★自民総裁選に期する論戦~対アメリカ外交、人口減対策、教育改革~
まるで人気投票のような雰囲気の選挙だ。日本の政治の舵取りはこれでいいのだろうかとマスメディアの報道などを視聴していてつい思ってしまう。自民党の総裁選挙はきょう22日に告示され、投開票は10月4日となる。そして、今回の総裁選で出てきた「フルスペック」という言葉もなんだか分かりにくい。
フルスペック方式の総裁選はいわゆる「国の会議員票」(現在295票)と全国の党員などによる「党員票」(295票)の合わせて590票で争われる。党員票は全国で100万人余りに及ぶ党員・党友が投票を行い、ドント方式で票換算する。この方式は、選挙で各候補者の得票数を1、2、3……と整数で割っていき、商が大きい順に295票を配分する。問題はここから。過半数を得た候補者が総裁に就くが、過半数を得られなかった場合は上位2候補者で決戦投票を行う。この場合は国会議員票の295票と都道府県連票の47票の計342票の過半数を得た候補者が総裁となる。この方式は自民党の「総裁公選規程」で定められている(9月7日付・NHKニュースWeb版、選挙ドットコムなど参考)。

去年9月の総裁選では投票権を持つ党員・党友は全国で105万人余りで、投票率は66.16%だった。ちなみに、総裁選の規定では、投票権を持つ党員・党友は去年までの2年間、党費などを納めた者と決められているそうだ。今回の告示後の日程は、あす23日午前に共同記者会見、午後は公開討論会、30日には政策討論会がいずれも党本部で開催される(9月18日付・NHKニュースWeb版)。
冒頭の話に戻る。今回の総裁選では人柄ではなく、直面する日本の課題を論点にしてほしい。一つは、対アメリカに対する現実的な外交だろう。トランプ政権の下でいつまで「追随外交」が続くのか。日米安保条約を修正して日本独自の選択肢を持つ必要があるのではないか。そして、年間90万人が減少する日本の国力は確実にやせ細っていく。将来を見据えた移民政策を打ち出すのか、出さないのか。国の方針をはっきり定めるときが来たのではないか。そして、世界はAIとITのトレンドのただ中にある。現行の教育や学習体系をどう変革させていくのか。
総裁選ではこうした直球の議論を戦わせてほしいものだ。自身は党員・党友でもないが・・・。(※絵画は、ヴァチカン美術館のラファエロ作『アテネの学堂』。上のプラトンとアリストテレスは論争を繰り広げているが、下のヘラクレイトス=左=とディオゲネス=右=は我関せずの素振り)
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