2026年 2月 24日の投稿一覧

☆黄砂の季節がやってきた 厄介者だが海や空に恵みをもたらす

☆黄砂の季節がやってきた 厄介者だが海や空に恵みをもたらす

ばんやりと黄砂でかすんで見えるのはきのうの金沢市内の様子だ(※写真は、23日午後4時ごろ大乗寺丘陵のふもとから撮影)。車のフロントガラスなどは白くなっていて、ガソリンスタンドの洗車場には列ができていた。いよいよ黄砂の季節がやってきた。

黄砂は、大陸のタクラマカン砂漠など中国の乾燥地域で巻き上げられ、偏西風に乗ってやってくる。わずか数マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1ミリ)の大きさの砂だが、日本に飛来するまでに、さまざまに変化する。その一つが「汚染物質の運び屋」。日本の上空3㌔で捕らえた黄砂の表面には、硫黄酸化物が多くついていて、中国の工業地帯の上空で亜硫酸ガスが付着したものと考えられている。もう一つ、黄砂は微生物を乗せてやってくる。研究によると、中国の敦煌上空で採取した黄砂のおよそ1割にDNAが付着していて、そのDNAを解析すると、カビや胞子であることが分かった。

日本海に面した北陸は黄砂との歴史的な付き合いも長い。金沢では古(いにしえ)より黄砂を忌み嫌ってきた。江戸時代からの金沢の老舗料亭では黄砂を「唐土(とうど)の鳥」となぞらえたこんな歌が伝わる。七草粥をつくる際に、調理場の七つ道具で音を立てながら歌う。「ナンナン、七草、なずな、唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先にかち合せてボートボト」。旧暦正月6日の晩から7日の朝にかけて唐の国(中国)から海を渡って、悪い病気の種をまき散らす鳥が日本に飛んで来る、渡って来る前にやっつけて撃ち落とせ、という意味のようだ。(※図は、23日午前3時の黄砂情報=気象庁公式サイトより)

黄砂は「厄介者」とのイメージがあるが、生態系の中ではたとえば、魚のエサを増やす役割もある。3月と4月には大量の黄砂が日本海に注ぎ、「ブルーミング」と呼ばれる現象が起きる。海の表面が一面に白くなるほど植物プランクトンが大発生する現象だ。黄砂の成分とされるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促される。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという海の食物連鎖が起きるという研究がある。確かに、地球規模からすれば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜクジラやサメ、ブリ、サバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に生息するのか、いろいろ要因もあるが、黄砂もその役割を担っているのかもしれない。

また、黄砂研究から商品化されたものもある。黄砂に乗って浮遊する微生物、花粉、有機粉塵などは「黄砂バイオエアロゾル」と呼ばれる。金沢大学のある研究者はその中に発酵に関連する微生物がいることを発見し、採取したバチルス菌で実際に納豆をつくり、商品化した。空から採取したので商品名は「そらなっとう」。納豆特有の匂いが薄いことから、機内食としても使われている。日本の納豆文化のルーツはひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの研究者の解説を聞いて、妙に納得した。

⇒24日(火)午前・金沢の天気   はれ