2025年 10月 2日の投稿一覧

☆大阪万博の大屋根リングを能登震災の復興公営住宅に再活用へ

☆大阪万博の大屋根リングを能登震災の復興公営住宅に再活用へ

大相撲秋場所で横綱昇進後で初の優勝を果たした大の里関の故郷・石川県津幡町では栄誉を称える懸垂幕が町役場で掲げられている=写真・上=。千秋楽(9月28日)の優勝決定戦を見事制しての賜杯だっただけに、町の人たちの喜びもひとしおだろう。ことし6月には横綱昇進を讃える懸垂幕が掲げられていたので、それに続いて10回目の掲揚となる。「唯一無二」を座右の銘に突き進む25歳の活躍、そして掲げられる懸垂幕は町の人たちにとっての誇りであるに違いない。町の係の人に尋ねると、懸垂幕は大相撲九州場所の番付が発表される11月27日まで掲げられるようだ。

話は変わる。去年元日の能登半島地震から1年9ヵ月となる。被災地ではいま復興公営住宅の建設などが進めてれている。そんな中、地元メディアのこの報道には驚いた。仕掛け人は誰だろうか、と。大阪・関西万博の閉幕まで2週間を切り、連日多くの来場者でにぎわっているようだ。その万博会場の「大屋根リング」=写真・下=が、能登地震の復興公営住宅などに再利用されることが決まったとニュースで報じられている。

大屋根リングは1周2㌔、高さ最大20㍍の世界最大の木造建築物としてギネス世界記録にも認定されている。報道によると、使用された木材は2万7000立方㍍で、今月13日の閉幕後は一部を除いて解体されることが決まっている。万博協会は解体後の木材を無償で譲渡することにしていて、能登半島の尖端に位置する珠洲市が「復興公営住宅への活用」をテーマに応募していた。このほど譲渡が採択され、9月30日に珠洲市に譲渡決定の通知が届いた。万博協会と珠洲市との正式な契約は今月中旬に行われる見込みで、譲り受ける木材の量は未定だという。

このニュースを読んで、建築家の坂茂(ばん・しげる)氏の関わりを想像した。坂氏は1995年の阪神大震災を契機に災害支援に取り組んでいて、能登半島地震でもいち早く行動を起こしたことで知られる。珠洲市には坂氏が監修した仮設住宅が整備されている。木造2階建ての仮設住宅は木の板に棒状の木材を差し込んでつなげる「DLT材」を積み上げ、箱形のユニットとなっている。石川県産のスギを使い、木のぬくもりが活かされた内装となっている。

今後、珠洲市で進められる復興公営住宅の建設資材に万博のシンボルである大屋根リングがどのように再活用されるのか。そこに著名な建築家のアイデアが凝らされるとしたら、まさにレガシーを感じさせるストーリーではないだろうか。

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