2025年 12月 の投稿一覧

☆能登地震で加速、人口13%減 今こそ「能登はやさしや」攻略策

☆能登地震で加速、人口13%減 今こそ「能登はやさしや」攻略策

去年元日の能登半島地震による災害の復旧はどの程度進んでいるのだろうか。石川県庁の資源循環推進課のまとめによると、能登地震や9月の奥能登豪雨で被災した家屋の公費解体の完了率は11月末時点で97.9%となった。解体申請のあった棟数4万2178棟のうち、4万1297棟の作業を終えた。これで、県内で公費解体を実施している16市町のうち、羽咋市や金沢市など9市町で完了した。残り7市町の解体作業は、七尾市はまだ92%ではあるものの、年内に作業を終えるとしている。

公費解体を終えた跡地をこれまで何ヵ所か訪れたことがある。跡地には草が生い茂っている=写真は、震災で焼失した輪島市朝市通りの跡地=。ここに人が戻り、家を建て、街並みの活気は戻るだろうか。県統計情報室がまとめた人口推計(11月1日時点)によると、地震の被害が特に大きかった奥能登2市2町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)の人口は4万7911人で、地震が発生した去年元日から7302人減り、減少率は13.2%となった。また、七尾市と志賀町を入れた能登半島の中央から北部の6市町でみると、去年元日から1万1132人減って10万8518人となり、減少率は9.3%となる。ことし10月からの1ヵ月の統計を見ても418人減っている。とくに、転出者が転入者を上回る「社会減」が247人と多い。

能登半島の市町は過疎高齢化が震災以前から指摘され、「消滅の可能性がある自治体」と称されていた。それが震度7の揺れで消滅可能性に拍車がかかっている。対応策はあるのか。人口戦略会議が公表した「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート」によると、石川県の19市町のうち9つが「消滅可能性」があるとされる。9つのうち8つが能登の市町だ。唯一、能登で対象外となったところが中能登町。先述の人口推計で10月から二桁増えているのがこの町だ。1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」が2020 年で1.83と県内でトップだった。増えたり減ったりしながら緩やかな人口減少となっている。

中能登町は「能登はやさしや土までも」という言葉が江戸時代から記録に残る、この言葉の発祥の地でもある。町役場では「障害攻略課プロジェクト」という、ハード面のバリアフリーだけでなく、「心のバリアフリー」を推進している。誰もが分け隔てなく、気軽に交流し暮らすことができる町づくりを、基幹産業である繊維会社などと連携して取り組んでいる。人だけでなく動物にも優しく、神社ではペットに健康と無事を願うお祓いがある。中能登町の取り組みが人口減少に歯止め、そして移住者を呼び込むヒントにならないだろうか。

⇒7日(日)午後、金沢の天気  はれ

★田の神さまへの感謝の気持ち忘れない 奥能登の「あえのこと」

★田の神さまへの感謝の気持ち忘れない 奥能登の「あえのこと」

JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」が日本海を南下して大雪をもたらす可能性があるとの予報を前回ブログ(今月3日付)で述べた。除雪を行うスコップを用意して身構えていた。金沢では3日の夜に初雪が観測され、4日朝は1.7度とこの冬一番の冷え込みとなった。豪雪地帯でもある白山のふもとの山間地では5日午前で20㌢余りの積雪となった。写真は、きのう5日午前8時40分ごろの金沢の自宅前の庭の様子だ。雷鳴とともに霰(あられ)が一時的に激しく降ってきた。その後は雨となり自然と霰も消えていった。そしてきょうは午後から晴れ間も出て、気温は13度まで上がり、寒波は峠を越えた。用意したスコップは一度も使わなかった。

話は変わる。不安定な天気の中で、きのう5日、能登半島の北部の奥能登では、民俗行事の「あえのこと」が営まれた。ユネスコ無形文化遺産にも登録(2009年)されているこの行事は各農家で営まれ、目が不自由とされる田の神さまを丁寧にもてなす農耕儀礼として知られる。家の主(あるじ)は、そこにあたかも田の神さまがいるかのように家に迎え入れ、食事でもてなし、一年の労をねぎらう。12月5日に迎え、春耕が近づく翌年2月9日に送り出す。「あえのこと」の「あえ」は饗応、「こと」は祭りを指し、「もてなし」を意味する。

去年元日の能登半島地震でこの年12月の「あえのこと」を中止した農家や簡素化した農家の話をよく耳にした。被害が大きかった奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)では震災による農地の亀裂や水路の破損、ため池の決壊などのため、奥能登の水田の作付面積は震災前の2800㌶から1800㌶に落ち込んだ。さらに奥能登を襲った9月の記録的な大雨に見舞われた。その後、土砂や流木の撤去、水路の整備などが行われ、ことしの作付面積は去年より100ha多い1900haとなり、7割近くに回復した。輪島市の白米千枚田では多数のひび割れが入り、耕せたのは去年は1004枚のうち120枚だったが、ことしは250枚に増やすことができた。(※写真は、能登町「合鹿庵」で執り行われた農耕儀礼「あえのこと」。田の神にコメの出来高などを報告する農業者=2016年12月5日撮影)

田んぼの復旧とともに田の神さまへの感謝の気持ちも戻ってきたようだ。地元メディア各社の報道によると、自宅が全壊した農家では隣家の納屋を借りて、あるいは敷地内に設置したインスタントハウス、あるいは仮設住宅で行ったりと、工夫して「あえのこと」が営まれたようだ。震災と豪雨に遭っても田の神さまへの感謝は忘れない。能登人の素朴で根強い精神性ではある。

⇒6日(土)夜・金沢の天気

☆いよいよ北陸は雪マークの季節 強烈寒気帯JPCZ居座るのか

☆いよいよ北陸は雪マークの季節 強烈寒気帯JPCZ居座るのか

このところの寒暖差のせいか、体調が今一つさえない。熱はないが、くしゃみや鼻水が出る。金沢の天気予報に雪マークが出始めた。きょう夕方からあす4日にかけて日本付近は西高東低の冬型の気圧配置となり、筋状の雪雲の帯「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」が日本海に発生し南下する見込みのようだ。このため、日本海側は広い範囲で雪が降り、北陸や近畿、東海、山陰などは初雪ラッシュとなるとの予報だ。平地でも積雪し、山沿いでは大雪となるところがあるとのこと(※図は、3日15時発表の予想天気図から抜粋、日本気象協会「tenki.jp」公式サイトより)。

北陸に住む者にとって、このJPCZは「クセもの」だ。日本海を直撃する寒波で、この影響で日本海から活発な雪雲が断続的に流れ込み、局地的に降雪量が多くなる。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によって、いったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などになだれ込んでくるのだ。強烈に覚えているのは、2021年1月7日から11日にかけてJPCZが若狭湾付近に停滞して大雪が降り続いたため、福井県内の北陸自動車では66時間にも及ぶ通行止となり、1600台が動けなくなったことがあった。(※写真は、2021年1月9日夕方の金沢市内の降雪の様子。翌日10日には65㌢の積雪となった)

今夜からあすにかけては、北陸地方の上空約5500㍍付近に大雪の目安となるマイナス36度以下の非常に強い寒気が流れ込む見込む。このため、新潟の上越、中越では平地で20㌢、山沿いで50㌢の積雪が予想されている(日本気象協会「tenki.jp」公式サイトより)。

雪の季節を迎えると、2024年元日の能登半島地震を思い起こす。まもなく丸2年となる。地殻変動、気候変動はいつ起きるかわからない。関東大震災(1923年9月1日)に遭遇した経験があった物理学者の寺田寅彦(1878-1935)は「天災は忘れた頃に来る」と書き記した。昨今の状況は「天災はいつでもやって来る」と表現した方がよいかもしれない。取り留めのない話になってしまった。

⇒3日(水)夜・金沢の天気 あめ

★ブリ起こしの雷の季節 能登高級ブランド「煌」初競り400万円

★ブリ起こしの雷の季節 能登高級ブランド「煌」初競り400万円

発達した積乱雲が近づいているとして、気象庁はきょう午後0時42分に、石川県能登地方に「竜巻注意情報」を発表した。積乱雲が近づくと雷や急な風の変化、それに雹(ひょう)が降るなど荒れ模様となる。ただ、雷は「待ってました」と言わんばかりの季節の訪れでもある。「ブリ起こしの雷」。石川や富山など北陸ではこの時期、雷が鳴ると「寒ブリ」が揚がるとの言い伝えがある。ブリの季節の訪れだ。

きのう1日朝、能登半島の七尾港や能登町宇出津港に、定置網に入った寒ブリ552本が水揚げされた。その中でも重さ14㌔以上で、カタチの良さなどから選ばれた高級ブランド「煌(きらめき)」の初競りが金沢市の石川県漁協かなざわ総合市場であり、重さ14.5㌔、長さ92㌢のブリに400万円の値が付いた(2日付・地元メディア各社の報道)。「煌」の認定制度は県漁協が2022年から始め、七尾市に本社がある食品スーパーが4年連続で初競りモノを競り落としている。

その400万円で落札された天然能登寒ブリが食品スーパーできょうまで展示されているというので、さっそく見学に行ってきた。発砲スチロールの箱に横たわる14.5㌔のブリはさすがに貫禄がある=写真=。寒ブリは眼のふちが黒いのが特徴だが、じっと睨まれているようにも感じ、恐れ多い。この寒ブリは能登町の鵜川漁港で水揚げされたもので、この日、規格基準の厳しい「煌」ブランドに認定されたのはこの一本のみ。

重さ14㌔以上のブリはほかにも数本あったものの、胴回りが十分なサイズではなかったため、認定されなかった。ちなみに、「煌」になり損ねた寒ブリは15万円から50万円で落札されたようだ(2日付・地元メディア各社の報道)。

食品スーパーの店員に「(煌を)いつさばくのか」と尋ねると、きょうの夕方にさばき、あす3日に寿司として限定販売するとのことだった。ところで、能登で寒ブリの話でよく誤解されるのは、雷鳴に驚いて、ブリが能登や富山湾に逃げ込んで来るという説。むしろ、時化(しけ)で日本海も荒れるので、イワシといった魚が沿岸に寄って来る。それをブリが追いかけてきて、定置網にかかるというのが定説のようだ。たかがブリ、されどブリ。冬の訪れとともにブリの話は尽きない。

⇒2日(火)午後・金沢の天気 くもり時々あめ

☆中国「反日」攻勢は続くも、一貫した総理の姿勢は高支持率に

☆中国「反日」攻勢は続くも、一貫した総理の姿勢は高支持率に

中国による「反日」の煽り、日本への怒りが止まない。直近では、日本のアーティストの中国での公演が次々と中止に追い込まれている。メディア各社の報道によると、歌手の浜崎あゆみさんは11月29日に開催予定だった中国・上海での公演が直前で中止に追い込まれ、無観客(1万4千席)のステージで歌ったという。

中国によるこの行為の発端は、今月7日の衆院予算委員会で台湾有事について問われた高市総理が 「戦艦を使って武力行使を伴うのであれば、存立危機事態になり得る」と答弁したことだった。翌日、中国の薛剣(セツ・ケン)駐大阪総領事が SNSで「汚い首は斬ってやるしかない」と投稿した (※現在は削除)。これがエスカレートし、中国政府は日本の治安への不安を理由として中国国民に日本への渡航自粛や、留学に慎重な行動を求めた。さらに、日本政府に対し日本産の水産物の輸入を停止すると通達した。また、中国の国連大使は安保理で高市総理の台湾有事をめぐる国会答弁を批判するなど、拡散に躍起となっているようだ。(※写真は、日米首脳会談で署名された合意文書を掲げる高市総理とトランプ大統領=10月28日付・総理官邸公式サイトより)

中でも違和感を感じるのは、中国側が日本で中国人への犯罪多発を理由に「治安悪化」を訴え、渡航自粛を呼びかけていることだ。これに対し日本の外務省は、過去3年に国内で中国国籍の人が被害者となった殺人、強盗、放火の認知件数は減少傾向にある統計をSNSで紹介し、否定している(11月21日付)。

中国側は高市総理に発言撤回を求めて攻勢をかけているが、総理は応じる様子を見せていない。むしろ、この総理の動じない態度に国民は支持を寄せている。直近の世論調査の内閣支持率でそれが分かる。日経新聞の世論調査(11月28-30日)では内閣を「支持する」が75%となり、「支持しない」18%をはるかに上回った。10月の内閣発足後、2ヵ月連続で7割台の高い支持率を維持している。読売新聞の世論調査(11月21-23日)でも内閣支持率は72%だった。

国家のあり方に関わるこの台湾事案。高市総理は発言を撤回したり、外交的な小細工を講じない方がいい。一貫した姿勢に国民は信頼を寄せている。それが数字となって表れている。

⇒1日(月)午後・金沢天気   くもり時々あめ