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☆トランプ「常軌逸している」世論調査57% ついに矛先を乗用車めぐり日本に

☆トランプ「常軌逸している」世論調査57% ついに矛先を乗用車めぐり日本に

「トランプ大統領の経済刷新に向けた行動はあまりにも常軌を逸してる」。ロイター通信Web版(13日付)によると、 ロイター社が世論調査会社と共同で行ったアメリカでの調査(3月11、12日・回答1422人)で、トランプ大統領の関税政策が貿易戦争を引き起こしていることについて、「being too erratic(あまりにも常軌を逸している)」との回答が57%に及んでいることが分かった=写真=。「そこまで常軌を逸していない」は32%、「分からない」あるいは無回答が11%だった。
 
調査では、共和党支持者も3人に1人がトランプ氏の行動が「あまりにも常軌を逸している」と回答した。同時に、トランプ氏の行動が「長期的には報われる」という意見に賛成するとの回答は、共和党支持者では79%に上った。政権運営の手法には好感が持てないが、政策の本質に賛同する共和党支持者が一定数いることを示唆していると伝えている(同)。
 
そのトランプ氏の貿易戦争の矛先がいよいよ日本に向けられてきた。メディア各社の報道(14日付)によると、トランプ氏は12日、ホワイトハウスで記者団に対し、アメリカにおける大量の輸入車について日本を「最大の輸入元の国の一つ」と名指し、「日本にはアメリカ車がない」「日本はアメリカ車を受け入れない」と不満を示した。アメリカ政府は4月2日をめどに25%程度の自動車関税の詳細を発表する方針で、日本政府は日系メーカーの対米直接投資の実績を訴えて関税の除外を求めているが、日米間の溝があらためて浮き彫りとなった(14日付・北陸中日新聞)。
 
日本は2024年、アメリカに137万台の自動車を輸出し、対米輸出総額は全体の3割を占める6兆円に上った。一方、日本はアメリカからEVの「テスラ」や「ジープ」などを輸入しているが、その台数は日本が輸出する台数の100分の1ほどにとどまるとされる。トランプ氏はここをやり玉に挙げて、現在乗用車に課している2.5%の関税を10倍にすると述べたのだ。日本は1978年以降、輸入車に対する関税を課していない。

乗用車の輸出入についてはトランプ氏の恨みは根深い。日経新聞電子版(2月20日付)によると、大統領1期目で「(日本は)日本市場でアメリカ車を売れないようにしている」として非関税障壁をやり玉にあげていた。輸入時の認証や安全、軽自動車への税優遇、環境を巡る規制が厳しいことなどが念頭にあるとみられる。アメリカ通商代表部(USTR)は2024年の報告書でも「アメリカの安全基準認証が日本の基準と同レベルであると認められていない」と車に関する障壁の指摘を続けている。

同じ輸入車でもドイツ車は日本市場で快走する。日本政府や自動車業界の関係者は「不公正な障壁はなく、日本の道路事情や消費者に合わせた商品づくりの問題」と反論してきた。通商の世界で車の非関税障壁を巡る日米のやり取りは、古くから続く論争でもある(同)。これからさらに、トランプ氏の「being too erratic」発言が続くのか。

⇒14日(金)午後・金沢の天気    はれ

★黄砂の季節到来 病魔もたらす言い伝え、海には恵みも

★黄砂の季節到来 病魔もたらす言い伝え、海には恵みも

この時季、花粉と並んで注意が必要なのは黄砂だ。気象庁の「黄砂解析予測図」によると、きょう13日午後9時ごろには北陸地方がすっぽりと覆われる=図=。黄砂が飛来すると、外の洗濯物や車が汚れたりするほか、呼吸系の疾患の原因にもなり、かなり厄介だ。

黄砂は中国大陸奥地のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠で舞い上がった砂ぼこりが偏西風に乗って日本に飛んでくる。黄砂そのものはアレルギー物質になりにくいとされているが、大陸の上空で黄砂に付着した微生物や大気汚染物質がアレルギーの原因となり、鼻炎など引き起こすとされる。また、黄砂の粒子が鼻や口から体の奥の方まで入り、気管支喘息を起こす人もいる。

黄砂の厄介さは今に始まったことではない。北陸は偏西風に乗ってやって来る黄砂のルートにもなっていて、金沢では古(いにしえ)より黄砂を忌み嫌ってきた。加賀藩主の御膳所を代々勤めた金沢の老舗料亭では七草粥をつくる際に、調理場の七つ道具で音を立てて病魔を払う春の行事がある。そのときの料理人の口上が、「ナンナン、七草、なずな、唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先にかち合せてボートボト」。旧暦正月6日の晩から7日の朝にかけて唐の国(中国)から海を渡って、悪い病気の種をまき散らす鳥が日本に飛んで来る、渡って来る前にやっつけて撃ち落とせ、という意味のようだ。以前、この七草粥の行事を見学させてもらったとき、料亭の主人から聞いた話だと、「平安時代から伝わる古い行事とされる」とのことだった。(※写真は、黄砂に覆われた金沢市内の中心部=2023年4月12日撮影)

厄介もの扱いの黄砂だが、日本海に恵みをもたらすともいわれている。大量の黄砂が日本海に注ぐ3月と4月には、「ブルーミング」と呼ばれる、海の表面が白くなるほど植物プランクトンが大発生する。黄砂の成分といえるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促される。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという海の食物連鎖があるとの研究がある。

確かに地球規模から見れば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜクジラやサメ、ブリ、サバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に獲れるのか、いろいろ要因もあるが、黄砂もその役割を担っているのかもしれない。

⇒13日(木)午前・金沢の天気     はれ

☆金沢の春支度の風物詩 雪吊り「ほどき」の作業始まる

☆金沢の春支度の風物詩 雪吊り「ほどき」の作業始まる

けさは朝から日差しもあり、日中の気温は16度まで上がるとの予報だ。金沢もようやく春らしい陽気に恵まれそうだ。きのうJR金沢駅付近の車で走っていると、冬の間、雪の重みで樹木の枝が折れないよう縄で木を補強する「雪吊り」の取り外し作業が行われていた。雪吊りは冬支度、雪吊り外しは春支度をする金沢の風物詩でもある。

金沢駅東口前の大通りではクロマツの並木で作業が行われていた。その様子をしばらく見学させてもらった。「多変ですね」と声をかけると、作業をする造園業の職人さんは「(縄を)結ぶより解(ほど)く方がずっと楽だよ」と答えてくれた。業界では雪吊り作業を「結ぶ」、雪吊り外しを「解く」と称しているようだ。結ぶ作業は、木の横にモウソウ竹の芯(しん)柱を立て、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。解く作業は、枝に結んだ縄の部分をハサミで切って取り除く=写真=。低い場所の縄の結びは地面から切り落とし、高い枝の縄の結びはハシゴを登り切り落とす。最後に竹の柱を外す。

作業の職人さんと話していると、通りがかったインバウンド観光の人たちが寄ってきて、盛んにカメラのシャッターを押していた。オーストラリアの女性から「まるでアートですね。でもなぜ、このようなことを木に施すのですか」と、同行の通訳を介して尋ねられた職人さんは「冬の間、金沢の雪は湿っていてとても重い。なのでサポートしないと枝が折れる。もう春なので(縄を)外している」と説明した。すると、女性は「Japanese people are kind to trees」と感心した様子だった。

作業が行われていたのは高さ5㍍ほどのクロマツだったが、あの兼六園で随一の枝ぶりを誇る唐崎松には5本の芯柱が立てられ、結ぶ縄の数は800本にも及ぶそうだ。ちなみに、兼六園管理事務所に問い合わせると、あさって14日から兼六園では雪吊りを外す作業が始まり、今月21日の最終日に唐崎松での作業が行われる。

⇒12日(水)午前・金沢天気   くもり時々はれ

★「3・11」あれから14年 目に焼け付くあの光景、心に刻む畠山重篤氏の言葉

★「3・11」あれから14年 目に焼け付くあの光景、心に刻む畠山重篤氏の言葉

  「3・11」の東日本大震災はきょうで発生から14年を迎えた。2011年3月11日午後2時46分、いまもその時のことは鮮明に覚えている。金沢大学の公開講座で社会人を対象に講義をしていた。すると、事務室で震災の様子をテレビを見た主任教授が血相を変えて講義室に駆け込んできた。そして耳打ちしてくれた。「東北が地震と津波で大変なことになっている」と。金沢では揺れを感じなかったが、受講生にはそのまま伝えた。講義室は一瞬ざわめいたが、講義はそのまま続けた。それ以降、被災地をこの目で確認したいとの思いが募った。

   2ヵ月後の5月11日に気仙沼市を訪れた。当時、気仙沼の街には海水の饐(す)えたような、腐海の匂いが立ち込めていた。ガレキは路肩に整理されていたので歩くことはできた。岸壁付近では、津波で陸に打ち上げられた大型巻き網漁船(330㌧)があった=写真=。津波のすさまじさを思い知らされた。気仙沼市を訪れたのは、NPO法人「森は海の恋人」代表の畠山重篤氏に有志から集めたお見舞いを届ける目的もあった。ただ、アポイントは取っていなかった。昼過ぎにご自宅を訪れると、家人から本人はすれ違いで東京に向かったとのことだった。そこで、翌日12日に東京・八重洲で畠山氏と会うことができた。

  畠山氏と知り合いになったきっかけは、前年の2010年8月に金沢大学の社会人人材育成事業「能登里山マイスター養成プログラム」で講義をいただいたことだった。畠山氏らカキ養殖業者が気仙沼湾に注ぐ大川の上流の山で植林活動を1989年から20年余り続け、5万本の広葉樹(40種類)を植えた。同湾の赤潮でカキの身が赤くなったのがきっかけに、畠山氏の提唱で山に大漁旗を掲げ、漁師たちが植林する「森は海の恋人」運動は全国で知られる活動となった。

  畠山氏は地震当時のことを語ってくれた。自宅は湾の中の海抜20㍍ほどの高台にあるが、自宅すぐ近くまで津波は押し寄せた。「津波は海底から水面までが全部動く」と。養殖のカキ棚などは全壊した。高校2年生の時にチリ地震の津波(1960年5月24日)を経験していて、当初は「チリ地震津波くらいのものが来るのかな」と感じていた。チリ地震津波がきっかけで高さ3㍍ほどの防潮堤を造るなど津波対策は施されたが、ところが東日本大震災の津波はチリ地震津波をはるかに超えるものだった。

  同じ年の9月2日に能登で開催したシンポジウムの基調講演を畠山氏にお願いした。テーマは、人は自然災害とどのように向き合っていけばよいのか。その中で、前日泊まったに輪島の海辺のホテルでの話が出た。窓を開けるとオーシャンビューだったが、正直これは危ないと思った。4階以下だったら、山手の民宿に移動しようかと考えたが、幸い8階と聞き安心した。温泉には浸かったが、安眠はできなかった。「あの津波の恐怖がまだ体に染み込んでいる」と語っておられたのが印象的だった。

⇒11日(火)午前・金沢の天気    くもり

☆トランプ政権の第二幕、いよいよ内輪もめのステージに

☆トランプ政権の第二幕、いよいよ内輪もめのステージに

  アメリカのトランプ大統領の発言が連日のように波紋を投げかけている。韓国メディア(10日付・中央日報Web版日本語)によると、トランプ氏は7日、ホワイトハウスでの記者との会見で、「われわれは半導体事業を失い、台湾がそれを盗んでいった。(半導体事業は)ほぼ全面的に台湾にある。若干は韓国にあるがほとんどが台湾にある」と話した。今月3日に台湾の半導体メーカー「TSMC」が1000億㌦(14兆8000億円)規模の対米投資計画を発表しており、トランプ氏の発言にはTSMCに対し、発表した投資計画を縮小するなという警告の意味が込められているのではないか、との分析がされている。

      経済外交には手厳しい一方で、トランプ政権内での内輪もめも表面化している。9日付の日経新聞Web版は、実業家イーロン・マスク氏と閣僚の亀裂が表面化し始めたと、ニューヨーク・タイムズの記事を引用して伝えている。以下。マスク氏とルビオ国務長官らが6日の閣議で言い争った閣議は非公開だったが、同紙は当日の様子を知る5人の関係者から聞き取った。政府の効率化省(DOGE)を率いるマスク氏が「(国務省は)誰も解雇していない」とやゆすると、ルビオ氏は「真実を語っていない」と反論した。早期退職制度を使い国務省職員が1500人以上退職したと説明したうえで「あなたは解雇(の実績)をアピールするため、一度退職した職員を再び採用したいのか」とマスク氏に言い返した。(※写真は、「AMERICA  IS  BACK」をキャッチフレーズにするトランプ政権=ホワイトハウス公式サイトより)

  しばらく口論が続いた後にトランプ氏が口をはさみ「ルビオ氏は素晴らしい仕事をしている」とかばった。国務長官は外国訪問などで多忙であり、皆が協力し合う必要があると促した。ダフィー運輸長官もDOGEが飛行機の安全な飛行に欠かせない航空管制官を解雇しようとしたと不満をぶちまけた。マスク氏が「うそだ。名前を言え」と迫ると、ダフィー氏は「自分が(解雇を)阻止したから名前はない」と切り返した。

  閣僚は政府の無駄の排除や支出の見直しに賛成しているものの。頭越しで物事を進めるマスク氏にいらだちを募らせているとみられる。各省庁で働く職員の不満が抑えきれない水準に達している可能性もある。トランプ氏は閣議の場で各省庁の責任者はあくまで閣僚であり「マスク氏は勧告のみ」だとする立場を明確にした。自身のSNSで今後の人員削減は「斧(おの)ではなくメスを使う」と宣言した。同時に「DOGEは信じられない成功を収めている」と持ち上げ、「イーロンや他の人と会議をしたが、とてもポジティブだった」と加えた。多額の選挙資金で支援してくれたマスク氏と、閣僚らとの間で調整に腐心するトランプ氏の様子がうかがえる(9日付・日経新聞Web版)。

  上記の「斧ではなくメスを使う」の意味は、マスク氏が執る無差別で大胆な解雇方式ではなく、患部に狙い定めて切り込むような人員削減方式をトランプ氏は説いたのだろうか。それにしも、この内輪もめはトランプ政権のゼレンスキー氏との口論に続き、バトルの第二幕としてしこりを残していくのか。

⇒10日(月)午後・金沢の天気    はれ  

★観光列車「花嫁のれん」運行再開 当面は団体ツアー専用も能登の観光復興に弾み

★観光列車「花嫁のれん」運行再開 当面は団体ツアー専用も能登の観光復興に弾み

  「花嫁のれん」という、かつての加賀藩独特の婚礼行事がいまも能登半島の七尾市に伝わっている。花嫁が持参したのれんを嫁ぎ先の家の仏間の入り口に掛けてくぐる。花嫁のれんをくぐることで、嫁ぎ先の家族一員となる証(あかし)とされる。この風習が全国的に知られるようになったのはフジテレビ番組で嫁と姑の確執を描いたドラマ『花嫁のれん』(2011年)だった。JR西日本では2015年3月の北陸新幹線金沢開業をきっかけにJR七尾線の金沢駅から和倉温泉駅の区間で観光列車「花嫁のれん」を走らせた。土日を中心に1日2往復、全車指定席の特急列車。列車に描かれているのは輪島塗や加賀友禅の花鳥風月をイメージした模様だ=写真、JR公式サイト「JRおでかけネット」より=。

  その観光列車「花嫁のれん」は去年元旦の能登半島地震で運行を見合わせた。JR西日本は七尾線の線路の復旧作業などを終えて2月15日から列車の運行を再開したものの、「花嫁のれん」の運行休止は続いていた。和倉温泉の旅館やホテルが震災で損傷し、ほとんどが休館となっていたからだ。その観光列車「花嫁のれん」が今月7日、1年3ヵ月ぶりに運行を再開した。JR公式サイト「JRおでかけネット」によると、貸切乗車ツアーなどの団体専用臨時列車としての運転再開で、7日は日本旅行による関西発の旅行ツアー、8日はJR東日本による東京・上野発の団体ツアーとある。

  地元メディア各社の報道によると、運行再開の初日はツアー客50人余りが午前11時に金沢駅を出発し、午後0時半ごろに和倉温泉駅に到着。 駅構内では運転再開の祝いの太鼓が鳴り響く中、観光協会や旅館組合の関係者らが出迎えた。ツアー客は駅ホームに掛けられた花嫁のれんをくぐり、駅前で待機していた観光バスに乗り込んだ。JR西日本によると、観光列車「花嫁のれん」は当面の間は団体専用の貸切列車としての運行となるが、 今後は一般客利用についても検討していくという。

  地元和倉温泉では組合加盟旅館21軒のうち一般客を受け入れているのはまだ4軒だが、老舗旅館「加賀屋」は来年2026年中に本館ならびにグループ旅館合わせて4軒の営業再開を目指している(12月25日付・日経新聞Web版)。「花嫁のれん」の運行再開が、能登の観光産業の復興の弾みとなることに期待したい。

⇒9日(日)午後・金沢の天気     はれ

☆能登半島の最先端「狼煙の灯台」も被災 観光復興の手立てにならないか

☆能登半島の最先端「狼煙の灯台」も被災 観光復興の手立てにならないか

   能登半島をこれまで何度もめぐって一番印象に残るスポットと言えば、半島の最先端にある「禄剛崎(ろっこうさき)灯台」だろうか。海抜48㍍の断崖絶壁の岬にあり、海から上る朝日と海に沈む夕日が同じ場所から眺めることができることでも知られる。さらに、海越しに見える立山連峰は絶景で、佐渡島も見渡せる。灯台とその周囲の風景を眺めていると「さいはて」感が込み上げてくるような、そんな思いにかられる。能登の人たちは、灯台がある地名(珠洲市狼煙町)から「狼煙(のろし)の灯台」と呼んでいる。

  こうした日中の灯台の風景とは別に、夜は岬の尖端から日本海を照らし、漁船や海運船舶の航海の安全を支えてきた。その要(かなめ)となる灯台のレンズが去年元日の能登半島地震で一部が損傷した。地元メディアの報道によると、レンズの上部の3分の1ほどのガラスが落下した。このため、光が届く距離が短くなった。観光パンフレットなどによると、レンズは明治16年(1883)の灯台完成時から使われていたフランス製の大型レンズ(高さ2.4㍍、直径1.4㍍)で、18カイリ(33㌔)先までを照らしていた。(※写真は、能登半島の最先端に位置する禄剛崎灯台=2021年9月撮影)

  レンズが損傷したことから、日本海を管轄する第9管区海上保安本部ではLED照明に切り替えている。これまでのレンズは珠洲市に譲渡された。同市では災害の教訓を将来に伝える「震災遺構」として展示を考えているようだ。

  何度か聞いた地元に伝わる話。そもそも狼煙という地名は、この岬の周辺には暗礁が多く、北前船の時代から船の座礁を防ぐために警戒を呼びかける「狼煙」を上げていたことが地名の由来だそうだ。140年余りの歴史を持つ灯台レンズそのものが歴史遺産ではないだろうか。さいはての「狼煙の灯台」とセットに、観光復興のシンボルにする手立てはないだろうか。

⇒8日(土)午後・金沢の天気   くもり時々はれ

★一縷の望み託すゼレンスキー、世論調査で高評価、これは「トランプ効果」なのか

★一縷の望み託すゼレンスキー、世論調査で高評価、これは「トランプ効果」なのか

  これは「トランプ効果」なのか。きょう6日の外国為替市場で対ドルの円相場が一時1㌦が147円台に上昇した。2024年10月上旬以来で、5ヵ月ぶりの円高・ドル安水準をつけた。日銀の追加利上げ観測が高まっていて、日米金利差の縮小を見込んだ円買いが加速したようだ。トランプ大統領は3日にカナダとメキシコに対して25%の関税を予定通り発動すると述べた会見で日本の為替についても言及し、「日本の指導者に電話して『自国通貨の切り下げを続けてはならない』と伝えた」と話していた。現在の円安・ドル高に非常に懸念を抱いていて、「われわれは関税で埋め合わせをする」と意味深なことを発言していた。トランプ発言があった日の終値は1㌦=149円台だったが、その後徐々に円高にぶれていた。

  世論調査にもトランプ効果が見える。あの施政方針演説は、辛口で言えば「自画自賛」の演説だったが、アメリカ国民には好反応だった。アメリカのCNNが演説終了後に実施した緊急世論調査では、演説を「とても前向き」と評価する人が44%、「どちらかといえば前向き」とした人は25%となり、7割近くが内容を支持。また、CBSテレビの調査では、演説に対する評価は「強く支持」が58%で、「どちらかといえば支持」が18%だった。「強く反対」は16%、「どちらかといえば反対」が7%だった。 演説を見た視聴者の割合は共和党支持層が51%、無党派層が27%。民主党支持層は20%だった。トランプ氏が示した政策分野別では、「国境・移民対策」「政府支出の無駄削減」に対して77%が支持。「ウクライナとロシアの紛争」は73%、「関税」は65%が賛成した(6日付・産経新聞Web版)。(※写真は、NHK-BSで中継されたアメリカのトランプ大統領の施政方針演説)

  それにしても、意外だったのは施政方針演説の中で語られたゼレンスキー大統領からの書簡だった。トランプ氏とゼレンスキー氏による首脳会談は口論の末に決裂、その後、アメリカはウクライナへの軍事支援を一時停止という事態に陥っていた。トランプ氏は演説の中で、ゼレンスキー氏から書簡を受け取ったことを明らかにし、「恒久的な平和に近づくためにできるだけ早く交渉の場に着く用意がある」「平和を手に入れるためにトランプ大統領の強い指導力の下で協力する用意がある」と書かれてあったと述べた。さらに、首脳会談の後で署名する予定だった鉱物資源の共同開発をめぐる協定については「いつでも署名する用意がある」と表明があったと語った。

  ゼレンスキー氏からの書簡に対し、トランプ氏は「彼がこの書簡を送ってくれたことに感謝する」と述べていた。現在、実務者レベルで首脳会談を再度設定することで動ているようだ。仲直りはうまくいくのか。この一件で少々辛口の論評もある。イギリス国営放送BBCは「Perhaps Zelensky has run out of political road」とゼレンスキー氏に皮肉を込めている。彼は政治的な選択肢を使い果たしてしまったようだ、と。なので、一縷(いちる)の望みを託してトランプ氏にすがるしかないのでは、と。

⇒6日(木)夜・金沢の天気    あめ

☆巧みな演出で「America is back」 トランプ流1時間40分の施政方針演説

☆巧みな演出で「America is back」 トランプ流1時間40分の施政方針演説

  さきほどまでNHK-BSでアメリカのトランプ大統領の施政方針演説を生放送で視聴していた。冒頭で「America is back(アメリカは復活した)」と宣言し、2期目の大統領就任から43日間までの成果を強調していた。チカラを込めて語っていたのが、やはり「アメリカ第一主義」だった。「この数週間で1兆7000億㌦もの新たな投資がアメリカにもたらされた」と述べ、「ソフトバンク」など社名をあげて、オープンAIなどに巨額の投資がなされるなどと説明した。

  さらに「近い将来、この24年間、誰も成し遂げられなかったことをしたい。連邦予算をバランスさせることだ」と述べ、巨額な財政赤字の解消に意欲を示した。その中でトランプ氏は、イーロン・マスク氏が率いる政府支出の削減策を検討する組織「DOGE(政府効率化省)」がムダな政府支出について18の事業を確認したと指摘した。「(ムダな財政支出が)世にさらされ、迅速に停止されている。われわれは数千億㌦を発見し、インフレなどとたたかうために金を取り戻し、借金を減らす。これは始まりに過ぎない」と述べた。

  前任のバイデン氏を「アメリカ史上最悪の大統領」と名指しながら指摘した事柄の一つが、犯罪歴のある不法移民を強制送還させなかったことだっと述べた。議会の傍聴席にいる、不応移民者に娘が殺害された母親と姉妹を紹介しながら「悲劇を繰り返してはならない」と話し、その上で「わが国への侵略を撃退するためにアメリカ軍と国境警備隊を配備した。その結果、先月の違法な国境越えは、これまでで最も低い水準だった」と語った。政策をアピールするなかなか凝った演出だった。

  意外なことも語られた。つい先日、ウクライナのゼレンスキー大統領と口論となりホワイトハウスでの首脳会談は決裂、そしてアメリカはウクライナへの軍事支援を一時停止とした。これについてトランプ氏は施政方針演説のこの日、ゼレンスキー氏から手紙を受け取ったことを明らかにした。 手紙には「恒久的な平和に近づくためにできるだけ早く交渉の場に着く用意がある」「平和を手に入れるためにトランプ大統領の強い指導力の下で協力する用意がある」と書かれてあったと述べた。さらに、首脳会談の後で署名する予定だった鉱物資源の共同開発をめぐる協定については「いつでも署名する用意がある」と表明があったと語った。

  ゼレンスキー氏からの手紙に対し、トランプ氏は「彼がこの手紙を送ってくれたことに感謝する」と述べた。さらりとした語り口調だったが、この一件ではトランプ氏の外交姿勢も問われていただけに、本人も次なるロシアのプーチン大統領との交渉の道が拓けたのではないだろうか。

  施政方針演説が終わったのは日本時間で午後1時少し前。およそ1時間40分におよんだ。辛口で言えば「自画自賛」の演説だったが、傍聴席にいる関係者や政策担当者を次々と紹介しながら演説の内容にリアル感を持たせる、とても凝ったストーリー仕立てになっていた。

⇒5日(水)午後・金沢の天気    あめ

★「アメリカ第一主義」掲げどこまで突っ走るのか トランプ政権の外交・経済の行方

★「アメリカ第一主義」掲げどこまで突っ走るのか トランプ政権の外交・経済の行方

  この記事を読んでおそらく世界の多くの人は「もうトランプを信じることはできない。アメリカを頼ってはいけない」と思ったのではないだろうか。メディア各社は、アメリカのトランプ政権当局者のコメントとして、ウクライナに対するすべての軍事支援を停止したことを明らかにしたと報じている。2月28日に行われたトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による首脳会談で両者が決裂したことを受けてのトランプ政権の対抗措置とみられると述べている。

  アメリカのCNNニュースは「Trump pauses military aid to Ukraine after Oval Office argument with Zelensky, White House official says」(CNNニュース公式サイト)の見出しで報道=写真=。この中で、「ここ数週間、トランプ大統領はロシアのプーチン大統領の論点に同調し、ウクライナが戦争を始めたと虚偽の主張をし、ゼレンスキーを独裁者と非難しているが、軍事援助の供給を停止するという彼の決定は、紛争のバランスに現実的な結果をもたらし、プーチンの影響力を強化する可能性のある動きである」と述べ、トランプ氏はプーチン氏を利する動きに転じていると伝えている。

  アメリカのウォールストーリートジャーナルは、ウクライナが軍事支援を失えば、地対地ミサイル「ATACMS」といった長い射程の兵器などが使えなくなり、現在の戦力でロシアと戦えるのはことし半ばまでとみられる、と予測している(4日付・メディア各社の報道)。トランプ氏の外交政策は、ロシアによるウクライナ侵攻を終わらせるために、まずウクライナを降参させて和平交渉にゼレンスキー氏を引きずり出す、という狙いがあるのだろうか。

  トランプ氏の経済政策でも、難題を課して相手を翻弄させ交渉を優位に進めるという同じストーリーが読める。メディア各社の報道によると、トランブ氏はホワイトハウスで記者団に、メキシコとカナダ両国への25%の関税措置を「4日に発動する」と明言した。2月に課した中国への関税は、さらに10%上乗せして20%とする大統領令にも署名した。3ヵ国に対する関税の強化で通商摩擦の激化になることは必至だろう。

  また、上記の関税を引き上げる理由を説明する際、トランプ氏は日本に対しても、「中国とともに日本が通貨安を誘導してきた」と問題視する発言を述べ、通貨安を狙った為替操作が確認できれば関税を課して対抗する考えを示した。この発言が今度どのように波及していのか。アメリカ第一主義を掲げるトランプ氏の外交・経済の政策が実行段階に入り、世界で物議を醸している。冒頭の「もうトランプを信じることはできない。アメリカを頼ってはいけない」は、いわゆる同盟国の枠を超えて対応すべき日本の課題として浮上してきた。

⇒4日(火)夜・金沢の天気    あめ