★万博フィナーレ 小さな心臓から大屋根リングまで感動の記憶
世界158の国・地域が184日間にわたって歴史・文化や最先端のテクノロジーなどを発信した大阪・関西万博がフィナーレを迎えた。きょう午後、NHKテレビで閉会式を視ていた。大阪府の吉村知事は閉会のあいさつで、警備担当者や医療従事者、ボランティア、児童生徒を引率した学校の教員など、様々な立場で万博に携わった関係者を挙げて、それぞれに「ありがとう」を8回も述べていたのが印象的だった。石破総理は公式キャラクター「ミャクミャク」に内閣総理大臣感謝状を授与したことを紹介していた。閉会式のコンセプトは、万博に関わったすべての人へ「感謝」を伝えることが目的だったようだ。自身も6月に大屋根リングを訪れている。以下、印象に残っていることをいくつか。

万博に来た甲斐があったと思ったのは、iPS細胞で創られた「小さな心臓」が鼓動する様子を見たときだった。円筒形の容器の赤い培養液の中でドク、ドクと動いていた。これを眺めていると、生命の源(みなもと)は心臓だと改めて思うと同時に、鼓動するその姿に生命の神秘を感じた。小さな心臓は大阪大学のチームが作成したもので、コラーゲンの土台にiPS細胞由来の心筋細胞を植え込み、3.5㌢ほどの原型をつくったと説明書きにあった。「iPS心臓」の未来がきっとやってくる、と想像を膨らませた。(※写真・上は「PASONA」パビリオンの「iPS心臓」)

万博について周囲の人と話していて、けっこう受けたのが「ワニの肉」の話。「オーストラリア」パビリオンの前にショップがあり、「クロコダイルロール」と赤ワインを注文した=写真・中=。説明書きには「ワニの切り身・ネギ・レモンマートルマヨネーズ・ブリオッシュロール」とあり、どんな食感がするんだろうと好奇心がわいた。値段は1650円。オーストラリア人らしき女性販売員から「ワニ、オイシイデスヨ」と片言の日本語で手渡された。少々ドキドキしながら口にした。ワニの肉は硬いイメージだったが、鳥肉のような柔らかさだった。そして、これがオーストラリア産の赤ワインとぴったりと合う。まさにマリアージュ。ちょっとした海外旅行気分が味わえた。

万博のシンボルは何と言っても大屋根リング=写真・下=。「多様でありながら、ひとつ」という万博の理念を表す建築物でもある。リングの下は歩ける通行空間であると同時に、雨風や日差しなどを遮る快適な滞留空間でもある。そして、構造が神社仏閣などの建築に使用されてきた伝統的な貫(ぬき)接合の工法を加えた建築であり、和の風格を感じさせる。最大の木造建築物としてことし3月にギネス世界記録に認定されている。正式な英語記録名は「The largest wooden architectural structure」。大屋根リングは万博終了後に一部を残して解体される。
万博協会は解体後の木材を無償で譲渡することにしていて、その一部は能登半島の尖端に位置する珠洲市に「復興公営住宅への活用」を条件に譲渡することが内定している(メディア各社の報道)。万博会場から能登半島地震の被災地へ。第二のステージはある意味で地味ながら、被災地の人々の安らぎの空間として活用される。
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