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☆「国葬」めぐるバカ発言、パンドラの箱が開く

☆「国葬」めぐるバカ発言、パンドラの箱が開く

   まるでパンドラの箱が開いたように連日、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の政治家と関係や霊感商法、献金強制の問題などが報道されている。

   日テレ系番組「情報ライブミヤネ屋」(26日付)で、安倍元総理の国葬(9月27日)について津田塾大の萱野稔人教授が意見を述べていた。「やるのであれば、統一教会と与党との関係をしっかり清算してほしい」と。「国葬をやることによって、むしろ統一教会に利用されてしまう懸念がある。国葬を行うような大政治家とわれわれは関係を持っていた」と教団のPRに使われる可能性を指摘していた。

   自民党は党所属の国会議員に統一教会とのかかわりをアンケート調査する文書を配布した。8項目の報告を求めていて、統一教会主催や関連団体の会合に出席したことがあるか、会費の支出があるかどうか、選挙の際にボランティアによる支援や組織的な支援を受けたことがあるかどうかなどを尋ねている。集約でき次第、結果を公表する。関係が深い議員については名前の公表も検討する(26日付・NHKニュースWeb版)。   

   消費者庁に新たに発足する「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」の初会合が今月29日に開催される。河野消費者担当大臣が明らかにした。委員には、統一教会の問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士、カルト問題に詳しい立正大学の西田公昭教授など8人が選ばれた。河野大臣は「霊感商法は消費者契約法で規制されているが、それにあたらないような動きがあったからこそ、さまざまな被害があったと思う」と述べた(同)。

   自民党の二階俊博元幹事長は都内で講演し、統一教会や関連団体と自民党議員との関係について「問題があればどんどん出して、修正をしていくべきだ。自民党はびくともしないから」と述べた。また、安倍元総理の国葬に報道各社の世論調査で反対意見が強いことについて「それがあったからといって国葬をやめるわけではない。国葬は当たり前だ。やらなかったらばかだ」と指摘した(24日付・毎日新聞Web版)。

   国葬に関しては、FNN・産経合同世論調査(8月20、21日)で「反対」51%、「賛成」40%、また、毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査(同)でも「反対」53%、「賛成」30%となっていて、反対が上回っている。二階氏のバカ発言で今後さらに反対が加速するのではないだろうか。

⇒26日(金)夜・金沢の天気    くもり

★能登の縁 あの歌手、テニスプレーヤー、漫画家

★能登の縁 あの歌手、テニスプレーヤー、漫画家

   まったくの余談になる。今月23、24日に学生たちの「能登を学ぶスタディ・ツアー2022」に同行し、能登半島を一周した。その中で、能登にある地名や看板がバスの中で話題になった。国の史跡「雨の宮古墳群」は眉丈山(標高188㍍)の山頂にあるが、その山のふもとには中能登町一青(ひとと)という地名がある。そう、あの歌手で作詞家の一青窈の先祖の地でもある。台湾人の父とこの町出身の母親の間で生まれた。

   一青窈のヒット曲に『ハナミズキ』という曲がある。そして同町には花見月(はなみづき)という地名の田園地帯が広がる。「づ」と「ズ」の違いはあるものの、発音は同じなので、『ハナミズキ』は母親の故郷にちなんだ曲なのかとも連想した。この件を町役場のスタッフに問い合わせたことがある。すると、「その話はこの地を訪れた人からよく尋ねられるのですが、以前ご本人に確認したところ、偶然ですという回答で、花見月を想定した曲ではないとのことでした」との返事だった。町内を走るJR七尾線の金丸駅や能登部駅、良川駅、能登二宮駅などでは、列車の接近を告げるメロディとして、この曲が流れる。

   能登町には神和住(かみわずみ)という地名がある。その近くには天坂(てんざか)という地名もある。これらの地名から、「天の坂を登りて、神が和して住む」とまるで天国をイメージさせるようなスピリチュアルな響きがある。日本人として初めて全米オープン(1973年)で3回戦へ進み、日本プロテニス界 のパイオニアと呼ばれた神和住純氏の故郷だ。

   能登町は軟式テニスが盛んな地で、両親はテニス通じて知り合い、神和住氏が生まれた。その後、両親とともに東京に転出する。神和住の地名の縁、さらに父親が同町出身ということもあり、神和住氏は「能登町ふるさと大使」となって、テニスの町をPRしている。1999年から同町内では本人も参加して「神和住エンジョイテニス大会」が開催されている。新型コロナウイルスで感染拡大で2年連続で中止だったが、ことし10月に3年ぶりに開催されるようだ。

   地名ではないが、輪島市内をバスで移動中に「永井豪記念館」の看板が学生たちの目に止まった。一人が「あの『マジンガーZ』や『キューティーハニー』の永井さんですよね」と。漫画家・永井豪氏の記念館は出身地である輪島市河井町の朝市通りある。2009年に自治体が信用金庫の空き店舗を買い取り整備したものだ。

   以下、正直な話。今から40年前、自身は新聞記者として輪島支局に赴いた。当時の永井豪氏の作品のイメージは、『ハレンチ学園』などギャグ漫画や、『デビルマン』などテレビアニメ作品だった。地元の人たちは永井氏が輪島出身ということを知ってはいたが、当時それを土地の自慢話として語る人はほとんどいなかった。むしろ、ローマオリンピックなどで銀メダルを獲得した競泳の山中毅選手の話はよく聞いた。

   評価が一転したのは日本のアニメが海外で大ブームとなり、永井氏の『UFOロボ グレンダイザー』などがヨーロッパで人気を博した。こうなると地元輪島でも世界の漫画家として評価が高まった。これが、永井豪記念館の設置へと動いた。その後、永井氏は2019年、フランス政府から芸術文化勲章「シュバリエ(騎士)」が贈られた。永井氏の作品は美術館で展示されるようになった。

   追記。演歌歌手の新川二朗氏が今月22日に亡くなった。能登半島の入り口に位置する宝達志水町の出身。自身が小学生の頃、テレビで流れていたあの名曲『東京の灯よいつまでも』は見よう見まねでよく歌ったものだ。初めて歌ったの演歌がこの曲だったかもしれない。享年82歳。

⇒25日(木)午後・金沢の天気    あめ

☆伝統の「くず湯」、ツアーの締めくくり

☆伝統の「くず湯」、ツアーの締めくくり

   前回の続き。「能登を学ぶスタディ・ツアー2022」の二日目は里山里海の生業(なりわい)と生物多様性がテーマだった。最初の訪れたのは、穴水町にある「能登ワイン」が運営するブドウ畑とワイナリー。能登の赤土(酸性土壌)はブドウ畑に適さないと言われてきたが、同社では畑に穴水湾で養殖されるカキの殻を天日干しにしてブドウ畑に入れることで土壌が中和され、ミネラルが豊富な畑となり、良質なブドウの栽培に成功している。栽培面積は委託も含めて24㌶におよぶ=写真・上=。

   白ワイン(シャルドネ)、赤ワイン(ヤマソービニオン)は国内のワインコンクールで何度も受賞している。また、最近では、8千年以上の長い歴史を持つワイン発祥の国、ジョージアの代表的な土着品種、サペラヴィの栽培に成功し、赤ワインを製品化している。ただ、温暖化のせいでシャルドネの栽培量が減少しているという。穴水湾のカキとシャルドネのワインがとても合うと人気だけに、現場も苦慮している。

   次に訪れたのが七尾市能登島の「のとじま水族館」。この水族館では500種4万点を展示しているが、その9割が能登の海で定置網などで捕獲された生きもの。その中でスーパースターがジンベエザメ=写真・中=。小魚やプランクトンがエサで動きがゆったりしているので、人気がある。それにしても、この水族館ではプランクトンから海草、イルカ、そしてジンベエザメにいたるまで見学できる。まさに、海の生物多様性の博物館だ。

   最後に能登で一番高い山でもある宝達山(ほうだつざん、637㍍)のふもとの里山集落を訪れた。宝達山には旅するチョウ「アサギマダラ」が飛来することでも知られる。そして、この山はかつて加賀藩の金山だった。記録では天正12年(1584)に開山し、崩落事故が起きた寛永5年(1628)まで続いた。全国から鉱山開発や土木技師などのプロがこの地に集められ、「宝達集落」が形成された。

   金鉱で働く者たちの健康を支える漢方薬として当時から重宝されたのが「宝達葛(くず)」だった。山に自生するくずの根を掘り出し、デンプンを取り出して精製したもので、くず粉はまさに純白に輝く=写真・下=。いまでも、その独自の製法は地域の人たちに受け継がれている。地元の人たちから宝達葛の「くず湯」の振る舞いがあった。初めて口にした。とろりとしたほのかな甘さに伝統の味を感じながら、ツアーを締めくくった。

⇒24日(水)夜・金沢の天気   くもり

★夏の夜のキリコ祭り、ここに能登ある

★夏の夜のキリコ祭り、ここに能登ある

  きょうから金沢市内の学生たちと能登をめぐるツアーに出かけた。題して「能登を学ぶスタディ・ツアー2022」。一日目は歴史と伝統的な祭り、アート作品など多様な能登の側面が学びのテーマだった。

  最初に訪れたのは国史跡「雨の宮古墳群 」(中能登町)=写真・上=。文化財の学芸員から解説を聞いた 。北陸地方最大級の前方後方墳と前方後円墳が隣接する。4 世紀から5世紀(弥生後期)の古墳で、眉丈山の山頂にある。邑知(おうち)地溝帯と呼ばれる穀倉地帯を見渡す位置に古墳はある。能登の王は自ら開拓した穀倉地を死後も見守りたいという思いで山頂にピラミッドを築いたはなかったか。

   この地域は能登における稲作文化の発祥の地でもある。1987年、雨の宮古墳近くにある「杉谷チャノバ タケ遺跡」の竪穴式住居跡から、黒く炭化したおにぎりが発掘された。化石は約2000年前の弥生時代のものと推定され、日本最古のおにぎりと話題になった。稲作とともに仏教などの文化ももたらされ、奈良時代の718年に「能登国」が置かれることになる。雨の宮古墳群はそうした能登の歴史を刻むルーツの一つでもある。

   学生たちが目を輝かせたのは、珠洲市で去年開催された「奥能登国際芸術祭2020+」の展示作品だった。予約によって鑑賞が可能な作品の中から主に3つを選んだ。一つは、「スズ・シアター・ミュージアム『光の方舟』」。家の蔵や納屋に保管されたまま忘れ去られていた民具1500点を活用し、8組のアーティストと専門家が関わって博物館と劇場が一体化した劇場型民俗博物館をオープンした。音、光、民具がアートとなって見る側に感動をもたらす。

   芸術作家・山本基氏の作品『記憶への回廊』は旧・保育所の建物にある。真っ青に塗装された壁、廊下、天井にドローイング(線画)が描かれる。奥の遊戯場には塩という素材を用いた立体アートが据えられている=写真・中=。かつて、園児たちの声が響き、にぎわったこの場所は地域の人々の幼い時の記憶を呼び起こす。金沢美術工芸大学の教員・学生60人余りで市内の広々とした旧家の屋敷を借りて、作品を展示している。客間に能登産材の「アテ」(能登ヒバ)を持ち込み、波と手のひらをモチーフに全面に彫刻を施したもの。学生らがチェーンソーやノミでひたすら木を彫り込んだ力作に圧倒される。

   夜は「輪島大祭」を見学に行った。市内の重蔵神社の境内ではキリコが4本立てられ=写真・下=、太鼓や鐘の音が町なかに響き渡っていた。新型コロナウイルスの感染拡大で今年は3年ぶりの開催。ただ、コロナ禍は続いているので、本来ならば20本のキリコが巡行するが、4本に簡略化された。それでも、子どもたちの威勢の良い太鼓打ちに学生たちは圧倒されていた。夏の夜のキリコ祭り。ここに能登ある。

⇒23日(火)夜・金沢の天気    くもり

☆処暑に感じる秋の気配、そして政局の気配

☆処暑に感じる秋の気配、そして政局の気配

   あすは二十四節気の「処暑」。夏の暑さが少し和らぎ、夜の虫の声や朝の風に秋に気配を感じるころだ。わが家の庭にタカサゴユリ(高砂ユリ)が咲き始めた。「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」の花の美しさは見事だ。ヤマユリのような高貴な香りはないが、人目をひく花だ。

   ただ、植えた覚えはないので、おそらく種子が風に乗って、庭に落ちて育ったのだろう。旧盆が過ぎたこの時節は花の少ない季節で、茶花として重宝している。ただ、立場が異なればタカサゴユリは外敵、目の敵だ。国立研究開発法人「国立環境研究所」のホームページには「侵入生物データベース」の中で記載されている。侵入生物、まるでエイリアンのようなイメージだ。外来種だからと言って、すべて駆除すべきなのか、どうか。

   きょうの毎日新聞に世論調査(20、21日)の結果が掲載されていた。岸田内閣の支持率は36%で、前回調査(7月16、17日)の52%から16ポイントも下落した。不支持率は54%で前回より17ポイントも増えた。この下落の背景にあるのが、安倍元総理の射殺事件がきっかけで明るみになってきた、自民党と「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」の関係だ。これに対しては「極めて問題があったと思う」「ある程度問題があったと思う」が合計で87%もある。政党支持率も自民は29%で前回の34%から5ポイント下落している。

   メディア業界でよく指摘されるのは、内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」と。これから他のメディアも世論調査を次々と報道するだろう。「聞くチカラ」を岸田総理は強調してきたが、統一教会問題だけでなく、物価高対策や新型コロナウイルスの感染拡大についても、無策の状態が明らかになってきた。

   岸田政権が反社会的な宗教団体との関係性を絶つには、税務調査や警察による情報収集など実態解明に着手することだ。その上で、問題が露呈すれば非課税などの優遇措置の解除、場合によっては解散命令(宗教法人法第81条)を検討すると有権者に宣言することだ。ケジメをつけないと、政権のデッドゾーン入りもそう遠くはないだろう。

⇒22日(月)夜・金沢の天気    くもり

★ジンベエザメと能登の海、そして水族館の共生

★ジンベエザメと能登の海、そして水族館の共生

   きのう(19日)オンラインでの講演会があり参加した。テーマは「能登の海の魅力とジンベエザメ」。のとじま臨海公園水族館の展示・海洋動物科長、加藤雅文氏が講演した。のとじま水族館は能登近海に回遊してくる魚類などを中心に500種4万点を展示している。その9割は能登の海で獲れたもの。水族館のスターは何と言っても、ジンベエザメだ。

   加藤氏の講演は、日本海を俯瞰する話から始まった。世界の海の広さから見れば、日本海は面積では0.3%に過ぎない。陸に囲まれているという立地から陸から流れてきた栄養分などが海底に積もっている。栄養素から植物プランクトンが発生し、動物プランクトン、そして多様な海洋生物が育まれる食物連鎖がある。地球規模から見れば、小さな海にブリやサバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に獲れるのはそのためだ。

   能登半島をめぐる海の特徴として3つある。能登半島は海に突き出ているため、対馬海流の影響を受ける。塩分濃度が高く、時速4㌔の水流、そして暖海性の海洋生物が海流に乗って北上してくる。富山湾は岸から近い距離で一気に深くなり、1200㍍の水深となる。この「海底の谷」が海洋生物のかっこうの住処(すみか)となる。海そうが生い茂る場所を「藻場」と呼ぶが、能登半島は日本最大級の藻場の分布域でもある。この藻場によって、水質の浄化や生物多様性の維持、海岸線が保全される。

   こうした能登の海で、のとじま水族館は定置網漁などの漁業者と協力して、展示する海の生きものを得ている。2016年から5年間で漁業者から入手した生きものは598種類5万3117匹に上る。このうち、タケウツボやアオイガイ、ユウレイイカ、マンボウ、カスザメ、イトマキエイなど1匹しから見られない希少種も121種類あった。

   ジンベエザメの場合は、定置網で捕獲されると漁業者から連絡があり、スタッフが現場に向かう。定置網でのジンベエザメの大きさなど目測する。水族館の水槽は円形で高さ6.5㍍、直径20㍍ある。エサを与えると、ジンベエザメは立ち泳ぎして食べるので、体長が6㍍を超えるジンベエザメは水槽の底に尾ひれが触れてしまう。そこで、体長4.5㍍から5.5㍍のものでないと、水族館では引き取ることができない。

   スタッフが「じんべい丸」と呼ぶ、ジンベエザメ専用の細長い水槽を沖合に持って行き、定置網からこの水槽に入れる。じんべえ丸を陸揚げして水族館に運び、ジンベエザメ展示館の屋根に付けてある扉を開け、クレーン車で吊り上げて、そのまま降ろすと展示用の水槽に入る。

   水槽に入ったジンベエザメに対し、スタッフは「健康管理」と「馴致(じゅんち)」という作業を行う。健康管理は外傷の有無や遊泳行動の観察、そして血液性状の検査を御行う。馴致は水槽という環境になれさせるという意味で、水槽という環境に順応させるように最初はスタッフも水槽に潜り、いっしょに行動する。摂餌はエサやりの方法や場所をなれさせる。健康管理のため、定期的に採血も行う。

   ジンベエザメは体の大きさの割には威圧感がない。小魚やプランクトンがエサで動きがゆったりしているので、人気がある。ジンベエザメがいるので入館者数も増える。体長が6㍍になると、GPS発信機をつけて再び海に放す。回遊経路などがこれによって調査される。

   能登の海と水族館、そしてジンベエザメが共生する関係性が実によく見えた講演だった。

⇒20日(土)午前・金沢の天気   あめ

☆国葬をめぐる賛否と経費

☆国葬をめぐる賛否と経費

   前回ブログの続き。きょう近所のスーパーに出かけると、店先の花売り場には菊の花が並んでいた。旧盆は過ぎたとは言え、まだニーズはあるのだろう、次々と客が買い求めていた。菊と言えば白菊、白菊と言えば葬儀の花というイメージがある。9月27日に日本武道館で営まれる安倍元総理の国葬ではいったい何本の菊の花が供えられるのだろうかと、ふと考えた。

   セレモニーでは、献花用や飾りつけ用で白菊の花を用意することになるだろう。日本武道館の規模からすると、何万本の花が供えられるのだろうか。仮に10万本として、1本200円ほどなので、ざっと2000万円だ。菊の花だけでこれだけかかるとすれば、国葬全体ではどれほどの経費がかかるのか。

   直近で、2020年10月に故・中曽根元総理の「内閣・自民党合同葬」が都内のホテル「グランドプリンスホテル新高輪」で営まれた=写真、総理官邸公式サイトより=。報道によると、経費は9643万円の公費を含む1億9300万円だった。ホテルと日本武道館では広さがケタ違いだろうから、国葬では設営費にしても相当なものになるだろう。

   一番経費がかかるのは警備費用かもしれない。今回は国葬なので、外務省は国交がある195ヵ国と台湾を含む4地域、80の国際機関に日程を案内。その、出席者数の目安として国・地域には最大3人、国際機関には2人と案内している(今月18日付・日経新聞Web版)。アメリカ政府はバイデン大統領の参列は日程的な都合で見送る一方、代わりにハリス副大統領を参列させる案を検討しているようだ。また、オバマ元大統領やドイツのメルケル前首相などが参列の意向を示している(同15日付・NHKニュースWeb版)。

   銃殺事件後の国葬なので、警備は万全の体制で臨むだろう。単純に比較はできないが、海外から来賓を招いた2019年の天皇「即位の礼」では警察庁の警備費用として38億円が計上されている(2018年12月・皇位継承式典事務局)。国葬をめぐる賛否もさることながら、今後論議となるのは税金から支出されるその経費問題ではないだろうか。

   訴訟も起きている。大阪の市民団体がきょう、国葬開催に関する閣議決定の取り消しを求めて地裁に提訴した。国葬開催は法的な根拠がなく、国会の承認なしに予算の予備費を費用に充てるのは違法、また、一方的な国葬開催の決定は「思想良心の自由」を侵害する憲法違反にあたると訴えている(19日付・関西テレビニュースWeb版)。国葬をめぐる賛否、そして経費問題は止みそうもない。

⇒19日(金)午後・金沢の天気   はれ

★「電通元専務」逮捕の波紋

★「電通元専務」逮捕の波紋

   報道によると、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(6月解散)の高橋治之・元理事が大会スポンサー契約をめぐり、受託収賄容疑できのう(17日)逮捕された。賄賂を贈ったとされる紳士服会社「AOKIホールディングス」の前会長、副会長、専務の3人も贈賄容疑で逮捕された。高橋容疑者はAOKI側にスポンサー選定などで便宜を図ることの見返りに、5100万円の賄賂を受け取ったとされる。逮捕者はこの4人で済むのだろうか。何しろ、東京地検特捜部が動いている事案だ。

   電通の元専務の高橋容疑者は東京オリ・パラそのものを誘致するロビイストだった。ロイター通信Web版(2020年3月31日付)は、ロイター通信が五輪招致をめぐり高橋容疑者が招致委員会から820万㌦(8億9000万円)の資金を受け、IOC委員にロビー活動を行っていたと報じている。ロビー活動については、国際的にも問題が指摘されている。この疑惑では、フランス司法当局の捜査対象となったJOCの当時の竹田恒和会長が2019年6月に退任している。推測だが、東京地検はフランス司法当局から竹田元会長や高橋容疑者の動向について相当量の情報を得ているはずだ。次は誰か。

   高橋容疑者逮捕で、札幌市が目指す2030年冬季五輪の誘致に誤算が生じたのではないか。札幌市が市民に対して行った五輪開催についての意向調査(郵送、3月2-14日)では、「賛成」「どちらかといえば賛成」が52%、「反対」「どちらかといえば反対」は39%だった(札幌市役所公式サイト)。これだけ五輪誘致の裏舞台があからさまになって、誘致反対の市民の勢いが増す。そもそも、日本を代表するロビイストの逮捕で、札幌冬季五輪の招致活動は無理だろう。

   波紋はさらに広がる。銃殺された安倍元総理の国葬が9月27日に日本武道館で営まれる予定だが、電通がその運営に関わると報道されている。多くの国の外交団の国葬参列が見込まれ、セレモニーイベントは電通でしか仕切れないというのが実情のようだ。東京オリ・パラの開会式や閉会式の担当も電通だった。国葬をめぐる賛否両論にはいっそう拍車がかかる。

⇒18日(木)夜・金沢の天気   くもり

☆盆明け、胸中ざわざわ三本立て

☆盆明け、胸中ざわざわ三本立て

   盆明け、北日本に大雨を降らせていた前線が北陸などに南下してきたようだ。金沢地方気象台の予報によると、石川県の大気の状態が非常に不安定になっていて、朝から激しい雨が降っているところもある。気象台と県は能登半島の一部に土砂災害警戒情報を出して警戒を呼びかけている。能登半島はリアス式海岸で山を背にした海沿いの集落が多い。これまでも豪雨による山の土砂崩れで人災や家屋倒壊、集落が孤立するなど被害が出ている。(※写真は8月4日、金沢市を流れる犀川の様子)

   auスマホに「通信障害に関するご返金のお知らせ」というKDDIからのメッセージが入っていた。「7月2日(土)午前1時35分より長時間にわたり、弊社の通信サービスをご利用のお客さまには多大なご不便とご迷惑をお掛けしました」「お客さまは以下のご返金の対象となります。お詫び返金:200円(税抜)※9月以降のご請求において減算いたします。お受け取りのお手続きは不要です」などと。復旧までに4日もかかり、「お詫び返金」という名目ならば、せめて1000円くらい戻してほしい。200円は単なる「返金」で、それに「お詫び」の文字を乗せるとは厚かましい。

   岸田総理は組閣や自民党役員人事について、霊感商法や献金強要など反社会的行動を取ってきた「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」との距離を測ると明言していたが、その言葉の信頼性はすでに吹っ飛んでいる。きょうの報道で、先の参院選で東京選挙区で当選した生稲晃子議員が公示前の6月に萩生田光一党政調会長とともに、統一教会を訪問していたことを認めた。

   問題は、銃撃で死亡した安倍元総理の安倍派(清和会)の次なる指導者と見られている萩生田氏だ。ただでさえ、清和会は統一協会との関わりが深い議員を多数抱えていて、世間の非難を浴びている。そこにきて、選挙の際に萩生田氏が生稲氏をわざわざ統一教会に連れて行き、「投票をよろしく」と支援を求めたとなれば、密接な関係性を自ら証明したようなものだ。清和会は党内のトップ派閥ではあるものの、このままでは持たない。この派閥がチカラを失えば、党内勢力図が大きく変わっていくのではないだろうか。

⇒17日(水)午前・金沢の天気    あめ

★亡き父の「8月15日」

★亡き父の「8月15日」

   まったく個人的な話だ。平成14年(2002)8月に父が他界した。亡くなる前「一度仏印に連れて行ってほしい。空の上からでもいい」と病床で懇願された。仏印は戦時中の仏領インドシナ、つまりベトナムのことだ。父の所属した連隊はハノイ、サイゴンと転戦し、フランス軍と戦った。同時に多くの戦友を失った。父はベトナムに亡き戦友たちの慰霊に訪れたかったのだろう。「空の上からでもいい」とまで言われたが、病状は思わしくなかった。まもなく他界。父の最期を見守った兄弟3人にはその言葉が脳裏に焼き付いていた。

   父のベトナムへの想いをかなえようと2017年11月、父の遺影を持参して3泊4日のベトナムの旅に出かけた。父の想いは仏印という戦地で散った戦友たちへの供養だったので、いろいろ調べた。が、現地ベトナムでは日本兵の戦死者たちを祀る慰霊碑は見当たらない。ただ、太平洋戦後に捕虜地を逃れ、ベトナム独立のために戦った元日本兵たちの墓がハナム省モックバック村にあるとの情報を得て墓参することにした。ベトナムは社会主義の国だが仏教信仰が盛んだ。革命烈士の墓の近くの商店で線香を買い求め、近くに野ギクが自生していたので切って、元日本人の墓に線香と花を手向けた。

    サイゴンのラジオ局に向かった。敗戦で父たちの捕虜収容所があった場所がかつての「無線台敷地」、現在のラジオ局の周辺だった。父たちは周囲で畑をつくり、近くの川で魚を釣りながら、戦闘のない日常を楽しんでいたと話していた。ラジオ局の近くを流れるのはティ・ゲー川。生前父から見せてもらった捕虜生活の写真が数枚あり、その一枚がこの川で魚釣りをしている写真だった。兄弟でこの川の遊覧船に乗った=写真=。川面を走る風が頬をなでるようにして流れ、捕虜生活の様子を偲ぶことができた。

   旅の最後に、父たちの部隊が帰還の船に乗り込んだサイゴン港に行った。父からかつて聞いた話だが、乗船の際は一人一人が名前を大声で名乗りタラップを上った。地元民に危害を加えた者がいないか、民衆が見守る中、「首実験」が行われたのだ。父が所属した部隊では幸い「戦犯者」はいなかった。別の部隊では軍属として働いていた地元民にゴボウの煮つけを出したことがある炊事兵が、乗船の際に「あいつはオレらに木の根っこを食わせた」と地元民が叫び、イギリス軍によりタラップから引きづリ降ろされた。そう語る父の残念そうな顔を今でも覚えている。

   父たちがサイゴンの港を出たのは1946年5月2日だった。港を出て行く船を見ていると、父たちの帰還船を見送っているような不思議な感覚になった。まるでタイムマシーンに乗って、港に来たような。「無事日本に帰ってくれてありがとう」と心の中で叫んだ。父は同月13日に鹿児島港に上陸。能登半島に戻り結婚。1949年に兄が、私は54年に、そして弟は58年に生まれた。

⇒16日(火)夜・金沢の天気   くもり