2025年 10月 20日の投稿一覧

☆キンモクセイの匂う道 セイタカアワダチソウが密生する放棄田

☆キンモクセイの匂う道 セイタカアワダチソウが密生する放棄田

自宅の庭木のキンモクセイが黄色い花と同時に独特の香りを放ち始めた=写真・上=。金沢に住んでいると季節の香りでもあり、兼六園や武家屋敷界わいを散策すると香りが漂ってくる。そして、金沢のシンボルでもある。1980年に作詞作曲された金沢市民憲章の歌の題名が『金木犀の匂う道』。市主催のイベントなどでよく聴く。「♪歩いてみたい 秋が好きだという君と この街の 金沢の街の ああ 金木犀の匂う道 君と君と」

シニア世代ではキンモクセイの香りからトイレをイメージする人もいるだろう。昭和の時代までは、くみ取り式トイレが多かった。そこで、キンモクセイをトイレの横に植えて、季節限定ではあるものの匂い消しとしていた。いまで言う、芳香剤の役割だ。自宅のキンモクセイもかつてトイレの窓側に植えられていた。その後、自宅を改築して別の場所に水洗式トイレを造った。この時点で、キンモクセイの役目は終わった。とは言え、伐採せずにそのまま残した。そして、冒頭で述べたように、秋の深まりを告げる植物として、その後も存在感を放っている。 

黄色い花の植物の話をもう一つ。先日(今月14日)に能登に出かけた。そのとき、耕作放棄地や河原、空き地に一面に群生しているセイタカアワダチソウを見て、圧倒されそうになった。見た目の様子もさることながら、その花粉で目鼻がおかしくなるのではと思ったくらいだ。誤解のないように書き加えると、セイタカアワダチソウは花粉がほとんど飛ばない。花粉量そのものが少なく、比較的重いためとされる。いわゆる「風媒花」ではなく、花に寄って来た虫によって受粉する「虫媒花」だ。

以前、植物研究者から聞いた話だが、セイタカアワダチソウは生命力が強い植物であり、さまざま薬効もあるようだ。葉にはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸などが含まれていて、煎じて飲めば、血糖値や血圧の上昇を抑える効果があるとされる。また、フラボノイドも含まれていて、ヨーロッパなどでは葉を潰して虫刺されや外傷の止血剤としても用いられている。入浴剤としても使われている、とか。草丈が1㍍から2㍍と長いことから、日本ではかつて簾(すだれ)の材料として活用されていた。ところが、時代とともに人々の暮らし方は変わり、いまでは単なる厄介な雑草としか見られなくなった。

先述したように能登にこれほど多くのセイタカアワダチソウが目に付くのも、去年元日の能登半島地震で水田や畑地が耕作放棄地となったからだろう。水田に引水する水路の破損や地割れ、そして去年9月の記録的な大雨で水田に土砂が流れ込むなどしたため、奥能登(輪島など2市2町)ではことしは7割しか耕されていない。この際、密集するセイタカアワダチソウを活用してはどうだろう。入浴剤などは受けるかもしれない。

⇒20日(月)午前・金沢の天気   くもり