☆カラスに追われコウノトリ引っ越し、5月放鳥のトキは大丈夫か
ことし5月31日に佐渡のトキが本州で初めて能登で放鳥されるまで、あと2ヵ月と1週間余りとなった。環境省と石川県のスケジュールによると、国の特別天然記念物であるトキの放鳥については1回目となる5月31日には20羽、2回目は9月で10羽を予定している。1回目の放鳥場所は能登半島の中ほどに位置する羽咋市南潟地区の邑知潟(おうちがた)周辺で行われる。放鳥式を同市の余喜グラウンドゴルフ場で実施し、皇族を招く予定で交渉中のようだ。2回目の放鳥の詳細な日程と場所は調整中という。

環境省公式サイトの報道発表資料(2月24日付)によると、放鳥に向けた「野生順化トレーニング」は今月3日から佐渡トキ保護センターで始まり、1歳から13歳の20羽(雄12羽、雌8羽)が訓練を受けている。トレーニングは野生の環境に近いケージ「野生復帰ステーション」内で約3ヵ月間行われ、飼育下で育ったトキが自立して生存できるように、自らエサを取る能力などを養う。その後、能登に移送され、5月31日に邑知潟周辺で放される。発表資料によると、雌の8羽はすべて1歳で繁殖の適齢期でもある。トキの繁殖時期は12月後半から半年ほどとされる。うまく営巣の条件が整えば来春に能登生まれのトキの繁殖が期待できるのかもしれない。(※写真・上は、2021年10月に佐渡で観察したトキ)
ただ、鳥類の専門家でもない自身が述べるのは誤解を与えることにもなるかも知れないが、気になることがある。先日(3月10日)にコウノトリの営巣の様子を観察に行ってきた。場所は能登半島の志賀町の山中。2022年に同町で初めて営巣した親鳥は兵庫県豊岡市で生まれた雄と、福井県越前市生まれの雌であることが足環から分かっている。ことしは5年目になるので、いつもの電柱の上に営巣しているだろうと思い、現地に行った。ところが、その電柱に巣がない。60㍍ほど離れた、別の電柱の上に巣があった=写真・下の右側=。

近くで放牧を営むに男性に「なぜ引っ越したんですかね」と尋ねると、意外な返事だった。「2月ごろからカラスとケンカをしている様子を何度か見かけました。その影響で引っ越したんですかね」とのこと。いわゆる「縄張り争い」があったようだ。前の電柱の巣は、コウノトリがいなくなったので電力会社が除去したようだ。新しい営巣地(電柱)にコウノトリが飛んでこないか観察していると、写真の手間の電柱にカラスが飛んできて、巣の様子をうかがっていた=写真・下の左側=。
気になるというのも、鳥類のテリトリー争いのことだ。カラスにとってはコウノトリは新参者だ。エサの取り合いということもあるのだろう。カラスはコウノトリが気にくわない様子だ。そこで案じるのは、トキの放鳥だ。邑知潟に先日行くと、カラスが飛び交っていた。ここに新参者のトキが入ってきて、カラスから疎まれたり、嫌がらせを受けないだろうか。
環境省公式サイトの「アクティブ・レンジャー日記」(2018年3月9日付)にはこんな記述がある。「カラスは、トキの放鳥が(佐渡で)始まった2008年から、トキの天敵とされてきました。トキを追い回し、トキの卵を盗んだり、トキのヒナを攻撃して死なせてしまったりと、佐渡では悪者のイメージが強い鳥です。しかし、放鳥10周年を迎える2018年現在、トキを追いかけるカラスを見ることはほとんどなくなりました。トキの数が佐渡島内でも増加し、カラスにとって見慣れた鳥になったからかもしれません」。佐渡で起きたことと同じようなことが能登で起きることは想像に難くない。お互いが融和するまでには時間がかかりそうだ。
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