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☆ドローン攻撃が本当なら 「恥ずべきはクレムリン」

☆ドローン攻撃が本当なら 「恥ずべきはクレムリン」

   モスクワのクレムリン上院宮殿の建物の上にある旗ざおの近くでドローンが撃ち落された映像が世界のニュースになっている。メディア各社の報道によると、ロシア大統領府は3日、「2機の無人機が夜、首都モスクワのクレムリンにある大統領府を攻撃しようとした。無人機は軍や特殊部隊によってレーダーで無力化され、クレムリンの敷地内に破片が落下した。被害は出ていない」と発表した(NHKニュースWeb版)。

   また、ロシア大統領府は無人機による攻撃の試みはウクライナのゼレンスキー政権によるものだとして、「ロシアの大統領を狙ったテロ行為だ」と主張。そのうえで「ロシアは適切な時期と場所で報復する権利がある」と報復措置を取るとしている(同)。

   これに対して、ウクライナ大統領のスポークスマンは「ゼレンスキー大統領が以前に何度も述べたように、ウクライナは他国を攻撃するのではなく、自国の領土を解放するために自由に使えるあらゆる手段を使用している」と述べ、ドローンによるクレムリンへの攻撃を否定している(CNNニュースWeb版)。

   アメリカのブリンケン国務長官はワシントン・ポスト紙主催の会合で、何が起きたかは「全く分からない」とし、事実関係を確認すると表明。「ロシアの言うことをうのみにはしない」とも述べ、ロシアの主張に懐疑的な見方を示した(共同通信Web版)。クレムリンでのドローン撃墜がロシアの偽旗作戦(自作自演)かどうかを判断する決定的な証拠は見当たらないものの、だからと言って、証拠が見当たらなければそれが直ちにウクライナによる攻撃であることの証拠にはならない。 むしろ、証明すべきはロシア側の責任だろう。

   上記に関連して、BBCニュースWeb版(4日付)の論調はロシア側の矛盾を突いている=写真=。「Kremlin drone attack is highly embarrassing for Moscow」の見出しで、クレムリンが言っていることが真実であり、プーチン大統領を狙ったものだとすれば、それはクレムリンにとって「非常に恥ずかしい事件」ではないのか、と質している。要約すると、記事の写真にもあるようにクレムリンの空域は厳重な警備下にある。なぜ、ロシア軍はクレムリンに飛来するまでこのドローンを迎撃しなかったのか、大きな疑問が残る。むしろ、この矛盾を解明すべきではないのか、と。

           確かに、ウクライナのドローンが突然、クレムリンに現れたとすれば、それはなぜなのか、ロシアが証明しなければ、「やはり偽旗か」と世界のロシアに対する不信の念は一層深まる。

⇒4日(木)午後・金沢の天気    はれ  

★憲法とデジタル社会  チャットGDPが問うこと

★憲法とデジタル社会  チャットGDPが問うこと

   人と会えばよく会話をするタイプだが、雑談から入るクセがある。会った人にはまったく関係のない、季節の草花の話や時事ネタ、グルメのことなので雑談もいいとこだ。そこから、しばらく間をおいて本題に入る。なので、相手方は「うだうだと話が長い」「要件をはやく言え」と思うに違いない。こうした雑談は、チャットGDPとは真逆の会話かもしれない、と思うことがある。

   対話型AIの代表格となっているチャットGDPは、情報のやりとりはするが、雑談はしない。「雑談をしようよ」と話しかると、「何について話しますか」との返事になり、「何でもいいよ」と返すと、「それではお話しができません」となる。チャットGDPとすると、ネット上の膨大なデータを持っていて、返事をしたくてうずうずとしているのだろう。ところが、「何でもいいよ」ではレスポンスができない。

   逆に言えば、新たに雑談対応能力として、「それでは季節の話題を話します」と言って、「金沢市にある兼六園ではカキツバタが咲き始め、緑色の風景に美しい紫の花を咲かせています」などと話し始めると、これはこれで対話型AIの機能がさらにアップするのではないか。雑談ができるチャットGDPの能力開発は近いかもしれない。

   きょう3日は施行から76年を迎えた日本国憲法の憲法記念日。よく考えれば、憲法にはデジタル社会のことが盛り込まれてはいない。たとえば、プライバシーの権利は憲法第13条(幸福追求権)によって保障された基本的人権であり、私人と私人の間でもプライバシーの権利の侵害は民法の不法行為(民法709条)である。ところが、ネット上では極端な例が、過去に犯した過ちがニュースとして実名で残っていたり、FacebookやInstagramで自撮りの写真や映像が拡散したりしている。さらに、クッキー(Cookie)を始めとしたネットでの検索や閲覧の履歴が知らないうちに情報としてアップされていることもある。

   チャットGDPによって、上記のようなデータがひとまとめにして他人に共有されることを考えると、プライバシー権などないに等しい。デジタル社会におけるデータ保護は国民の基本的な権利であるとする「データ基本権」を憲法に明記すべきではないだろうか。(※写真は日本国憲法原本=Wikipedia「日本国憲法」より)

⇒3日(水)午後・金沢の天気    はれ

☆人権侵害や国土防衛にどう手立て あす憲法記念日

☆人権侵害や国土防衛にどう手立て あす憲法記念日

   あす3日の憲法記念日を前に共同通信が行った憲法に関する世論調査(郵送方式)の結果が各紙で報じられている。目を引いた項目は「問5:憲法に関し、あなたが国会で議論してほしいテーマは何ですか。優先度の高いものを三つまでお答えください」。答えのトップは「九条と自衛隊」38%で、「社会保障などの生存権」32%、「教育」25%、「大災害時などの緊急事態」24%、「デジタル社会での人権」22%などと続いている。

   「九条と自衛隊」がトップなのは、隣国のロシアによるウクライナ侵攻が北方領土から北海道へと連鎖反応するのではないか、北朝鮮は弾道ミサイルを日本領土に撃ち込んでくるのではないか、中国は尖閣諸島に軍事侵攻するのではないか、といった懸念を抱く有権者がこのところ増えているからではないだろうか。日本は、国際紛争を解決する手段として戦争や武力の行使に訴えることは、憲法によって認められていない。

   この対応策の一つとして、政府は2022年12月の閣議で「国家安全保障戦略」など新たな防衛3文書を決定し、敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を明記した。ところが、北朝鮮は固体燃料ロケットの開発でICBMを素早く実践配備できるよう動いている。追尾して発射前に叩くことはできるのだろうか。

   そして最近とくに高まっている懸念という意味では「デジタル社会での人権」もそうだ。他人への誹謗中傷や侮辱、プライバシーの侵害、SNSいじめ、ヘイトスピーチなど。フジテレビのリアリティ番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラーがSNSの誹謗中傷を苦に自死した事件(2020年5月)はその典型的な事案だろう。この事件がきっかけで、公然と人を侮辱した行為に適用される侮辱罪に、「1年以下の懲役・禁錮」と「30万円以下の罰金」を加えられて厳罰化した。しかし、刑法の厳罰化によって、SNSの誹謗中傷は治まったと言えるだろうか。

   デジタル社会の人権問題はさらに複雑だ。たとえば、児童ポルノはその画像がいったんネット上で出回ると、画像のコピーが転々と拡散して回収が極めて困難となる。被害者は将来にわたって苦しむことになる。重大な人権侵害だ。

   衆参の国会議員には法の見直しによる対応や与野党の足の引っ張り合いではなく、憲法そのものをテーマに本筋の議論を深めてもらいたい。

⇒2日(火)午後・金沢の天気    はれ   

★五月晴れ 梢のざわめきの中で庭仕事を楽しむ

★五月晴れ 梢のざわめきの中で庭仕事を楽しむ

   きょうから5月、新緑がまぶしほどに樹木や山野草の生命力もあふれる。庭には、ドクダミやチドメグサ、スギナ、ヨモギ、ヤブカラシが顔を出している。きょう午後、2時間ほど草むしり(雑草取り)をした。地面と向き合うと、不思議と無心になる。

   知識豊富な友人から「草むしりは禅修行のようなものだよ」と聞かされたことがある。座禅を組みながら自分と向き合い悟りの境地を目指すように、草むしりは地面と向き合いながらひたすら手を動かし無心の境地に入る。草取りを終えて地面を眺めると、雑念が払われたかようにすっきりとした空間が広がる。その瞬間、草むしりという作業ができたことに感謝の念と充実感が心に漂う。

   草むしりをしていて、かつて読んだ本を思い出すことがある。ドイツの詩人、ヘルマン・ヘッセの庭仕事に関する詩やエッセイを集めて出版された『庭仕事の愉しみ』(草思社)。その著書に、「青春時代の庭」という詩が載っている。「あの涼しい庭の梢のざわめきが 私から遠のけば遠のくほど 私はいっそう深く心から耳をすまさずにはいられない その頃よりもずっと美しくひびく歌声に」(一部引用)。ヘッセには庭の梢(こずえ)のざわめきがハーモニーのような美しい歌声に聞こえたのだろう。

   ヘッセのこの心境を表現するような床の間の掛け物がある。「閑坐聴松風」(かんざして しょうふうをきく)という禅語で、茶席によく掛かる。静かに心落ち着かせて坐り、松林を通り抜ける風の音を聴く。松に限らず、近くにある木が風に揺られ、サラサラと鳴っている音、鳥や虫の音が心地よく聴こえるという意味と解釈している。五月晴れのもと梢のざわめきを聴きながら草むしりをする。至福のひとときでもある。

⇒1日(月)夜・金沢の天気     はれ

☆馳知事「死ぬまでプロレスラー」 メディアに抗戦モード

☆馳知事「死ぬまでプロレスラー」 メディアに抗戦モード

           定例会見は開かず、随時会見をその都度開く。石川県の馳浩知事は、メディアとの距離をどのように計っているのだろうか。地元メディア各社の報道によると、馳知事は27日午前10時、「きょう午後2時に会見を開く」と県政記者クラブを通じて発表した。会見では、臨時会見を毎月4、5回開くとの内容だった。馳知事はこれまで定例会見を開いていたが、ことし3月と4月は開いていない。馳知事とメディアの距離感が実に分かりにくい。

   その分かりにくさには原因がある。金沢市に本社がある民放「石川テレビ放送」(フジ系)が制作し、2022年10月に全国公開されたドキュメンタリー映画『裸のムラ』。「保守王国」と言われる石川県の知事を7期28年つとめた谷本正憲氏から馳氏にバトンタッチしたが、それに「キングメーカー」と評される森喜朗元総理が絡んで、「ムラの男たちが熱演する栄枯盛衰の権力移譲劇」という内容だ(映画チラシより)。

   この映画に対し、馳知事はクレームをつけた。映画は石川テレビが2021年と22に放送した2本のドキュメンタリ-番組に新たな映像を加えて再編集したもの。馳知事は、テレビ報道のドキュメンタリ-番組に加え、さらに商業目的でつくった映画にも無断で自身や県職員の映像を使用していることについて、「肖像権の扱いが納得できない」と。これに対し、石川テレビ側は、映画の制作も報道活動の一環との位置づけで、映像は公務中ものであり、報道の目的である公共性に鑑み、許諾は必要ないと反論している。

   馳知事は、肖像権の扱いについての言い分は譲らず、石川テレビの社長が定例記者会見に出席して、弁明するべきと繰り返し述べ、3月と4月の定例会見は「石川テレビの社長との日程調整がつかなかった」として見送った。石川テレビ側は、定例記者会見での社長の出席に関しては、「社長が当社主催以外の記者会見に出席して当社の考えを述べることはしていない」と説明している(2月17日)。

   前任の谷本元知事は定例会見を開くことはなかったため、馳知事は定例会見を知事選の公約として掲げ、2022年3月の就任以来、毎月開いてきた。それをテレビ局の社長が出席して著作権について弁明すべきと譲らず、日程調整がつかなかったとして3月から定例会見を開いていない。そこで、代わりに臨時会見は開くという言い分だ。

   馳知事の体には、プロレスラーとしてのプライドが染みついているに違いない。ことし元旦に日本武道館で開催されたプロレス興行の試合に参戦、その後、年頭記者会見(1月4日)で「私は死ぬまでプロレスラー」と述べている。本人が真剣勝負で挑んできた選挙を「裸のムラ」などと揶揄するテレビ局は許せない、と徹底抗戦の構えなのだろう。

(※写真は、元旦に日本武道館で開催されたプロレス興行の試合に馳知事が参戦したとの1月3日付の紙面)

⇒30日(日)夜・金沢の天気     はれ

★能登半島の尖端 デジタル通貨の最先端

★能登半島の尖端 デジタル通貨の最先端

   能登半島の尖端にある珠洲市は「すずし」と呼ぶ。万葉の歌人として知られる大伴家持がこの地を訪れ、「珠洲の海に 朝開きして 漕ぎ来れば 長浜の浦に 月照りにけり」。748年、越中国司だった家持は能登を巡行し、最後の訪問地だった半島先端の珠洲から朝から船に乗って越中国府に到着したときは夜だったという歌だ。当時は大陸の渤海(698-926年)からの使節団が能登をルートに奈良朝廷を訪れており、能登では日本海の荒波を乗り切る造船技術が発達していたとされる。家持が乗った船も時代の最先端の船ではなかったのかとイメージさせる。

   珠洲市はいまでも時代の先端を試みるユニークな地域で知られる。メディアの報道によると、同市で独自のデジタル地域通貨サービス「珠洲トチツーカ」を流通させるプロジェクトをスタートさせると、きのう27日の記者会見で発表した=写真=。北国ファイナンシャルホールディングス(FHD)傘下の北国銀行(金沢市)が法定通貨と価値が連動する、1コインが1円のデジタル通貨「ステーブルコイン」を発行する。また、珠洲市が独自に発行し市内の加盟店で使えるポイント制度も統合するなど、ことし夏ごろにサービスの大枠を整える。

   珠洲トチツーカでは、利用者IDがマイナンバーと結びつくことで、行政からの各種給付金の支払いのほか、地方税の納付や公共料金、病院、学校関係費用の納付などにも使えるよう整備する。デジタル通貨を発行するのはことし12月の見通しで、預金口座からのチャージや出金も可能になる。同市は行政サービスのDX化を進めていて、デジタル通貨はその切り札の一つ。金融機関には地域の興能信用金庫も加わり、自治体と金融機関によるデジタル通貨の発行は全国初めてという。

   金融機関と行政がタイップできた背景には、同市のマイナンバーカードの普及率が全国でもトップクラスの79.5%(ことし3月末時点、全国平均は67.0%)であることや、もともと同市には金融機関の支店やATMが少ないことなどから、キャッシュレス決済の利用率が高かったことなどがある。

   同市のデジタルへの前向きな取り組みはデジタル通貨だけでなく、2010年7月には珠洲市が総務省が募集した地デジへのリハーサル候補地に手を挙げ、先行モデル地区に採択され、全国でもいち早く地デジ化に踏み切った。金沢大学のEV研究グループによる公道での走行実験を受けれたのも同市が初めてだった。また、3年に一度のトリエンナーレで開催する奥能登国際芸術祭も2017年にスタートさせている。斬新な取り組みに向き合うのは市長、泉谷満寿裕氏の個性であり、ポリシーなのかもしれない。5期目で全国初のデジタル通貨を采配する首長である。

⇒28日(金)午前・金沢の天気    はれ   

☆金沢医科大学へ「3億円寄付」騒動 怒り心頭の遺族は提訴

☆金沢医科大学へ「3億円寄付」騒動 怒り心頭の遺族は提訴

    金沢で「3億円寄付」騒動が持ち上がっている。地元メディアによると、金沢市に本社がある東証プライム上場の機械メーカー「渋谷工業」の前社長、渋谷弘利氏が2021年5月、入院していた金沢医科大学病院に3億円を寄付した。渋谷氏は同年10月に90歳で死去したが、寄付のことは家族に知らされていなかった。遺族である渋谷氏の妻と娘2人はきのう26日、渋谷氏に認知症の症状があったにもかかわらず、3億円を寄付させたのは公序良俗に反するとして、同大学と主治医に2億4750万円の損害賠償を求めて金沢地裁に提訴した。

    渋谷氏は社長在任中の2021年1月にサウナで脱水状態となり、同病院に入院。退院後の同年5月に、「大学創立50年記念事業募金」に応じて3億円を寄付した。その後、8月に再び入院するなど入退院を繰り返していた。以前から認知機能の低下が見られ、入院中にMRI検査を実施したところ、大脳の萎縮などが確認されていた。提訴した遺族側はきょう27日の記者会見で、「患者の病状を利用して、不当で多額な利益を図る所業が容認されていいはずがない」と訴えた。また、提訴前に調停を申し立てたが、医科大側は寄付の時点で認知症という診断書はなく、返還する理由がないと主張したため、不調に終わった。今回の提訴で医科大側は「正当な手続きを経て寄付金を受け入れている」と反論している。

   金沢医科大学公式サイトをチェックすると、「創立 50 周年記念事業募金応募状況」(令和5年2 月1日現在)として、総額15億9430万円が集まっている。中でも、「一般篤志家」からは3億5697万円が寄せられていて、渋谷氏の寄付はこの中の3億円なので、金額では群を抜いている。

   遺族とすれば、認知症の疑いがあったにもかかわらず、家族に断りなく多額の寄付を受けた医科大側に怒り心頭なのだろう。準詐欺容疑での刑事告訴も検討していると会見で述べている。以下、素朴な疑問だ。本来ならば篤志家から3億円もの寄付があれば、医科大学側は本人の了解を得て名前を公表し、感謝状を手渡すというセレモニーなど行ってしかるべきだろう。それが、家族にも知らせずに、淡々と寄付金を受け取るとはどのような思惑が医科大学側にあったのだろうか。また、寄付金は振込だったのか、現金だったのか、小切手だったのか。

(※写真は、渋谷工業の前社長、渋谷弘利氏が入院していた 金沢医科大学病院)

⇒27日(木)夜・金沢の天気    はれ  

★ デジタル広告で横行する詐欺、ブランド毀損とは

★ デジタル広告で横行する詐欺、ブランド毀損とは

   このところネット上での詐欺が横行している。パソコンやスマホに、「ネット銀行」などを装って「不正ログインの確認」や、「銀行取引の制限」、さらに「振込の失敗」を知らせるメ-ルが入って来る。偽のサイトに誘導して、IDやパスワードを盗み取る、いわゆる「フィッシング詐欺」だ。

   以前、Eメールで「VISAカード 重要なお知らせ」が届いた。「VISAカード利用いただき、ありがとうございます。このたび、ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので、誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限させていただき、ご連絡させていただきました」と。さらに、「ご回答をいただけない場合、カードのご利用制限が継続されることもございますので、予めご了承下さい」。お願いと脅しの文言を織りまぜて、暗証番号などを入力させる魂胆だ。手が込んでいる。

   「月刊ニューメディア」編集部ゼネラルエディターの吉井勇氏から届いたメールマガジン(25日付)によると、インターネットでのデジタル広告にも深刻な事態が起きているという。日本の広告市場をリードする企業が集まる「日本アドバタイザーズ協会」(JAA)が24日に開催したオンラインセミナー「デジタル広告の課題 広告主が知るべきこと、取り組むべきこと」を要約したものだ。以下、メールマガジンを引用。   

   デジタル広告業界で不正な広告取り引きとして問題となっているが、実際には人が見ていないのに、ボットなどの自動プログラムを使って、表示回数やクリック数を増加させ、不正に広告料をだましとる「アドフラウド」だ。もう一つが、「ブランドセーフティ」という問題で、広告の配信表示されるサイトが、例えばエロサイトであったり、暴力的なシーンのサイトであったりと、広告主の商品イメージを貶めるようなサイトに運用型で自動配信されているものがある。

   こうしたデジタル広告の詐欺被害について、日本経済新聞はことし3月5日付で「広告、閲覧水増し詐欺拡大 国内被害は昨年1300億円」の見出しで記事を掲載している。また、広告ではないものの、マンガの違法ダウンロードサイトによって正当な有料サイトの被害額は推定で約2兆円という数字もある。さらに問題なのは、この違法なダウンロードサイトに運用型の出稿で一般広告主の広告料が流れ込んでいることだ。

   マスメディア広告と違ってデジタル広告では、「広告がどこに出ているかわからない」ことや「広告がどのように出ているかわからない」、「どのプレーヤーがどう関わっているかわからない」という3つの「わからない」が闇を生んでいると言われる。そのためにJAAは他の広告協会などと協力して「デジタル広告品質認証機構」(略称:JICDAQ)を設立し、広告詐欺、ブランド毀損などへの対策に動き出している。

   今回のメールマガジンで、デジタル広告が社会的な犯罪構造に巻き込まれている現状の一端が見えてきた。

⇒26日(水)夜・金沢の天気   くもり

☆韓国の尹大統領に感じる「実務家」田中角栄のイメージ

☆韓国の尹大統領に感じる「実務家」田中角栄のイメージ

   韓国の尹錫悦大統領がワシントンポストの単独インタビューで日韓関係について触れ、「欧州は過去100年間に数度の戦争を経験したが、それでも戦争を行った国は、未来に向けて協力していく方法を見つけた」「100年前の歴史のために日本がひざまずいて許しを乞うべきだという考え方を受け入れることはできない」と発言した。メディア各社も記事を引用するカタチで報じている(※写真は、4月24日付・ニューズウイーク日本語Web版)。

   尹大統領は日本との未来志向の外交関係を改めて述べたことになる。ことし3月16日、大統領として初来日し、岸田総理と首脳会談に臨み、トップが互いの国を訪問する「シャトル外交」を復活させることや、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対して日米韓の連携を強化すること、経済安全保障に関する協議体の創設、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化、そして、拉致問題について協力を約束するなど前向きな姿勢を示した。

   尹大統領の日本との未来志向の関係づくりは一貫していて、韓国の閣議(3月21日)で言及した内容からも読み取れる。イギリスのウィンストン・チャーチル首相の言葉を引用して、「もし、われわれが現在と過去を競わせたら、必ず未来を逃すことになるだろう」と述べた。そして、「私は去年5月の大統領就任以来、存在自体、不透明になってしまった韓日関係の正常化の方策について悩んできた。まるで出口のない迷路の中に閉じ込められた気分だった。しかし、手をこまねいてただ見ているわけにはいかなかった。日増しに激しくなる米中競争、サプライチェーンの危機、北の核脅威の高度化など、韓国を取り巻く複合的な危機の中で韓日協力の必要性はさらに高まっている」(3月22日付・NHKニュースWeb版)

   「私も、目の前の政治的利益のための楽な道を選び過去最悪の韓日関係を放置する大統領になる可能性もあった。しかし、昨今の厳しい国際情勢を後回しにして、私までもが敵対的ナショナリズムと反日感情を刺激して国内政治に利用しようとするなら、大統領としての責務を裏切ることになると思った」(同)

   上記の尹大統領の言葉からは「親日家」という言葉は浮かんでこない。むしろ、「実務家」という言葉がふさわしい。日本の歴代の総理にたとえるならば、就任わずか85日で日中国交回復をなし遂げた田中角栄のようなイメージだ。

⇒25日(火)夜・金沢の天気     あめ

★岸田総理とメディアの「解散・総選挙」めぐる緊張感

★岸田総理とメディアの「解散・総選挙」めぐる緊張感

   前回ブログの続き。衆参5つの補選で自民党候補4人が勝利して一夜明けた24日、岸田総理は報道陣に囲まれ、「この勢いで解散・総選挙を近く実施されますか」などと質問を受けた。岸田氏は「重要政策を一つ一つ前進させ、結果を出すことに尽きる。いま、解散・総選挙は考えていない」と答えていた(24日付・NHKニュース)。

   メディアが尋ねた「解散・総選挙を近く実施」は、5月に開催する「G7広島サミット」を乗り切り、6月に「異次元の少子化対策」などの「骨太の方針」をまとめて提示し、6月21日の国会会期末までには解散という段取りか、と念押ししたのだろう。衆議員の任期満了は2025年10月30日なので、本来ならば同年10月に総選挙だろうが、自民党の党総裁任期は20249月に満了するので、それまでに政権基盤を固めておく必要がある。それは総選挙勝利という実績をづくりだ。

   メディアはこれまで何度も「解散・総選挙は近く実施されますか」と質問を向けてきた。岸田総理が3月21日にウクライナを電撃訪問し、G7広島サミットの議長国としての存在感をアピールしたときもそうだった。

   メディアがこのような質問をするのは、世論調査の内閣支持が上がっているという背景もある。読売新聞の4月の世論調査(14-16日)で、内閣支持率は47%に上り、前月調査より5ポイントも上昇。2022年9月以来、7ヵ月ぶりに支持が不支持を上回った。テレビ朝日系ANNの4月調査(15、16日)も前月から10.2ポイントも上昇しての45.3%だった。G7広島サミットを無事乗り切れば、さらには内閣支持率は「うなぎのぼり」に上昇する、かもしれない。

   総選挙は勝てると判断したときに打つ。前回は2021年10月の内閣発足から10日後という戦後最短で衆院を解散し、総選挙に勝利して政権基盤を確保した。メディア各社はこの岸氏の「サプライズ解散」を体感しているだけに、オウム返しのように「解散・総選挙は近く実施されますか」と尋ね、岸田氏は「いま、解散・総選挙は考えていない」と繰り返す。岸田総理とメディアの緊張関係でもある。

⇒24日(月)夜・金沢の天気    はれ