#♯コラム

★復興の第一歩は食から 「福幸丼」がメニューの珠洲市の共同食堂に行く

★復興の第一歩は食から 「福幸丼」がメニューの珠洲市の共同食堂に行く

  きょう「すずなり食堂」に行ってきた。能登半島の尖端、珠洲市で開設された仮設店舗の食堂だ=写真・上=。能登半島地震で被災し休業を余儀なくされた市内の飲食店が協業するカタチで共同で食堂を始めた。地震前は、「グリル瀬戸」「レストラン浜中」「庄屋の館」「典座(てんぞ)」と特徴と歴史がある4店だったが、それぞれ被災したため合同会社「すずキッチン」を設立して、きのう(6日)から「すずなり食堂」の運営を始めた。

  地元メディアの報道によると、仮設店舗は270平方㍍の平屋で、中小企業基盤整備機構の補助金を活用して珠洲市が建設。原則無償で入居でき、光熱費や内装費などは事業者が負担する。合同会社の代表は、典座を営んでいた坂本信子氏。これまで典座で何度も能登の料理をたしなんだことがあり、気安くすずなり食堂を開店した経緯について話を聞いた。「地域の復興の第一歩は食からと思い、共同で食堂を立ち上げました。自分たちの暮らしを取り戻し、珠洲の観光や生活が元に戻るようにしたいですね」と話した。

  平屋のプレハブの建物には、共同の食堂と弁当専用の工房があり、食堂に入った。食券の自動販売機があり、「福幸(ふっこう)丼」を注文した=写真・下=。「福幸」は「復興」を意味している。2750円。値段としては高いが、地元で獲れたエビやブリなど新鮮な魚介類をふんだんに乗せた海鮮丼だ。市内の食堂はほとんどが休業状態ということもあり、店はとても繁盛していた。合同店の厨房に立つ板前さんたちも生き生きとした感じで動き回っていた。

  メニュー表を見ると、「福幸丼」のほかに、「タコカツ丼」(1430円)、サバ塩焼き定食(1100円)、カツカレー(1380円)、かき揚げうどん(860円)などメニューは10種。それぞれの店が得意とするメニューが並ぶ。中でも、注文が多かったのはタコカツ丼だった。これは、上記の4店のうちの「庄屋の館」が得意とするメニューで、タコをカツにして独特のソースをかける特徴ある逸品だ。そんな話題性もあったせいか店は大繁盛で、自身は20人待ちの状態だった。

  店の雰囲気は明るかった。上記の坂本さんが「復興の第一歩は食から」と言ったように、店の中では笑い声も聞こえ、家族連れのほかに若い人たちや業者らしき人たち、おばさんたちのグループなどさまざまが顔ぶれがあった。復興への希望を感じる雰囲気があった。今度はタカコツを食べに来よう。

⇒7日(土)夜・金沢の天気   はれ

★ラニーニャの冬来る

★ラニーニャの冬来る

   このような雪の積もり具合を北陸では「うっすら積もった」と言う。金沢の自宅周辺の積雪は数㌢ほど。屋根や樹木は少し雪を被った程度で、路面は積雪にはいたっていない=写真、午前10時20分ごろ撮影=。うっすら積もる雪のことを淡雪(あわゆき)と表現したりもするが、これは季節的に冬が終わり、春先にうすく積もる雪のことを指すので、「春の淡雪」と言う。冬の始まりの時節では使わない。これは雪国に実際住まないと理解できない感覚かもしれない。

   ニュースによると、石川県内の午前中の積雪は、白山市河内で8㌢、加賀市菅谷で6㌢、金沢市で2㌢、輪島市と珠洲市でそれぞれ1㌢となっている。白山麓の山の福井県との県境付近にある白山市の谷峠で57㌢の積雪を観測している(18日・NHKニュース)。山手に積雪が多い場合は山雪(やまゆき)、平地の方が山手より多く積もる場合を里雪(さとゆき)と言ったりする。

   それにしても寒い。気象庁ホームページによると、きょうの金沢の最高気温は4度の予想だ。今シーズン一番の寒気が流れ込んでいる上、冬型の気圧配置が強まっている。そして、きょうはおさまっているが、きのう午後から雷がよく鳴っていた。北陸では「雪出しの雷」と言う。ちなみに、気象庁の雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1991-2020年)によると、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ。

   冒頭で述べたように、きょうの初積雪が「うっすら」だったからこの先も安堵できるかと言えばそうではない。気象庁は先月10日に太平洋の南米ペルー沖の監視水域で海面水温が低い状態が続き、世界的な異常気象の原因となるラニーニャ現象が発生したとみられると監視速報を発表している(11月10日付・時事通信Web版)。ラニーニャの年には豪雪がやってくる。直近で言えば、去年の冬は北陸では24時間で1㍍以上の降雪となり、観測史上1位の記録を更新した。2017年から2018年かけては福井県で豪雪となり、北陸自動車道で1500台の車が立ち往生。さらにさかのぼれば、あの1981年の「五六豪雪」も1963年の「三八豪雪」もラニーニャだったと言われている。

    ラニーニャが本格化するこれからの白い世界に身震いする。「ラニーニャ」冬将軍、いよいよ来たる。来るなら来い。こちらも戦闘態勢だ。

⇒18日(土)午前・金沢の天気    くもり