#どぶろく特区

☆「たかがどぶろく、されどどぶろく 」 ブームの背景を読む

☆「たかがどぶろく、されどどぶろく 」 ブームの背景を読む

   きょう、能登半島の中能登町で開催された「どぶろく宣言」セレモニーというイベントに参加した。どぶろくは蒸した酒米に麹と水を混ぜ、熟成させた酒。ろ過はしないため白く濁り、昔から「濁り酒」とも呼ばれている。簡単に造ることはできるが、明治時代にできた酒税法によって自家での醸造酒の製造を禁止されいて、現在でも一般家庭で法律上は造れない。

   そのどぶろくが全国的にちょっとしたブームになっている。構造改革特区制度を活用した「どぶろく特区」が全国の市町村で増えている。特区では、農家レストランや民宿を経営する農家が酒造免許を得て造ることができる。ご当地の観光資源や「ふるさと納税」の返礼品として活用されている。

   もう一つブームの背景となっているが美容効果だ。どぶろくの旨味成分である「アルファ-EG」というタンパク質が皮膚のコラーゲン量を増やすという作用があり、ふくよかなつやつやした美肌になるという。冒頭の「どぶろく宣言」のイベントでも、どぶろくを愛用している地元の画家、書家、フードコ-ディネーターの女性3人が「どぶろく美容トーク」と題して、その効果について語った=写真=。会場には女性も多く訪れ、熱心に話を聴いていた。

   イベントを主催した町の観光協会どぶろく地域おこし推進プロジェクトでは、「アルファ-EG」が皮膚のコラーゲン量を増やすことを学術的に実証した金沢工業大学バイオ・化学部応用バイオ学科の研究者を招いてセミナーを開催するなど、どぶろくと美容効果をアピールしている。

   そもそもなぜ中能登町が熱心にどぶろくを発信しているのか。もともと、全国の神社では稲作の収穫を神に感謝する新嘗祭などの神事でお神酒として造られてきた、伝統の酒でもある。現在も全国30社余りで連綿と造り続けていて、北陸で4社、そのうちの3社が中能登町にある。町はどぶろく特区にも認定されていて、こうしたどぶろくの伝統を地方創生に活かせないかと活気づいている。

   2025年1月には全国どぶろく研究大会の誘致が決まり、全国80銘柄のどぶろくを集めて飲み比べのイベントなど開催するようだ。どぶろくは酒マニアのおじさんの酒というイメージがあるかもしれないが、ここまでくると能登の新たな地域資源として応援したいという気持ちになる。「たかがどぶろく、されどどぶろく」 どぶろくの新たな一面だ。

⇒12日(火)夜・金沢の天気    くもり

☆10月26日「どぶろくの日」たかがどぶろく、されどどぶろく

☆10月26日「どぶろくの日」たかがどぶろく、されどどぶろく

          神事に捧げるどぶろくを造る神社は全国で30社ほどといわれる。能登半島でも3社が連綿とどぶろくを造っている。天日陰(あめひかげ)比咩神社は12月5日の新嘗祭で、能登部神社は11月の神事「ばっこ祭り」でそれぞれどぶろくをお神酒としてして参拝者に振る舞っている。また、能登比咩神社は、神社の御祭神が能登を訪れた神々を「ひえ粥(がゆ)」とどぶろくでもてなしたという言い伝えがあり、造り続けている。この3社は半島の中ほどにある中能登町にある。町の観光協会ではこの地こそ能登のどぶろくの発祥地として、「どぶろくルーツ展」(来月1日から26日)を初めて開催する。

   その前哨戦としてきょう「10月26日」に「どぶろく利き酒交流会」が神社で開催された。「10月26日」は数字の語呂合わせで「どぶろくの日」とされている。どぶろくファンが金沢などから30人余り集まり、利き酒を行った。会場には石川県のほか、富山県と和歌山県の計14種類のどぶろくが用意されていた。中能登町は9年前の2014年に「どぶろく特区」に認定されていて、3つの神社のほかに民宿や飲食店を営む農家がどぶろくを造っている。無農薬のコメを原料として使う生産者の話を聞きながら、どぶろくファンたちは飲み比べを行っていた。

   どぶろくファンの中で女性が目立った。金沢から訪れた女性から話を聞いた。どぶろくを飲むきっかけは、この酒が、ふくよかなつやつやした美肌になると聞いてからだとか。どぶろくの旨味成分であるタンパク質「アルファ-EG」が皮膚のコラーゲン量を増やすという作用があるのだという。

   どぶろくは蒸した酒米に麹と水を混ぜ、熟成させた酒。ろ過はしないため白く濁り、昔から「濁り酒」とも呼ばれている。どぶろくは簡単に造ることはできるが、明治時代にできた酒税法によって、自家での醸造酒の製造を禁止され、現在でも一般家庭では法律上造れない。

   これも会場で生産者の一人から聞いた話だが、構造改革特区制度を活用した「どぶろく特区」が全国の市町村で増えている。生産者は、農家レストランや民宿を経営する農家が酒造免許を得てどぶろくを造ること決まりとなっている。ご当地の観光資源や「ふるさと納税」の返礼品として活用されていて、全国的にどぶろくブームになっているのだとか。

   冒頭で紹介した中能登町の観光協会が主催する「どぶろくルーツ展」では来月18日に町の3つの「どぶろく神社」をめぐり、生産者を訪ねる「どぶろくツアー」(定員25人)を企画したところ、全国から希望者が集まり、ほぼ満員の状態とか。「たかがどぶろく、されどどぶろく」。確かにブームが起きているのかもしれない。(※写真は、中能登町の天日陰比咩神社のどぶろく藏で)

⇒26日(木)夜・金沢の天気    くもり

★日本酒を極めて行きつく酒「どぶろく」の価値

★日本酒を極めて行きつく酒「どぶろく」の価値

   能登半島の中ほどに位置する中能登町には、連綿と「どぶろく」を造り続けている神社が3社ある。五穀豊穣を祈願する新嘗祭に供えるお神酒で、お下がりとして氏子に振る舞われる。同町ではこの伝統を活かして2014年に「どぶろく特区」の認定を受け、いまでは農家レストランなど営む農業者が税務署の製造免許を得て醸造している。きょう同町で、どぶろくの研究をしている金沢工業大学の尾関健二教授(応用バイオ学)の講演会があった。どぶろくの驚くべき効能についてだった。

   どぶろくは、蒸した酒米に麹(こうじ)、水を混ぜ、熟成するのを待つ。ろ過はしないため白く濁り、「濁り酒」とも呼ばれる。そのどぶろくが大ブレークするかもしれない。以下、尾関教授の講演から。金沢工大学と酒造会社との共同研究で、日本酒の旨み成分「α-EG(アルファーイージー)」が皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことが学術的に実証された。さらに、どぶろくにはコメ由来のレジスタントプロテイン(RP)が濃縮されており、α-EGとRPが合わさることで、適量で数週間にわたって肌にはりやつやが高まる。とくに、年配層の女性の美容効果が大きいことも判明した。これはどぶろくの付加価値といえる。

   どぶろくの歴史は古い。中能登町は能登における稲作文化の発祥の地でもある。1987年に「杉谷チャノバ タケ遺跡」の竪穴式住居跡から、黒く炭化したおにぎりが発掘された。化石は約2000年前の弥生時代のものと推定され、日本最古のおにぎりと話題になった。毎年8月に営まれる「鎌打ち神事」は、鎌で平野を開墾し、田んぼの害虫などが退散することを願った神事とされる。どぶろくを造り、収穫を神々に感謝する祭りがこの地の3つの神社で脈々と続いている。

   そうしたどぶろくの歴史と付加価値をもっとPRしようと、同町の観光協会が中心となって、12月12日を「どぶろく宣言」の日と定めてキャンペーンを行っている。尾関教授の講演もそのプログラムの一つだった。肌の美容効果という付加価値もさることながら、日本酒を極めて行くと、最終的に行きつく酒、それが「どぶろく」ではないかと、講演を聴いて思った次第。(※写真は、中能登町の天日陰比咩神社でつくられているどぶろく)

⇒4日(土)夜・金沢の天気     あめ時々あられ