2025年 12月 の投稿一覧

★首都直下地震で大停電1600万軒 キャッシュレス時代の「不都合な真実」

★首都直下地震で大停電1600万軒 キャッシュレス時代の「不都合な真実」

首都直下地震が東京で起きたらどうなるのか。政府の中央防災会議の作業部会「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」が19日、被害想定と対策についての報告書を公表した。ページをめくると、冒頭で「首都直下地震は、その被害想定からして、まさに国難級の災害」と記している。この国難級地震とはどのような事態なのか。

報告書によると、地震の揺れや火災に伴う死者は最大1万8000人となり、前回想定(2013年)より5000人減っている。住宅や多くの人が利用する建物の耐震化率が約90%(全国平均)に向上していることを挙げている。今回初めて試算された災害関連死は最大4万1000人としている。報告書は「避難行動や避難生活に伴い心身の負担が増えたり、平時に受けていた医療や看護、介護サービスを受けられなくなって健康状態が悪化したりするなど、多数の災害関連死が発生するおそれがある」と記している。

「これは問題」と注目したのが、「停電」について。関東9都県で前回想定の1220万軒より1.3倍増え、1600万軒に及ぶ。通信やインターネット環境を直撃することになり、復旧が遅れれば首都の政府・行政の中枢機能や企業の本社機能、経済活動などに多大な影響が出る。そして、照明のない生活となり、通勤通学の電車も止まる。(※写真は、能登半島地震で倒れた電柱。地震直後に最大で約4万軒が停電した)

報告書での停電に関する項目を読んで、能登半島で起きた「事件」を思い出した。地震が発生した去年元日の夜、ある県立高校に設置されていた自動販売機3台が避難してきた住民らによって破壊され、飲料が持ち出された。停電で硬貨を入れても自販機は使えず、しかも地域は断水となっていた。同校は指定避難所ではなかったので、水や食糧などの生活必需品の備蓄品はストックされていなかった。自販機は、災害時には鍵で扉を開け、無料で商品を取り出せる「災害支援型」だった。その鍵は学校が飲料会社から預かり、事務室で管理していたが、正月休みで職員はいなかった。寒く、暗く、水も食糧もない中での事件。飲料会社は壊した人たちに賠償請求はしなかった。

小さな事件だが、首都直下地震で停電が起きれば、能登で起きたようなことが各地で起きるかもしれない。消費支出額に占めるキャッシュレス決済比率は43%にまで増加している(※経産省「2024 年のキャッシュレス決済比率を算出」)。そのキャッシュレス決済が震災後の大規模停電で使えず、現金以外での決済は出来なくなる。ATMで現金を下ろせない。コンビニやスーパーは混乱するのではないだろうか。震災と停電がもたらす「不都合な真実」ではある。

⇒21日(日)夜・金沢の天気  あめ

☆ホットな話題 季節外れ金沢22度/加賀料理が国文化財に

☆ホットな話題 季節外れ金沢22度/加賀料理が国文化財に

けさから生温かな風が吹いている。天気は晴朗で、予報ではなんと22度にまで上がるとのこと。季節外れの暖かさだ。写真は午前10時30分ごろに撮影した金沢の近所の様子。雪吊りされた五葉松とさんさんと照らす太陽が妙に絵になっている=写真・上=。それにしても、きのう(19日)朝は石川県内各地が氷点下となり、輪島市ではマイナス2.2度の冷え込みとのニュースが流れていた。それがきょうは一転、暖かい空気が流れ込んで、平年よりも10度ほど高く、10月下旬並みの暖かさとの予想だ。きのうは外出にダウンジャケットを着ていたが、さて、きょうはどうするか。仕舞った上着を出すか。

ホットなニュースも。以前このブログ(ことし10月25日付)でも述べたが、金沢では伝統料理のことを「じわもん」と呼ぶ。伝統の料理は、小麦粉をまぶしたカモ肉を煮込んで作る「治部煮(じぶに)」や、魚のタイを背開きし、具材入りのおからを腹部に詰めて蒸し上げる「鯛の唐蒸し(たいのからむし)」=写真・下=などがある。こうした金沢の料理は「加賀料理」とも称される。その加賀料理が国の登録無形文化財に登録されることになった。国の文化審議会は10月24日、文部科学大臣に答申し、今月18日の官報に告示、正式に登録された。登録無形文化財制度は2021年に新設され、料理関係では「京料理」に次いで2例目となる。

もう一つ、上げの話題。日銀はきのう19日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0.5%から0.75%に引き上げると決めた。30年ぶりの高さとなる。植田総裁は決定後の記者会見で今の金利水準がまだ金融環境を引き締めていないとの認識を示し、利上げ路線を続ける意向を述べた(メディア各社の報道)。

欧米の中央銀行が高い政策金利を維持する一方で、日本が極めて低い金利を続けていれば、資金はより高い利回りを求めてドルなどの外貨へと流れる。これが円安を加速させ、食糧やエネルギーなどの輸入価格の高騰の要因となっている。まさに、日々の生活を直撃しているインフレ、物価高の根源だ。なので、円安にブレーキをかけるために利上げへと舵を切った。しかし、利上げには痛みも伴う。住宅ローンのある人は利払い負担が増加する。そして、実質的なゼロ金利で延命してきた、借入金依存度の高い企業にとって金利が上がれば、利払いは困難になる。逆の見方をすれば、「金利ある世界」への回帰は日本経済の転換点となるのではないだろうか。

⇒20日(土)午後・金沢の天気    はれ時々くもり

★のとキリシマツツジを守るNPO法人に「松下幸之助賞」の栄誉

★のとキリシマツツジを守るNPO法人に「松下幸之助賞」の栄誉

深紅の花をつける能登の花木と言えば、「のとキリシマツツジ」が代表的だ。素封家の家々では座敷から眺めるこの花木を大切に育ててきた。かつて九州地方から伝わったキリシマツツジの亜種とされる。街路で見かけるツツジよりも花は小さく、真っ赤な花を咲かせるのが特徴。樹木の成長は遅く、樹齢400年でも高さは3㍍ほどとされる。見事に咲き、しかも小ぶりなので庭木の主役の一つとして能登では重宝されてきた。

のとキリシマツツジの保全活動に取り組んでいるNPO法人「のとキリシマツツジの郷」(能登町)が、松下幸之助記念志財団による「第34回松下幸之助花の万博記念賞」の松下正治記念賞に選ばれたと地元メディア各社が報じている(今月17日付)。記念賞は、自然と人間の共生に貢献する活動をテーマに個人や団体を表彰している。今回、NPO法人がのとキリシマツツジの古木調査や保護、普及活動に長年取り組んできたことが評価された。

毎年3月中ごろに、のとキリシマツツジの鑑賞会が金沢市で開催されている=写真=。能登の庭では4月中ごろから5月中旬にかけて見頃を迎えるが、植木鉢を温室に入れることで開花時期を調整し、早めのお披露目となる。金沢の市民にもこの花木のことを広く知ってもらい、実際に能登に足を運んでほしいという想いを込めている。受け入れる能登では、この時期に庭先を開放する「オープンガーデン」を実施し、家々で自慢ののとキリシマツツジの古木などが観賞できる。能登半島地震で家々は少なからず被災したものの、来年ものとキリシマツツジはいつものように美しく迎えてくれるだろう。

話は変わる。今月16日に開かれた石川県議会の予算委員会で自民党の重鎮議員が、金沢市内にある陸上自衛隊の駐屯地を能登に移転してはどうか提案した。これに対し、馳知事が「議論を喚起する価値がある」と答えたことが議論を呼んでいる。地元メディア各社の報道によると、提案した福村章県議は「能登半島地震からの復興には起爆剤となる事業が必要だ」と前置きし、「隊員と家族で2000人を超える移住で、能登の活性化を見込める」と強調した。

この発言をニュースで知って、「孤立」という言葉が浮かんだ。これは能登地震で大きな問題となったが、半島という地形で主要道路が崩壊するなどした場合、半島の尖端部分h孤立化する。実際、金沢と能登を結ぶ自動車専用道路「のと里山海道」は北部を中心に道路が20ヵ所余りで崩れ、通行可能になるまで7ヵ月余りを要した。今後、この提言はどのように展開していくのか。

⇒19日(金)夜・金沢の天気  はれ

☆政権肝いりでガソリン値下げ、卵価は高値続くも次なる一手は  

☆政権肝いりでガソリン値下げ、卵価は高値続くも次なる一手は  

近所のガソリンスタンドの前を通ると、「会員価格151円」の表示が出ていた=写真・上=。会員ではないが、安くなっているので給油した。非会員の単価は1㍑156円だ。同じスタンドで11月27日に給油したときは161円、10月24日は173円だったので、この数ヵ月で随分と価格が下がった。金沢市内でガソリンの小売価格が150円だったのは2021年と記憶しているので、4年ぶりではないだろうか。

先日からのメディア各社の報道によると、政府は物価高対策として、ガソリン税の暫定税率25.1円を12月31日に廃止して補助金支給を終え、年明けの2026年1月1日には、減税対応に移行するとのこと。これを受けて、金沢市内でも1㍑当たりの販売を140円台を表示するスタンドも現れたようだ。高市政権の肝煎りのガソリン値下げ政策ではある。果たしてガソリンの値下がりは年明けも続くのか。ガソリンスタンド業界への影響はないのだろうか。EVやハイブリッド車の普及でガソリン需要そのものが減少しているだけに業界は今後どのような動きを見せるのか。

一方、鶏卵は高値止まりが続いている。「物価の優等生」と称され、長らく価格が安定していた。スーパーでは10個入りパックが200円前後で売られていて、特売日では160円だった。それが、2022年12月ごろから1パック「269円」、今では「店長おすすめ品」ではあるものの、1パック299円(税込み323円)だ=写真・下=。

鶏卵の高値の理由は理解できなくもない。ニワトリの飼料の多くを海外からの輸入に頼っていて、円安やロシアによるウクライナ侵攻の影響などで輸入飼料の価格が高騰、さらに国内での鳥インフルエンザの影響が価格高騰をまねているとメディアが繰り返し報じている。

その鶏卵の価格高騰で新しく出てきた言葉が「冷凍液卵」。卵の殻を取り除いた「液卵」を冷凍することで保存期間を1年半程度延ばすことができる。夏に鶏卵の需要が減るのでこの時期に業界では液卵を製造し、冬場の需要期に売り出している。この冷凍液卵の生産を増やすことで秋から冬の卵の価格が安定するとの見方から、農水省では今年度の補正予算案に4億5000万円を盛り込み、業者が冷凍液卵の保管施設を新設する際に補助金を出すことにしている。

確かに冬場はケーキなどの洋菓子需要が高くなり鶏卵も高騰するが、それを鶏卵の需要が下がる夏場でつくった冷凍液卵で補うことで卵価を抑える。果たして話はうまく運ぶのか。

⇒18日(木)夜・金沢の天気    くもり

★あの歌手が広報誌におちゃめなポーズ /「絶景海道」通行可能に

★あの歌手が広報誌におちゃめなポーズ /「絶景海道」通行可能に

きのう(16日)所用で中能登町役場を訪れた。入り口で町の広報誌があったので手に取ると、表紙を飾っていたのは歌手の一青窈さんだった=写真・上=。おちゃめなポーズで。2ヵ月前のブログ(10月12日付)でも記したが、この町は一青窈さんの先祖の地でもあり、「一青」という地名もある。彼女はこの町出身の母親と台湾人の父親との間で生まれた。ヒット曲に『ハナミズキ』という曲があるが、この町にも「花見月(はなみづき)」という地名の田園地帯が広がる。

10月12日に開催された町制20周年記念の音楽イベントでは、メインゲストとして出演。町と関わるエピソードも披露した。『もらい泣き』でデビューした時、町の酒造蔵から純米吟醸酒「一青(ひとと)」をお祝いにもらい感動したと話した。そして、去年元日の能登半島地震の被災者が入る仮設住宅を訪れ、入居する人たちと交流したことにも触れていた。

では、なぜ広報の表紙がJR七尾線の駅「能登部」でのポーズ写真なのか。これは町の人は知っていることだが、町ではJR西日本金沢支社に働きかけ、2015年に列車の発着を知らせるメロディーを『ハナミズキ』に変更してもらった。町内にある良川、能登二宮、能登部、金丸の4つの駅で、電車が通るたびにこのメロディーが流れる。「♪果てない夢が ちゃんと終わりますように 君と好きな人が百年 続きますように」。駅で列車が近づいてくると、このメロディーがじんわりと心に響いてくる。一青窈さんはこのことを聞いて駅に確認に行き、メロディーが流れるのを聴いてうれしくなったのかもしれない。それがこのおちゃめなポーズに。

話は変わる。 能登半島をめぐる幹線道路の国道249号は能登地震、そして同年9月の記録的な大雨により一部区間で不通が続いていたが去年12月末から全線で通行が可能になった。ただ、一部区間は1車線となり、地元住民や緊急車両に限っての利用となっていた。それが、今月23日から一般車両も通行が可能になる。

その一部が半島の尖端で「塩田村」として知られる珠洲市仁江町と観光ホテルなどがある同市真浦町を結ぶ2.7㌔の道路。本来通っていたトンネルが土砂で埋まり通行不能となっていたが、国土交通省がトンネルの海側沿いにバイパス道路を造成していた。日本海の荒波が岩場に当たって舞い上がり、地震で崩れた山の岩肌がむき出しになった場所をバイパス道路で通る=写真・下=。素人目線でも「絶景」という言葉が浮かんでくる。そして、この光景はまさにジオパーク(Geopark)ではないだろうか。大地の造形物が何千年、何万年と歴史を刻みながら少しづつ姿を変えきたのだと実感する。一般車両も通行可能になる絶景海道をぜひ車で走ってみたい。

⇒17日(水)午後・金沢の天気   くもり

☆東北の「後発地震」注意から1週間余 能登では震度4の揺れ

☆東北の「後発地震」注意から1週間余 能登では震度4の揺れ

青森県東方沖を震源とするマグニチュード(M)7.5の地震発生からきょうで8日となる。北陸に住んでいて気になっていたのは、内閣府と気象庁が今月9日午前2時に出していた「後発地震注意情報」だった。北海道沖から三陸沖にかけて巨大地震が発生する可能性が平常時よりも高まったとして、事前避難は求めないものの、今後1週間、避難経路の確認や家具の固定など地震への備えを呼びかけていた。きょう16日午前0時でこの「特別な備え」の呼びかけは終了したことになる。

「北海道・三陸沖後発地震注意報」の呼びかけは2022年12月に国が運用を始め、今回初めて発表されたものだった。国による「特別な備え」の呼びかけが終了したとしても大規模地震が起きる可能性がなくなったわけではなく、突発的に巨大地震が発生することはありうる。政府の地震調査委員会では、今後30年間に青森県東方沖などでM7.9程度の巨大地震が起きる確率は「20%~40%」と予測している。

能登半島の地震にも注意したい。14日午後11時26分に石川県志賀町で震度4の揺れがあった。自身が住む金沢もグラッと揺れ、震度1だった。震源は能登半島沖で、震源の深さは約10㌔、M4.9と推定される。その後、15日午前4時3分に能登半島沖が震源のM4.7、震度3の地震があった(気象庁公式サイト「地震情報」)。(※図は、青森県とその周辺の主な被害地震=地震調査研究推進本部公式サイト「青森県の地震活動の特徴」より)

地震と合わせて警戒するのが津波だ。ことし7月30日にロシアのカムチャツカ半島付近で発生したM8.7の巨大地震で、震源から1500㌔離れた日本でも津波警報が発令された。太平洋沿岸部に津波の影響が広く及んだが、このとき、これが日本海側を直撃していたらどうなったことかと考えてゾッとしたものだ。

日本海に突き出る能登半島ではこれまでも地震による津波の惨事に見舞われている。石川県庁がまとめた『石川県災異誌』(1993年版)によると、1833年12月7日に新潟沖を震源とする大きな津波があり、半島尖端に位置する珠洲市では流出家屋が345戸、死者は約100人に上ったとされる。1964年の新潟地震や1983年の日本海中部沖地震、1993年の北海道南西沖地震でも珠洲に津波が押し寄せている。このため、同市では海岸沿いの道路に「想定津波高」という電柱看板を付けている。中には「想定津波高 20.0m以上」もある=写真=。同市では2018年1月に「津波ハザードマップ」を改訂した際にリスクがある地域への周知の意味を込めて電柱看板で表記した。

半島の尖端という立地では、震源地が遠く離れていたとしても常に津波を警戒する心構えが必要なのだ。地震の被害は揺れによるものだではない。地域によって被災のパターンは異なる、そんなことを教えてくれる「津波看板」ではある。

⇒16日(火)午前・金沢の天気   くもり時々はれ

★金沢で「ひと、能登、アート。」展 震災と復興の音がテーマの作品も

★金沢で「ひと、能登、アート。」展 震災と復興の音がテーマの作品も

あと2週間余りで去年元日の能登半島地震から3年目を迎える。能登の復興を支援しようというさまざまが動きが見られるが、アートもその一つ。特別展「ひと、能登、アート。」=写真=が兼六園周辺に位置する石川県立美術館、金沢21世紀美術館、国立工芸館の3館でいま当時に開催されている。3館で同じテーマの展覧会も珍しいが、国宝を含めた文化財から現代アートまで86点の作品は都内を中心とした30の美術館などから寄せられたもの。となると、この機会を逃すと一生見ることができないかもしれないと思い立ち、鑑賞に出かけた。

3館同時の開催は今月13日から21日までの9日間。最初に足を運んだのは21世紀美術館。14日午前11時から東京国立博物館の主任研究員、高橋真作氏の作品解説があった。作品15点の中で大作なのが、版画家の棟方志功が1953年に完成させた『幾利壽當頌耶蘇十二使徒屏風』(五島美術館所蔵)。.棟方志功の作品は仏教をイメージした作品が多いが、キリスト教をテーマとしたものもあり、その一つ。高さ3㍍に幅1.8㍍という珍しい縦長の屏風にキリストの弟子である十二使徒の様子が描かれている。棟方志功は先の大戦で東京から富山県福光に疎開したことでも知られる。これまでの作品は戦災の東京で焼失したが、それでも気力を失うことなく、福光で作品づくりに励んだ。作品の大きさからも力強さを感じさせる。

「震災と戦災の違いはあるものの、棟方志功の作品が能登半島地震で被災された方々の励ましになれば」と高橋氏は述べていた。高橋氏は能登地震の後、能登で被災した文化財を救い出す「文化財レスキュー」の一員として能登に通ったそうだ。

このほか、21世紀美術館には、ルノワールの『ばらをつけた女』(国立西洋美術館所蔵)などの西洋の名画が並んでいる。「さすが21美」と思ったのが、現代アートも展示していること。アーティストの井上涼氏が実際に能登の地へ3度足を運んで取材・制作をした動画『ネコ耳をつけたウミネコのウネミちゃん』が上映されている。金沢美大の卒業生として、4年住んだ石川県への復興支援の想いを込めた。能登の現地で聞こえる音を録音して、それをもとにストーリーと歌をつくりアニメーション作品を仕上げた。

井上涼氏は21美の公式サイト「ひと、能登、アート。」でコメントを寄せている。「建物の解体の音もあれば、昔から変わらず聞こえるであろうごはんの支度をする音もありました。私の『復興支援』は作品をつくることで一つピークを迎えますが、このさきゆっくりと続けていくつもりです」。誰も手掛けなかった被災地の音の物語。今回の21美での放映は始まりで、これから追い続けていくようだ。復興の音はどのように聞こえるのだろうか。これからが楽しみだ。

⇒15日(月)夜・金沢の天気  あめ

☆年の瀬を弾ませるベートーベン「第九」 若き女性指揮者のタクトで

☆年の瀬を弾ませるベートーベン「第九」 若き女性指揮者のタクトで

年末恒例のベートーベンの『第九交響曲』の公演がきょう(14日)金沢歌劇座で開催され、聴きに行ってきた。石川県音楽文化協会の主催で、石川フィルハーモニー交響楽団の演奏、合唱は県合唱協会合唱団、名古屋なかがわ第九合唱団、氷見第九合唱団のメンバー。指揮者は吉崎理乃氏。昭和38年(1963)から続く公演で、63回目となる。ある意味でこのコンサートを聴くと年の瀬を実感する。

前段で披露されたのが、邦楽の名曲、吉沢検校の『千鳥の曲』。琴や三味線など伝統的なと音色とオーケストラの演奏が絶妙に響き合う。15分間の休憩の後、第九の調べが流れる。第一楽章は、弦楽器のトレモロとホルンで始まり、朝靄(あさもや)がかかったような入りだが、やがてホルンに促されるように全楽器が叩きつけるような強奏になる。第二楽章は、ティンパニーを駆使した構成で、弦楽器の各パートによりフーガ風のメロディが次第に盛り上がっていく。第三楽章は、木管楽器による短い序奏に続いてバイオリンが安らぎに満ちた音を奏でる。やがてクラリネットがそれを受け継ぎ。息の長いメロディと歌声が響く。

そして第四楽章は、「歓喜の歌」として知られる独唱と合唱を取り入れた楽章だ。管楽器と打楽器による不安げな導入部に続き、チェロとコントラバスによる会話のような演奏が入り、この後、低音弦楽器から順に高音弦楽器へ、そして全楽器による合奏へと高揚していく。聴いているうちに気分が高まっていく。

吉崎理乃氏の指揮は初めて見た。東京国際指揮者コンクール2024で第3位・特別賞・齋藤秀雄賞を受賞した気鋭の指揮者だ。きびきびとしたタクトの振りは若き才能が新風を吹き込んでいるようにも見える。コンサートは、合唱が高らかに歌い上げた後にオーケストラのみで力強く曲を閉じた。観客席からの拍手は鳴り止まなかった。

第九はベートーベンが残した最後の交響曲で、初演はウイーンで演奏された1824年5月だった。初演のとき、ベートーベンは聴力を完全に失っていて、指揮者の横で各楽章のテンポを指示するだけの役割だった。終演後の聴衆の拍手にまったく気づかず、背を向けていた。見かねたアルト歌手がベートーベンの手を取って、聴衆の方に向かわせて初めて熱狂的な反応に気が付いたという逸話が残る。初演から200年余り、時代と国を超えてこれほど人々に感動をもたらす曲はほかにあるだろうか。

(※写真・上は、第九コンサートのチラシ、写真・下は公演終了後に拍手が鳴りやまない会場の様子)

⇒14日(日)夜・金沢の天気   あめ

★東北を揺さぶる震度6強の地震  「後発地震」に警戒

★東北を揺さぶる震度6強の地震  「後発地震」に警戒

夜中に目が覚め、スマホをチェックして驚いた。青森県の三陸沖を震源とするマグニチュード(M)7.6の地震があったと速報が流れていた。M7.6は能登半島地震と同じなので、地震の大きさは想像がついた。以下、メディア各社の報道による。8日午後11時15分ごろ、青森県八戸市で震度6強を観測する地震があった。気象庁は青森県太平洋沿岸、岩手県、北海道太平洋沿岸中部に一時、津波警報を発令した。9日午前1時10分までに、岩手県の久慈港で70㌢の津波が観測された。

この地震を受け、内閣府と気象庁は9日未明、北海道沖から三陸沖にかけて巨大地震が発生する可能性が平常時よりも高まったとして「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を初めて発表した。事前の避難は求めず、今後1週間、避難経路の確認や家具の固定など地震の備えへの再確認を呼びかける。「後発地震注意報」の呼びかけは2022年12月に国が運用を始め、後発の地震がさらに大きなものとなる可能性がある場合に発せられる。2011年3月11日に起きたM9.0の東日本大震災の2日前にM7.3の地震が発生している。

被害は北海道と青森県、岩手県のまとめによると、今回の地震で合わせて50人がけがをした。青森県では午後2時現在で、住宅3棟と小屋や倉庫など8棟の合わせて11棟の建物の被害が確認されている。青森県東通村の小田野沢漁港では地盤沈下があり、港内の電柱が傾いて荷さばき所の建物に接触しているのが確認された。また、同県八戸市にある八戸港フェリーターミナルでは、亀裂が入った駐車場内の地面から砂や水が噴き出すなど液状化現象が起きている。八戸 市役所の事務所では25㍍にわたりロビーの床に亀裂が入った。同市にある八坂神社では、歩道に面した高さ3㍍ほどの鳥居が根元から倒れ、歩道をふさいだ(9日付・NHKニュース公式サイト)。

今回の地震のマグニチュードはその後、7.5に修正された。この領域のプレート境界では、1923年1月1日から2011年3月11日の東日本大震災までの間にM7.0以上の地震が10回発生するなど、規模の大きな地震が繰り返し発生している。1968年5月16日にはM7.9の十勝沖地震が発生し、太平洋沿岸の各地を津波が襲ったほか、強い揺れでがけ崩れなどが起き、52人が亡くなった。また、1994年12月28日にはM7.6の三陸はるか沖地震が発生し、震度6を観測した八戸市で3人が死亡した。このときは、M7.6の地震が発生した10日後に近い場所でマグニチュード7.1の地震が発生している(同)。過去に強い揺れをもたらした後発地震が発生しているだけに緊張感が続く。

⇒9日(火)夜・金沢の天気   あめ

☆能登地震で加速、人口13%減 今こそ「能登はやさしや」攻略策

☆能登地震で加速、人口13%減 今こそ「能登はやさしや」攻略策

去年元日の能登半島地震による災害の復旧はどの程度進んでいるのだろうか。石川県庁の資源循環推進課のまとめによると、能登地震や9月の奥能登豪雨で被災した家屋の公費解体の完了率は11月末時点で97.9%となった。解体申請のあった棟数4万2178棟のうち、4万1297棟の作業を終えた。これで、県内で公費解体を実施している16市町のうち、羽咋市や金沢市など9市町で完了した。残り7市町の解体作業は、七尾市はまだ92%ではあるものの、年内に作業を終えるとしている。

公費解体を終えた跡地をこれまで何ヵ所か訪れたことがある。跡地には草が生い茂っている=写真は、震災で焼失した輪島市朝市通りの跡地=。ここに人が戻り、家を建て、街並みの活気は戻るだろうか。県統計情報室がまとめた人口推計(11月1日時点)によると、地震の被害が特に大きかった奥能登2市2町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)の人口は4万7911人で、地震が発生した去年元日から7302人減り、減少率は13.2%となった。また、七尾市と志賀町を入れた能登半島の中央から北部の6市町でみると、去年元日から1万1132人減って10万8518人となり、減少率は9.3%となる。ことし10月からの1ヵ月の統計を見ても418人減っている。とくに、転出者が転入者を上回る「社会減」が247人と多い。

能登半島の市町は過疎高齢化が震災以前から指摘され、「消滅の可能性がある自治体」と称されていた。それが震度7の揺れで消滅可能性に拍車がかかっている。対応策はあるのか。人口戦略会議が公表した「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート」によると、石川県の19市町のうち9つが「消滅可能性」があるとされる。9つのうち8つが能登の市町だ。唯一、能登で対象外となったところが中能登町。先述の人口推計で10月から二桁増えているのがこの町だ。1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」が2020 年で1.83と県内でトップだった。増えたり減ったりしながら緩やかな人口減少となっている。

中能登町は「能登はやさしや土までも」という言葉が江戸時代から記録に残る、この言葉の発祥の地でもある。町役場では「障害攻略課プロジェクト」という、ハード面のバリアフリーだけでなく、「心のバリアフリー」を推進している。誰もが分け隔てなく、気軽に交流し暮らすことができる町づくりを、基幹産業である繊維会社などと連携して取り組んでいる。人だけでなく動物にも優しく、神社ではペットに健康と無事を願うお祓いがある。中能登町の取り組みが人口減少に歯止め、そして移住者を呼び込むヒントにならないだろうか。

⇒7日(日)午後、金沢の天気  はれ