2025年 9月 の投稿一覧

☆石破総理が退陣表明 さらに続く少数与党の混迷

☆石破総理が退陣表明 さらに続く少数与党の混迷

きょう日中の金沢の最高気温は34度、そして新潟地方気象台はけさ大雨と雷および突風に関する気象情報を発表した。それによると、石川県と新潟県では、今夜からあす8日未明にかけて線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があるとしている。晴れれば「猛暑残暑」、降れば「線状降水帯」、まさに異常気象が当たり前のように繰り返されている。

そして政治も。7月の参院選の与党大敗を受け、石破総理(自民党総裁)は続投か退陣をめぐって混迷していたが、きょう退陣の意向を表明した。午後6時から総理官邸で開かれた臨時記者会見をNHKの生放送で視聴した=写真=。2024年10月に総理に就任してから11ヵ月余りでの退陣表明。会見は質問込みで45分余りだった。

石破総理は会見の冒頭で「自民党の総裁の職を辞することとした」と述べ、辞任の意向を表明した。党則6条に基づく総裁選の前倒しの是非を問う手続きを進める必要はなくなったと説明した。自民党ではあす(8日)総裁選の前倒しの是非を決める予定で、所属議員から前倒しの要求の表明が広がっていたタイミングだった。その上で、「新総裁を選ぶ手続きを開始していただきたい」と述べた。

石破総理は「身を引くという苦渋の決断をした」と述べ、その理由について、「(総裁選を前倒しする)臨時総裁選要求の意思確認に進んでは、党内に決定的な分断を生みかねない」と説明し、党の分断回避を強調した。また、辞任を決めた理由としてアメリカとの関税交渉が合意に至ったことでトランプ大統領が大統領令に署名したことを挙げ、「1つの区切りがついた今こそがしかるべきタイミングであると考え、後進に道を譲る決断をした」と述べた。

記者からの質問で、次の総裁選には「出馬しない」と言明。また、衆院解散・総選挙を検討したのかと問われ、「いろいろな考えがあったことは否定しない」と明かし、「何よりも国民に対して政府の機能が停滞することがあっては決してならないということでこの判断に至った」と説明した。また、参院選後、すぐに辞任しなかったことで政治空白が生まれたのではないかと記者から問われ、「政治空白があったとは考えていない」「参院選が終わった時点ではアメリカとの関税交渉は大統領令が発出されることが決まっていなかった」と反論した。

また、看板政策の一つである防災政策に関して、「被災で苦しんでいる方々の負担を軽減したいとの思いで取り組んできた」と述べ、防災庁を2026年度に設置する意向を改めて示し、次の新総裁にバトンタッチしていきたいと言及した。

以下は憶測だ。辞意を表明した石破総理は清々した気分だろう。何しろ、与党の自民・公明両党は衆参両院ともに過半数を割る。なので、今年度の補正予算案や2026年度の予算案・税制改正関連法案については野党と合意し、成立させる課題に直面する。野党に足元を見られているだけに簡単ではない。バトンタッチされた次の新総裁の力量がまさに問われる。

⇒7日(日)夜・金沢の天気  くもり

★秋の夜長楽しむ「ひやおろし」 被災した奥能登の7銘柄も醸造

★秋の夜長楽しむ「ひやおろし」 被災した奥能登の7銘柄も醸造

残暑の酒、秋の限定酒、あるいは秋の夜長の酒とでも言おうか、石川県ではこの時節の日本酒が造られる。「ひやおろし」だ。冬場に仕込んだ酒を1度だけ火入れして保存し、夏の間は酒蔵でじっくり寝かせて熟成させ、この時季に瓶詰する。まろやかな丸みのある味わいが特徴で、ひやおろしを待ちこがれる酒通も多い。

酒通の知人から聞いた話だが、ひやおろしの歴史は古く、江戸時代の初期のころからあるそうだ。そもそも、ひやおろしの語源は日本酒で常温のことを「冷や」と言い、その状態で「卸す」、つまり蔵出しすることを意味する。江戸時代から秋の風物詩として親しまれていたようだ。

石川県の酒造メーカーでも個別にひやおろしの伝統を守ってきたところもあったが、2007年からは石川県酒造組合連合会が卸売酒販組合や小売酒販組合と連携して一斉販売を始めた。ことしは酒造メーカー23社が参加し、秋限定の日本酒「石川ひやおろし」を共通のレッテルとして、きのう5日に一斉発売した=写真、金沢市内のス-パーで撮影=。23銘柄はいずれも720㍉㍑入りで価格は1650円から2420円。メディア各社の報道によると、酒販店からの予約は前年とほぼ同数の3万4030本で好調のようだ。ひやおろしの販売は10月末まで。

去年元日の能登半島地震で被災した奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)からは前年より2社多い7社の酒造メーカーが「ひやおろし」に参加した。奥能登の酒造メーカーで酒蔵が倒壊したままとなっているところもあり、連携する加賀地方の酒蔵で醸造しているようだ。

ひやおろしに合う料理と言えば、なんと言っても9月1日に日本海側で解禁となった底引き網漁の新鮮な魚介だろう。刺身では甘エビやガスエビの甘さが、ひやおろしのまろやかな丸みのある味わいと合う。酒と料理のマリアージュで秋の夜長が楽しめる。

⇒6日(土)夜・金沢の天気  はれ

☆石川の「水がめ」手取川ダムの貯水率32% 雨よ降れ降れ

☆石川の「水がめ」手取川ダムの貯水率32% 雨よ降れ降れ

「暗雲垂れこめる」という言葉があるが、まさにこのことを指すのだろう。きょう午後3時半ごろ金沢の上空を分厚い雲が覆い、午後4時ごろから雨音が激しくなってきた。気象庁は午後3時32分、石川県の加賀地方に「竜巻注意情報」を発表した。竜巻などの突風は、発達した積乱雲が近づいたときに発生する。気象台は、雷や急な風の変化、それに「ひょう」が降るなど、積乱雲が近づく兆しがある場合は突風に十分注意し、頑丈な建物などの中で安全を確保するようにと呼びかけている。まさに不穏な空模様だ。

きょう午後、石川県の「水がめ」でもある手取川ダムの様子を見てきた=写真=。県内は猛暑続きで、熱中症警戒アラートがおととい(2日)までに37回(初回7月4日)も出されていて、年間の発出回数ではこれまで最多だった2023年の36回を更新している。この猛暑、いつまで続くのかと思うと同時に水不足の事態になりはしないかと懸念を抱く。県内13の市と町に水を供給し、人口の7割の水道をまかなっている手取川ダムの貯水率は、きょう午後4時時点で32%となっている(「石川県防災ポータル」より)。

白山市白峰の手取川ダムに行くと、ダム上流の河川は半ば干上がった状態のようにも見え、心細く感じた。なにしろ、先に述べたように梅雨時の7月から8月初めにかけては極端な高温と少雨が続いた。一方で、8月6日から10日を中心には極端な大雨となり、石川県では線状降水帯が発生し7日の金沢の降水量は332㍉を観測、短期集中の大雨となった。ところが、その雨水は手取川ダムには届かなかったようだ。

前述した2023年の渇水期には手取川ダムの貯水率が9月末に一時16%まで低下した。行政が節水を呼び掛ける際の基準とされる20%を割り込んだが、その後に雨天となり節水にまでに至らなかった。天気予報では今月中旬ごろから加賀地方で雨の日が続くので余計な心配なのかもしれない。「暗雲が垂れこめる」、ある意味で実にありがたい。

⇒4日(木)午後・金沢の天気   くもり時々あめ

★石破総理の発言に翻弄されるメディア 読売の検証記事から

★石破総理の発言に翻弄されるメディア 読売の検証記事から

ドル円相場で急に円安が進んでいる。きのう午前中は147円だったが、午後にかけて148円に、さらに149円に迫ろうとしていた。きょうも148円台後半で値動きしていた。この円の値動き誘引したのが政治情勢だ。自民党幹部の辞意表明で日本の政治が不透明になるとの見方から円売りが進んだようだ。

もう少し詳しく見てみる。自民党の森山幹事長は2日午後の両院議員総会で、7月の参院選で大敗した責任をとる形で辞意を表明し、小野寺政調会長や鈴木総務会長も辞任するとの意向が伝えられた。そして、自民党総裁の石破総理は総会で「地位にしがみつくつもりは全くない。責任から逃れず、しかるべき時にきちんとした決断をする」(メディア各社の報道)と語った。これが、日本の政治情勢に不透明感があると世界に伝わり、円売り・ドル買いにつながったようだ。

話は変わる。読売新聞はきょ3日付の1面で、7月24日付の1面で「石破首相退陣へ」と報じたことの検証記事を掲載している=写真=。それによると、石破氏は7月22日夜、日米関税交渉が合意に達した場合には「記者会見を開いて辞意を表明する。辞めろという声があるのなら辞める。責任は取る」などと周囲に明言したことを踏まえて報道に至った。しかし、報道の後に石破氏は「態度を一変させた」と指摘。「翻意する可能性への思慮が足りなかった」として「結果として誤報となったことを読者の皆様に深くおわびします」と検証記事で記している。

「態度を一変」「翻意する」ことの背景には石破氏の責任を取らない性格がにじんでいるのではないだろうか。「ヒゲの隊長」として知られる、前自民党参院議員の佐藤正久氏(元陸上自衛隊イラク先遺隊長)がテレビ番組(先月30日・ABC番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』)で面白いことを語っていた。2003年12月、イラク先遣隊を派遣する際の防衛庁長官は石破氏だった。当時の世論はイラク派遣反対の声が高まっていて、防衛庁の正門には反対デモが行われていた。派遣にあたって佐藤氏ほか多くの隊員は家族と涙の別れをして、多くの隊員が遺書を書いていた。出発に当たって石破長官は反対デモとのもめ事を避けるために先遣隊に(正門でなく)裏門から出なさい、と指示した。

その時、佐藤氏は「我々の名誉や誇りはどうなるんだ」と怒りを込み上げたそうだ。それを同席していた自民党議員が石破氏に猛反対し、裏門ではなく堂々と正門から出ることになった。デモ隊とのもめ事を回避するため、逃げの姿勢がこの一件で見えたという。そして、「責任を取らない」「トップの器ではない」と石破氏を批判していた。

前述した「態度を一変」「翻意する」こそ、まさにこの責任を取らない姿勢ではないだろうか。「誤報」と言うより、読売新聞は石破氏に翻弄されたのだろう。

⇒3日(木)夜・金沢の天気  くもり

☆底引き網漁が解禁 金沢の近江町市場を彩る旬の海の幸

☆底引き網漁が解禁 金沢の近江町市場を彩る旬の海の幸

きょうは朝から熱風が吹いている。金沢の最高気温はきのうと同じ36度の予想(日本気象協会「tenki.jp」公式サイト)。気象庁と環境省による熱中症警戒アラートはきょうも石川県に出されていて、ことし37回目(初回7月4日)となる。年間の発出回数はこれまで2023年の36回が最多だったので、記録を更新したことになる。この猛暑、いつまで続くのか。

この暑さの中できのう1日、日本海側の底引き網漁が解禁となった。底引き網漁は、袋状の網を海に入れて海底の魚をとるやり方。ある意味で一網打尽の漁法なので、海の資源を守るために7月と8月を禁漁とする期間を設けている。きのう漁が解禁、きょうが初競りの日で、金沢のスーパーなどの鮮魚売り場はにぎやかしくなる。何しろ、地元で取れた魚なので鮮度が違う。普段見かけることもない魚も並び、売り場では「底引き解禁だよー」と声が響くのがきょう2日だ。

午前中、「金沢の台所」でもある近江町市場をのぞいた。鮮魚店の売り棚には、水揚げされたばかりの甘エビやカレイ=写真=、ハタハタ、メギス、ノドグロなどがずらりと並び、店員が「底引き解禁だよ、脂がのっておいしいよ」と張り切っていて、多くの客が初物を買い求めていた。隣の青果店ではナシやモモなどが店頭を彩っていて、里山里海の味覚の秋の雰囲気を醸していた。

地元メディアの報道によると、解禁日に向けて8月31日夜に出漁した底引き網漁船は県内の各漁港から延べ72隻に上った。石川県沖の底引き網漁は、台風などのため2年連続で9月1日の解禁日に漁を開始できなかったので、ことしは3年ぶりに解禁初日に水揚げが始まったことになる。ただ、初日は海はあいにくのシケ。このため、漁を午前中に切り上げ、港に戻った漁船もあったようだ。きょう2日午前3時半から金沢市中央卸売市場で初競りが行われたが、初競りの入荷量は11.7㌧と例年の6割程度だったという。

去年元日の能登半島地震で漁港の海底が隆起したことから漁船を港外に出せず、11月になってようやく出漁が可能になった輪島漁港の底引き船団25隻もことしは解禁初日に初物を求めて出漁した。輪島沖では、ノドグロやカレイ、マダイなどが採れる。こうして底引き網漁の解禁日のニュースや近江町市場で並んだ初物を見ると、震災を超えて旬の味覚の日常が戻ってきたようで消費者の一人として率直にうれしくなる。

⇒2日(火)午後・金沢の天気  はれ

★きょうから施行「改正鳥獣保護法」 クマ問題の根深さ浮かぶ

★きょうから施行「改正鳥獣保護法」 クマ問題の根深さ浮かぶ

きょうから9月、残暑どころか猛暑が続く。予報によると、きょうの金沢の最高気温は36度になる(日本気象協会「tenki.jp」公式サイト)。そしてきょう1日は「防災の日」。関東大震災が発生した1923年9月1日にちなんで、震災の惨禍を忘れず、防災・減災を進めるために制定された。そして、きょうから「改正鳥獣保護管理法」が施行される。このブログでも何度か取り上げているクマ問題と関わる改正法なので検証してみる。

石川県自然環境課に寄せられたことしのクマの目撃情報は204件(8月27日時点)となっていて、その多くが金沢市の医王山や、白山のふもとの白山市、能美市、小松市となっている。懸念されるのはこの秋だ。同課がクマの餌となる植物3種(ブナ、ミズナラ、コナラ)の雄花の落下数を調査した結果、クマの主要な餌であるブナは22地点のうち20地点で大凶作、2地点で凶作となり、今秋は全体で大凶作が予想されると判断した。これまでのデータで、ブナが大凶作だった2020年にはクマの目撃件数は869件となり、県内の人身被害は15人に上った。同課では、6月27日にツキノワグマに対する「出没注意情報」を出して警戒を広く呼びかけている。(※イラストは、石川県公式サイト「ツキノワグマによる人身被害防止のために」から)

エサ不足のクマが人里に下りてきて、ペットフードや生ごみなどをあさるケースも増えている。最近では「アーバンベア(都市型クマ)」と呼ばれ、市街地周辺で暮らし、街中に出没するクマもいる。改正鳥獣保護管理法では、クマが市街地に出没し、建物内に立てこもったり、木の上に登ったりするなど膠着状態が続いた場合、それぞれの自治体の判断でハンターの銃猟が可能性になった。ただ、ハンターにとっては重圧ではないだろうか。

これまでハンターは森の中での銃猟だった。ところが、市街地となると銃弾がコンクリートなどで跳ね返りどこに飛んでいくか行くか分からない。このため、ハンターに銃猟を依頼する自治体は住民退避の誘導や交通規制などに当たる。また、銃弾が民家の壁面に当たり損傷が発生するなどしたケースでは自治体が補償することになる。

市街地でのクマの駆除が新たなステージに入った。同時に懸念するのは、人々がいわゆる里山と呼ぶ中山間地そのものに危険を感じて入らなくなったことだ。キノコや山菜を白山のふもとで採っていた人たちが能登で採ることが増えている。人が山に入らなければ、クマの領域を増やすことになる。むしろ生い茂った里山の木を伐採して活用、苗木を植えるという循環を図らなければ、クマのエリアが広がり、頭数がさらに増えることになる。クマ問題は根深い。

⇒1日(月)午前・金沢の天気  はれ