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☆桜散らす春の嵐 トランプ関税は「終わりの始まり」なのか

☆桜散らす春の嵐 トランプ関税は「終わりの始まり」なのか

金沢で風雨が吹き荒れている。気象庁によると、寒冷渦がきょう15日にかけてに西日本から東日本に進み、この時期としては強い寒気が流れ込んでいる。近所の神社ではこの風雨で桜の花が舞い散り、境内は桜の花びらの絨毯のようになっていた=写真は金沢市の地黄八幡神社、午前11時ごろ撮影=。まさに桜散らす春の嵐だ。きょうが桜の見納めとなりそう。

話は変わる。どこか似たようなストーリーだ。韓国の尹錫悦大統領が発した「非常戒厳」の宣布(2024年12月3日)とアメリカのトランプ大統領が発した「相互関税」のことだ。似たようなストーリーのその1は「いきなり」と「急ブレーキ」だ。尹氏は政府の方針に反対し続ける最大野党「共に民主党」を国政をマヒさせる「反国家勢力」と指弾し、戒厳令を出して国会などに軍や警察を投入した。国会が2時間半後に戒厳令の解除を要求する決議案を可決し、その後に解除された。

トランプ大統領が仕掛けた相互関税という「貿易戦争」もいきなりで、世界的にショックを与えた。カナダとメキシコを除くほぼ全ての国・地域に適用する一律10%の基本税率と、アメリカの貿易赤字額が多い60ヵ国・地域に適応する上乗せ税率で構成される関税で、日本時間の9日午後1時すぎに発動した。ところが、発動からわずか13時間で、トランプ氏は上乗せ税率を中国を除いて90日間停止すると発表した。当面はベースラインの10%を適用する。それにしても、発動した直後に急ブレーキだ。この背景には、アメリカ国債の投げ売りなど、金融市場が不安定になったことが理由とみられる。この関税をめぐって、アメリカだけでなく各国の株式市場が乱高下するなど世界経済は大混乱に陥った。

似たようなストーリーのその2は「終わりの始まり」だ。尹錫悦氏の非常戒厳の宣布をめぐり、憲法裁判所は今月4日、弾劾訴追された尹氏の罷免を8人の裁判官の全員一致で決定した。憲法裁は、戒厳令は違憲で国会に対する軍の投入などについても違法かつ重大だと認めた。尹氏は即時失職し、60日以内に大統領選が行われる。大統領が弾劾・罷免されたのは2017年3月の朴槿恵氏以来2人目となった。

トランプ氏の「終わりの始まり」は国民の信頼を失ったことだ。今月2日に相互関税をかけると公表したとき、トランプ氏は「2025年4月2日はアメリカの『Liberation day(解放の日)』として永遠に記憶される」と演説し、関税実施の大統領令に署名した。それが90日間の停止となった。アメリカの政治的評価とすれば、これは「ブリンクマンシップ(brinkmanship)の失策」と映るだろう。ブリンクマンシップは「瀬戸際外交」と訳され、たとえば核兵器の使用も辞さないという印象で圧力をかけて外交交渉などで優位に立とうとする政治手法を指す。今回の貿易戦争ではブリンクマンシップで強気に出たトランプ氏が「いったん中止します」と振り上げた拳(こぶし)を下したのだから、アメリカ政治としては失策と映る。

関税措置をめぐり、今月17日から日本とアメリカの交渉がワシントンで始まる。トランプ氏が仕掛けた貿易戦争、これからどう展開していくのか。春の嵐は当分やみそうもない。

⇒15日(火)午後・金沢の天気    風雨

★高値続いたコメ価格一服 「物価の優等生」一転、卵のブランド化進む

★高値続いたコメ価格一服 「物価の優等生」一転、卵のブランド化進む

近所のスーパーに行くとつい気になり覗くのがコメ売り場。きょう(14日)行くと、地元石川県のブランド米「ゆめみずほ」が5㌔袋3580円(税込み3867円)だった=写真・上=。「500円も安くなっているじゃん」、ふと言葉が出た。5日前の9日に来たときは4080円(税込み4407円)だった。このときは、「ぜんぜん安くなってないじゃん」と少々怒りのようものが込み上げていた。なにしろ、全国的なコメの高値は「令和のコメ騒動」とメディアで騒がれ、政府は備蓄米21万㌧を放出を始め、3月下旬から店頭に並び始めた。にもかかわらず、高値止まりしていたからだ。きょうの「3580円」の値札を見て、ようやく備蓄米の放出効果が出てきたのかと思った次第。

NHKニュース(4月8日付)によると、店頭に並んでいる備蓄米は複数の品種を混ぜたブレンド米で、5㌔袋は税込み3600円台から3700円台で販売されている。全国のスーパーの平均価格と比べると500円程度安い水準とのこと。これにともなって、ブランド米も値下がりしている、とのこと。

それにしても、今後コメの値段はさらに下がるのか、あるいは再び上がるのか。そもそも、「5㌔袋3580円(税込み3867円)」でも高い、と言える。去年8月25日付のブログで書いたとき、同じスーパーで購入したブランド米の新米は5㌔で2290円だった。あれから8ヵ月で50%以上、1300円ほど高くなっている。コメの値段は一律ではないが、消費者は5㌔袋3580円を「まだ高い」と思うか、「500円安くなったので、まあいいか」と思うか。そして、不思議なことに金沢のスーパーの棚には備蓄米が並んでいない。備蓄米のブレンド米は金沢では売れないとの店側の判断なのか。

同じスーパーの卵売り場を覗いた。「店長おすすめ品」が10個入りで299円(税込み323円)。一方で、6個入り1パック489円(税込み529円)という高級品が目にとまった=写真・下=。1個80円余り。パックを見ると、能登の養鶏業者の卵で、チラシには「これぞ本物の玉子 自然養鶏手作り乳酸発酵飼料」などと記されている。

卵が「物価の優等生」であったのは、いわゆるケージ飼いによる大量生産で卵が供給されてきたからだと言われている。これに対し、狭いケージにニワトリを閉じ込めて生産性を上げる従来の養鶏・鶏卵のシステムは、「アニマルウェルフェア(Animal Welfare、動物福祉)」に反するとして、欧米ではケージフリー・エッグ(平飼いの卵)が主流になっている。上記のチラシからは手作りの乳酸発酵飼料のエサをやり、平飼いでおいしい卵をつくる業者の想いが伝わってくる。物価の優等生から一転して、卵のブランド化が進んでいるようだ。

⇒14日(月)午後・金沢の天気     はれ

☆「いのち輝く未来社会のデザイン」大阪万博で鼓動する「心筋細胞シート」

☆「いのち輝く未来社会のデザイン」大阪万博で鼓動する「心筋細胞シート」

バンパクという言葉を初めて聞いたのは15歳のころ。当時、歌手の三波春夫がテレビで歌っていた、あの歌はいまでも覚えている。「こんにちは こんにちは 世界のひとが こんにちは こんにちは さくらの国で 1970年のこんにちは こんにちは こんにちは 握手をしよう」。あれから半世紀余り、55年が経つ。

きのう(12日)大阪・関西万博の開会式が催され、NHKで視聴していた。今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。歌舞伎役者の尾上菊之助の出演など伝統芸能を織り交ぜたステージの演出は、まさに過去から現在をつないで未来を創造するというコンセプトなのだろう。(※写真は、大阪・関西万博の開会式の模様=NHK中継番組から)

今回の万博は10月13日までの半年間。日程はまだ決めていないが、ぜひ見学に行きたいと思っている。その目的はAIやロボットではなく、「心筋細胞シート」が動いている様子を見るために。メディア各社の報道によると、この心筋細胞シートは大阪ヘルスケアパビリオンで展示されている。iPS細胞(人工多能性幹細胞)でつくられた心筋細胞をシート状にしたもので、大きさは5㌢ほどで、1分間に約50回ほどびくびくと鼓動するように動いているという。

この心筋細胞シートの開発を手掛けたのは、大阪大学の澤芳樹特任教授を中心とするベンチャー企業。このシートを心筋梗塞や狭心症などが原因で心臓の筋肉がうまく機能しなくなった「虚血性心筋症」の患者の心臓に貼り付けることで、心臓の機能が回復することが期待されている。これまで8人の患者にシートを移植する臨床試験を行い、いずれも経過は良好だという。 澤教授らのベンチャー企業は今月8日、心筋細胞シートについて厚労省に製造・販売の承認申請を行ったと発表している (4月10日付・TBSニュースweb版)。

iPS細胞は「万能細胞」とも言われ、体をつくるあらゆる細胞に成長する能力を持つとされる。京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の作製に初めて成功し、2012年にノーベル医学生理学賞を受賞。これをきっかけにiPS細胞が広く知られるようになった。iPS細胞は再生医療への応用が期待されているだけに、心筋細胞シートは「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる大阪・関西万博のシンボルではないだろうか。

⇒13日(日)夜・金沢の天気    あめ

★踏めず歩めず、桜舞い散る花道 「世の中は三日見ぬ間の桜かな」

★踏めず歩めず、桜舞い散る花道 「世の中は三日見ぬ間の桜かな」

満開の桜が散り始めている。金沢市内の桜の並木道を行くと、花びらがひらひらと舞っていた。淡いピンクの花びらが積もり、桜の花道になっている=写真=。並木路を前に進もうとしたが、二の足を踏んだ。これまで楽しませてくれた花を靴で踏むことになんとなく躊躇したのと、ひらひらとはかなく散る姿が我が人生のようにも思えて、踏んで歩くことにためらいを感じた次第。踏めず歩めず、結局、回り道をした。

「世の中は三日見ぬ間の桜かな」は江戸時代の俳人・大島蓼太の句だが、桜は三日見ないと変わるように世の中も移り変わりが早いことのたとえとしてよく引用される。この1週間で世の中が大きく動いたことと言えば、「トランプ関税」ではないだろうか。

アメリカのトランプ政権による相互関税は、カナダとメキシコを除くほぼ全ての国・地域に適用する一律10%の基本税率と、そのうちアメリカの貿易赤字が大きい約60ヵ国・地域に適用する上乗せ税率で構成される。相互関税は日本時間の9日午後1時すぎに発動した。ところが、発動からわずか13時間で、トランプ大統領は相互関税上乗せ分を中国を除いて90日間停止すると発表した。ただし、一律10%の基本税率は実施される。発動した直後に急ブレーキ、この背景にいったい何が。

取り沙汰されているのが、株式や通貨に加えて安全資産とされたアメリカ国債まで売られる「トリプル安」が発生したこと(メディア各社の報道)。とくに米国債の売却が加速することはトランプ政権にとって予想外のことだった。そこで金融市場の動きをいったん落ち着かせる意味で、中国を除いて90日間停止の措置に出た。その後、さらに米中の報復関税が激化する。トランプ政権は10日、中国に対する相互関税の税率を84%から125%に引き上げた。中国からの合成麻薬の流入を理由に課している20%と合わせて、追加関税は累計145%になる。これに対し中国は11日、アメリカに対する追加関税を125%に引き上げるという報復措置を発表、きょう12日に発動させている。

相互関税について各国は今後、トランプ政権と個別交渉に入る。日本は今月17日、赤沢経済再生担当大臣がアメリカ側との直接交渉に出向く。トランプ大統領はアメリカにおける大量の輸入車について、日本を「最大の輸入元の国の一つ」と名指し、「日本にはアメリカ車がない」「日本はアメリカ車を受け入れない」とやり玉に挙げている(3月12日・ホワイトハウスで記者団に)。踏めず歩めずの厳しい交渉になるのだろうか。

⇒12日(土)午後・金沢の天気    はれ

☆桜かすみに浮かぶ金沢城  「能登さくら駅」満開トンネルを列車がくぐる

☆桜かすみに浮かぶ金沢城  「能登さくら駅」満開トンネルを列車がくぐる

これを「霞(かすみ)たなびく春」と言うのだろう。きょうの金沢は朝から市街地や野山の風景がぼんやりとかすんでいた。きのう訪れた金沢城石川門を車で再度向かう。すると、車のフロントガラスに微細な水分が付着する。昨夜は雷雨だったので、霞はその余韻なのだろうか。金沢城石川門に到着すると、満開のソメイヨシノと金沢城もかすんで見える=写真・上、午前8時ごろ撮影=。「桜霞(さくらかすみ)」という言葉がある。桜が霞のように見える風景のことを言うが、この風景はまさに霞と満開の桜が溶け込んで、お城が浮かんで見える。幻想的な水墨画のようなイメージだ。

この後、さらに満開桜を鑑賞するために能登に向かう。金沢の桜は散り始めだが、能登の桜はいまが満開の頃だ。2時間余りで目的地に到着した。半島の北・奥能登の穴水町にある「のと鉄道」能登鹿島駅。桜の観光名所で知られ、「能登さくら駅」の愛称で親しまれている。正確に数えたわけではないが、180人ほどが見学に来ていた。

無人駅のホームに入ると、線路を囲むようにソメイヨシノが咲いている。説明の看板を読むと、昭和7年(1932)に鉄道の開通を祝って桜が植えられた。それ以降も鉄道会社や地域の人たちが少しずつ植え、いまでは100本余りのソメイヨシノやシダレ桜が構内を彩っている。

列車が到着する信号音が聞こえた。午前10時40分、上下の列車2本が到着した。待ち構えていたアマチュアカメラマンたちが押し寄せ、撮影が始まった。それぞれのアングルで満開の桜のトンネルと列車を撮っている。桜のトンネルをくぐる列車のようで、じつに絵になる光景だ。

絵になるのは駅だけではない。海岸線がすぐ近くにあり、桜の並木の向こうに見える穴水湾の海も桜色に染まっているように見える。さらに向こうを眺めるとコバルトブルーの海と桜が絶妙な景色を醸し出す。天気にも恵まれ、能登の桜と海を楽しむことができた。

⇒11日(金)午後・金沢の天気    くもり

★「天空の城」のように夜桜に浮かぶ金沢城 世の騒々しさとは別世界の風景

★「天空の城」のように夜桜に浮かぶ金沢城 世の騒々しさとは別世界の風景

きのうは夜桜を見学に金沢城に出かけた。前回(きのう)ブログでは午前8時ごろに撮影した金沢城石川門の櫓と桜だったが、同じ場所の夜の風景はまったく異なる=写真=。撮影は午後7時ごろだったが、ライトアップされた金沢城が桜の満開の上に浮かんで見え、まるでアニメ映画『天空の城ラピュタ』のようなイメージだ。そして、夜の見物客が昼間より圧倒的に多い。金沢城石川門と隣接する兼六園の観桜期における無料開園は夜間の見学(午後9時30分まで)も可能となることから、夜の兼六園を見るために訪れる市民や観光客が多いのだろう。ちなみに、無料開園は当初4月2日から8日までだったが、ソメイヨシノの満開が遅れたことから今月13日まで延長となっている。

話は変わる。おさらいになるが、アメリカのトランプ政権による相互関税は、カナダとメキシコを除くほぼ全ての国・地域に適用する一律10%の基本税率と、そのうちアメリカの貿易赤字が大きい約60ヵ国・地域に適用する上乗せ税率で構成される。相互関税は日本時間の9日午後1時すぎに発動した。ところが、発動からわずか13時間で、トランプ大統領は相互関税の措置を90日間停止すると発表した(メディア各社の報道)。

停止措置の対象となったのは、相互関税に対する報復措置をとらずに問題の解決に向けて協議を要請してきた日本などの国・地域に対して。ただし、一律10%の基本税率は実施される。発動したばかりの相互関税を90日間停止する判断の背景にいったい何が起きているのか。

「Bloomberg」web版日本語(10日付)などによると、この背景にあるのは、株式や通貨に加えて安全資産とされている国債まで売られる「トリプル安」がアメリカで起きているようだ。米国債はもともと安全資産とされ、経済危機時には世界マネーが入り込んで価格は上がる(国債利回りは下落する)。ところがこのところ売却のスピードが加速していてる。中国が関税への報復措置として米国債を売却しているとの可能性に言及する専門家の分析を紹介している。トランプ政権は、中国には追加関税を125%に引き上げると発表していて、両国のあいだの応酬はさらに激しさを増していくのだろう。

「トランプ関税」騒動は止まない。貿易戦争だけでなく、先のトリプル安のように株式や通貨、国債までもが攻撃材料となり、金融戦争へと展開していくのか。前回ブログでも述べた、1930年6月にアメリカが制定した高関税を導入する「スムート・ホーリー法」が世界貿易を停滞させ、世界恐慌をさらに拡大するという逆効果を招いた。その二の舞となるのか。

⇒10日(木)夜・金沢の天気     あめ

☆どうなる世界経済の行方 「トランプ関税」の衝撃

☆どうなる世界経済の行方 「トランプ関税」の衝撃

金沢の満開桜の風景のシンボルと言えば、金沢城と兼六園を結ぶ石川門側からのアングルではないだろうか。満開のソメイヨシノはまるで雲のようで、お城はその雲に浮かぶような。そもそも桜とお城は相性がいいとされる。パッと咲いて、パッと散る桜の散り際の見事さを、潔い武士の人生にたとえた言葉が「花は桜木、人は武士」。武家庭園の兼六園には「ケンロクエン キクザクラ」という遅咲きの桜がある。ソメイヨシノが散るころに花を咲かせ、3回色が変わり、花ごとパサリと落ちる。桜の季節を最後まで楽しませてくれて、潔く花の命を終わらせる。花の落ち方に美学を感じた金沢の武士たちに愛された桜だ。(※写真・上は、ソメイヨシノと金沢城石川門の櫓=9日午前8時ごろ撮影)

話は変わる。貿易赤字の多い国からの輸入品に対して課す「トランプ相互関税」の第2弾が発動した。日本時間できょう9日午後1時1分、日本の製品には24%の関税が課される。すでに自動車に対しては25%の追加関税が日本時間の3日に発動し、乗用車は27.5%、トラックは最大50%となっている。一連の追加関税の措置は日本だけでなく、世界60ヵ国余りに及んでいて、世界経済への打撃は必至だろう。

とくに狙い撃ちとなっているのは中国のようだ。中国がアメリカへの報復関税を8日までに撤回しなかったため、トランプ政権は対中関税をさらに50%追加し、合計の課税率は104%におよんでいる。それでも中国は「最後まで戦う」と引き下がらず、さらなる報復も示唆したことから、貿易戦争激化への様相となっている。(※写真・下は、ホワイトハウス公式サイトより)

トランプ政権が強気の相互関税を発動する法的根拠は「国際緊急経済権限法(IEEPA)」。IEEPAは、巨額の貿易赤字でアメリカの製造能力や国防産業の基盤が損なわれることが緊急事態に該当すると認定される。ただ、アメリカと関税には歴史がある。アメリカは1930年6月、当時の世界恐慌の経済の中で、国内産業を保護して高賃金を維持するため、高関税を導入する「スムート・ホーリー法」を発動した。アメリカが保護貿易に転じたことで、対抗上、各国も一斉に高関税を導入し、世界経済はブロック化が強まった。この後、世界貿易は停滞し、世界恐慌がさらに拡大するという逆効果を招いた。そして、第2次世界大戦へと向かうことになる。高校生の世界史の教科書に出てくる内容だ。歴史は繰り返すのか。

⇒9日(水)午後・金沢の天気    はれ

★春爛漫のにぎわい 金沢港にクルーズ船ラッシュ続く

★春爛漫のにぎわい 金沢港にクルーズ船ラッシュ続く

金沢市内の桜がようやく満開を迎えた。それにしもなんともマイペースでスローな開花ではある。ソメイヨシノが咲き始め、金沢地方気象台が開花を発表したのは3月29日のことで、平年より5日早い開花だった。いつもの年ならば開花から5日間ほどで満開となり見ごろを迎えるが、ことしは8日間かかって、今月6日にようやく満開となった。確かに4月に入ってから寒の戻りのような寒い日が続いたのでスローな満開となったのかもしれない。このおかげで、きょう8日までの予定だった兼六園の無料開放が13日の日曜日まで延長されるとニュースで伝えられている。(※写真・上は、兼六園近くの広坂通りの桜並木=8日午前10時ごろ撮影)

話は変わる。今月3日付のブログでも紹介した、金沢港へのクルーズ船の入港ラッシュ。きょうは17万㌧の巨大なクルーズ船が入港するとの情報(一般社団法人「金沢港振興協会」公式サイト)を見つけ、さっそく港へ見学に行ってきた。入港する場所は大浜埠頭というターミナルビルから北西に700㍍ほど離れた場所。警備員が数か所で配置され、見学者は埠頭に近づけないようになっていた。その代わり、少し離れた場所から見学できる港の高台に誘導された。

クルーズ船はスイス船籍の「MSCベリッシマ」(17万1598㌧・乗客定員4386人)で、すでに接岸していた=写真・下、午前8時30分ごろ撮影=。東京港を出発して大阪港、韓国・済州島を経由し、金沢港に寄港した。それにしても巨大だ。ネットで調べると、高さが67㍍、全長316㍍という国内に寄港するクルーズ船では最大級の規模を誇る、とある。ちなみに高さ67㍍はビルの高さにすれば20階建てに相当する。写真の左下に列をなして並んでいる大型観光バスが小さく見える。誘導された高台で撮影していると、迫力あるクルーズ船を見ようと見物人が次々と集まってきた。

観光バスを数えると別の場所で待機している分も含め60台ほどあった。おそらく、これから乗客は船から降り、バスに乗って兼六園や武家屋敷、妙立寺(忍者寺)、永平寺、立山といった北陸の観光名所を巡るのだろう。金沢港からは北陸自動車道へのアクセスもよいので、日帰りバスツアーに便利かもしれない。「MSCベリッシマ」はきょう午後5時ごろ、秋田・函館方面に向けて出港する。

北陸新幹線の金沢開業でゲートウェイ(正面玄関)は金沢駅とのイメージが強かったが、クルーズ船を眺めながら金沢港の「海のゲートウェイ」としての存在価値を認識した次第。今月11日には「ダイヤモンド・プリンセス」(11万5906㌧・乗客定員2706人)が寄港する。

⇒8日(火)午後・金沢の天気    くもり

☆花束を投げる、柔道家を投げる 絶妙に風刺を込めたバンクシー作品

☆花束を投げる、柔道家を投げる 絶妙に風刺を込めたバンクシー作品

アメリカのトランプ大統領が「解放の日(Liberation day)」と称して今月2日に世界各国からの輸入品に対して「相互関税」をかけると公表して以来、金融市場が荒れている。週明けのきょう7日も東証日経平均で2900円超下げで一時3万1000円を割り込んだ。メディア各社の報道によると、アメリカの相互関税に対して、中国もアメリカからのすべての輸入品に34%の追加関税をかけると発表していて、関税の応酬が世界経済の急激な減速につながるのではないかとの警戒感が市場関係者に広がっているようだ。

「弱気相場」に陥るのは2020年3月以来ではないだろうか。当時、新型コロナウイルスのパンデミックによる景気後退の懸念が広がった。ニューヨークの株価指数「S&P500」の下落率が7%を超えると自動的に売買を停止する「サーキットブレーカー(Circuit Breaker)」が何度か作動し、3月23日にはダウが1万8591㌦にまで下がり、東京株式も3月19日に1万6552円にまで下落した。今回の「トランプ関税」がもたらす不安定な値動きはいつまで続くのか。

先日(5日)金沢のデパートで開催されている「バンクシー新作版画展」の鑑賞に行ってきた。バンクシーは公共空間にスプレーと型紙で作品を描き去るストリートアーティストで知られ、正体が謎に包まれていることから、「覆面のパロディ画家」とも称されている。展示会場に入ると、主催者(「サロン・ド・ヴェール株式会社」)のスタッフから声をかけられ、何点かの作品の解説をいただいた。

チラシに掲載されている作品「FLOWER THROWER」=写真・上=は、野球帽を反対に被り、バンダナで顔を隠した男が花束を投げる様子が描かれている。2003年にパレスチナとイスラエルを分断する分離壁が建設された時に、反対する暴徒が火炎瓶を投げる描写がモチーフとされる。それをバンクシーは花束を投げるという描写に仕立てた。そのことによって、火炎瓶(暴力)よりも、花束(愛)を投げて戦えというポジティブなメッセージを作品に込めた、との解説だった。

もう一つ、これは面白いと思ったは作品「JUDO」=写真・下、チラシより=。柔道少年が大人の柔道家を投げるシーンが描かれている。2022年11月にウクライナの首都キーウ近郊にある街で発見された作品という。同年2月に始まったウクライナ侵攻でロシアは世界から批判にさらされることになる。プーチン大統領は柔道家としても知られる。少年がウクライナで大人の柔道家がロシアと見立てると、この絵は「ロシアに負けるな」というウクライナに対する応援メッセージが読み取れる。

バンクシーは大量生産や消費社会、そして時事性のある事柄を風刺してきたアーティストだ。そのバンクシー作品を堪能させてもらった。今月13日まで金沢エムザで。

⇒7日(月)午後・金沢の天気    はれ

★被災地輪島で野口健氏の野菜プロジェクト 民間新築に復旧・復興の足音

★被災地輪島で野口健氏の野菜プロジェクト 民間新築に復旧・復興の足音

能登半島地震や豪雨災害で被害を受けた能登のニュースを地元紙でチェックしている。とくに、被災住宅などを所有者に代わって自治体が解体や撤去を行う「公費解体」がどの程度進んでいるのか、復旧・復興のステップとなるだけに気になる。きのう(5日付)の記事で、「公費解体2万2485棟完了」の見出しで3月末時点で、解体見込み数の57%に当たる2万2485棟で完了したとの石川県の発表があった。詳細に読むと、豪雨分を含めた解体見込み数は3万9235棟で、解体率は前月から9ポイント上昇した。解体率を市町別でみると、穴水町が73%、珠洲市が67%、輪島市が59%、志賀町が57%などとなっている(※小数点以下は四捨五入)。

県ではことし10月までに公費解体を終わらせる予定だ。そこで、きのう「57%の現状」を見に輪島市に行ってきた。同市では自治体の中でも最も多い1万1267棟の解体を予定していて、解体作業には4、5人の作業グループが329班が市内に入っている。土曜日にかかわらず、多くのパワーショベルやトラックが忙しく動いていた。

これまで輪島の被災地へは何度か足を運んでいるが、これまでに見たことのない光景がいくつかあった。その一つが市内の中心部・河井町にある重蔵神社でのテントと人の行列だった=写真・上=。「KEN NOGUCHI」と横断幕がかかったテント。登山家の野口健が代表を務める環境と国際協力の団体「認定NPO法人ピーク・エイド」が主催して行っている震災支援の野菜プロジェクト。ネットで調べると、ピーク・エイドでは全国から有志の自治体を募り資金を調達し、輪島市内の業者から野菜を購入して市民に無料で配布している。すでに、40回余りに及んでいるようだ。

もう一つの光景が民間の新築。これまでブログでも紹介したように被災者は避難所から仮設住宅に住んでいて、さらに行政は公営住宅の建設にまもなく着手する。そんな中で、民間の新築と思われる建物を初めて見た=写真・下=。場所は輪島市街地の入り口にあたる県道沿いで、平屋建てだ。車を降りて眺めてみると、作業員が屋根の部分の作業に携わっていた。見た限りでは、住宅というより、アパートか、あるいは作業場のようにも見える。トントントン、カンカンカンと音がして、復旧・復興の足音のように感じた。

⇒6日(日)午後・金沢の天気    くもり時々あめ