★能登の隆起海岸の見どころ~上陸したゴジラ岩、白い貝付き岩~

能登半島の尖端に位置する珠洲市馬緤(まつなぎ)町の沿岸に「ゴジラ岩」と呼ばれる奇岩がある。空に向かって炎を吹き出す怪獣ゴジラに似ていて、その名が付けられた。日本海の高波に向かって、ゴジラが吠えているようにも見え、なかなか面白い。ことし9月13日、同市の須須神社に「寺家キリコ祭り」を見学に行った帰りにこのゴジラ岩を見るため立ち寄った。ことし2月8日にもこの地を訪れているが、この日は吹雪と高波で周囲はよく見えなかった。なので去年元日の能登半島地震以降でゴジラ岩をじっくり眺めるのは9月のこの日が初めてだった。
地震で海岸線は最大で4㍍隆起したことが観測されているが、ゴジラ岩周辺も例外ではなかった。もともとこの岩は波打ち際にあったが、1㍍ほど隆起したのだろうか、周囲の岩石とともに陸地に上がっている。まるでゴジラが上陸したようなイメージだ。このほかにも、輪島市門前町では細長い砂浜が隆起して砂丘地のようになったところもある。(※写真・上は、震災前のゴジラ岩、その下は震災後の隆起したゴジラ岩)

地震による隆起で石川県の面積が広がったようだ。国土地理院は全国の都道府県と市区町村の面積を公表した(9月26日)。それによると、能登半島地震による海岸線の隆起の影響で、石川県の面積が4.74平方㌔拡大した。顕著だったのは能登外浦の2市1町(輪島、珠洲、志賀)で、輪島市は2.78平方㌔、珠洲市で1.72平方㌔、志賀町で0.24平方㌔だった。ちなみに金沢の兼六園の広さ0・11平方㌔なので、隆起で拡大した面積は兼六園の43倍に相当する。
では、広がった海岸線をどのように活用すればよいのだろうか。すでに、国道249号で崩落したトンネルや土砂崩れの道路では、隆起した海岸を活用した「緊急復旧道路」が整備されている。海岸線を走る実にダイナミックな道路だ。これは個人的に感じたことだが、4㍍隆起した輪島市の鹿磯海岸では海底の岩石がそのまま陸地化して、岩石にはアワビやサザエ、二枚貝などがびっしりと付着していて 全体が白くなっている=写真・下=。ここを能登の多様な貝類の観察の場にしてはどうか。冒頭で述べた、上陸したゴジラ岩も面白い。これらを震災の復興観光として活かせないだろうか。
⇒1日(水)夜・金沢の天気 はれ