★マツタケ不作で高値 ズワイガニ豊漁で割安

金沢の近江町市場は季節の食材がずらりと並んでいる。少々驚いたのが能登産マツタケの価格。1本150㌘の大きさのものが3万8000円、小さいもの9本300㌘で4万8000円の値札がついていた=写真・上=。店の人に「いつもの年より(値段が)高いね」と声かけすると、「ことしは不作なんですよ。残暑が長く続いて、大雨もあったせいですかね」との返答だった。確かに、店頭には能登のほか国産のマツタケそものが少ない。店の人によると、例年より4割から5割ほど高値だという。むしろ、カナダ産や中国産、ヒマラヤ山脈産などが多く並んでいて安い。
店頭を眺めながらふと思った。以下憶測だ。マツタケが不作というより、クマの出没が多発していて、キノコ採りの人たちが山に入るのを控えているのではないか、と。石川県ではことしのクマの出没件数は336件(今月11日時点)、隣県の富山県内では843件(同10日時点)となっている。富山では過去10年で最多だった2019年の919件に迫るペースだという(地元メディア各社の報道)。クマのエサとなるドングリが凶作や不作に見舞われている。さらに「人馴れ」したクマが増えていて、人里に出没するケースが増えているとの見方もある。

マツタケの産地の能登ではクマの出没件数は少ないものの出るときには出る。今月5日正午ごろ、半島北部の穴水町の道路沿いで体長1㍍から1.5㍍ほどの一頭の目撃情報が寄せられている(石川県庁公式サイト「令和7年のクマ出没記録」より)。マツタケのシーズンは今月下旬までといわれているので、消費する立場の自身も複雑な気持ちだ。マツタケに手が届かないまま今季は終わりか、と。人里の安全のためにクマ駆除の早急な対応を政府や自治体を願いたい。
さらに近江町市場を巡っていて気が付いたこと、それは今月6日に解禁となったズワイガニの価格が手ごろになっている=写真・下=。オスの加能ガニは大きなサイズだと1匹2万2000円という高値のものもあったが、そこそこのサイズだと5000円から6000円の値段多い。年によって価格は異なるものの、例年より2割から3割安いのだ。鮮魚店の人に尋ねると、解禁以降、好天続きで水揚げ高も多く、「ズワイは表年(おもてどし)だよ」と笑顔で話した。ただ、カニの需要期は12月から冬場にかけてなので、この時期に荒天が続くと高値を呼ぶかもしれない。
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