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☆真っ赤に焼けつくような 夏が来た

☆真っ赤に焼けつくような 夏が来た

   きょうは二十四節気の「夏至」にあたる。太陽が真南に来たときの位置が一年で最も高くなる。簡単に言うと、一年で最も日が長く、夜が短い。これから夏の盛りへと、暑さが日に日に増していく。で、ことしの夏は猛暑なのか冷夏なのか、普通の夏なのか気になっていたが、ウェザーニューズ社はきのう20日、公式サイトで7月から9月までの気温に関する見解「猛暑見解2023」を発表した。

   それによると、ことしの夏の気温は全国的に平年より高く暑い夏になる見通し。7月下旬から8月上旬にかけて暑さのピークを迎え、西日本や沖縄を中心に猛暑となる予想だ。添付されている予想図を見ると、真っ赤に焼け付いた日本列島が描かれている。

   ことしは海面水温が高くなるエルニーニョ現象がやっくるとこれまで報道されていた。エルニーニョは冷夏をもたらすとのイメージがあったのだが、どうやらそんな単純な話ではないようだ。猛暑見解2023の記事を読んでいて気になった言葉が「ダブル高気圧」。高度が異なる太平洋高気圧とチベット高気圧があり、チベット高気圧が日本付近まで張り出した場合は、太平洋高気圧と上空で重なり合ってダブル高気圧となり、厳しい暑さをもたらす。35度以上の猛暑日が続いたり、フェーン現象が起こりやすい場所では40度前後の酷暑になることもあるそうだ。

   気になる北陸の状況をチェックすると。【7月の気温】平年より高い予想。梅雨期間中は、晴れ間が出て蒸し暑い日もある見通し。梅雨明け後は、夏空が広がって暑さの厳しい日が多くなる。【8月の気温】平年より高い予想。晴れて暑くなる日が多い中、にわか雨や雷雨の発生で暑さが和らぐ日もある。【9月の気温】平年より高い予想。月の前半は晴れ間の出る日が多く、残暑が厳しくなり、後半は曇りや雨の日が多く、蒸し暑くなる日もある。

   これだけ猛暑が長く続くと、熱中症が気になる。エアコンの室温設定を上げればよいが、6月から値上げされた電力料金も気になる(北陸電力は39.7%アップ)。なんとか乗り切ったとしても「夏バテ」でヘトヘトになるのではないか。この先が思いやられそうな、夏が来た。

⇒21日(水)午前・金沢の天気     くもり

★ガタ落ち内閣支持率 ゴリ押しマイナカード

★ガタ落ち内閣支持率 ゴリ押しマイナカード

   ウクライナのゼレンスキー大統領も飛び入り参加するなど、G7広島サミットが注目されて岸田総理の株は上がった。が、その後、秘書官を務めていた長男が総理公邸で親族を集めて忘年会を開いていたことが発覚し、最近ではマイナンバーカードをめぐる相次ぐトラブルや健康保険証との一本化を進める政府方針をめぐって世論は揺れている。共同通信社の世論調査(今月17、18日)によると、内閣支持率は40.8%と前回(5月27、28日)47.0%を6ポイントも下げた。不支持は41.6%で前回35.9%より6ポイント上がり、再び不支持が支持を上回った。

   下げの主な要因は、やはりマイナンバーカードにあるようだ。世論調査では、マイナンバーカードについて、「他人の年金情報が表示されたり、他人の口座や医療情報が登録されたりするトラブルが相次いでいます。あなたは、政府が進めるマイナンバーカードの活用拡大に不安を感じていますか」と問いに、「不安を感じている」39.8%、「ある程度感じる」31.8%と、計71.6%が不安に感じるていることが分かった。

   そもそも論ではあるが、マイナンバーカードは市区町村長が交付するもので、取得は義務ではなく任意である。なのに、健康保険証を来年秋に廃止して、マイナンバーカードに一本化するなど本末転倒ではないかとの強い違和感が世論調査で浮かんで見える。

   ところが、デジタル庁は2026年中にも偽造防止のため、暗号技術などを採用する新たなマイナンバーカードの導入を目指す方針を示していて、改正マイナンバー法を今月2日の参院本会議で可決成立させている。民意とは裏腹に、岸田総理がマイナンバーカードの普及をゴリ押しする背景には、これを「デジタル社会のパスポート」と位置づける狙いがあるようだ。

   であるならば、国民にもっと丁寧に説明すべきだろう。世論調査では健康保険証の廃止について、「廃止を延期するべき」38.3%、「廃止を撤回するべき」33.8%、「予定通り廃止するべき」24.5%と、来年秋の廃止に対する異論は72.1%にも及ぶ。マイナンバーカードのゴリ押しで、内閣支持率がガタ落ち。こうなると衆院解散の話どころではない。どうする岸田内閣。

(※写真は今月18日、母校の早稲田大学で講演する岸田総理=総理官邸公式サイトより)

⇒20日(火)夕・金沢の天気    はれ

☆アワビが絶滅危惧種に どうする舳倉の海女さん

☆アワビが絶滅危惧種に どうする舳倉の海女さん

   能登半島の舳倉島の沖合250㌔に北朝鮮が弾道ミサイルを落下させたことをきっかけに、記者時代に取材に訪れたこの島のことを再認識する意味で書き綴っている。ブログをチェックしてくれた東京の知人から、「この島で大伴家持の時代からアワビが採れていて、いまでも海女さんたちがアワビ漁を続けているということは、まさにSDGs=持続可能な海の資源ではないか。でも、それがどうして可能なんだ」と、メールで感想と問い合わせがあった。

   確かに周囲5㌔ほどの小さな島で、大伴家持が能登を訪れてアワビのことを詠ってから1270年余りの間、連綿とアワビ漁が続いている。素潜りなので、一番深いところ18㍍ほどと採取エリアが限られている。そして、海女さんたちは自主的に厳しいルールをつくっている。アワビの貝殻の大きさ10㌢以下のものは採らない。漁期は7月1日から9月30日までの3ヵ月。海に潜る時間は午前9時から午後1時までの4時間と制限している。さらに、休漁日は一斉に休む。こうしたルールを互いに守ることで、持続的なアワビ採りの恩恵にあずかっている。

   しかし、漁獲量は減少している。昭和59年(1984)の漁獲量39㌧をピークに右肩下がりで減少し、近年では2㌧ほどと20分の1に減少している。このため、島に禁漁区を設け、種苗の放流、アワビを捕食するタコやヒトデなどの外敵生物の駆除作業などを行っている。この傾向は舳倉島だけでなく、世界のアワビを襲っている。

   野生生物の絶滅のリスクなどを評価しているIUCN(国際自然保護連合、本部=スイス・グラン)は去年12月10日、世界に54種あるアワビのうち、日本で採取されている3種(クロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビ)を含め20種について、「絶滅の危機が高まっている」として新たにレッドリストの絶滅危惧種に指定した(IUCN公式サイト)。

   アワビは日本だけでなく世界でも高級食材であり、南アフリカでは犯罪ネットワークによる密猟で壊滅的な打撃を受けている。さらに、「海洋熱波」によりアワビがエサとしている藻類が減り、西オーストラリア州の最北端では大量死。また、農業および産業廃棄物が有害な藻類の繁殖を引き起こしていて、カリフォルニアとメキシコ、イギリス海峡から北西アフリカと地中海にかけてはアワビの病弱化が報告されている。このアワビ激減の対応策として、IUCN研究員は「養殖または持続可能な方法で調達されたアワビだけを食べること。そして、漁業割当と密猟対策の実施も重要」と述べている(同)。

   舳倉島でもクロ、マダカ、メガイの3種のアワビが採れている。今回のIUCNによるレッドリスト化によって、海女さんたちはさらにどのような取り組みを進めるのか。海の生態系から得られる恵みを肌で感じている海女さんたちがこの難題をどう乗り越えるのか、国際的にも注目されるときが来たのではないだろうか。アワビ漁は来月1日に解禁となる。

⇒19日(月)夜・金沢の天気    くもり

★舳倉の海女を「日本のヴィーナス」と記したイタリア人学者

★舳倉の海女を「日本のヴィーナス」と記したイタリア人学者

   前回の続き。舳倉の海女さんは魚介類を専門とするプロの漁業者だ。アワビやサザエのほか、ワカメ、イシモズク、エゴノリなどの海藻、イワガキやナマコなど25種類もの魚介類を採取している。アワビは貝殻つきで浜値で1㌔1万円ほどする。よく働き、よく稼ぐ。新聞記者時代に取材に訪れたとき、海女さんたちから「亭主の一人や二人養えんようでは一人前の海女ではない」という言葉を何度か聞いた。自活する気概のある女性たちの自信にあふれた言葉だった。

   いまから、69年前の1954年にイタリアの文化人類学者で写真家もあった、フォスコ・マライーニ(1912-2004)という人物が舳倉島にやってきた。島で見たこと、聞いたことを、自ら撮影した記録映像でまとめ、本も出した。日本語版は『海女の島 舳倉島』(未来社、初版1964年)として出版されている。   

   日本語版の本を読むと、マライーニは海女さんたちのことを「日本のヴィーナスたち」と表現している。自身はヴィーナスと言えば、フランスのルーブル美術館にある「ミロのヴィーナス」をイメ-ジしていた。なので、マライーニのこの本を読んでからもずっと、海女さんをミロのヴィーナスに例えたのだと勝手に想像していた。

   それが変わったのは、今から17年前の2006年にイタリアのフィレンツェを金沢大学のスタッフとともに訪れたときだった。美術館めぐりなどを行い、ウフィツィ美術館を鑑賞に訪れたとき、アッと気がついた。ボッティチェリの作品「ヴィーナスの誕生」(1483年作)が展示されていた。作品はホタテの貝殻から生まれた、まさに海のヴィーナスだった。マライーニはフィレンツェで生まれで、フィレンツェ大学で教鞭をとっていたので、小さいころからこのボッティチェィリの作品を見ていたはずだ。ということは、彼のヴィーナスのイメージはこの海のヴィーナスなのだと初めて気がついた。   

   マライーニの頭の中には、ヴィーナスと言えば、海のイメージがあった。そこで、海に生きる日本の海女さんたちにとても興味を持った。そう考えると、本当の海のヴィーナスを見てみたいと、イタリアから舳倉にやってきた理由がようやく分かった。漁村に生まれ、海に生きる女性たち、マライーニはメージしていた本当のヴィーナスたちに会いたかったのだろう。舳倉を取材に訪れた彼の憧れ、好奇心、執念、学術意欲というものを感じたのだった。

⇒18日(日)午前・金沢の天気   くもり

☆「海女の島」舳倉 その歴史とアワビの価値

☆「海女の島」舳倉 その歴史とアワビの価値

   前回ブログで能登半島の輪島市から49㌔沖にある舳倉島(へぐらじま)の北北西250㌔に北朝鮮の弾道ミサイル2発が落下したことについて述べた。その続き。ミサイル落下をニュースで知って一番驚いたのは、舳倉島の海女さんたちではないだろうか。周囲5㌔ほどの小さな島ではあるもの、アワビが採れる島で「海女の島」として知られる。

   舳倉島にはアワビの長い歴史がある。万葉の歌人・大伴家持が越中国司として748年、能登を巡行している。島に渡ってはいないが、輪島で詠んだ歌がある。「沖つ島 い行き渡りて潜くちふ あわび珠もが包みて遣やらむ」。沖にある舳倉島に渡って潜り、アワビの真珠を都の妻に送ってやりたい、との意味だろう。この和歌から分かることは、少なくとも1270年余り前の昔からこの島ではアワビ漁が連綿と続いるということだ。

   輪島市や舳倉島を拠点に現在でも200人ほどの海女さんたちがいる。ウエットスーツ、水中眼鏡、足ひれを着用して、素潜り。アワビ漁の解禁は来月1日からなので、いまの時期は体調の整えなどで緊張するころだ。島から250㌔離れたところでのミサイル落下とは言え、緊張はさらに高まっただろう。

   今から38年も前の話になるが、新聞記者時代に舳倉の海女さんたちを年間を通して取材したことがある。深く潜る海女さんたちは「ジョウアマ」あるいは「オオアマ」と呼ばれていた。18㍍の水深を重りを身に付けて潜る。これだけ深く潜ると自力で浮上できない。そこで、海女さんの夫が船上で、命綱から引きの合図があるのを待って、海女の命綱を引き上げる。こうして夫婦2人でアワビ漁をすることを「夫婦船(めおとぶね)」と呼んでいた。信頼できる夫婦関係だからできる漁なのだ。

   海女さんから怖い話も聞いた。アワビが大好物なのは人間だけではない。ウミガメも好物なのだ。海女さんが採ったアワビをめがけてウミガメが食らいついてくることがある。そんなときは、アワビを捨てて逃げるのだそうだ。アワビが分厚い殻で岩にへばりつくのも、大敵ウミガメから身を守ることだったのだとこのとき知った。

   舳倉島でのルポルタージュは新聞で連載(分担執筆)され、その後『能登 舳倉の海びと』(北國新聞社)のタイトルで出版された。記者時代の思い出の地でもあるこの島や周囲に弾道ミサイルを落とさせてなるものか。そのような想いを込めている。

⇒17日(土)夜・金沢の天気    はれ

★北朝鮮の弾道ミサイル またEEZ内に落下

★北朝鮮の弾道ミサイル またEEZ内に落下

☆相次ぐ銃の事件 乱世に突入したのか

☆相次ぐ銃の事件 乱世に突入したのか

   また銃の事件が発生した。メディア各社の報道によると、岐阜市にある陸上自衛隊の日野基本射撃場できょう14日、18歳の自衛官候補生の男が自動小銃を隊員3人に向けて発砲し、2人が死亡した。岐阜県警は発砲した男を逮捕した。

   先月26日、長野県中野市で、迷彩服に身を包み猟銃を持って警察官と女性合わせて4人を次々に襲撃した青木政憲容疑者31歳が12時間、自宅に立てこもった後に逮捕された。女性2人はサバイバルナイフで刺されて死亡、110番を受けて駆け付けた警察官2人は銃撃を受けて亡くなった。青木容疑者は4丁の散弾銃の所有許可を持っていた。

   去年7月8日、奈良市で街頭演説中の安倍元総理を手製の銃で撃って殺害したとして、同市に住む山上徹也容疑者41歳が殺人と銃刀法違反の罪で逮捕された。2005年まで3年間、海上自衛隊の広島県呉地区の部隊で勤務していた。今後、裁判員裁判で審理されることになるが、殺害の動機とされるのが、母親が世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)へ高額な献金をしたことから家庭が崩壊し、恨みを募らせたことが事件の発端とされる。安倍氏は祖父・岸信介の代から三代にわたって旧統一教会と深いつながりがあり、山上被告は安倍氏にも恨みを抱いていたとされる。   

   銃の事件でまぶたに焼き付いているのは「あさま山荘事件」だ。1972年2月28日、連合赤軍が人質をとって立てこもっていた現場に警察機動隊が救出のために強行突入した。酷寒の山地での機動隊と犯人との銃撃の攻防、血まみれで搬送される隊員、クレーン車に吊った鉄球で山荘を破壊するなど衝撃的なシーンがテレビで生中継された。当時、自身は高校生でテレビにくぎ付けになって視聴した。去年1月に長野県南軽井沢の現場を見に行った。立てこもった山荘はまだ残っていて、当時テレビで視た記憶が鮮明に浮かんできた。

   拳銃が禁止されている日本では、銃による暴力事件は稀なケースとされてきた。ところが、こうした銃の乱射や、「ルフィ」の一味による連続強盗や詐欺事件など世の中の乱れが目に余る。そして、隣国のさまざまなリスク・ファクターが集中する日本。乱世という時代にこのまま突入するのだろうか。

⇒14日(水)夜・金沢の天気    くもり

★福井県立大に「恐竜学部」 地域に寄り添う新学部が続々

★福井県立大に「恐竜学部」 地域に寄り添う新学部が続々

   地域と大学が連携する「地域創生」「地域活性化」にはいろいろなパンターンがある。平成19年(2007)に学校教育法が改正され、大学にはそれまでの「教育」「研究」に加え、「社会貢献」という新たな使命が付加された。教育と研究の成果や人材を地域社会に活かすことが必須となった。各大学では社会貢献室や地域連携センターといった名称の担当セクションも設けられている。

   文科省ではこれまで地域のニーズに応じた人材養成として「地域再生人材創出拠点の形成」事業や「地(知)の拠点整備(COC)」事業を実施してきた。COCは「Center of Community」のこと。大学が自治体とタイアップして、全学的に地域を志向した教育・研究・社会貢献を進めることで、人材や情報・技術を集め、地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能強化を図ることを目指している。

   そして最近目につくのが、地域のニーズに応じた新しい学部や学科の創設だ。北陸エリアで言えば、金沢大学は2022年度に観光デザイン学類を設置した。「観光価値をデザインするための多面的な最新の知見」「未来課題を理解し、ひと・もの・ことに関する多様な情報を収集・分析する力」「課題解決や社会展開に向けて論理的に考える力」などを学び、グローバル人材を育成する(金沢大学公式サイト)。兼六園や武家屋敷、金沢21世紀美術館といった多彩な文化資源を有する金沢や加賀、能登での学びを通じて国際的に通用する観光人材を育てるのが狙いだ。

   さらにマニアックのなのが、福井県立大学が2025年4月の開設をめざす「恐竜学部」(仮称)だ。日本有数の恐竜化石の発掘地として知られる勝山市にある県立恐竜博物館の隣接地に学部棟を整備する。恐竜学や地質・古気候学などを学ぶ全国初の学部となる。(※写真は、福井県立大学ブックレット「福井恐竜学」) 

   学生たちが学ぶのは発掘や地質調査だけではない。ある意味でデジタル技術だ。脊椎動物を発掘する古生物学や考古学の最近の先端的な研究は、CTスキャンを駆使して掘らなくても発掘する技術開発の時代に入っている。つまり、デジタル科学の研究でもあるのだ。

   地域の特色を活かした大学の研究と教育は社会貢献と直結する。さらに、研究成果が国際的な発信力を持てばグローバル・スタンダードとして注目を集める。

⇒13日(火)午後・金沢の天気    はれ時々くもり  

☆梅雨入り晴耕雨読とりとめのない日常

☆梅雨入り晴耕雨読とりとめのない日常

          北陸も梅雨に入り、金沢のきょう一日の天気はどんよりとした曇り空、そして雨が時折ぱらついた。この時節は、二十四節気の一つ「芒種(ぼうしゅ)」のころ。次候に「腐草蛍と為る」とある。ホタルが明かりをともして、飛び交うころだ。昔の人は、腐った草がホタルに生まれ変わると信じていたようっだ。

   光っては消えるゲンジボタルの明滅の間隔が東日本と西日本では違うことは知られている。西日本では2秒に1回、東日本では4秒に1回と観測されている。オスが交尾相手を探す際に見せる明滅なのだが、なぜ東西で間隔が異なるのかよく分かっていない。では、西日本と東日本と中間にある金沢ではどうか。以前、同じ関心を持った仲間たちと金沢大学の角間キャンパスで計測したことがある。すると、おおむね2秒間隔だった。金沢は西日本の生態系ということになる。

   話は変わる。夏を迎え、我が家の和室も障子戸を外して簾(すだれ)に架け替えた。床の間の掛け軸も『五月晴れ』から『青山緑水』に取り換えた=写真=。山の木々は青々と輝き、山から流れ出る川水に緑が映える。生命力あふれる自然の情景を感じさせる。

   禅語辞典をくってみると『青山緑水是我家』という書もある。各地を行脚して歩く禅の修行僧の境涯を表現したもの。自然界では人の奢り高ぶった気持ちは通用しない。自然を我家として修行に励むことで、人は全ての生き物と同じように大自然の中に生かされているということを改め感じ、悟りをひらく。

   掛け軸の下の花入には、庭に咲いていた額アジサイ、ツキヌキニンドウ、シマササの3種を生けた。草むしりなど野外の作業はせずに、取り留めなくのんびりと過ごした晴耕雨読の日だった。ただ、能登半島の尖端区域は先月5日の震度6強の地震で地盤が緩んでいる恐れがある。大雨にならないことを祈る。

⇒12日(月)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

★「負けとられん珠洲」 円相の熱いメッセージ

★「負けとられん珠洲」 円相の熱いメッセージ

   「負けとられん 珠洲!!」。5月5日に震度6強の揺れに見舞われた能登半島の尖端・珠洲市の知人から、メールで写真が送られてきた。ことし9月に同市で開催される「奥能登国際芸術祭2023」の企画発表会がきのう(10日)、多目的ホール「ラポルトすず」であり、作品紹介と同時に震災復興をアピールするロゴマークが公開された。それが、「負けとられん 珠洲!!」のキャッチコピーの作品=写真=という。「負けとられん」は能登の方言で、「負けてたまるか」の意味だ。

   今回の震災で同市では1人が亡くなり、30人余りが負傷、全壊28棟、半壊103棟、一部損壊564棟(5月30日時点・石川県調べ)など甚大な被害を被った。知人は発表会に参加していて、メールでロゴの制作者のことも述べていた。考案したのは金沢美術工芸大学の研究生の男性で22歳。実家が珠洲市で最も被害が大きかった正院町にあり、自宅の裏山が崩れて祖母が負傷したのだという。

   別の背景もメールに書かれてあった。奥能登国際芸術祭には毎回、金沢美大の学生チームが市内の古民家で作品を発表していたが、震災で作品制作を予定していた民家が使えなくなり、今回は出展を断念したということだった。そこで、奥能登国際芸術祭を主催する市側は、断念した金沢美大の学生チームに地震からの復興のロゴマークの制作を依頼した。学生チームには研究生も加わっていて、身内の負傷と出展断念の2重の痛手を乗り越えて、このロゴの制作に携わったようだ。

   送られてきたロゴの写真を視ると、文字を取り巻く「円」が印象的だ。しかも、下から「円」が力強く描かれて、下で切れている。いわゆる「円相」だ。中国・唐代の禅僧である盤山宝積の漢詩である「心月孤円光呑万象」(心月  孤円にして、光 万象を呑む)をイメージして描いたのが円相と言われる。円は欠けることのない無限の可能性を表現する。そう解釈すると、被災者である市民が心を一つにして、災害を乗り越えようという、力強いメッセージのようにも読める。

   3回目となる奥能登国際芸術祭は当初の開催予定より3週間遅れて9月23日から11月12日まで開かれ、14の国・地域から59組のアーティストが参加する。実行委員長である泉谷満寿裕市長が発表会で、「国際芸術祭が珠洲の復興に向けた光になればと思う」とあいさつしたとメールで書き添えられていた。市長のあいさつからも、「負けとられん珠洲」の熱いメッセージが伝わってくる。

⇒11日(日)夜・金沢の天気   くもり