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☆日本の「反撃能力」と北朝鮮の「固体燃料ロケット」

☆日本の「反撃能力」と北朝鮮の「固体燃料ロケット」

   日本海側に住んでいると、北朝鮮の動きが気になる。先月18日に平壌近郊から、1発のICBM級弾道ミサイルを発射し、北海道の渡島大島の西方約200㌔の日本海、EEZ内に着弾させている。飛翔距離は約1000㌔、また最高高度は約6000㌔で、弾頭の重さによっては、射程は1万5000㌔を超えてアメリカ全土に届くと推定されている。

   CNNニュースWeb版日本語(16日付)によると、北朝鮮はきょう新型の固体燃料ロケットエンジンのテストに成功したと発表した。これにより金正恩総書記は将来、より迅速かつ確実にICBMを発射できるようになる可能性がある、と報じている。固体燃料ロケットは、北朝鮮がこれまでのICBM発射実験で使用した液体燃料ロケットよりも安定性に優れ、ICBMをより容易に移動させられるうえに、打ち上げにかかる時間も短縮できるとされる。

   北朝鮮は2021年からの「国防5ヵ年計画」で固体燃料のICBM開発を重点目標に掲げており、金総書記は今回の実験で「優先課題実現に向けた重大問題を解決した」と強調した(16日付・産経新聞Web版)。

   政府はきょうの臨時閣議で「国家安全保障戦略」など新たな防衛3文書を決定した。敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となる(NHKニュースWeb版)。「反撃能力」は「敵基地攻撃能力」とも呼ばれる。このため、国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の改良型の開発・量産や、アメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の取得など、防衛力の抜本的な強化策を盛り込んでいる。

   先の北朝鮮のニュースと照らし合わせすると、反撃能力はどこまで効果があるのか。固体燃料ロケットの開発でICBMをより容易に移動することができるとなれば、敵基地攻撃は意味を成すのだろうか。分かりやすく言えば、移動したICBMを追尾し、発射前にたたくことはできるのだろうか。

(※写真はことし3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

⇒16日(金)夜・金沢の天気    くもり

★スーパーの卵売り場で考えた卵かけごはんのこと

★スーパーの卵売り場で考えた卵かけごはんのこと

   ずっと以前から「卵は物価の優等生」という言葉が脳裏にある。スーパーでは10個入りパックが200円前後で売られていて、特売日では160円というイメージだ。きょうスーパーの卵売り場をのぞくと1パックが「269円」となっていた。「物価の優等生がいつの間にかインフレの急先鋒」となったようだ。

   卵を悪者扱いするつもりはまったくない。急いでいるとき、卵かけごはんでさらさらと食事を済ませると、時間と栄養を稼いだ気分になる。冷蔵庫には卵は絶やさずあり、重宝する食材ではある。その卵の値段高騰の背景に2つの要因があるようだ。一つは、配合飼料原料であるトウモロコシなど穀物のひっ迫だ。

   一般社団法人「日本養鶏協会」のことし9月の「鶏卵の需給見通 し」によると、中国はアフリカ豚熱(ASF)後に大規模な養豚振興策として穀物輸入を拡大し、世界のトウモロコシの7割の在庫を保有している。さらに、アメリカは地球温暖化対策としてエタノール需要が増大していて、原料のトウモロコシ需要が増している。追い打ちをかけるように、ロシアのウクライナ侵攻によって、トウモロコシの主産地ウクライナからの輸出減や物流混乱が続いている。もう一つが、鳥インフルエンザの感染が過去最多の処分数となった2年前を超えるペースで急拡大していて、出荷量そのものが減少していることも背景にあるようだ。

   スーパーの卵売り場では6個入り1パック429円という高級品も目にとまった=写真=。1個70円余り。パックを見ると、「放し飼い 自然卵」「平飼卵」などと記されている。日本の卵が「物価の優等生」であったのは、いわゆるケージ飼いによる大量生産で卵が供給されてきたからだと言われている。これに対し、狭いケージにニワトリを閉じ込めて生産性を上げる従来の養鶏・鶏卵のシステムは、「アニマルウェルフェア(Animal Welfare、動物福祉)」に反するとして、欧米ではケージフリー・エッグ(平飼いの卵)が主流になっている。

   世界の眼は日本の養鶏・鶏卵業者に対して厳しくなっているとも指摘されている。ただ、ケージに入れることにより、ニワトリを土やフンから離すことができ、雑菌や寄生虫などの影響を受けない分、ニワトリは病気にかかりにくくなるとの利点もある。

   さて、ケージ飼いの10個入りパック269円の卵か、平飼いの6個入りパック429円の卵か、どちらにするか。迷ったあげく、伸び伸びと育てたニワトリの卵かけごはんが食べたくなり、手を伸ばした。

⇒15日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆高額献金、ミサイル、防衛増税という負のスパイラル

☆高額献金、ミサイル、防衛増税という負のスパイラル

   『週刊文春』(11月10日号)による、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の韓鶴子総裁と教団幹部らが2008年から11年にかけてアメリカ・ラスベガスのカジノを訪れ、日本円に換算して64億円もの金をギャンブルに注ぎ込んで、9億円の損失を出していた疑いとの記事は衝撃的だった。さらに、『文藝春秋』(2023年1月号)の記事は衝撃を超えて怒りがこみ上げてくる。「北朝鮮ミサイル開発を支える旧統一教会マネー4500億円」という見出しの記事だ。

   10ページにわたって詳細に経緯が書かれている。旧統一教会と北朝鮮の接近を観察していたアメリカ国防総省の情報局(DIA)のリポートの一部が機密解除され、そのコピーを入手した韓国在住ジャーナリストの柳錫氏が記事を書いている。以下、記事の要約。旧統一教会の文鮮明教祖は1991年12月に北朝鮮を訪れ、金日成主席とトップ会談をした見返りとして4500億円を寄贈していた。寄贈は現金での手渡しのほかに、旧統一教会がアメリカ・ペンシルベニア州で保有していた不動産の一部を売却し、300万㌦を中国、香港経由で北朝鮮に流れている。

   旧統一教会から北朝鮮に流れた資金はそれだけではない。教会日本本部運営局の2007年の資料では、教会の関連団体を通じて、毎月4000万円から4800万円の資金が北朝鮮に定期的に送金されたと記されている、という。こうした資金が北朝鮮で核やICBMの開発に使われた可能性があると、多くの証言や資料をもとに分析している。

   その一つとして、DIA報告書では、1994年1月にロシアから北朝鮮にミサイル発射装置が付いたままの潜水艦が売却された事例がある。売却を仲介したのが東京・杉並区にあった貿易会社だった。潜水艦を「鉄くず」と偽って申告して取引を成立させていた。韓国の国防部は2016年8月の国会報告で、北朝鮮が打ち上げたSLBM潜水艦発射型弾道ミサイルは北朝鮮に渡った「鉄くず」潜水艦が開発の元になっていたと明かした。この貿易会社の従業員は全員が旧統一教会の合同結婚式に出席した信者だった。   

   旧統一教会は日本で集めた資金を北朝鮮に貢いで、それが北朝鮮からICBMとなって日本に向ってくる。そしていま、日本を騒がせている防衛費増税になっている。「負のスパイラル」とはこのことだ。

⇒14日(水)夜・金沢の天気    くもり

★五輪めぐる汚職事件は「個人的な問題」なのか

★五輪めぐる汚職事件は「個人的な問題」なのか

   電通の元専務もある高橋容疑者はオリンピックそのものを誘致するロビイストだった。ロイター通信Web版(2020年3月31日付)は、五輪招致をめぐり高橋容疑者が招致委員会から820万㌦の資金を受け、IOC委員にロビー活動を行っていたと報じた。IOC委員に対するロビー活動については、国際的にも問題が指摘されていて、フランス司法当局の捜査対象となったJOCの当時の竹田恒和会長は2019年6月に退任している。

☆防衛力強化で増税ならば まず政治家自らが襟を正すべき

☆防衛力強化で増税ならば まず政治家自らが襟を正すべき

   防衛力強化の財源をめぐり、岸田総理が1兆円強の増税で賄うと表明したことが物議をかもしている。メディア各社によると、高市経済安保担当大臣は「防衛力強化の中身より先に財源論が出たので驚いた」と述べ、元自衛隊員の自民党の佐藤元外務副大臣も「防衛力の中身を説明する前に増税では順番が違う」と苦言を呈した。さらに党内部から、「運び方が雑すぎる。全く理解できない」(大塚衆院議員)や「岸田総理の発言に真っ正面から反対して、防衛増税という考え方そのものに反対する」(青山参院議員)などの声が上がっている。おそらく、有権者の多くも同感ではないだろうか。

   有権者の目線で言うと、そもそも削るべき予算が多々ある。2022年度の一般会計総額は107兆5900億円で、10年連続で過去最大だ。この巨額の資金はいったい何に使われ、未来の成長や社会の安心につながる中身となっているのか疑問に思っている有権者も多いのではないか。

   たとえば、政党から政治家個人に渡る「政策活動費」は、使い道を明らかにしなくていい「領収書がいらない」政治資金だ。朝日新聞Web版(11月27日付)によると、同社が2002年から2021年の政治資金収支報告書を集計したところ、自民党の「政策活動費」は20年で総額約379億円となっており、5年にわたって幹事長を務めた二階氏には、合計で50億6000万円が渡っていた。また、国会議員には給与とは別に毎月100万円の調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)が支払われている。これも領収書不要、残金の返金をしなくてよい。(※写真は、参院代表質問に答える岸田総理=10月7日のNHK総合)

   領収書もいらない不透明な政治資金そのものに有権者は疑心暗鬼の念を抱いている。増税をするのであれば、政治家が自ら襟を正し、政策活動費の透明化と削減を行うと表明してから、増税を国民に問うべきではないか。自民党内部からも、「運び方が雑すぎる」との声が上がっているが、まさにその通りと納得する。総理とあろうものが簡単に増税を口にすべきでない、と言いたい。

⇒12日(月)夜・金沢の天気 はれ

★アワビの危機にどう取り組むのか 舳倉島の海女たち

★アワビの危機にどう取り組むのか 舳倉島の海女たち

   日本海に突き出た能登半島の尖端・輪島市のさらに49㌔沖合に舳倉島(へぐらじま)という周囲5㌔ほどの小さな島がある。アワビが採れる島で「海女の島」として知られる。自身も記者時代に海女さんたちを取材に島に何度も訪れた。輪島市や舳倉島を拠点に現在でも200人ほどの海女さんがいる。ウエットスーツ、水中眼鏡、足ひれを着用して、素潜り。採れたアワビは「海女採りアワビ」としてブランド化されていて、浜値で1㌔1万円ほどの値がする。

   アワビ漁では、海女さんたちが自主的に厳しいルールをつくっている。アワビの貝の大きさ10㌢以下のものは採らない。アワビとサザエの漁期は7月1日から9月30日までの3ヵ月。海に潜る(磯入り)の時間は、午前9時から午後1時までの4時間と制限している。さらに、休漁日はすべての海女が一斉に休む。こうしたルールを互いに守ることで、持続的なアワビ採りの恩恵にあずかっている。

   舳倉島にはアワビの長い歴史がある。万葉の歌人・大伴家持が越中国司として748年、能登を巡行している。島に渡っていないが、詠んだ歌がある。「沖つ島 い行き渡りて潜くちふ あわび珠もが包み遣やらむ」。沖にある舳倉島に渡って潜り、アワビの真珠を都の妻に送ってやりたい、との意味だ。この和歌から分かることは、1270年余り前からこの島ではアワビ漁が連綿と続いたということだ。  

   世界の野生生物の絶滅のリスクなどを評価しているIUCN(国際自然保護連合、本部=スイス・グラン)の公式サイトによると、世界に54種あるアワビのうち、日本で採取されている3種(クロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビ)を含め20種について、「絶滅の危機が高まっている」として新たにレッドリストの絶滅危惧種に指定した。

   公式サイトの事例によると、アワビは日本だけでなく世界でも高級食材であり、南アフリカでは犯罪ネットワークによる密猟で壊滅的な打撃を受けている。さらに、「海洋熱波」によりアワビが食物としている藻類が減り、西オーストラリア州の最北端では大量死。また、農業および産業廃棄物が有害な藻類の繁殖を引き起こしていて、カリフォルニアとメキシコ、イギリス海峡から北西アフリカと地中海にかけてはアワビの病弱化が報告されている。

   このアワビ激減の対応策として、IUCN研究員は「養殖または持続可能な方法で調達されたアワビだけを食べること。そして、漁業割当と密猟対策の実施も重要です」と述べている。

   先に述べた舳倉島でもクロアワビ、マダカ、メガイの3種が採れているて、昭和59年(1984)の39㌧の漁獲量をピークに右肩下がりに減少し、近年では2㌧ほどと20分の1に減少している。このため、島に禁漁区を設け、種苗の放流、アワビを捕食するタコやヒトデなどの外敵生物の駆除作業などを行っている。今回のIUCNによるレッドリスト化によって、海女さんたちは今後さらにどのような取り組みを進めるのか。海の生態系から得られる恵み、「生態系サービス」の視点からも海女さんたちの取り組みが国際的にも注目されるのではないだろうか。

⇒10日(土)夜・金沢の天気    くもり

☆「信教の自由」名目の搾取、ネグレクト、信仰的な強制

☆「信教の自由」名目の搾取、ネグレクト、信仰的な強制

   旧統一教会の被害者救済を図る法案について、きょう参院消費者問題特別委員会で参考人質疑が行われた。NHKニュースWeb版(9日付)によると、「小川さゆり」の名前で被害を訴えている宗教2世の女性は「裁判で実効性を伴うのか検証するとともに、見直し期間を1年にし、検討部会を今すぐ立ち上げてほしい。最大の積み残しは子どもの被害が全く救済できないことだ。新法は献金の問題を解決しようとするものだが、問題はそれだけではない」と指摘し、「これだけ悪質な団体が活動の一時停止もなく、税制優遇を受けていることはあってはならない。政府として責任を果たし、早急な対応をお願いしたい」と訴えた。

   小川さんの意見陳述の全文が朝日新聞Web版(9日付)で掲載されている。驚愕する内容だ。以下。

「幼少期から学生時代にかけて、貧しい暮らしを強いられ、親戚からのおこづかい、お年玉をもらっても没収され、親からも当然ありませんでした。誕生日、クリスマスプレゼント、小学校の卒業アルバムなどはお金がないため、買ってもらえませんでした。

 服はお下がりで、美容院等へは行かせてもらえず、小学校1年生の頃から見た目のまずさからいじめに遭いました。20歳の成人式にいたっては興味がないと言われ、してもらえませんでした。

 両親が親戚中を勧誘したり、お金を要求したり、そのことで怒られているところも見てきました。また、高校生から始めた5年間のアルバイト代200万円ほどの給与も没収され、一度も返ってきませんでした。

 両親はこのような生活状況にもかかわらず、私たちきょうだいに一切相談なく、教会への高額な献金を繰り返してきました。そういった献金につながる教育は幼少期から強制的に行われていきます」

   さらに強烈な証言を小川さんは発している。以下。

「礼拝ではサタンや天国地獄を使って脅す教育を受けます。私は18歳の頃、統一教会の公職者からセクハラを受け、その理由はあなたに悪霊がついているからだと言われて韓国の清平に除霊をしに行きますが、そこで精神崩壊する信者さんたちを複数見て自分も精神が崩壊して精神疾患を負い、精神病棟に入院しました。

 退院後も、うつ症状とパニックを起こして救急車で複数回運ばれました。またもう一度入院もしました。そんな中、両親は協会活動を平然と続け、当時体調を崩し引きこもっていた私のことを家にお金も入れないでいつになったら働いてくれるのかと、お金のアテにしか思われていなかったことを知り、限界を感じ、家を出た後に脱会しました」

   信教の自由という名目の搾取、ネグレクト、信仰的強制を小川さんは強いられていたことが実によく分かる。この宗教団体の信者の家庭内ではこのような事例が数多く報告されている。これを信教の自由と言うのか。まさに民主主義が問われている。法案は、あす10日の委員会で可決されたあと、参院本会議でも採決が行われて可決・成立する見通しとなっている。

(※写真は、バチカン美術館のシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの天井壁画『最後の審判』=撮影:2006年1月)

⇒9日(金)夜・金沢の天気   はれ

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

   北陸に住む者にとって、冬の備えが少なくとも2つある。まずは自家用車のノーマルタイヤからスノータイヤへの交換だ。積雪で路面がアイスバーン(凍結)状態になると交通事故のもとになる。もう一つが民家の庭木の雪吊り。北陸の雪はパウダースノーではなく、湿気を含んで重い。雪の重みで庭木の枝が折れる。金沢の兼六園では毎年11月1日に雪吊りを施し、民家では12月から始まる。

   きのう我が家の雪吊り作業を行った。素人ではできない仕事なので、造園業者に依頼している。雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法がある。庭木に雪が積もりると、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」と言って、樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。樹木の姿を見てプロは「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」などの手法の判断をする。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・上=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。パラソル状になっていることろがアートではある。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様な手法を用いていた。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・中=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。庭職人の親方から聞いた話だ。秋ごろに庭木の枝葉を剪定してもらっているが、ベテランの職人は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うという話だった。このために強く刈り込みを施すこともある。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に伸び、雪害の要因にもなる。庭木本来の美しい形状を保つために、常に雪のことを配慮している。

   ムクゲの木に施されている「しぼり」=写真・下=は低木の枝を全て上に集め、縄で結ぶ。大雪になると枝がボキボキと折れる。「備えあれば憂いなし」の心構えで、暖冬予報であっても雪吊りをする。雪つりは年末の恒例行事でもあり、これをやらないと気持ちのけじめがつかない。北陸に住む者の心構えではある。

⇒8日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆FIFAワールドカップ日本惜敗 メディア報道あれこれ

☆FIFAワールドカップ日本惜敗 メディア報道あれこれ

   FIFAワールドカップ・カタール大会トーナメント戦での日本戦の報道を見ていて、一番悔しい思いをしたのは新聞メディアではないだろうかと憶測した。何しろ、クロアチア戦は日本時間の6日深夜の戦いだったが、締め切りを延長すればなんとか6日付の朝刊に対戦結果を掲載できた。しかし、PK戦にまでもつれ込んだために締め切り時間に間に合わず、ひと晩明けたけさの朝刊で各社が一斉に報じることなった=写真=。

   もちろん、きのうは夕刊での記事掲載もあったが、夕刊の購読世帯数は少なく、大手紙の場合は夕刊を発行していない地域エリアもある。そのため、きょうの朝刊で本編掲載のような紙面づくりをせざるを得なかった。

   スペイン戦は日本時間で今月2日午前4時にキックオフ、終了は午前5時53分だった。この時間は朝刊配達の時間でもあり、最初から結果の掲載は見送ったのだろう。そしてクロアチア戦は6日午前0時にキックオフ。通常の試合ならば、前後半それぞれ45分、ハーフタイムの15分を含めて午前1時45分には試合は終わる。これだったら紙面に間に合う。

   ところが、トーナメント戦では必ず勝敗をつけるルールがある。今回は延長戦で前後半各15分の試合が行われ、それでも決着がつかずPK戦で勝敗をつけことになった。6日付の地元紙の朝刊は「日本1-1で延長へ」と伝えている。逆算すれば、午前1時50分ごろまで締め切りを待ったが、延長戦となってはこれ以上は待てないと判断したのだろう。結局、クロアチア戦の終了は午前2時43分だった。新聞社の周辺のごく一部地域でしか結果を朝刊に掲載できなかったのではないか。新聞メディアの限界がここにある。 

   一方で、数字を稼いだのはテレビ局だった。ロイター通信Web版(6日付)によると、6日未明にフジテレビが中継したクロアチア戦の平均世帯視聴率は関東地区で34.6%、関西地区で33.1%だったことが、ビデオリサーチの調査(速報値)で分かった。瞬間最高視聴率は関東が38.3%、関西が36.8%だった。2日早朝に同じくフジテレビが生中継したスペイン戦は、午前5時から午前6時10分までの日本が逆転した試合後半中心の平均世帯視聴率は28.7%だった。

   ネット中継も数字を稼いだ。全64試合を日本で無料生中継しているテレビ朝日系のABEMAでは、ドイツ戦の視聴者数が1000万人、コスタリカ戦は1400万人、スペイン戦は1700万人、そしてクロアチア戦は延長前半時点で2000万人を突破した(6日付・日刊スポーツWeb版)。

   新聞、テレビ、ネットの特性がFIFAワールドカップを通じて浮き出た。新聞メディアが時代遅れと言っている訳ではない。新聞は試合の多様な解説記事を掲載している。テレビにもネットにも追随できないコンテンツではある。

⇒7日(水)夜・金沢の天気    くもり

★あの「イカキング」と「能登ワイン」のテロワール

★あの「イカキング」と「能登ワイン」のテロワール

   FIFAワールドカップ・カタール大会で日本は決勝トーナメント一回戦で、日本はクロアチアと1-1で突入したPK戦の末に敗れ、8強入りはならなかった。強豪のドイツとスペインを破って決勝トーナメントに進出しており、「日本サッカー」を世界に印象付けたのではないだろうか。そして、敗れたものの選手たち、日本のサポーターはこみを拾い、さりげなく去った。「ジャパニーズ・スタンダード」「これが日本の文化か」と世界は称賛している。

   前回の続き。農耕儀礼「田の神さま」の見学を終えて、せっかく奥能登に来たので、いっしょに訪れた仲間たち3人と新名所を巡った。近場の海岸沿いにある、あの「イカキング」を見に行った=写真・上=。スルメイカの巨大なモニュメントは日本海のスルメイカの水揚げ拠点である能登町小木にある。これまで国内だけでなく海外のテレビ番組でも繰り返し紹介された効果もあり、観光交流センター「イカの駅つくモール」には去年4月設置からことし7月までに16万4千人が来場、うち45%の来場者がイカキングがお目当てだったことがアンケート調査で分かった(能登町役場公式サイト「 能登町イカキング効果算出プロジェクト報告資料」)。

   今回訪れたのは月曜日ということもあり、来場者は少なかったが、親子連れが楽しそうに眺めていた。また、グローバルメディアのBBCもニュースとして取り上げた効果か、インバウンド観光客も面白そうに撮影していた。欧米ではタコやイカはデビルフィッシュ(Devilfish)、「悪魔の魚」にたとえられ、巨大化したタコやイカと闘うアメリカ映画もある。スルメイカの巨大モニュメントそのものが、欧米では「絵になる」のだろう。

   次に訪れたのは穴水町にある「能登ワイン」。2006年にワインづくり始め、ワイナリーを囲むようにブドウ畑が広がる。畑には白い殻がまかれている。この辺り一帯は赤土(酸性土壌)で、ブドウ畑に適さないと言われてきた。そこで、穴水湾で養殖されるカキの殻を天日干しにしてブドウ畑に入れることで土壌が中和され、ミネラルが豊富な水はけのよい畑となり、良質なブドウの栽培に成功している。まさに能登ワインの「テロワール」(産地特性)と言える。

   その土地と合ったのが日本固有のブドウといわれるヤマソーヴィニヨン。ここでは国内のヤマソーヴィヨンの半数近くを栽培している。このヤマソーヴィニヨンをオーク樽で6ヵ月間貯蔵し熟成させたのが、赤ワインのブランド『心の雫(しずく)』=写真・下=。素朴な深みと優しさがあって、能登をイメージさせるワインでもある。
 
   説明してくれたワイナリーのスタッフがこのような話しをしてくれた。「日本ワインと国産ワインの違いをご存知でしょうか」と。日本ワインはブドウも醸造も日本で造られたワインのこと。国産ワインは醸造は国内だが、ブドウは輸入されたもの。その意味では、能登ワインは日本ワインの醸造に地道に取り組んでいると言える。
 
⇒6日(火)午後・金沢の天気   あめ