日本の選挙に若者の息吹は感じられるか。先の知人は「親も行かない選挙に子が行くか」とまたもや冷めた言葉が。茶飲み話はここで終了となった。

⇒25日(月)夜・金沢の天気     はれ