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☆「森は海の恋人」畠山重篤氏逝く 里山と里海の連環を説いた先駆者

☆「森は海の恋人」畠山重篤氏逝く 里山と里海の連環を説いた先駆者

朝から日差しが届き、春らしい穏やかな天気となった。金沢の桜は満開間近となっている。犀川と並んで市街地を流れるもう一つの河川、浅野川の河川敷を散歩した。近くには茶屋街として知られる東山界隈があり、観光客が大勢訪れていた。河川敷では花見宴会を楽しむグループも。絵になる風景があった。菜の花とソメイヨシノの競演だ。黄色とピンクの花が咲き誇り、気持ちを和ませてくれる=写真・上=。

話は変わる。ブログのことし3月11日付「★『3・11』あれから14年 目に焼け付くあの光景、心に刻む畠山重篤氏の言葉」で紹介した畠山重篤氏が今月3日に逝去されたときょう5日付の新聞で掲載されていた。享年81歳。宮城県気仙沼市でカキの養殖を営んでいて、カキの栄養分は里山でつくられるので海の環境を守るためにと、1989年に植林活動を始めた。山に大漁旗を掲げ、漁師たちが植林する活動は「森は海の恋人」運動として全国で知られるようになった。国際的にも評価され、2012年2月には世界の森林保護に取り組む国連機関「国連森林フォーラム」(UNFF)から「国際森林ヒーロー」に選ばれている。

畠山氏と知り合うきっかけは、2010年8月に金沢大学が能登で実施していた社会人人材育成事業「能登里山マイスター養成プログラム」で講義をいただいたことだった。事前に気仙沼のご自宅に伺い、プログラムの趣旨を説明すると、「それは森は海の恋人と同じ」と快く引き受けていただいた。翌年、東日本大震災の直後の2011年5月に東京でお会いして、その年の9月に能登で開催したシンポジウムで、「人は自然災害とどのように向き合っていけばよいのか」をテーマに基調講演をいただいた。

直近ではもう10年前になるが、2015年3月15に金沢大学「能登里山里海寄付研究部門」設立記念フォーラムを能登で開催。基調講演を「森里海の復興から地域再生へ」と題していただた=写真・下=。印象に残る話が、森は海の恋人運動がルイ・ヴィトンから支援を受けているという内容だった。ルイ・ヴィトンの創業者はフランスとスイスの国境にあたるジュラ山脈の出身で、森林の再生にチカラを入れている。さらに60年前、フランス・ブルターニュ地方の牡蠣が病気によって壊滅的被害に遭った際に、宮城県産の種牡蠣がフランスに渡り牡蠣業界を救ったという経緯もある。東日本大震災を契機にルイ・ヴィトンが恩返しに森は海の恋人運動を支援するようになった。

ルイ・ヴィトンの支援があり、畠山氏は「おかげで(震災から)3年目にはイカダが沈みかけるほどカキが実った」と。その語りは、心と心が自然に響き合うような口調で心に残っている。桜と菜の花を添えて、冥福をお祈りしたい。

5日(土)夜・金沢の天気    くもり

★「独裁者」なのか、「改革者」なのか~アメリカ・韓国の大統領の振る舞い方

★「独裁者」なのか、「改革者」なのか~アメリカ・韓国の大統領の振る舞い方

それにしてもよく分からないニュースだ。メディア各社の報道によると、韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」の宣布(2024年12月3日夜)をめぐり、憲法裁判所はきょう4日、弾劾訴追された尹氏の罷免を8人の裁判官の全員一致で決定した。尹氏は即時失職し、60日以内に大統領選が行われる。憲法裁は戒厳令は違憲で、国会に対する軍の投入などについても違法かつ重大だと認めた。大統領が弾劾・罷免されたのは2017年3月の朴槿恵氏以来2人目だ。

よく分からないのは、尹氏が「非常戒厳」を宣布した理由だ。政府の方針に反対し続ける最大野党「共に民主党」を国政をマヒさせる「反国家勢力」と指弾し、戒厳令を出して国会などに軍や警察を投入した。が、国会が2時間半後に戒厳令の解除を要求する決議案を可決し、その後に解除された。このときの尹氏は大統領の権限をさらに超えた「独裁者」として立ち振る舞おうとしたのか、あるいはマヒした国政を改革するための手立ての第一歩として、「非常戒厳」の宣布をしたのか。独裁者になろうとしたのか、改革者になろうしたのか。

アメリカのトランプ大統領についてもよく分からない。今月2日に世界各国からの輸入品に対して「相互関税」をかけると公表し、各国に一律10%の関税をかけたうえで、国・地域ごとに異なる税率を上乗せした。トランプ氏はこのとき、「2025年4月2日はアメリカの『Liberation day(解放の日)』として永遠に記憶される」と演説し、相互関税を実施するための大統領令に署名した。アメリカは第二次世界大戦後に率先して関税を引き下げ、いわゆる自由貿易体制を構築した。それをぶっ壊し、先進国で最も閉ざされた孤立市場に変質した。

大統領権限で相互関税を発動する根底には、トランプ氏がこれまで何度も述べているように、年1.2兆㌦を超えるアメリカの貿易赤字や工業を中心とした国内産業の空洞化がある。このため中間層が破壊され、勝者と敗者を生み出す経済構造になったと憂い、これをトランプ氏は今回の演説でも「国家の非常事態」と強調した。そして、相互関税により6兆から7兆㌦がアメリカに流入するとの見通しを示し、「市場は活況となり、株価は上昇し、国は急成長するだろう」と語った。

しかし、今回の一律関税および相互関税が額面通りに実行に移された場合、もっとも割を食うのはアメリカ経済ではないのか。個人消費がGDPの7割を占めるので、輸入品の値上がりの影響を直接こうむることになる。そして今、アメリカ株の全面安、ドル安など金融市場に激震が走っている。このまま景気後退へと突入していくのか。

⇒4日(金)夜・金沢の天気   くもり

☆クルーズ船入港ラッシュの金沢港 港の有事利用もこれから整備へ

☆クルーズ船入港ラッシュの金沢港 港の有事利用もこれから整備へ

金沢港ではクルーズ船の入港ラッシュが始まっている。先日(先月30日)能登へ行く途中に金沢港に立ち寄ると、モナコ船籍のクルーズ船「シルバー・ミューズ」(4万791㌧・定員596人)が停泊していた=写真=。港の埠頭には観光バスが10台ほど並び、インバウンドの乗船客が乗り込んでいた。一般社団法人「金沢港振興協会」公式サイトによると、この日の朝に韓国の釜山から到着し、翌31日夜に青森港に向けた出発したようだ。このほかにも、今月8日にはこの船の4倍の大きさのスイス船籍「MSCクルーズ」(17万1598㌧・定員4386人)が入港する予定のようだ。3月から6月までの4ヵ月間で計32隻が寄港することになっている。

その金沢港に関する気になるニュース。メディア各社の報道(2日付)によると、政府は有事の際に自衛隊や海上保安庁による利用に備えて整備する「特定利用空港・港湾」に7道県の計8ヵ所を追加すると決定した。追加された8ヵ所のうちの港湾として金沢港が入っている。港湾では輸送鑑や護衛艦などの接岸に向けて海底の掘り下げや岸壁整備が行われる。個別の経費は掲載されていないが、2025年度予算で8ヵ所で計968億円を充てる。

記事によると、同じ日本海側で鳥取・島根両県の境港も今回、有事利用施設に追加されている。これまで北海道や沖縄で港湾の有事利用施設が整備されてきたが、新たに日本海側でも整備を急いでいるような印象を受ける。ちなみに、同じ日本海側ではこれまで福井県の敦賀港と福岡県の博多港の2港だった。なぜ日本海側で有事利用施設を増やすのか。

去年2024年6月に日米韓の海上保安機関による合同訓練「フリーダム・エッジ」を初めて実施。アメリカ沿岸警備隊の巡視船など3ヵ国の船が日本海に集結し、京都・丹後半島沖で大掛かりな訓練を実施している。11月には自衛隊とアメリカ軍、韓国軍による共同訓練を東シナ海で実施し、アメリカ軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」など艦艇7隻が参加している。一方のロシア海軍は去年9月に「オケアン(大洋)2024」と名付けた大規模な海上演習を実施し、極東ウラジオストクに近い日本海では中国軍の艦船4隻が参加している。まさに、海上でのにら見合いの様相だ。金沢港にアメリカ軍の原子力空母が入る日がやってくるのか。

⇒3日(木)午前・金沢の天気   くもり時々あめ

★テレビ局という「ムラ社会」の発想と人権社会の感覚の隔たり

★テレビ局という「ムラ社会」の発想と人権社会の感覚の隔たり

かつて民放テレビ局に籍を置いたことがある自身の読みだが、一連のフジテレビ問題、これは民放の企業風土の問題そのものではないだろう。ある意味で民放はタテ割り社会で、たとえば番組のプロデューサーが番組制作に関わる人選(ディレクターや出演スタッフ)や制作会社の選定など担う。キー局のゴールデン番組ともなれば、おそらく数百人の規模ではないだろうか。なので、スタッフはプロデューサーには逆らえない。番組では絶対的な権力者でもある。言葉は適当でないかもしれないが、番組という「ムラ社会」だ。このムラの中では長(おさ・プロデューサー)に視聴率という数字を献上する従者(ずさ・ディレクター)がいて、中には数字を上げるために「やらせ」や「捏造」という悪さをする者もいる。

今回のフジテレビの一連の問題で焦点となっているのが、ムラの長が女衆(女性社員)に「晩酌の付き合いをせい」と半ば迫ったことだろう。長とすれば、同じムラという共有意識があれば、付き合いは当たり前という身勝手な思惑があったのだろう。そのムラ社会の発想と人権社会の感覚の隔たりが見えてきたのがフジテレビ問題だった。繰り返しになるが、これは民放の企業風土の問題なので、ほかのキー局や系列局などでも起こりうる、あるいは起きていることなのかもしれない。

フジ・メディア・ホールディングスはきのう(31日)、元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルをめぐる第三者委員会の調査報告書を公表した。その様子をフジ系のローカル局で視ていた。委員長の弁護士は手厳しく指摘していた。人権侵害の疑いがあるにもかかわらず、フジテレビの社長ら幹部が「プライベートな男女間のトラブル」と即断したことが「対応を誤る大きな要因となった」「経営判断の体をなしていない」と断じていた。また、情報公開のあり方についても、2024年12月に公開した一部報道に対する会社見解について否定すべき部分は否定するという方針ありきで、「問題があったと言わざるを得ない」と指摘した。(※写真は、フジテレビ社長の生中継での記者会見の様子)

午後8時からのBSフジ「プライムニュース」では、冒頭で女性キャスター2人が「反町キャスターからは『状況に鑑み、番組の出演を見合わせたい』との申し出がありました。BSフジとプライムニュースではこれを受け、今夜は2人でお伝えします」と述べていた。第三者委員会の報告書では、反町氏が総理官邸キャップや政治部デスクだった2006年から2008年にかけて、後輩の女性記者2人に対するハラスメント行為があったと報じられている。食事の誘いを女性から断わられると、この女性に対して原稿が遅いなどと叱責のメールを部内共有で送信するなどしていたようだ。その後、キャスターとなり、報道局解説委員長、取締役なども務めることになる。フジテレビのムラ社会がよく見えてくる。

⇒1日(火)夜・金沢の天気  くもり時々あめ

☆桜は咲けど金沢は騒然とした街に 「尹奉吉記念館」めぐり街宣車連なる

☆桜は咲けど金沢は騒然とした街に 「尹奉吉記念館」めぐり街宣車連なる

金沢でもソメイヨシノが咲き始め、金沢地方気象台は29日に開花は発表した。平年より5日早い開花という。自宅の近くにある「六斗の広見(ろくとうのひろみ)では、泉野菅原神社の早咲きの寒桜が満開を迎えている=写真・上=。後を追うようにソメイヨシノが咲くとまるで競い咲きのような華やかさが楽しめる。ちなみに広見はいわゆる広場のことで、市内の何ヵ所で設けられている。これは藩政時代から火災の延焼を防ぐため火除け地としての役割があったとされる場所だ。

話は変わる。きのう(30日)午後、買い物のために金沢市の市街地を車で走るととても混んでいた。道路のところどころに警察官が多数配置されていて、バリケードを設置して警戒に当たっていた。そして、聞こえてきたのがいわゆる右翼団体の街宣車による大音量のマイクの叫びだった。その街宣車は数十台は走っているように見えた=写真・中=。何を叫んでいるのかよく聞き取れなかったが、「尹奉吉記念館・・・」との文字が見えたので、「いよいよ騒動になってきたのか」と憂鬱な気持ちになった。

韓国では「義士」として知られる尹奉吉(ユン・ボンギル)。現在の韓国大統領の尹錫悦氏が2022年6月に大統領選挙への出馬を宣言した場所がソウルにある「尹奉吉義士記念館」だったことでも知られる。その尹奉吉の碑が金沢市の野田山墓地にある。日本が朝鮮半島を統治していた1932年4月29日、中国・上海の日本人街で行われていた天長節(天皇誕生日)の行事に、尹奉吉が手榴弾を投げ込んで日本軍の首脳らを死傷させ、軍法会議で死刑判決となった。その後、陸軍第9師団の駐屯地(金沢市)に身柄が移管され、同年12月19日に銃殺刑に処せられた(Wikipedia「尹奉吉」)。戦後、韓国では「尹奉吉義士」と称され、野田山には在日大韓民国民団石川県地方本部が建立した碑がある=写真・下=。

メディア各社の報道によると、韓国メディアがことし1月に尹奉吉の「追悼記念館」の設置が金沢市内で計画されていると報道。設置に動いているのは民団ではなく、韓国在住の元テレビプロデューサーという。そのオープンの日が爆殺事件を起こした「4月29日」であることから、右翼団体を巻き込む騒動に持ち上がっている。今月2日には民団県本部の壁に、開設計画に反対する右翼団体のメンバーとみられる軽自動車が突っ込む事件が起きている。韓国人にとっては「義士」なのだが、日本人にとっては「テロリスト」でもあり、今後この騒動がどう展開していくのか。

それにしても、右翼団体が大音量で叫びながら街宣車で連なる騒然とした光景は、金沢を訪れている多くのインバウンド観光客にはどう映るだろうか。「ファシズムが金沢で頭をもたげている」との印象ではないだろうか。

⇒31日(月)午後・金沢の天気   はれ

★能登地震は復興ステージへ 仮設住宅から公営住宅に、地元ラーメン店も再開

★能登地震は復興ステージへ 仮設住宅から公営住宅に、地元ラーメン店も再開

ミャンマーの中部で28日に発生したマグニチュード7.7の地震は、去年元日の能登半島地震の2倍のエネルギーを持った揺れだったとメディア各社が報じている。震源から1000㌔離れたタイのバンコクでは建設中のビルが倒壊した。遠隔地にもたらす揺れは「長周期地震動」と呼ばれ、2011年3月11日の東日本大震災でも震源から700㌔離れた大阪市の高層ビルで被害が出ていた(29日付・読売新聞Web版)。地震の揺れはどこに何をもたらすのか分からないところがむしろ怖い。
 
能登半島地震から間もなく1年3ヵ月が経つ。気になるのは復興のペースだ。奥能登では9月21日に48時間で498㍉という記録的な豪雨にも見舞われている。このため、石川県では仮設住宅を急いで整備してきた。地震の被災者向けに6882戸、豪雨の被災者向けに286戸を完成させ、被災者に供給しているものの、仮設住宅はあくまでも応急措置であり、契約期間は原則2年だ。復興となると、長年にわたって使える公営住宅が急がれる。県の公式サイトをチェックすると、「復興公営住宅の整備状況について」というページが設けられていて能登を中心に9市町(輪島市、珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町、中能登町、羽咋市、内灘町)で被災者向けの公営住宅を建設すると公表している。
 
県のサイトでは、建設予定地別に入居までの工程表が示されている。輪島市では4ヵ所で公営住宅が整備され、中心街に近い同市宅田町ではRC造(鉄筋コンクリート造)の集合住宅150戸が2027年3月までに建設される予定となっている。ほかの3ヵ所については場所や戸数や建て方、構造などはまだ未定のようだ。県では9市町で計3000戸程度の公営住宅を建設する見通しを示していて、「災害に強く地域の景観やコミュニティの維持に寄与し、子供から高齢者まで安心して暮らせる環境や持続性を持った住まいづくり」を整備指針に掲げている。
 
被災地をめぐると店舗なども徐々に再開している。先日、能登半島の尖端の震源地から直線距離で100㌔も離れた金沢市に隣接する内灘町に行くと、「8番らーめん」の店が「熱い一杯、再び!がんばろう内灘!」と書かれた横断幕を掲げて店を再開していた=写真=。内灘町の河北潟に面する地区では地震による液状化で地盤が隆起して道路や駐車場のアスファルトがめくれ上がり、建物も大きく傾くなどの被害に見舞われていた。「8番らーめん」は地元石川県発祥のラーメンチェーン店で、ある意味でソウルフードとして親しまれているので、店の再開を待ちわびていた住民も多かったのではないだろうか。
 
⇒30日(日)午後・金沢の天気    あめ

☆追加関税は「二兎を追う者は一兎をも得ず」か 万博に能登の「日本最古おにぎり」

☆追加関税は「二兎を追う者は一兎をも得ず」か 万博に能登の「日本最古おにぎり」

アメリカのトランプ大統領が豪語する「関税の壁」は本当に、より強い経済を自国にもたらすのか。アメリカの消費者にアクセスしたい企業は国内に生産拠点を構えるか、高関税を払うかの二択を迫られる。そうなれば、前者は雇用を生み、後者は税収を生む。これが「AMERICA  IS  BACK」、アメリカを再び偉大にするための戦略なのだという。そもそも、自由貿易協定を結んでいるカナダやメキシコに高関税の圧力をかけたことで、アメリカの信頼そのものが損なわれたのではないか。28日のアメリカ株式市場で、ダウ工業株が前日比で715㌦安、ハイタク株のナスダックは481㌦安と下げている。アメリカの景気の先行きや物価高への懸念が広がっているのではないか。「二兎を追う者は一兎をも得ず」、そんなたとえが浮かんだ。(※写真・上は、ホワイトハウス公式サイトより)

話は変わる。4月13日に開幕する大阪・関西万博で、日本のコメ文化を発信する「日本最古のおにぎり」が展示されると、石川県の地元メディア各社が報じている(29日付)。1987年に能登半島の中ほどに位置する中能登町の杉谷チャノバタケ遺跡の竪穴式住居跡から、黒く炭化したおにぎりが発掘された。化石は約2000年前の弥生時代のものと推定されている。出土したおにぎりは「チマキ状炭化米塊」(ちまきじょうたんかまいかい)と呼ばれ、現在は石川県埋蔵文化財センターで保管されているが、そのレプリカが同町にある複合施設「ふるさと創修館」で展示されていて、万博会場で展示されるのはそのレプリカとなる。(※写真・下は、出土したチマキ状炭化米塊=中能登町観光協会公式サイトより)

日本最古のおにぎりが出土したチャノバタケ遺跡の周辺は、能登における稲作文化の発祥の地でもある。邑知(おうち)地溝帯と呼ばれる穀倉地帯が広がる。地溝帯を見渡す眉丈山の山頂には国史跡の「雨の宮古墳群 」がある。北陸地方最大級の前方後方墳と前方後円墳で、4 世紀から5世紀(弥生後期)もののとされる。その古墳群のふもとには延喜式内の神社など古社あり、コメ作り文化の歴史を今に伝えている。その一つ、チャノバタケ遺跡近くにある鎌の宮諏訪神社では毎年8月27日に「鎌打ち神事」が営まれる。鎌で平野を開墾し、田んぼの害虫などが退散することを願った神事とされる。そして、コメの収穫に感謝する新嘗祭で神酒として「どぶろく」を造り続けている古社がこの地域では3社ある。

日本最古のおにぎりと同時に、日本酒のルーツでもあるどぶろくをコメ作り文化のシンボルとして二本立てで万博に展示してはどうだろうか。ユネスコ無形文化遺産に日本の伝統的な酒造りが登録され、その日本酒の原酒でもあるどぶろくの説明をすることは、とても意味がある。中能登町は「どぶろく特区」に登録されていて、どぶろくブランドをPRするチャンスかもしれない。

⇒29日(土)夜・金沢の天気    はれ

★自動車の追加関税25%の衝撃 だれがトランプ大統領の暴走を止めるのか

★自動車の追加関税25%の衝撃 だれがトランプ大統領の暴走を止めるのか

まだ桜(ソメイヨシノ)が一輪も開花していないというのに、きのう(27日)はまるで夏を先取りするかのような晴れの暑い一日だった。金沢の自宅近くにある街路樹通りの気温計は「28度」を示していた=写真・上、午後1時39分撮影=。金沢地方気象台によると、7月中旬並みの暑さで、3月としては観測史上最も高い気温となったようだ。市内の繁華街では半袖で歩くインバウンド観光客の姿も多く見られた。そして、きょうは一転、朝から雨で寒々しい。最高気温は14度の予報となっている。あすからは平年を下回る日もあるとの予報だ。「梅は咲いたか 桜はまだかいな」のような気分で春本番を待つ。

話は変わるが、「経済の寒気」は強まりそうだ。アメリカのトランプ大統領は日本を含む輸入自動車に対して25%の追加関税を課す布告に署名した(28日付・メディア各社の報道)。4月3日に発動する恒久的な措置で、乗用車は27.5%、トラックは50%の関税率となる。関税率の大幅な引き上げで国内外のメーカーにアメリカでの生産を促す目論見もあるようだが、これはトランプ氏の「暴走」ではないかとの印象を世界に与えるに違いない。

実際、アメリカ国内メディアも暴走を危ぶむ論調を発している。「The New York Times」電子版(27日付)は「Canada’s Prime Minister Says U.S. Is ‘No Longer a Reliable Partner’ on Trade」(※意訳:カナダの首相は、アメリカの貿易について「もはや信頼できるパートナーではない」と語った)の見出しで=写真・下=、カナダのほかにメキシコやヨーロッパ、日本、韓国の首脳陣の苦言を掲載している。

中でも信頼関係で成り立つ日本との同盟関係にヒビが入ったのではないだろうか。石破総理は先月2月7日のトランプ氏との日米首脳会談で、日本による対米投資額を1兆㌦の規模にまで引き上げると約束した。にもかかわらず、今月12日、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、アメリカにおける大量の輸入車について日本を「最大の輸入元の国の一つ」と名指し、「日本にはアメリカ車がない」「日本はアメリカ車を受け入れない」とやり玉に挙げた(今月14日付・メディア各社の報道)。

トランプ氏が気にくわないのは、自動車輸出入をめぐる数字だろう。日本は2024年、アメリカに137万台の自動車を輸出し、対米輸出の総額は全体の3割を占める6兆円に上った。一方、日本はアメリカから「テスラ」や「ジープ」などを輸入しているが、その台数は日本が輸出する台数の100分の1ほどにとどまるとされる。トランプ氏はこの点が気にくわないのだろう。ちなみに、日本は1978年以降、輸入車に対する関税を課していない。

石破総理はきょうの参院予算委員会で、追加関税の対応について「日本経済に与える影響は極めて大きい」と懸念を示した上で、「アメリカの得にならないことを理解させるため、最も効果的なやり方を考える」と語っていた(28日付・NHK中継「参院予算委員会」)。日本政府はこれまで日系メーカーの対米直接投資の実績を訴えて追加関税の除外を求めてきたが、ないがしろにされた。むしろ、日米間の新たな溝が浮き彫りとなってきた。

⇒28日(金)夜・金沢の天気   あめ

☆北朝鮮の弾道ミサイルとの関わり 旧統一教会の「献金の闇」

☆北朝鮮の弾道ミサイルとの関わり 旧統一教会の「献金の闇」

前回ブログの続き。信者からの献金や霊感商法で集めた膨大な額の金は韓国の世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の本部へと送金されている。それがどのように使われていたのか。2023年7月3日付「安倍事件まもなく1年 旧統一教会の『献金の闇』」で記事をまとめた。以下、再録。

これを宗教というのだろうか。宗教の名を借りた集金システムではないのか。(2023年)7月3日付の共同通信Web版によると、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の教団トップの韓鶴子総裁が6月末、教団内部の集会で「日本は第2次世界大戦の戦犯国家で、罪を犯した国だ。賠償をしないといけない」「日本の政治は滅ぶしかないだろう」と発言していたことが3日、関係者への取材や音声データで分かった。教団側は6月中旬、年間数百億円にも上るとされる日本から韓国への送金を今後は取りやめると説明していたが、トップが依然、韓国への経済的な見返りを正当化したことになる。

多額の献金は韓国の本部に集められた。それはどこに流れたのか。「文藝春秋」(2023年1月号)は「北朝鮮ミサイル開発を支える旧統一教会マネー4500億円」の見出しで報じている。旧統一教会と北朝鮮の接近を観察していたアメリカ国防総省の情報局(DIA)のリポートの一部が機密解除され、韓国在住ジャーナリストの柳錫氏が記事を書いている。旧統一教会の文鮮明教祖は1991年12月に北朝鮮を訪れ、金日成主席とトップ会談をした見返りとして4500億円を寄贈していた、と。(※写真は、北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称する新型弾道ミサイル=日本の防衛省公式サイト資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」より)

さらにDIA報告書では、1994年1月にロシアから北朝鮮にミサイル発射装置が付いたままの潜水艦が売却された事例がある。売却を仲介したのが東京・杉並区にあった貿易会社だった。潜水艦を「鉄くず」と偽って申告して取引を成立させていた。韓国の国防部は2016年8月の国会報告で、北朝鮮が打ち上げたSLBM潜水艦発射型弾道ミサイルは北朝鮮に渡った「鉄くず」潜水艦が開発の元になっていたと明かした。この貿易会社の従業員は全員が旧統一教会の合同結婚式に出席した信者だった。

高額献金をめぐる旧統一教会の「深い闇」をどう断罪するのか。断罪がなければまた繰り返される。

⇒27日(木)午前・金沢の天気    はれ

★黄砂でかすむ空からの「贈り物」 解散命令で旧統一教会問題は片付くのか

★黄砂でかすむ空からの「贈り物」 解散命令で旧統一教会問題は片付くのか

  金沢の街中が黄砂でぼんやりとかすんで見えた。きのう夕方に自宅近くの大乗寺丘陵公園から市内の中心部を見渡すと、水平方向で見通しが利く距離は8㌔ほどだったろうか。眺めていると目がかゆくなり、のどに違和感も感じた。黄砂は例年のことだが、厄介な「空からの贈り物」でもある。

金沢大学の教員時代に黄砂の研究者から聴いた話。黄砂に乗って浮遊する微生物や花粉、有機粉塵などは「黄砂バイオエアロゾル」と呼ばれる。ある研究者は発酵に関連する微生物がいることに気づき、能登半島の上空で採取したバチルス菌で納豆をつくり、金沢の食品会社と連携して商品化した。空から採取したので商品名は「そらなっとう」=写真・上=。納豆特有の匂いが薄いことから、機内食としても使われている。日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの研究者の解説を聴いて、妙に納得した。まさに「空からの贈り物」ではないだろうか。

話は変わる。東京地裁はきのう(25日)文科省の解散命令請求を受けて、宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)に対して解散を命じた=写真・下=。安倍元総理の射殺事件(2022年7月8日)から端を発し、犯人が恨みを持っていたという旧統一教会にいよいよ解散が命じられるという展開になった。もう半世紀も前の話だが、自身も高校生のころにこの教団に洗脳されそうになった経験がある。ブログの2022年7月13日付「マインドコントロールのプロ集団」で当時の様子を書いた。以下、再録。

金沢の高校時代、校門に立っていた金沢大学の医学生だという信者が「人間の幸福とは何か」「生きる幸せとはどういうことか」と問いかけてきて、その言葉が自身の胸に刺さった。市内の教会に何度か通った。ところが、途中から信者たちの話しぶりが命令口調に変わって来た。「こんなことが理解できないのか」といった見下しの言葉になっていた。教会に通っていたほかの高校生たちも自身と同様に途中で「脱落」した。が、熱心に通っていた同級生もいた。その一人が後に日本の旧統一教会の会長に就任した徳野英治氏だ。奥能登の出身で純朴そのものだった彼がいつの間にか大人びた話しぶりになっていた。今にして思えば、マインドコントロールのプロ集団の中にどっぷりと染まっていたのだろう。

高校を卒業してからは会うこともなかったが、再び彼を見たのはテレビだった。旧統一教会の霊感商法が社会問題となり、2009年2月に警視庁の摘発を受け複数の教団信者が逮捕されるという事件があった。このとき、記者会見で謝罪する徳野氏の姿が報じられた。しかし、徳野氏の謝罪以降も霊感商法は止まっていない。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、1987年から2021年までの霊感商法による「被害件数」は3万4537件で、「被害総額」は約1237億円に上るという。物販には壺・印鑑・朝鮮人参濃縮液などが用いられている(Wikipedia「全国霊感商法対策弁護士連絡会」より)

霊感商法で旧統一教会は摘発を受けたが、当時、さらに問題になっていたことがあった。自民党と旧統一教会の癒着だ。反共産主義の立場を共有していて、教会側が選挙支援などを行っていた。自民の議員秘書の中には信者が入り込んでいるなどと、当時、新聞メディアなどが報じていた。いまでもその状況は変わっていないのではないだろうか。

政治と旧統一教会との関係性をネット検索すると、徳野氏が2016年6月、当時の安倍総理から首相官邸に招待されていた、との記事をいくつか見つけた。また、問題となった安倍総理主催の「桜を見る会」にも2015年と16年に旧統一教会幹部が招待されていたようだ。相当、政治に食い込んでいたことが分かった。

「信教の自由」は憲法20条で保障される権利である。しかし、教団という組織に入ってしまうと、基本的な人権や自由は保障されるのだろうか。とくに、カルト教団の組織の中では厳しい上下関係や寄付、さらに政治活動の動員といったことが現実にある。旧統一教会にマインドコントロールされていたのは、むしろ政治家ではなかったか。今回の事件を機に自民党は今後どうこの教団とかかわるのか、毅然とした対応が求められているのではないか。

⇒26日(水)午前・金沢の天気    はれ