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☆北のICBM発射と核実験はこのタイミングか

☆北のICBM発射と核実験はこのタイミングか

   朝鮮戦争は終わっていない。1953年7月にアメリカなど国連軍と中国・北朝鮮の連合軍が休戦協定に署名した。まもなく69年になるが、平和条約ではなく休戦協定であるため、韓国と北朝鮮は現在も形式上は戦争状態にあることに変わりない。

そうなると、アメリカ世論もアフガンのケースと同様にいつまで韓国に軍隊を駐在させる必要があるのかと撤退の声が高まる。北朝鮮の狙いはそこにあるのではないだろうか。

   前置きが長くなった。アメリカのバイデン大統領は今月20日に韓国を訪れ、尹錫悦大統領と会談し、22日に日本を訪れ、24日に東京都内で日米豪印(クアッド)首脳会合に出席する予定だ。CNNニュースWeb版日本語(5月18日付)によると、アメリカ情報当局の担当者の話として、北朝鮮は今後48~96時間のうちにICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を行う準備を進めているとみられる。平壌近郊にある発射場の衛星画像から、過去の実験に向けた準備期間と同じ動きがみられるという。足場などの設置作業や燃料、車両や人員の動きを指すとみられる。北朝鮮は今月4日にICBMを発射している。また、豊渓里(プンゲリ)核実験場でも準備が進んでいるとみられ、今月中に地下核実験を実施する可能性もあると当局者は指摘している、と伝えている。

   一方、北朝鮮では新型コロナウイルスとみられる発熱症状の拡大が止まらない。北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(18日付)は発熱者が相次ぎ、17日午後6時までの1日で、新たに23万2800人余りに症状が確認され6人が死亡したと伝えた。先月下旬以降の発熱者の累計は171万5900人余り、死者は62人に上っている(18日付・NHKニュースWeb版)。

   普通に考えれば、国内がコロナ禍でパンデミック状態にあれば、ICBM発射や核実験は人心を惑わすことにもなり中止するだろう。北朝鮮国営メディアは5月4日、7日、12日に発射した弾道ミサイルについて、3回とも公表を控えている。公表を控えてでも、ICBM発射や核実験は続けるということか。先月25日に「朝鮮人民革命軍」創設90年にあわせて軍事パレードを開催した金正恩総書記は「核戦力を最速ペースで強化・開発するため、措置を取り続ける」と表明している(4月26日付・BBCニュースWeb版日本語)。あさって20日の米韓首脳会談に向けて、か。朝鮮戦争は終わっていない。

(※写真は、ことし3月25日付・BBCニュースWeb版が「N Korea claims successful launch of ‘monster missile’ Hwasong-17」の見出しで報じた、全長23㍍の「モンスター・ミサイル」)

⇒18日(水)夜・中能登町の天気   はれ

★渡り鳥シギが舞い降りる千里浜の風景

★渡り鳥シギが舞い降りる千里浜の風景

   きのう能登半島の「千里浜なぎさドライブウェイ」を久しぶりに車で走行した。波打ち際を車で走ると爽快な気分になる。乗用車やバスで走行できる海岸は世界で3ヵ所と言われる。アメリカ(フロリダ半島)のデイトナビーチ、ニュージーランド(北島)のワイタレレビーチ、そして能登半島の千里浜だ。砂のきめの細かさと、適度に海水を含んで引き締まっていることでビーチが道路のようになる。

   千里浜はもう一つの名所でも知られる。春と秋の波打ち際にシギやチドリといった渡り鳥の群れが次々と降りてきて、人々を和ませる。この日は、シギの一群が舞い降りていた=写真=。渡り鳥はオーストラリアから日本を経由してシベリアを往復する。この季節は、冬場をオーストラリア周辺で過ごした渡り鳥が夏場の産卵のためにシベリアで行うに向かう。その途中に能登半島に立ち寄る。

   シギのお目当ては全長5㍉ほどの小さなエビ、ナミノリソコエビだ。波が引いた砂の上に残るナミノリソコエビを次の波が打ち寄せるまでのごくわずかな時間でついばむ。このエビは環境に敏感なことでも知られる。砂質が粗くなり汚泥がたまると生息できなくなる。逆な言い方をすれば、シギやチドリが舞い降りる海岸はきれいな海のバロメーターでもある。

   いつまでも渡り鳥が舞い降りる千里浜であってほしいと願うが、難題もいくつかある。砂浜の浸食は以前から問題となっている。河川災害を予防するためにつくられた砂防ダムや、コンクリートの護岸が設置されて、陸からの砂が海岸に運ばれなくなった。とくに、金沢港に建設された長い堤防の影響で、砂を含んだ加賀地方からの海流がせき止められて、千里浜への流れが少なくなってしまった。県や関係自治体では2011年に「千里浜再生プロジェクト」を設置して対策を講じてはいる。

   砂浜の浸食だけでなく、能登半島の対岸の国で捨てられたポリタンクやペットボトル、食品トレー、医療系廃棄物(注射器、薬瓶、プラスチック容器など)の漂着が相次ぐ。海洋プラスティックごみによって、海岸の汚染が懸念される。さらに、地球温暖化による海面の上昇も気懸りだ。気象庁の調べによると、1960年から2020年までの海面水位の変化を海域別に見た場合、北陸から九州の東シナ海側で他の海域に比べ大きな上昇傾向がみられる(気象庁公式ホームページ「日本沿岸の海面水位の長期変化傾向」)。

   海岸の浸食や漂着物、海面上昇によって、ナミノリソコエビの生息環境が失われつつあるのではないか。そんなことを案じながらの、なぎさのドライブだった。

⇒17日(火)夜・金沢の天気     はれ 

☆熱病と飢え、ミサイル発射は断末魔の叫びか

☆熱病と飢え、ミサイル発射は断末魔の叫びか

   北朝鮮では「原因不明の熱病」が大流行しているようだ。NHKニュースWeb版(13日付)によると、北朝鮮は12日、4月下旬以降、発熱の症状があった人が全土で35万人余りに上り、これまでに18万人以上が隔離されたり治療を受けたりしていると明らかにした。12日だけで全土で1万8000人が発熱した。

   北朝鮮の労働新聞Web版(13日付)をチェックすると、「경애하는 김정은동지께서 국가비상방역사령부를 방문하시고 전국적인 비상방역상황을 료해하시였다」との見出しで、金正恩総書記が12日、国家緊急防止司令部を訪れ、感染状況について報告を受けたと伝えている。熱病によってこれまで6人が死亡しているが、うち1人から新型コロナウイルスが確認されたとしている。金氏は、首都圏の周辺で感染が同時に広がっていることから、これまでの予防体制に落ち度があったと認め、「最大非常防疫態勢」に移行すると発表。すべての市や郡などを封鎖するよう指示した。

   今ごろなぜと思うと、妙に納得できた。先日テレビのニュースでやっていた朝鮮人民革命軍の創設90周年記念の軍事パレード(4月25日)には大勢の人民が動員されていた。4月下旬から感染爆発ということなので、ひょっとしてそれはパレードの準備や練習で「三密」状態になり、感染拡大が一気に進んだのではないか、と推測した。

   北朝鮮は人口が2500万人とされる。これまでのニュースでも報じられているように、2年以上にわたって国境を封鎖し、食糧は限られていて多くの人々は栄養失調の状態にある。医薬品も不足し、医療制度そのものも貧弱とされる。最悪のケースを想定すると、ロックダウンによって多くの人々が自宅で瀕死の状態に追い込まれる可能性さえある。

   その一方で不穏な動きもある。北朝鮮はきのう12日午後6時28分ごろ、半島の西岸付近から3発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射した。最高高度は約100㌔で、350㌔ほど飛翔し日本のEEZ(排他的経済水域)外に落下した(12日付・防衛省公式サイト「報道資料」)。今月10日に韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発足して初めての発射となる。さらに、韓国の聯合ニュースWeb版(13日付)によると、韓国大統領室はきょう日、北朝鮮が7回目の核実験を行う可能性に関連し「核実験の準備はできているようだ。ただ、核実験の前に各種ミサイルの発射実験を行う可能性もあるのではないか」との見解を示した。

   国内では新型コロナウイルスとも推測される原因不明の熱病でパンデミックが起き、さらに飢えが広がる。そして、核実験と弾道ミサイルの発射だ。核・ミサイル開発に対する国連安保理の制裁により貿易制限はさらに続く。かの国の断末魔の叫びのようにも思える。

(※写真は、マスクをした金正恩総書記が12日、国家緊急防止司令部を訪れた様子=13日付・CNNニュースWeb版)

⇒13日(金)夜・金沢の天気    あめ

★直言連発のイーロン・マスク氏にお願いしたいこと

★直言連発のイーロン・マスク氏にお願いしたいこと

   EV大手テスラの経営者、イーロン・マスク氏の直言を世界が注目している。3月14日にツイッターの投稿で、「私はここにて、ウラジーミル・プーチン氏に決闘を挑む。懸けるのはウクライナだ」と表明。さらに、プーチン氏の公式英語アカウントにロシア語で「この決闘を受け入れるか」と問い掛けたことがニュースになった(3月15日付・AFP時事Web版)。マスク氏はインターネット通信衛星「スターリンク」の端末をウクライに提供し、ロシア軍の攻撃を受けている地域にネット接続環境を配備していることことから、「決闘宣言」の本気度が分かる。

   その後、マスク氏はツイッターの買収合意を取り付ける。BBCニュースWeb版(4月26日付)によると、ツイッターの取締役会はマスク氏による買収提案を受け入れることで合意。買収総額は440億㌦となる見込み。同社は上場廃止となるため、買収案について株主の承認を求め、買収手続きは年内に完了する見通し。マスク氏は「言論の自由は機能する民主主義の礎石で、ツイッターは人類の未来に不可欠な事柄が議論されるデジタルの町の広場だ」と意欲を示した。

   言論の自由を強調したマスク氏はさっそく動き出す。ツイッターで「永久凍結」とされているドナルド・トランプ前大統領のアカウントについて、凍結を撤回するつもりだと述べた(5月10日付・同)=写真・上=。2020年1月、大統領選に敗れたトランプ氏の支持者らによるアメリカ連邦議事堂への襲撃事件が起きた。トランプ氏が暴徒を「愛国者だ」などとメッセージを投稿したことから、ツイッターやフェイスブック、グーグルなど各社は公共の安全が懸念されるとしてトランプ氏のアカウントを相次ぎ凍結したのだ。

   凍結についてマスク氏は「倫理的に間違っており、全くおかしい」ものだと指摘。一方で慎重な物言いだった。「私はこの永久凍結を覆すつもりだが、まだツイッターを所有していないので、必ずやるというわけではない」と買収完了後を強調した(同)。確かに、トランプ氏のSNS凍結にはアメリカでも世論が分かれいるようだ。それがツイッターの株式買収に障害を及ぼすかもしれないと懸念したのかもしれない。

    以下余談になるが、そもそも、ツイッターを政治の舞台で活用し、その存在感を高めたのはトランプ氏だった。2017年1月の大統領就任前からゼネラル・モーターズ社やロッキード社などに対し、ツイッターで雇用創出のために自国で製造を行えと攻撃的な「つぶやき」を連発し注目された。就任後もホワイトハウスでの記者会見ではなく、140文字で大統領の方針を発信するという前代未聞のやり方だった。その後、世界の政治家がトランプ氏を見習うようにSNS活用を始め、いまでは政治家の必須アイテムになっている。

   そして、マスク氏が日本に直言した今月8日付のツイッター「Japan will eventually cease to exist.」=写真・下=は衝撃的だった。出生率が死亡率を超える変化がない限り、日本はいずれ消滅する、それは世界にとって大きな損失だ、と。日本の総務省が発表した人口が2021年、過去最高の64万4000人減少との記事データについてのコメントだった。

   人口減少は多くの日本人が心の奥底に抱いている懸念ではないだろうか。マスク氏には8人の子がいる。この際、日本の人口を増やす対策について、岸田総理や野田少子化対策担当大臣が「日本の救世主になっていただきたい」とマスク氏にお願いし、率直なアイデアやアドバイスをもらってはどうだろうか。

 
⇒12日(木)午後・金沢の天気     あめ

☆トキが再び能登の空に舞うとき

☆トキが再び能登の空に舞うとき

   では、能登が放鳥候補地に選定されたとして、トキの生息は可能化なのか。2007年、金沢大学の「里山里海プロジェクト」の一環として、トキが再生する可能性を検証するポテンシャルマップの作成に参加したことがある。珠洲市や輪島市で調査地区を設定した。まず始めたのは生物多様性の調査だった。奥能登には大小1000以上ともいわれる水稲栽培用の溜め池が村落により維持されている。溜め池は中山間地にあり、上流に汚染源がないため水質が保たれている。ゲンゴロウやサンショウウオ、ドジョウなどの水生生物が量、種類とも豊富である。溜め池の多様な水生生物は疏水を伝って水田へと分配されている。

    また、能登はトキが営巣するのに必要なアカマツ林が豊富である。また、能登はリアス式海岸で知られるように、平地より谷間が多い。警戒心が強いとされるトキは谷間の棚田で左右を警戒しながらドジョウやタニシなどの採餌行動をとる。豊富な食糧を担保する溜め池と水田、営巣に必要なアカマツ林、そしてコロニーを形成する谷という条件が能登にあることが分かった。ただ、14年前の調査なので、その後の環境に変化はあるかもしれない。

   2011年6月に「能登の里山里海」が世界農業遺産(JIAHS)に認定されて10年になる。候補地に選定されることで、トキの放鳥が里山里海のあり様を描く次なるメルクマールになるに違いない。

(※写真のトキは1957年に岩田秀男氏撮影、場所は輪島市三井町洲衛)

⇒11日(水)夜・金沢の天気    くもり

★プーチン演説から読む「時代錯誤」な感覚

★プーチン演説から読む「時代錯誤」な感覚

   きのう9日、ロシアのプーチン大統領は赤の広場で開催した、第二次世界大戦での対ドイツ戦勝記念日の式典で演説を行った=写真、9日付・BBCニュースWeb版=。10分間ほどの演説。サイトで見る限りだが、プーチン氏の顔は腫れていて、病的な表情だと感じた。演説内容の日本語訳が新聞・テレビメディア各社のニュースサイトで掲載されている。読んで浮かんだのは「時代錯誤」という言葉だった。

   ウクライナ侵攻は自分たちを守るための行動だったと正当化している点が気になった。「われわれの責務は、ナチズムを倒し、世界規模の戦争の恐怖が繰り返されないよう、油断せず、あらゆる努力をするよう言い残した人たちの記憶を、大切にすることだ。だからこそ、国際関係におけるあらゆる立場の違いにもかかわらず、ロシアは常に、平等かつ不可分の安全保障体制、すなわち国際社会全体にとって必要不可欠な体制を構築するよう呼びかけてきた」(9日付・NHKニュースWeb版)

   世界を敵に回すような表現だが、これは事実だろうか。「去年12月、われわれは安全保障条約の締結を提案した。ロシアは西側諸国に対し、誠実な対話を行い、賢明な妥協策を模索し、互いの国益を考慮するよう促した。しかし、すべてはムダだった。NATO加盟国は、われわれの話を聞く耳を持たなかった」(同)

   史実をひっくり返すような主張も理解できない。「欧米は、この千年来の価値観を捨て去ろうとしているようだ。この道徳的な劣化が、第2次世界大戦の歴史を冷笑的に改ざんし、ロシア嫌悪症をあおり、売国奴を美化し、犠牲者の記憶をあざ笑い、勝利を苦労して勝ち取った人々の勇気を消し去るもととなっている」(同)

   冒頭の「時代錯誤」と感じる点は、ウクライナのゼレンスキー政権をネオナチ政権と呼び、その侵攻を「祖国の未来のため、ナチスを復活させないための戦い」と強調している点だ。相手をナチス呼ばわりすれば、武力侵攻などすべてのことが正当化されるとの主張だ。そして、自ら始めた戦争を人ごとのように語る理不尽さ、これが時代錯誤なのだ。実に無益な行為だ。

⇒10日(火)夜・金沢の天気    はれ

☆円安・株価深く下振れ 経済の「異常震域」起きるのか

☆円安・株価深く下振れ 経済の「異常震域」起きるのか

   この数字、なんとかならないかと思う。石川県がきょう9日発表した新型コロナウイスの新たな感染者は521人だ。8割近くに当たる412人は感染経路が分かっていない。 年代別では20代が112人で最も多く、10代が100人、30代が95人など若い世代で6割を占める。

   きのう8日は597人だったので2日連続の500人の大台となる。県では体調が優れない場合は出勤や登校を控えるよう呼びかけているが、去年もゴールデンウイーク明けごろから感染が急拡大していた。感染爆発の予兆なのか。ちなみにきょうの東京都は3011人。人口100万人当たりで比較すると東京都は215人、石川県は473人と東京の倍以上だ。

   株価の値下がりが止まらない。きょうの東京株式の日経平均は前週末比で684円安の2万6319円だった。きょうはアメリカのインフレ懸念でFRBが金融引き締めを加速するとの警戒感のようだが、ロシア関連も気になる。ことし1月5日に2万9332円をつけ、上がり相場の気配もあったが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が2月24日に始まって75日、戦況はドロ沼と化している。きょう岸田総理はG7の各国と足並みをそろえてロシア産石油の輸入を原則禁止とする発表した(9日付・NHKニュースWeb版)。日本は原油の輸入の3.6%をロシアに頼っている。これが、さらに経済にどう影響を与えるか。

   そして円安も続く。きょうの外国為替市場で円が対ドルで下落し、1㌦=131円台前半と2002年4月以来およそ20年ぶりの円安・ドル高水準を付けた(同・日経新聞Web版)。

   下振れしているのは数字だけではない。きょう午後5時33分ごろ、伊勢湾の深さ340㌔を震源とする地震があった。これによって東北や関東の広い範囲で震度2や1の揺れを観測した=画像、気象庁「地震情報」=。震源が非常に深かったため震源から離れた広い範囲で揺れが観測される「異常震域」と呼ばれる現象だった。

   同じ現象が去年9月29日にもあった。能登半島の沖で震源の深さ400㌔、マグニチュード6.1の地震があった。これに、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した。この地震は大陸のユーラシアプレートに沈み込む海洋の太平洋プレートの内部深くで起きたとみられている。震源が深いため、近くよりも、遠くが大きく揺れるのが「異常震域」とされる。円安や株安も深く下振れしている。ひょっとして経済の「異常震域」が起きるのか。

⇒9日(月)夜・金沢の天気     はれ

★八田與一の命日、日本と台湾と関係で何思う

★八田與一の命日、日本と台湾と関係で何思う

   きょう5月8日は、八田與一の命日にあたる。この名前を知っている人は金沢と台湾以外、ほとんどいないだろう。「はった・よいち」と読む。日本統治時代の台湾で「烏山頭(うさんとう)ダム」の建設に尽くした金沢出身の技師である。ダムは1920年に着工したことから、去年は命日にあたる5月8日に100年を祝う式典が現地で執り行われ、蔡英文総統は「ダムと灌漑施設の水は100年流れ続けている。台湾と日本の友情も双方の努力によって続いていくことだろう」と功績をたたえた(2021年5月8日付・NHKニュースWeb版)。

   烏山頭ダムは10年の歳月をかけて1930年に完成した。ただ、日本国内では1923年に関東大震災があり、ダム建設のリ-ダーだった八田にとっては予算的にも想像を絶する難工事だったと伝わっている。当時としてはアジア最大級のダムで、同時に造られた灌漑施設によって周辺の地域は台湾の主要な穀倉地帯となり、現在も農業だけでなく工業用水や生活用水として利用されている。

   八田の功績は戦後日本と台湾の友好の絆をも育んだが、台湾の独立派と中国と台湾の統一派によるつばぜり合いが過熱する政治情勢では、政争のシンボルになることもある。2017年4月、烏山頭ダムの記念公園にある銅像(座像)の首が切断され、中台統一派の元台北市議が逮捕された。日本より中国との交流を優先せよというメッセージだった。八田の座像はすぐさま修復され、同年5月7日に座像修復の除幕式、そして8日には金沢市から関係者を招いて慰霊祭が行われた。

   5月8日が命日というのは、ダム建設後、軍の命令でフィリピンの綿花栽培のための灌漑施設の調査のため船で向かう途中、アメリカの潜水艦の魚雷攻撃で船が沈没し亡くなった。その日が1942年の5月8日だった。座像は、八田が考え事をしている時によくとっていたポーズとされる。日本と台湾の友好の絆、独立派と統一派による政争のシンボル、中国による台湾の武力統一も懸念される中、「いま八田は何思うのか」。意味深なポーズではある。

(※写真は、台湾・烏山頭ダムを見渡す記念公園に設置されている八田與一の座像=台北ナビ公式ホームページより)

⇒8日(日)夜・金沢の天気     はれ

☆欧米と日本のメディアのどこが違う

☆欧米と日本のメディアのどこが違う

   前回のブログの続き。国際NGO「国境なき記者団」は報道の自由度ランキングだけをやっているわけではない。ウクライナ西部のリビウで、「報道の自由センター」を開設し、紛争地を取材する記者やジャーナリストに対して、インターネット環境やシェルターが整った作業スペースの確保、防弾チョッキやヘルメットの提供など支援を行っている(3月7日付・朝日新聞Web版)。

   きょうの朝刊を読むと=写真=、ロシアのウクライナ侵攻に関する記事は、読売新聞はリビウに派遣された2人の記者が書いている。毎日新聞はニューヨークとワシントンに駐在する記者、朝日新聞はパリとワシントンに駐在する記者、日経新聞はロンドンとワシントンに駐在する記者の記事を掲載している。

   国境なき記者団による日本の報道自由度ランキングが低い理由の一つに、紛争地への記者の派遣が少ないことがこれまで指摘されている。確かに、きょうの紙面を見る限り、ウクライナ関連の現地からの記事は上記の4社のうち1社だ。日本のテレビ局や新聞社、いわゆる「組織ジャーナリズム」は原則として紛争地への記者の派遣を認めていない。組織としては危険な場所に記者を派遣することはコンプライアンス(法令順守)に反するということがベースにある。

   では、紛争地の情報をどう入手するのか、フリーのジャーナリストに依頼する、あるいは海外のメディアや通信社と提携して情報を回してもらうことになる。危険な場所で取材するのはフリーのジャーナリストだ。2015年1月、中東の紛争地域の取材をしていた後藤健二氏がシリアでイスラム過激派によって拘束され殺害された。2012年8月には同じシリアで山本美香氏が、20079月にミャンマーのヤンゴンで映像ジャーナリスト長井健司氏が亡くなっている。こうした日本のメディアの構造的な問題に、とくに欧米のジャーナリストたちはいぶかっている。

   さらに日本の「メディア・スクラム」(集団的過熱取材)も海外のジャーナリストには奇異に映る。ラグビーのスクラムを組んで集中攻撃する様相に似ていることから登場した言葉で、ときには取材が行き過ぎ、威圧的に人々のプライバシーなどを侵害することもこれまで何度か指摘されてきた。簡単に言うと、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の様相だ。もちろん、メディア・スクラムは日本の報道だけの現象ではない。パパラッチという言葉が欧米にもある・・・。

⇒7日(土)午後・金沢の天気    はれ 

★日本の報道自由度は「途上国」並みなのか

★日本の報道自由度は「途上国」並みなのか

   フランスのパリに拠点を置き、世界のジャーナリストたちのNGO組織「国境なき記者団」が発表した「世界報道の自由度指数2022」(180の国と・地域)で、日本のランクは去年より4つ下げて71位だった。自由度ランキングは日本は2010年に11位だったが、年々下がり、ついに71位だ。ちなみに、ほぼ同列に並ぶのは69位のケニア、70位のハイチ、72位のキルギスだ。発展途上国並みという位置づけになる。

   「報道自由度ランキング」は2002年がスタートで、メディアの独立性、多様性と透明性、自主規制、インフラ、法規制などを客観的に数値化して評価している。国内メディアもこのランキングをささやかに報じている。「日本は韓国やオーストラリアと同様に『強まっている大企業の影響力がメディアに自己検閲を促している』として去年から順位を4つ下げて71位に後退しました」(5月4日付・NHKニュースWeb版)

   民間組織によるランク付けとは言え、「国際的な評価」でもある。にもかかわらず、新聞・テレビのメディア各社の報道の扱いは小さい。日本新聞協会や日本放送連盟、NHKはこのランキングに関連して報道の自由を保障するよう声明や抗議文を政府に提出したというニュースは目にしたことがない。なぜか。

   国境なき記者団が日本の報道自由度について問題視しているのは、日本の報道機関のあり様についてなのだ。国境なき記者団の公式サイトの「2022年版」=写真=をチェックすると以下のような記載がある。「 Le système des clubs de presse (kisha clubs), qui n’autorise que les médias établis à accéder aux conférences de presse et aux hauts responsables, pousse les reporters à l’autocensure et représente une discrimination flagrante à l’encontre des journalistes indépendants ou étrangers. 」

   以下意訳する。「日本の報道機関(記者クラブ)のシステムは、確立されたメディアしか記者会見や政府高官にアクセスすることを許さず、記者を自己検閲に追い込んでいる。独立系または外国人ジャーナリストに対する露骨な差別を象徴している」。つまり、記者クラブ制度は排他的であり、自己検閲を記者に仕向けるシステムである、と。上記にある「大企業の影響力がメディアに自己検閲を促している」という事例は掲載されていないが、記者クラブがスポンサーである大企業に忖度して記事の自己検閲を行っている、という意味だろうか。

   記者クラブは新聞・テレビの記者による親睦団体だが、役所の記者会見の窓口機能などの役割をもっている。フリ-ランスや外国人ジャーナリストを記者会見から除外するといったこともない。ただ、「記者クラブ」という部屋は自治体や団体の施設内にあり、これが、外国人ジャーナリストには巣食うメディア・マフィアのサロンのようにも見えるのかもしれない。

⇒6日(金)午前・金沢の天気     はれ