2025年 10月 11日の投稿一覧

★能登「古墳まつり」で古代米おにぎりを食し、獅子舞を楽しむ

★能登「古墳まつり」で古代米おにぎりを食し、獅子舞を楽しむ

「これは世にも珍しいまつり」と好奇心がくすぐられて見学に行ってきた。「古墳まつり」。能登半島の中ほどに位置する中能登町にある国指定の史跡「雨の宮古墳群」=写真・上=。まつりはこの古墳群を保護する民間団体「雨の宮を護る会」が主催していて、ことしで14回目という。

古墳群に対する地元の思い入れを護る会のメンバ-が語ってくれた。町の北側に連なる眉丈山(びじょうざん)山系の尾根筋につくられた古墳群は、地元では古くから「雨乞いの地」として知られ、「雨の宮」という名称もこの思いが込められているという。山のふもとには邑知(おうち)平野と呼ばれる水田地帯が広がる。この水田を潤す雨が降ることを祈った、歴史ある場所なのだ。

祈りの地である古墳群には前方後方墳(1号墳)と前方後円墳(2号墳)を中心に全部で36基が点在している。全長64㍍の1号墳は、4世紀から5世紀の築造とされ、古墳を覆う葺石(ふきいし)も当時ままの姿。まるで山頂のピラミッドのようだ。1号墳からは山のふもとに広がる水田地帯を見渡すことができ、実に壮観だ。1987年に古墳近くの遺跡から炭化した「おにぎりの化石」が出土し、2千年前の弥生時代のものと推定され、日本最古のおにぎりとして当時話題になった。去年元日の能登半島地震では古墳群に亀裂が入り、現在も一帯は「立入禁止」となっている。

古墳まつりは山頂の古墳群から下手にある資料館「雨の宮能登王墓の館」の広場で開催され、午前10時には能登の震災復興祈願祭が執り行われた。古墳群の近くにある能登部神社の女性宮司が古墳群に向かって祈祷を捧げた=写真・中=。続いて行われたのが「芸能発表」。地域の子どもたちが太鼓や獅子舞を披露した。獅子と天狗がともに踊るにぎやかな獅子舞踊りで、地域の祭りのシンボルになっている=写真・下=。このほか、中学の吹奏楽部の生徒がコンサートを行うなど、午前中2時間余りのにぎやかなまつりだった。

会場には大勢の人が訪れていた。そのお目当ての一つが「古代米おにぎり」。前述した「おにぎりの化石」が遺跡から発見されたことをきっかけに同町では「古代米おにぎり」を町おこしのアイテムとしていて、人気がある。古墳群を眺めながら古代米おにぎりをほうばる。なんとも歴史観のあるまつりではある。

⇒11日(土)夜・金沢の天気    くもり